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2018年11月18日(日)更新

事業承継

事業承継とは、会社の事業を後継者に引き継ぐことですが、中小企業においては経営者の後継者不足や高齢化などにより、それが進んでいないのが実情です。国の経済を支える中小企業を存続させ、さらに発展させていくためにも、経営者には事業承継の意義やその仕組みへの理解、また、より早い段階で対策を講じることが求められています。

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「事業承継」とは

事業承継とは、一般的に、閉鎖を予定する会社や同族会社のオーナー社長が、親族や従業員に、あるいは、M&Aの相手先に事業を承継、譲渡させることを言います。

事業承継は、単なる相続の問題ではなく、会社の存続に係わる極めて重大な経営課題であり、慎重に検討したうえで進めていく必要があります。

●株式の承継に伴う納税猶予・免除制度『事業承継税制』について知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
【関連】事業承継税制とは?概要やメリット・デメリット、改正による要件緩和の内容をご紹介 / BizHint HR

●M&Aによる事業承継のメリットや手順を知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
【関連】M&Aによる事業承継を行うためには?メリットやプラットフォームもご紹介/BizHint HR

【資料ダウンロード】事業承継M&Aプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」

事業継承の現状

中小企業では後継者の不在、また、その結果による経営者の高齢化が進行していることにより、事業の承継を行うことができず、維持、伝承されるべき雇用や技術などが途絶えてしまうという重大な危機に直面しています。

中小企業における後継者の問題と、経営者の高齢化の状況について分析していきます。

後継者の確保が困難

かつては比較的容易であった後継者の確保が、昨今においては少子化などの影響もあって、そもそも子供がない、いても事業に関心を示さないなどの理由で難しい状況となっています。また、子供に対する職業選択の気遣いなどもあり、事業の承継を無理強いしていないというケースも増加しています。

中小企業の後継者不足の現状についてですが、下記、図表1によると、ほぼすべての売上規模の企業が前回の調査時よりも後継者不在率を上昇させていることがわかります。しかしながら、売上規模が1億円未満の企業にいたっては、78.2%もの高い数字を示しており、やはり、中小企業のほとんどがなんらかの後継者問題を抱えていることがわかります。

【図表1】売上規模別の後継者の決定状況
(289,937社(全国・全業種)対象:2014年1月~2016年1月調査)

【出典】【(株)帝国データバンク】2016年後継者問題に関する企業の実態調査

経営者の高齢化

中小企業の経営者は60歳代後半が最も多く、さらに高齢化が進んでいます。経営者の高齢化は、基本的には、先で述べた後継者不在問題が解消されないことによるものですが、後継者がいないために自身で事業を続けているという場合だけではなく、事業の将来性のなさを考えてこのまま自身の代で終わらせることを決断している場合もあります。

【参考】【(株)帝国データバンク】「平成27年度中小企業の成長と投資行動に関する調査報告書」34P

下記、図表2によると、事業承継が進まなかった理由として、「将来の業績低迷が予測され、事業継続に消極的」というものが最も多く、「後継者を探したが、適当な人が見付からなかった」がそれに続くものとなっています。

つまり、単に後継者がいないために経営者としての地位を維持しているわけではないことがわかります。

【図表2】事業承継が円滑に進まなかった理由

【出典】【中小企業庁】2014年版中小企業白書(統計元:中小企業庁委託「中小企業者・小規模企業者の経営実態及び事業承継に関するアンケート調査」(2013年12月(株)帝国データバンク)

このデータが意味するところは、中小企業の経営者はできるところまでは自身で事業を継続させるが、その後は廃業を考えているというものであり、政府においてもこのあと到来するであろう団塊の世代の引退時期に大きな懸念を抱いています。

事業継承の重要性

団塊の世代であろう中小企業の経営者は、年齢的にも引退時期を迎えようとしています。しかしながら、これまで述べたとおり、まだ引退を考えていない、あるいは考えられない経営者が多い状況となっています。

このまま事業を継続していくと会社の業績がどのようになっていくのかについては、下記図3によると、社長の年齢が高くなるほど増収、増益である企業の割合は低下していくという結果が出ています。

【図表3】社長年齢別の企業業績

【出典】【日本M&Aセンター】社長年齢別の企業業績(統計元:(株)東京商工リサーチ「2016年全国社長の年齢調査」より加工)

どのような理由があるにせよ、このまま事業承継対策を行わない状態が続けば、上記、図表3のような業績悪化はもちろん、最悪の場合は廃業に追い込まれる可能性もあります。仮に経営者自身がそれを許容していたとしても、思わぬ負債を抱えてしまうことも考えられます。また、そのまま経営者が死亡してしまった場合にも遺産分割により、資産を集中できなかった会社は存続が危ぶまれます。

こうした事態を避けるためのものが事業承継であり、親族に承継しない場合においても、従業員や親族、また、取引先などのために適切な対策を講じることが求められています。

「事業譲渡」との違い

事業承継とは別に、事業譲渡というものがありますが、これは、会社の事業を後継者に引き継ぐというものではなく、事業の全部または一部を第三者に譲渡(売却)することを指します。例えば、複数の事業を行っている会社が、特定の事業だけ譲渡したい場合や対象会社に存在する債務を切り離すことを目的として選択される手法です。

後で説明するM&Aの一種になりますので、広い意味では、事業承継の手段のひとつであるとも言えます。

事業承継の構成要素

事業承継では、その会社が培ってきた様々な財産を後継者に承継することになりますが、その財産を大きく分けると、「人」、「資産」、「知的資産」の3つの要素に分類できます。

人の承継

まず、人についてですが、中小企業においては、以下で述べる「知的資産」におけるノウハウや取引関係との人脈などが経営者個人に集中していることが多いため、事業の円滑な運営や業績が経営者の資質に大きく左右される傾向にあります。人、つまり、経営者に集中している「経営権」の承継という意味になります。

資産の承継

株式、設備や不動産などの事業用資産などの「物」、運転資金や借入金など「金」のことです。会社保有の資産価値は自社株の評価となるため、事業承継でまず考えるべきは株式の承継になります。

知的資産の承継

経営理念、従業員の技術や技能、ノウハウ、経営者の信用、取引先との人脈などがこれに当たります。知的資産こそが会社の強み、価値であることから、この知的資産を承継することができなければ、その企業は競争力を失って事業の継続も難しくなります。

現経営者は、自社の強みや価値がどこにあるのかを理解し、これを後継者に承継していく必要があります。

事業承継における3つの方法

事業承継の主な方法としては、親族に承継する方法、親族以外の役員・従業員に承継する方法、また、M&Aなど社外へ引継ぐ方法の3つが挙げられます。それぞれのメリット、デメリットは下記のようなものになります。

親族に承継する場合(親族内承継)

親族がいるのであれば、まず、最初に検討するであろう方法です。割合的には一番多く選択される方法ですが、最近では先に述べた後継者不足により他の方法を選択せざるを得ないケースが増えてきています。

メリット

  • オーナー家としての地位を継続できる。
  • 一般的に、社内外の関係者から受け入れられやすい。 
  • 後継者を早期に決定しやすく、後継者教育などに十分時間をかけることができる。
  • 財産の承継において、相続や贈与など、承継方法の選択の幅が広い。

デメリット

  • 親族内に経営の資質と意欲を併せ持つ者がいるとは限らない。
  • 後継者としての適格性判断が甘くなる傾向がある。
  • 後継者以外にも相続人がいる場合は、後継者に経営権を集中させることが難しく、他の相続人に対する財産配分について熟慮が必要である。

ポイント

  • 早い段階から後継者と意思疎通を図ること。
  • 社内や取引先などの関係者にも理解を得ること。
  • 後継者教育にはより時間をかけて、経営権の移行をより円滑に進めること。
  • 後継者の決定権を安定的なものとするため、株式を集中させること。
  • 後継者以外の相続人に対しては株式ではなく、その他の金融資産や土地建物を分配するなどの調整を行うこと。

親族以外の役員・従業員に承継する場合(親族外承継)

親族内承継が減少していることにより、この方法やM&Aなど社外へ引継ぐケースが増えています。

メリット

  • 親族内だけでなく、社内外からも広く後継者候補を求めることができる。
  • 社内の者の能力は理解できているため、後継者としての適格性判断に時間がかからない。
  • 社内の者は業務に精通しているため、後継者としての教育期間を短縮できる。

デメリット

  • 社内に経営能力はあっても、経営者としての意欲を持つ者がいるとは限らない。
  • 後継者に株式を取得するための資金力が無い場合が多い。
  • 現経営者の債務保証や担保設定などの後継者への切り替えが難しい。

ポイント

  • 早い段階から後継者と意思疎通を図ること。
  • 社内や取引先などの関係者にも理解を得ること。
  • 後継者の債務保証や担保設定の負担を可能な限り軽減させること。(承継前の債務圧縮、金融機関との交渉、報酬増額などを実施)

M&Aなど社外へ引継ぐ場合

親族外承継とともに、社外へ引継ぐケースも増えています。M&Aと聞くと、悪いイメージが思い浮かぶかもしれませんが、事業を残して、従業員の雇用を確保できる可能性もあるなど良い点もあります。

メリット

  • 身近に適当な後継者がいない場合でも、事業自体は継続できる。
  • 従業員の雇用を確保できる可能性がある。
  • 親族内承継、親族外承継と比較すると、比較的、短期間で会社を整理できる。
  • 買収先の持つブランド力、ノウハウなどにより事業の拡大が期待できる。
  • 会社売却の利益を現経営者が獲得できる。

デメリット

  • 希望の条件(従業員の雇用、売却価格等)を満たす買い手を見つけることが困難である。
  • 交渉途中に金融機関や取引先などに情報が漏れてしまうと、取引停止などのリスクがある。
  • 最終契約締結後は、基本的に経営には手を出せなくなる。
  • 株式譲渡後も相当の引継ぎ期間が必要である。

ポイント

  • 専門的なノウハウを有する仲介機関(税理士、弁護士、金融機関など)に相談すること。
  • 相手先との交渉前に、少しでも会社としての評価額を上げておくこと。(債務整理や不要な資産の売却、経費のスリム化などを実施)
  • 事業承継の条件、売却金額などの希望を早い段階で仲介機関に伝えておくこと。
  • 準備段階、交渉途中で社内外に情報が漏れないように配慮すること。

【関連】M&Aによる事業承継を行うためには?メリットやプラットフォームもご紹介/BizHint HR

親族内承継が減少している

中小企業において事業継承を考える場合、まずは親族内の承継を考えることが一般的ですが、最近では、この親族内継承は減少傾向にあります。繰り返しになりますが、これは、そもそも親族内に後継者がいない、または、候補はいるもののその者自身が継承を望んでいないケースが増えているためです。

そのため、従業員や社外の第三者への親族外継承やM&Aなどを活用したり、それも難しければ、廃業を選択する経営者が増えているものと考えられます。

事業承継の実施手順

事象承継に進めていくにあたり、最初に承継方法(前述の親族内承継など)を決定するわけではありません。どの方法が自社にとって有効であるのかを経営者自身が資産や業績などを十分に検証したうえで決定し、それに沿った事業継承計画を策定することで準備を進めていくことになります。

一般的な手順は以下のとおりです。

資産・経営状況の把握と問題点の明確化

まずは、自社の資産状況、経営状況などを把握、検証して問題点をまとめ、その改善方法を検討しなければなりません。これは、後継者あるいは第三者に事業を引き継ぐ前に、現状の問題点を解決しておかなければ、承継後の事業にも支障が出るからです。

把握、検証すべき主な事項は下記のとおりです。

  • 経営者個人と会社の間の貸借関係の明確化(個人所有財産の事業利用の有無など)
  • 決算処理手続きなどの点検
  • 自社株式の数とその評価額の確認
  • 自社製品(サービス)の売上動向や、主力製品、補助製品の分析
  • 自社の知的資産(技術、ノウハウなど)の再確認

以上の各々についての問題点をまとめ、次のステップへと進みます。

資産・経営状況の問題点対策の実施

このステップでは、前のステップで挙げられた門題点についての改善を実施していきます。

実施すべき主な取り組みは下記のとおりです。

  • 主力製品(サービス)の拡充、高精度化、短期化の実施
  • 人材育成や新規採用など、人的資源の強化
  • 中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の策定、実行
     (この計画は、国から認定を受けることにより金融支援が受けられます。)
  • 債務整理の実施(場合によっては、民事再生、会社更生手続きなども行います。)
  • 役職員の職制、職務権限の明確化

なお、これらの取り組みは、最終的な事業承継まで実施します。

事業承継の方法の確定

事業承継の方法を、親族内承継や親族外承継、また、M&Aなど社外へ引継ぐ方法の中から確定しなければなりませんが、必ずしもこの段階でなくても構いません。状況によっては、事業承継の準備に着手した段階で既に確定していることも考えられますし、ここまでの準備を進めていく中で確定する場合もあります。

ただし、この後の手続きである「事業承継計画の策定」までに確定しておく必要があります。

事業承継計画の策定

事業承継の方法として、親族内承継、親族外承継を選択した場合には、事業承継計画というものを策定します。そこでは、企業理念を明確化、中長期の経営目標を決定したうえ、後継者の承継時期や承継にかかる基本方針をまとめ、5年から10年の事業承継計画としてスケジュールに落とし込みます。

その際、円滑な事業承継のための後継者教育とその期間、経営の引継ぎ期間と役割分担、新たな経営権確立のための親族対策や金融機関対策、株式の譲渡方法、相続税や所得税等の税金対策など、十分に考慮しておくことが重要です。

なお、M&Aなど社外へ引継ぐこととした場合には、この事業承継計画は策定せず、M&Aのマッチングに向けた動きを取っていくことになります。

M&Aのマッチングの実施

M&Aを実施することとした場合には、具体的に売却先を探す動きに入ります。

実施にあたっては、仲介機関に依頼することが一般的です。仲介機関には、地域の事業引継ぎ支援センターのほか、取引金融機関、税理士などの専門家が挙げられます。

ただし、実務は仲介機関に委ねることができますが、経営者として、どのような形で事業を承継したいのかを明確にしておく必要があります。例えば、社名は残してほしい、事業の一部だけを売却したい、従業員の雇用は守ってほしいなどといった要望があれば、仲介機関に伝えておくことが必要です。

事業承継・M&Aの実行

ここまでのステップをもとに、親族内承継、親族外承継であれば、事業承継計画に則って代表者交代に向けた後継者への経営者教育や株式等の資産整理に入ります。M&Aについては、マッチングの結果を受けて、譲り受け企業を決定し、最終契約の締結へと向かいます。

少なくともこの段階に入ると、専門的な税務や法務の手続きが多くなるため、税理士などの専門家のアドバイスがなければ実行していくことが難しくなります。

事業承継を成功させるポイント

事業承継を成功させるための細かなポイントはいくつもありますが、余裕を持って計画的に進めるためには、可能な限り早めに取り組むことが重要です。

時間に余裕を持ち計画的に準備を行う

一般的に、事業承継は経営者が60歳頃から着手すべきと言われています。それは、親族内承継や親族外承継、また、M&Aのどの方法によるものであっても、後継者の育成や、マッチング企業との調整などにはかなりの期間を要するからです。

経営者は早期に自身の引退年齢を決定し、そこから逆算した期間で策定した事業承継計画により、余裕を持った承継を進めていくことが望まれます。

「事業承継ガイドライン」「事業承継マニュアル」を活用

政府では、中小企業、小規模事業者の円滑な事業承継のために「事業承継ガイトライン」や「事業承継マニュアル」というものを公表しています。これには、そもそも事業承継とは何であるのか、また、その重要性や具体的手続きの方法などがまとめられています。

まずはこちらに目を通し、事業承継とは具体的にどういうものであるのか、どういった流れで進めていけばよいのかを理解しておけば、専門家に相談するうえでも効率的に進められます。

【参考】事業承継ガイドライン - 中小企業庁 - 経済産業省
【参考】経営者のための事業承継マニュアル

専門家のサポートを受ける

事業承継には、相続や贈与にかかる税金のほか、様々な法的問題が係わってきます。政府のマニュアルに目を通しても細かな部分までは理解できるものではありませんし、財産の整理など具体的な法的手続きは、経営者1人では困難です。できるだけ、早い段階で、税理士などの専門家に相談することが必要です。

「事業承継税制」とは

後継者への自社株の承継方法としては、相続財産として渡すか、生前贈与するかのいずれかが考えられますが、いずれの場合でも後継者にとって相続税や贈与税は大きな負担となります。そこで、政府は中小企業の事業承継が円滑に進められるように、一定の要件を設けて、事業承継時の相続税、贈与税の納付を猶予する制度を設けています。

なお、平成29度の税制改正においては一部要件を緩和するなど、より使いやすいものとされています。

制度の内容

後継者が納付すべき相続税または贈与税の課税価額(一定の上限あり)に対し、相続税の場合はその80%、贈与税の場合はその全額に対応する額の納税が最大5年間猶予されるというものです。

また、猶予が認められた後に一定の事由が生じると、猶予された税額の一部または全部が免除される場合もあります。

適用条件

相続税の納税猶予、贈与税の納税猶予とも、その適用を受けるに当たっては、まず、都道府県知事の認定を受け、その後も、相続時、贈与時の雇用の8割以上を5年間平均で維持しなければならないなどいくつかの要件が決められています。

なお、申請から5年間は、相続または贈与報告基準日といわれる定められた日(基本的に申請から1年経過した日)から3ヶ月以内に毎年、年次報告書を提出し、一定の要件を満たしているかどうかの確認を受ける手続きも必要とされており、要件を満たせていないと判断された場合には、猶予中の税額を納付しなければならないこととされています。

申請方法

相続税の納税猶予、贈与税の納税猶予度とも、申請を希望する場合には、まずは、会社の所在地である都道府県の担当課に連絡することになっています。なお、相続開始日または贈与日を基準に定められた認定申請基準日から認定申請期限日までに申請することとされていますので、あらかじめ確認しておくことが必要です。

【参考】非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予及び免除の特例のあらまし(平成29年7月)|パンフレット・手引き|国税庁

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「事業承継補助金」について

事業承継に係る国の支援施策としては、税制優遇のほかに補助金もあります。政府ではこれまでもあった別の補助金について、額もアップするなどの見直しを図り、平成29年度から事業承継に必要な経費に対し補助金を交付することとしました。

今後もその内容は見直されるかもしれませんが、以下、平成29年度の公募内容について説明します。

補助金の内容

補助金の助成対象として求められている経営革新などに要する経費として、200万円を上限として交付、さらに、事業所の廃止なども伴う場合にはそのために要する経費として、300万円を上限として上乗され、最大で500万円の補助金が交付(補助率は3分の2以内)されるというものです。

なお、補助事業期間は交付決定日から最長で当該年度12月31日までとされています。

補助対象者

補助対象者や事業承継などについての考え方は、主に以下のとおりとされています。

  1. 事業承継について
    当該年度4月1日から、補助事業期間完了日(最長当該年度12月31日)までの間に事業承継(代表者の交代)を行った又は行うこと。
  2. 地域貢献について
    他社との取引関係や地域の需要に応える商品・サービスの提供、雇用の維持・創出によって地域に貢献していること。
  3. 新しい取り組みについて
    新商品の開発または生産、新役務の開発または提供のような「経営革新」や、事業所の廃止や既存事業の集約・廃止などの「事業転換」を行っていること。

申請方法

事業承継補助金に申請するためには、まずは、認定支援機関と言われる税理士事務所、公認会計士事務所、弁護士事務所などへ事前相談を行い、地域貢献や経営革新などについての確認書を作成してもらう必要があります。その後、補助金事務局(中小企業庁より委託を受けた民間会社)に必要書類を添えて提出することになっています。

【参考】「事業承継補助金」の概要を公表します/経済産業省

まとめ

  • 経営者の高齢化が進んでいる中小企業においては、事業承継は喫緊の課題である。
  • 事業承継対策を講じないままでいると、最悪の場合は廃業に追い込まれる可能性がある。
  • 経営者は自身の引退年齢を早期に決定し、事業承継の準備を進めるべきである。
  • 事業承継を円滑に進めるためには、長期的視野に立った事業承継計画を策定する必要があり、そのためにもできるだけ早めに着手する必要がある。
  • 事業承継をより円滑、効率的に進めるためにも、初期の段階で税理士などの専門家のサポートを得ておくべきである。

<執筆者>
本田 勝志 社会保険労務士

関西大学 経済学部 経済学科 卒業。1996年10月 文部省(現文部科学省)入省。退職後、2010年に社会保険労務士試験に合格。社会保険労務士事務所などでの勤務経験を経て、現在は特定企業における労務管理等を担当。


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