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2018年10月23日(火)更新

戦略マップ

経済のグローバル化や技術革新に伴い、経営を取り巻く環境は一層厳しい状況にあります。そのため、企業は顕在的・潜在的な経営課題を可視化し、将来の不確実性への経営計画を打ち出さなければいけません。今回は経営課題を可視化し、解決策との因果関係を示すのに有効な戦略マップの定義やメリット、作成方法、おすすめの書籍をご紹介いたします。

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戦略マップとは

戦略マップとは、取り組むべき経営課題や解決策を整理し、企業が掲げる目標の達成のために、整合性のある経営戦略を打ち出せる意思統一ツールです。

具体的な経営課題と解決策を記し、KPIKSFなどの業績評価指標も盛り込めるため、体系的かつ明確化されたバランス・スコア・カードの作成につながります。

従業員の役割や業務、位置付けと、企業が従業員に求める貢献度合いや、マネジメントレベルでの経営戦略がどう結び付くかをわかりやすく説明できるため、従業員のモチベーション向上にも期待できます。そのため、戦略マップは組織に経営戦略を浸透させるコミュニケーションツールとしても活用されています。

バランス・スコア・カードとの関連性

ロバート・S・キャプラン教授とデビッド・P・ノートン氏が考案したバランス・スコア・カードとは、以下の4つの視点から成り立っています。

  • 財務の視点
  • 顧客の視点
  • 業務プロセス(内部業務プロセス)の視点
  • 成長と学習の視点

戦略マップは、バランス・スコア・カードを補強するフレームワークです。4つの視点から導き出した経営課題と解決策の因果関係や関連性を図式化することで、今まで気づけなかった戦略同士の関連性や方向性の発見につながります。

そのため、戦略マップの作成には、基本となるバランス・スコア・カードの知識と経験が必要不可欠です。

【関連】「バランス・スコア・カード」とは?概要や特徴、構築へのステップから参考書籍までご紹介/BizHint

SWOT分析・クロス分析との関連性

戦略マップやバランス・スコア・カードが導き出した経営戦略の詳細は、SWOT分析やクロス分析(SWOTクロス分析)などの他のフレームワークを使って、補強していきます。

経営戦略の要素を生み出すSWOT分析

SWOT分析とは、ビジネスの構成要素を、内部要因(強み・弱み)と外部要因(機会・脅威)の2つのカテゴリーに分け、自社の競争優位性や顕在的・潜在的リスクを洗いだすフレームワークです。

戦略マップやバランス・スコア・カードは、自社が抱える経営課題に対する解決策を明確化にし、企業が目指す目標(企業価値の向上や株主価値の改善)などにつなげられます。そのため、戦略マップ・バランス・スコア・カードを作成する際には、SWOT分析で、自社の強みや弱み(内部要因)、業界や市場の機会と脅威(外部要因)を洗い出し、自社が市場や顧客に提供できる価値を明確化しておくとよいでしょう。

経営戦略を導き出すクロス分析

クロス分析とは、SWOT分析で導き出した内部要因と外部要因を掛け合わせて、選択すべき最適な経営戦略を分析・評価する手法です。自社の強みと機会を組み合わせ、自社の競争優位性を確立できるかどうかと、自社の弱みと脅威を組み合わせ、自社にとっての重要なリスクを調査・分析できます。

バランス・スコア・カードでは「財務の視点」以外にも「顧客の視点」、「業務プロセスの視点」、「成長と学習の視点」の経営戦略を打ち出せます。そのため、クロス分析で導き出した経営戦略を戦略マップに落とし込むことで、それぞれの視点から、その経営戦略が有効であるかを体系的に分析・整理できます。

【関連】戦略策定に役立つフレームワーク「SWOT分析」とは?やり方や事例を解説/BizHint

戦略マップ作成のメリット

企業の業績目標と経営課題は密接にリンクしており、関係性や方向性を可視化することで、柔軟で効果の高い経営戦略を導き出せます。

戦略マップを活用することで、以下のメリットを得られます。

経営戦略全体の可視化

企業価値の向上や株主価値の改善は、複数の経営戦略シナジー効果を発揮することで実現できます。そのため、各経営戦略がどのように影響し合い、相互効果を生み出しているかを常に把握しなければいけません。

戦略マップは、バランス・スコア・カードの4つの視点を縦軸、それぞれの経営戦略を横軸に記入し、経営戦略同士がどのように関連しているかを確認することができます。戦略の全体像を把握し、企業が掲げる最終目標をどのように達成していくかを体系的に確認できるため、目標達成に向けた企業活動を論理的かつ包括的に可視化できます。

また、戦略マップは各経営戦略KPIなどの業績評価指標を設定できるため、進捗具合を確認しながら、経営戦略を軌道修正しやすくなります。

各戦略の連携を促進

バランス・スコア・カードの4つの視点は、「成長と学習の視点」→「業務プロセスの視点」→「顧客の視点」→「財務の視点」といったように、それぞれの経営戦略に連携しています。

戦略マップは、4つの視点毎の経営戦略の関連性を図式化したものであり、打ち出した経営戦略がどのように他の経営戦略と連携し、効果を上げているかを確認し、より強いシナジー効果を発揮するように連携を促進できます。また、事業部などの組織間で経営戦略を比較しやすく、共通点や相違点を発見しやすくなる効果があるため、事業部同士の擦り合わせや効果の高い施策などを相互に共有できるメリットを得られます。

プロダクトライフサイクルやビジネスモデルの短期化が指摘される中、各企業で新商品(製品)・サービスの研究開発が活発化しており、開発・生産・営業・販売など異なる分野の強固な連携が不可欠です。そのため、各事業部門が掲げる戦略を最適に連携させる戦略マップは、産業構造(産業界)が複雑になっている現代において、最適なフレームワークといえます。

組織内コミュニケーションの促進

戦略マップを作成することで、企業が掲げる目標と経営戦略・プロジェクト、従業員の個人目標を結び付けやすくなり、従業員側も自身の役割や立ち位置を認識できます。

戦略マップはコミュニケーションツールとして機能させることができるので、社内プロセスの効率化にもつながります。その結果、従業員のモチベーション従業員エンゲージメントの向上も期待できます。

戦略マップの作成方法

戦略マップの作成は、バランス・スコア・カードの作成から始まります。本章では、効果的な戦略マップの作成方法をご紹介いたします。

ビジョン・ミッションの見直しと組織の最終目標の設定

戦略マップを作成する際、最も重要かつ始めに行うべき作業が、企業の掲げるビジョン・ミッションの見直しと、組織の最終目標(ゴールや数値目標)の設定です。

営利で活動している企業にとっての最終目標は、業績の向上による企業の存続が挙げられます。自社が企業活動を通して、どのように社会貢献を行っていくべきかを考え、企業価値や株主価値を高めていくためには、組織目標の達成時期や達成水準(目標値)を定量的に設定し、組織としての最終目標を明確にしておかなければいけません。

4つの視点で戦略を分類

バランス・スコア・カードの4つの視点で、企業が認識している経営課題を整理し、それぞれに対する解決策(経営戦略)を打ち出していきます。この段階では、経営戦略や施策の詳細を打ち出す必要はありません。

一般的に各視点で取り上げられやすい戦略マップは以下となります。

各視点 取り上げられやすい経営課題 採用されやすい経営戦略
財務の視点 収益性の向上 財務体質の強化・健全なキャッシュフローの確立
顧客の視点 顧客満足度の向上 新規顧客開拓・クレームの低減
業務プロセスの視点 コストリーダーシップの実現 適正在庫の確立・リードタイムの低減
成長と学習の視点 人材育成・スキルの向上 従業員の意識改革・チャレンジを促す人事制度改革

財務の視点を頂点とした重要成功要因(戦略)の決定

戦略マップ上で効果的な経営戦略を導き出すには、「財務の視点」を頂点とし、「顧客の視点」→「業務プロセスの視点」→「成長と学習の視点」の順番で、経営戦略を細分化していくことが有効です。各視点で導き出した経営戦略が定量化(数値目標)された「財務の視点」の戦略を達成できるかどうかを確認していき、重要成功要因となる経営戦略を決定していきます。

この場合、「顧客の視点」の課題を解決するには、「業務プロセスの視点」に立って、どのような戦略が有効であるかを考えます。そして、「業務プロセスの視点」の課題を解決するには、「成長と学習の視点」に立って、どのような戦略が有効であるかを考えます。また逆説的に、「業務プロセスの視点」での戦略は「顧客の視点」での課題を解決に導くことができるか、「顧客の視点」での戦略に効果的にシナジー効果を発揮できるかを考えることも効果的です。これらの作業を繰り返すことで、効果の高い戦略を絞り込んでいくことができます。

しかし、必ずしも「財務の視点」→「顧客の視点」→「業務プロセスの視点」→「成長と学習の視点」の順番で考えなければいけないということではありません。さらに、「財務の視点」から掘り下げず、取り掛かりやすい視点からアプローチしても問題はありません。

重要成功要因となる経営戦略は、単体で効果を発揮することは少なく、それぞれの戦略が相互に関連し、シナジー効果を発揮していきます。視点毎に複数経営戦略が存在しても問題ありません。

戦略マップにない戦略の模索

各視点での経営戦略がそれぞれどのように関連しており、効果的な戦略として機能するかどうかの確認ができれば、戦略マップにない経営戦略を模索していきます。

戦略マップにない戦略が他の戦略に効果的であるかを検討することで、派生元の経営戦略の有効性を再確認できるとともに、最終目標や「財務の視点」の戦略に直結する、最短ルートの課題解決方法を導き出すことが可能となります。

アクションプランの策定

戦略マップやバランス・スコア・カードで導き出した経営戦略は、現場レベルまで浸透させなければいけません。組織内で経営戦略を実践的なものにする上で、具体的なアクションプランを策定していきます。

このアクションプランの策定も、各視点からトップダウン形式で掘り下げていくことが有効です。「顧客の視点」で導き出した経営戦略の具体的なアクションプランを、「業務プロセスの視点」、「成長と学習の視点」でどんなアクションプランが可能かどうかを模索していきます。

戦略マップは、マネジメントレベルでの戦略を、従業員の個人レベルまで落とし込める素晴らしいフレームワークです。そのため、従業員一人ひとりの個人目標と、それを達成するための具体的なアクションプランの作成にも効果的です。

戦略マップ作成に役立つおすすめ書籍

戦略マップの作成は、経営陣や経営企画室といった経営戦略の策定に関わる方だけでなく、ビジネスの最前線で活躍する管理職や一般社員も学んでおくべきフレームワークといえます。本章では、戦略マップの作成や基本知識を学習できる、おすすめの書籍をご紹介いたします。

キャプランとノートンの戦略バランスト・スコアカード

バランス・スコア・カードを補強するために、生み出された戦略マップを知る上で読んでおきたいバランス・スコア・カードの専門書です。バランス・スコア・カードを提唱した著者はハーバード・ビジネス・スクール教授と実際の企業経営者であり、不確実性の高い現代において、いかにバランス・スコア・カードが重要かを解説してくれています。

バランス・スコア・カードの4つの視点である「財務」、「顧客」、「内部プロセス」、そして「成長と学習」をしっかりと解説してくれているので、戦略マップの基本知識を得たい方におすすめです。海外企業のケーススタディを多数紹介しており、海外進出を考えている、または既に海外進出を行っている日本企業の経営者や経営企画室の担当者も一度は読んでおきたい書籍といえます。

現在 バランス・スコア・カードは、中小企業や非営利組織においてもその重要性が浸透しつつあるため、将来の不確実性に対する経営戦略に悩む中小企業の経営者にもおすすめです。

【参考】amazon キャプランとノートンの戦略バランスト・スコアカード

戦略マップ バランスト・スコアカードの新・戦略実行フレームワーク

バランス・スコア・カードを提唱したロバート・S・キャプラン氏とデビッド・P・ノートン氏による戦略マップを解説した書籍です。無形資産(情報や人材、顧客関係など)を数量化し、企業価値を高められる戦略マップの理論や実践方法を解説してくれています。

経営戦略を図式化し、全社的に浸透してくことの重要性を説いており、事例も豊富に紹介しているため、バランス・スコア・カードや戦略マップを初めて知る方にもおすすめです。一方で、学術書の側面が強いと感じる場合もあるので、理解を深めたい方は、その他のバランス・スコア・カードや戦略マップの書籍と一緒に読むことがおすすめです。

【参考】amazon 戦略マップ バランスト・スコアカードの新・戦略実行フレームワーク

戦略マップ バランス・スコアカード実践活用法

戦略マップの作り方や実践方法に特化した、戦略マップ・バランス・スコア・カードの入門書です。バランス・スコア・カードを既に知っていて、さらに精度を高めたいと考える方や、自社への具体的な導入方法を知りたい方におすすめです。

本書は、中小企業向けの戦略マップの作成方法を意識して、実務を通して得た筆者の知見を盛り込んでいるため、経営改善を目的とする「中小企業の経営者や経営戦略担当のビジネスパーソンにおすすめの書籍といえます。また、本格的な経営戦略に関わっていない方でも、普段の業務上での課題を可視化し、解決策の立案や周囲への周知方法にも役に立ちます。

自分の考えを整理し、目標達成に向けたアクションプランを作りたいビジネスパーソンにもおすすめです。

【参考】amazon 戦略マップ バランス・スコアカード実践活用法

まとめ

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