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2019年4月9日(火)更新

廃業

廃業とは、会社(経営者)あるいは個人事業主がその理由にかかわらず自主的に事業を辞めることです。特に中小企業においては、経営者の高齢化や後継者不足の問題が深刻化しており、これらを理由とする廃業が増加しています。廃業を選択する経営者は廃業することの意味や手続きを十分に理解したうえで、その他の選択肢なども検討することが必要です。

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廃業とは

廃業とは、その理由を問わず、自主的に経営や事業を辞めることを言います。

例えば、株式会社の廃業とは、株主総会で解散を決議して企業活動を停止させ、保有している資産の整理や債権の回収、また、債務の弁済などの一連の手続きを終わらせた後に会社を消滅させることを言います。

休業との違い

休業とは、経営や事業を停止させることを言います。

廃業するためにはあとで説明するような複雑な手続きがあり、会社あれば廃業することについての登記や資産の整理などに多くの費用もかかりますが、休業の場合には税務署や自治体への届け出のみで経営や事業を停止させて、その間の法人税も節税することができます。競業は、基本的に経営を再開する見込みがある場合に選択されるものです。

破綻・倒産・破産とは

廃業に関連する言葉として、破綻や倒産、破産というものがあります。

これらについては、明確な定義はないものの、一般的には、債務が積み重なって経営が立ち行かなくなることを広い意味で、経営の「破綻」とし、実際に不渡り手形(資金不足により支払えない手形)などを出してしまい、銀行との取引が停止されて経営を継続ができなる状態のことを「倒産」と言います。 また、「倒産」には、資産を債権者に配分したのちに会社が消滅する「破産」と、民事再生法や会社更生法に基づく手続きにより会社は消滅せずに再生が図られる場合があります。

廃業企業数の推移等

実際の廃業企業数の推移などに見てみましょう。

東京商工リサーチが2018年1月に発表している「2017年「休廃業・解散企業」動向調査」によると、2017年に休業や廃業、解散した企業数は、3年ぶりに前年よりも減少しているものの、ここ数年倒産した企業数の約3倍であること、また、これらの企業の代表者年齢は60歳以上で8割を占められていることなどから、休業や廃業、解散の原因として、主に経営者の高齢化、事業承継の難しさが挙げられています。

また、同じく、東京商工リサーチの「2016年「休廃業・解散企業」動向調査」では、廃業した企業の半数を超える企業が廃業前に黒字であったとしており、廃業は経営面の悪化だけではないことが伺えます。

【参考】【東京商工リサーチ】2017年「休廃業・解散企業」動向調査
【参考】【中小企業庁】2017年版 中小企業白書「第1部 平成28年度(2016年度)の中小企業の動向

休廃業・解散企業数

2017年の休廃業・解散企業数は2万8,142件となっており、3年ぶりの減少ではあるものの、過去10年の件数をみてもそれほど低い数字とは言えないのに対し、倒産企業数は、2008年から毎年減少しています。(2017年は未集計)

休廃業・解散企業数と倒産企業数を比較すると、ここ数年の休廃業・解散企業数は、倒産企業数の約3倍となっていることから、債務超過などにより休廃業・解散に追い込まれているというよりも、何かしらの理由により自主的に休廃業・解散を選択している企業も多いものと考えられます。

【出典】【東京商工リサーチ】2017年「休廃業・解散企業」動向調査

主要産業別件数

2017年の休廃業・解散企業数を主要産業別に分類すると、最も多いのは飲食業や宿泊業、非営利的団体などを含む「サービス業他」(7,609件、構成比27.0%)で、「建設業」(7,072件、同25.1%)、「小売業」(4,024件、同14.3%)と続きます。

2017年の休廃業・解散企業数の合計が2万8,142件であるため、「サービス業他」と「建設業」だけで5割を超えていることがわかります。

【出典】【東京商工リサーチ】2017年「休廃業・解散企業」動向調査

法人格別件数

2017年の休廃業・解散企業数を法人格別に分類すると、最も多いのは「株式会社」(1万536件、構成比37.4%)で、「有限会社」(8,441件、同29.9%)、「個人企業」(7,006件、同24.8%)と続きます。

2017年の休廃業・解散企業数の合計は前年より減少している中、より事業規模の小さい「個人企業」と「特定非営利活動法人」では増加していることがわかります。

【出典】【東京商工リサーチ】2017年「休廃業・解散企業」動向調査

代表者年齢の構成比

2017年の休廃業・解散企業数を代表者年齢別に分類すると、最も多いのは、「70代」(36.19%)で、「60代」(32.54%)、「80代以上」(14.74%)と続きます。

「60代」、「70代」、「80代以上」の合計83.47%と、「80代以上」の14.74%は、ともに2000年以降で最高値とされており、企業の休廃業・解散は、主に経営者の高齢化を理由としているものであることが推察されます。

【出典】【東京商工リサーチ】2017年「休廃業・解散企業」動向調査

廃業の理由

具体的に廃業を決断した理由については、2014年版の中小企業白書のデータによると、最も多いのが、「経営者の高齢化、健康(体力・気力)の問題」(48.3%)で、「事業の先行きに対する不安」(12.5%)などと続きます。

やはり、経営者自身の高齢化を理由とする廃業が多いことがわかります。

【出典】【中小企業庁】2014年版 中小企業白書「第3部 中小企業・小規模事業者が担う我が国の未来

廃業企業の経営状態

東京商工リサーチの「2016年「休廃業・解散企業」動向調査」によると、2013年から2015年までの間に休廃業・解散した企業(うち、廃業直前の売上高経常利益率が判明している企業)のうち、いわゆる黒字状態で廃業した企業の割合は50.5%もあり、中でも売上高経常利益率が10%以上から20%の間であった企業は7.5%、20%以上であった企業は6.1%もあるなど、ある程度の企業においては廃業前にかなり高い利益率であったことがわかります。

このことは、前述の廃業を決断した理由として挙げられている、経営状態とは関係のない、経営者の高齢化や健康の問題などが関係しているものと考えられます。

【出典】【中小企業庁】2017年版 中小企業白書「第1部 平成28年度(2016年度)の中小企業の動向

廃業を選択する前に

廃業は、当然ながらその事業にかかわっている多くの関係者に影響を及ぼすことになるため、廃業せずに事業を継続させる方法がないのかなどを十分に検討しなければなりません。

特に、会社の場合には個人事業主よりも多くの従業員を抱えていることが一般的であるため、より慎重な検討が必要です。

親族外事業承継

経営者が高齢であり、親族の中に事業を引き継ぐ者がいないことを理由に廃業しようとしているのであれば、役員や優秀な従業員、あるいは、取引先や金融機関の者を招聘して事業を引き継ぐ方法もあります。

候補者本人との調整や実際の引き継ぎ作業、また、社内外の理解を得るまでにある程度の期間を要することになりますが、あらかじめ計画を立てて進めることで、廃業することなく事業を引き継がせることができます。

【関連】「事業承継」とは?実施手順や事業承継税制、補助金についても解説/BizHint HR

M&Aによる事業承継

同じく、経営者の高齢化や後継者がいないことを理由に廃業しようとしていて、かつ、親族以外にも事業を引き継ぐ者がいないのであれば、いわゆるM&Aにより他企業に会社(事業)を売却する方法もあります。

取引金融機関や税理士などの専門家を介して売却先企業を探し、会社を他企業に売却することで、経営者自身は利益を得ることができ、事業そのものも継続できれば、従業員の雇用も確保できる可能性があります。

【関連】M&Aによる事業承継を行うためには?メリットやプラットフォームもご紹介/BizHint HR

経営の立て直し

自社の扱う製品やサービスについての利益が上がらない、また、今後、上がる見込みもないと判断して廃業しようとしているのであれば、経営コンサルタントなどの専門家に相談し、製品やサービスの方向性や集客方法などを見直すことにより利益を上げられる可能性があります。

また、運転資金が不足しているのであれば、あらためて今後の事業計画を整理したうえで、銀行以外に日本政策金融公庫の融資や、その他あらゆる資金調達の手段を検討する必要があります。

【参考】融資制度一覧から探す/日本政策金融公庫

会社の廃業手続き

株式会社を例に挙げると、会社が廃業するためには、株主総会で解散を決議したあと、保有財産の処分や債権の取り立て、債務の弁済を行い、残余財産があれば株主へ分配するなどのいわゆる「清算」を行うことが必要です。

なお、この清算には、債務超過でない場合の通常の清算のほかに、清算の遂行に著しい支障をきたす事情や債務超過の疑いがある場合に、裁判所の管理下で行われる特別清算というものがありますが、これは破産と同様の清算型倒産手続きであるため、ここでは通常の清算方法の主な流れについて説明します。

事業終了の決定

会社を廃業するためには、前述のとおり解散や清算などの手続きがあり、最短でも3か月程度、清算手続きに手間取れば2、3年を要することもあります。

経営者は具体的にいつ事業を終了させるのかを決定し、従業員の解雇や取引先への連絡なども踏まえ、綿密な計画を立てて会社の整理を進めていく必要があります。

従業員への説明・解雇

会社を廃業するにあたり、従業員を解雇することになりますが、廃業するとはいえ自由に解雇できるわけではありません。

いわゆるリストラ(整理解雇)を行う場合には、判例上確立された「①人員削減の必要性 ②解雇回避努力 ③人選の合理性 ④手続きの相当性」の4つの要件を満たすものでなければならないとされていますが、リストラとは状況が異なるもののこれらの要件にも配慮する必要があります。

ただし、廃業の場合には、経営上の戦略によるものでもない限りは、上記の①から④については問題になることは少なく、注意すべきは主に「④手続きの相当性」になります。手続きの相当性とは、解雇するまでに廃業の理由や具体的な時期など、十分な説明をしたかどうかということになりますので、できる限り早期に労働組合や従業員に対して丁寧な説明をして理解を得なければなりません。

なお、実際に解雇する場合にも労働基準法で定められているとおり、少なくとも30日前に予告をしなければならず、30日以上の予告期間を設けられない場合には30日に満たない日数分の平均賃金を支払わなければなりません。

【参考】会社を清算する場合の従業員の解雇について教えてください。/中小機構

取引先等への連絡

廃業は、取引先や顧客に多大な迷惑をかけることになるため、重要なところには直接出向いてその経緯などを説明するとともに、関係者全員に挨拶状などで通知する必要があります。

連絡する時期については、現状の取引状況や従業員への説明時期、また、このあとの解散、清算手続きの進行予定などにも考慮しながら判断することになりますが、関係者にかかる負担(取引先の変更など)を軽減させるため、できる限り早期に通知することが求められます。

解散手続き

廃業に伴い、まずは、会社を解散する手続きが必要になります。この手続きには次のようなものがあります。

株主総会の決議等

会社が解散を決定するには、株主総会における決議が必要になります。(株主全員の書面決議によることも可能です。)この株主総会で決議しなければならない事項は、会社を解散させることと、このあとの清算事務を執行する機関である清算人(通常の会社における取締役のようなもの)を選任することです。

清算人の選任に関する決議ついては、定款に別段の定めがない限り、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数の賛成をもって可決となる「普通決議」によることで構いませんが、会社が解散することの決議については、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成をもって可決となる「特別決議」によるものでなければなりません。

なお、清算人の人数は1人以上いればよいとされており、一般的には取締役が清算人になることが多いですが、定款で清算人会(取締役会のようなもの)を設置することとしている場合には3人以上置かなければなりません。

解散及び清算人の登記

一般的に株主総会の開催日が会社の解散日となりますが(別の日とすることも可)、この日から2週間以内に管轄法務局で解散の登記とともに清算人の選任の登記を行わなければなりません。

なお、この登記が完了したことで会社は消滅するものではなく、清算会社という法人格を有したまま、会社を清算する目的の範囲内で清算が完了するまで存続することになります。

解散の届け出

株主総会で会社の解散を決議したあとは、遅滞なく、管轄税務署、都道府県税事務所、市町村役場へ届出書(「異動届」などとされています。)を提出しなければなりません。これらの届出書には、原則として解散登記後の謄本の添付が必要になります。

清算手続き

解散に関する手続きを終えると、財産の処分や債権の取り立て、また、債務の弁済、残余財産の株主への分配などの会社を清算する手続きに入ります。

財産目録及び貸借対照表の作成

株主総会で選任された清算人は、会社の財産を調査したうえで、財産目録(資産と負債の明細)および貸借対照表を作成して、株主総会に提出して普通決議(株主の議決権の過半数の賛成によるもの)により承認を得なければなりません。

なお、この財産目録および貸借対照表は、このあと説明する清算結了の登記まで会社で保管しておかなければなりません。

債権者保護手続き

清算人は、債権者に対して債権申出の催告手続きを行わなければなりません。これは会社を清算するにあたり、解散時点での債務を確定させる必要があるため、一定期間を設けて債権者に債権について申し出てもらうための手続きです。

これは次の2つの方法により行わなければなりません。

  1. 官報に、債権者に対して一定期間内(最低2か月)に債権を申し出るべき旨を公告する。
  2. 債権者として把握している者に対しては個別に、一定期間内(同じく最低2か月)に債権を申し出るべき旨の通知を発出する。

このあと、官報公告掲載期間に申し出がなかった債権者は、清算から除かれることになり、未分配の残余財産についてだけしか弁済を請求することしかできなくなりますが、個別に催告している債権者が債権の申し出をしなかったとしても清算から除かれることはありません。

官報公告の掲載は、全国官報販売共同組合などのホームページから申し込むことができます。

【参考】官報公告/全国官報販売共同組合

債務の弁済及び債権の取り立て

清算人は、上記の債権者に対する債権申出の催告手続きにより負債総額を把握したうえで、各債権者への債務を弁済するとともに債権の回収や、会社の財産を換価(金銭化すること)します。

株主への残余財産の分配

清算人は、上記の整理を行ったあとも会社に財産が残っていれば、株主に分配します。

決算報告書の作成

清算人は、決算報告書(清算事務報告書)を作成し、株主総会に提出して普通決議(株主の議決権の過半数の賛成によるもの)により承認を得なければなりません。

清算結了登記

株主総会で、決算報告書の承認を得た日から2週間以内に法務局で清算結了の登記を行わなければなりません。なお登記の申請には、株主総会の議事録や決算報告書の添付が必要になります。

清算結了の届け出

清算結了の登記は完了したら、遅滞なく、管轄税務署、都道府県税事務所、市町村役場へ届出書(「異動届」などとされています。)を提出しなければなりません。これらの届出書には、原則として清算結了登記後の謄本の添付が必要になります。

確定申告

会社を解散・清算するにあたり、各々のタイミングで法人税、消費税等の確定申告が必要になります。

解散事業年度の確定申告

解散日の属する事業年度開始の日から解散日までの期間を1事業年度とみなして、その期間にかかる解散確定申告書を解散日の翌日から2か月以内に管轄税務署、都道府県税事務所、市町村役場(以下、同様)へ提出し、申告税額を納付しなければなりません。

特別な事情により決算が確定しないような場合には、申請により申告期限を1か月延長してもらうことができます。

【参考】申告期限の延長の特例の申請/国税庁

清算中事業年度の確定申告

解散日の翌日から1年ごとに区切られた期間を1事業年度とみなして、清算事業年度の確定申告書をそれぞれの事業年度終了の日の翌日から2か月以内に税務署などへ提出し、申告税額を納付しなければなりません。こちらも上記の申告期限延長の特例が適用されます。

残余財産確定事業年度の確定申告

残余財産確定日の属する事業年度について、残余財産確定事業年度の確定申告書を残余財産確定日から1月以内(その期間内に残余財産の最後の分配が行われる場合には、その行われる日の前日まで)に税務署などへ提出し、申告税額を納付しなければなりません。この申告については、上記の申告期限延長の特例は適用されません。

社会保険・労働保険の廃止手続き

廃業する場合には、社会保険を廃止する手続きも必要になります。

社会保険の手続きである健康保険と厚生年金保険については、従業員の退職の日から原則として5日以内に所轄年金事務所へ「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」と「健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届」を提出する必要があります。(従業員の退職日が個別に異なる場合には、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」は原則としてその都度、提出が必要になります。以下、雇用保険に関しても同様です。)

労働保険の手続きである雇用保険については、従業員の退職の日から原則として10日以内に所轄ハローワークへ「雇用保険被保険者資格喪失届」、「雇用保険被保険者離職証明書」、「雇用保険適用事業所廃止届」を提出する必要があります。また、概算で納付済である労働保険料を精算する必要があるため、「労働保険確定保険料申告書」を廃業から(従業員がいなくなってから)原則として50日以内に所轄労働基準監督署(都道府県労働局、日本銀行(代理店を含む)でも可)へ提出する必要があります。もし、確定保険料の額が概算保険料の額よりも多い場合には差額を納付しなければなりませんし、逆に確定保険料の額が少ない場合には、所轄労働基準監督署または都道府県労働局へ「労働保険料還付請求書」も提出することになります。

個人事業主の廃業手続き

個人事業主の廃業手続きについてもあわせてご紹介します。ここでは、個人事業主が廃業するにあたっての税務署、都道府県税事務所、市町村役場への届け出について説明します。

個人事業主が従業員を雇用して社会保険・労働保険に加入している場合には、会社が廃業するときと同様の手続きが必要であり、確定申告についてもこれまでどおりの条件で行う必要があります。

税務署への届け出

税務署には次の届け出が必要です。

個人事業の開業・廃業等届出書

廃業する個人事業主が必ず提出しなければならないもので、事業の廃止の事実があった日から1か月以内に提出しなければなりません。

消費税の事業廃止届出書

消費税課税事業者(前々年の売上が1,000万円を超えているなど)である場合に、事業の廃止から速やかに提出しなければなりません。

給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

従業員や事業専従者(個人事業主と生計を一にする配偶者など)に対して給与を支給している場合に、事業の廃止の事実があった日から1か月以内に提出しなければなりません。

所得税の青色申告の取りやめ届出書

青色申告者である場合に、青色申告を取りやめようとする年の翌年3月15日までに提出しなければなりません。なお青色申告とは、申告に手間がかかるものの、課税所得の控除を受けられるなどメリットがあるものです。この適用を受けるためには事前に届け出が必要です。

都道府県税事務所・市町村役場への届け出

都道府県税事務所や市町村役場にも届け出が必要ですが、各自治体によって様式や提出期限も異なりますので注意が必要です。例えば、東京都であれば「事業の廃止の日から10日以内」、大阪府であれば、「事実の発生した日から遅滞なく」とされています。

【参考】事業を始めたとき・廃止したとき/東京都主税局
【参考】個人の事業開始等の申告[開業、変更、廃止]/大阪府

廃業する場合の注意点

先にも説明しましたが、廃業は従業員の仕事を失わせることになり、その事業にかかわる取引先などの多くの関係者にも影響を与えることになりますので、慎重な検討が必要です。

また、廃業するためにはある程度の期間や費用がかかることを認識しておかなければなりませんし、いよいよ廃業するとなった場合には、従業員の再雇用の支援などについての配慮も求められます。

専門家への相談

廃業を決断する前に、税理士などの専門家に直接相談することで、インターネット上の不確かな情報ではなく、最新の法令に基づいた的確なアドバイスを受けることができます。

特に経営状態が悪くないにもかかわらず、後継者がいないという理由で廃業を考えている場合には、親族ではない後継者を検討できるかもしれませんし、会社を他社に売却することで経営者は利益を得られ、従業員の雇用も確保できる可能性があります。

廃業にかかる期間・費用

廃業するために要する期間は、会社の場合には最低でも3か月程度はかかり、清算手続きが長引けば数年を要する可能性もあります。円滑に進めるためにはあらかじめ保有資産や債権、債務などを把握し、綿密な計画を立てることが必要になります。

廃業にかかる費用については、届出だけに関して言えば、会社の場合には会社を解散するための手続きとして登記が必要であり、それだけでも登録免許税として、解散登記と清算人の選任登記に39,000円、清算結了の登記に2,000円が必要になります。その他にも官報公告にかかる費用として30,000円以上、これらを税理士などの専門家に依頼する場合には別途10万円前後の費用がかかります。

その他にも事業を整理するためには、債務の弁済などが必要であるため、これらを負担しなければならないものであることを十分に理解しておく必要があります。

従業員への説明・支援

事業を決断した場合には、従業員に対してはできるだけ早期に、どういう状況で廃業するにいたったのか、いつ解雇するのかなどの丁寧な説明を行って理解を得る必要があります。

また退職金については、社内規程があるのであれば会社を清算しつつも必ず確保しておく必要がありますし、従業員の再就職先についても、可能な限り取引先やその他関係者に打診するなど、解雇後の従業員についての支援も求められます。

まとめ

  • 廃業とは、会社(経営者)あるいは個人事業主がその理由にかかわらず自主的に事業を辞めることである。
  • 企業が廃業する理由として、最も多いのは、経営者の高齢化などであり、廃業する企業の約半数は経営的には黒字である。
  • 廃業を決断するにあたり、従業員や関係者への影響なども考え、事業承継などその他の方法を選択することで、事業を継続することができないのかを十分に検討すべきである。
  • 廃業が決定すれば、従業員に対しては可能な限り早期に説明して理解を得なければならず、解雇後の雇用支援なども望まれる。

<執筆者>
本田 勝志 社会保険労務士

関西大学 経済学部 経済学科 卒業。1996年10月 文部省(現文部科学省)入省。退職後、2010年に社会保険労務士試験に合格。社会保険労務士事務所などでの勤務経験を経て、現在は特定企業における労務管理等を担当。


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