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2019年3月28日(木)更新

経営力向上計画

2016年7月1日に施行された中小企業等経営強化法の目玉と言われている経営力向上計画。経営力向上計画を作成し、中小企業庁に認定を受けると、固定資産税の軽減措置や資金繰りの支援などを受けられます。本記事では、経営向上計画とは何か、申請に必要な書類や申請方法などを詳しく解説していきます。

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経営力向上計画とは?

経営力向上計画とは、人材育成やコスト管理、IT活用や生産性向上のための設備投資といった、事業者の経営力を向上させるための取組内容を記載した事業計画のことです。

経営力向上計画の対象となるのは中小企業のみ。資本金10億円以下、従業員2,000人以下のどちらかを満たしていれば個人・法人問わず対象となります。事業計画を作成し国の認定を受けることで、中小企業等経営強化法に基づき、「本業の成長」につながるさまざまな支援を受けることができるのです。

国に中小企業の生産性を向上させ、「本業の成長」を後押しするという強い意欲があることもあり、経営力向上計画の作成は難しくはありません。提出書類は2種類で、わずか数ページ。作成にあたっては、商工会・商工会議所や地域の金融機関といった経営革新等支援機関から計画策定の支援を受けることも可能です。

【出典】関東信越厚生局:経営力向上計画に関する業務

経営力向上計画に認定されると税制優遇などのメリットがある

経営力向上計画作成し国の認定を受けることで得られる支援は、税制措置と金融支援に大別されます。 しかし近年では、このほかにも経営力向上計画の認定を受けていることで、「ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金)」や「IT導入補助金」などの加点対象となるなど、得られる支援措置は幅広いです。

税制措置

固定資産税や法人税の優遇措置を受けられます。

  • 経営力向上計画に基づき取得した一定の設備について、固定資産税が3年間半分になる
  • 法人税等の特例措置については、中小企業経営強化税制に基づき、即時償却または取得原価の10%の税額控除のどちらかを選択します。

【参考】中小企業庁:税制措置 ・ 金融支援活用の手引き

金融支援

好条件で融資を受けられるなど、資金繰り面で有利な措置があります。

  • 日本政策金融公庫や商工中金による低利融資を受けられる
  • (信用保証協会付きの風刺を受ける場合)信用保証の別枠化や保証枠自体の拡大
  • 中小企業投資育成株式会社法の対象外であっても、特例で投資を受けられる
  • 中小企業基盤整備機構による債務保証

【参考】中小企業庁:税制措置 ・ 金融支援活用の手引き

補助金における加点措置

平成29年度補正で公募された以下の補助金は、経営力向上計画の認定を受けていることが補助金申請時の加点対象となりました。

  • ものづくり補助金
  • IT導入補助金
  • 小規模事業者持続化補助金

比較的採択されやすいこうした補助金では、競争が激化しており経営力向上計画の認定は必須事項ともいえる状況になっています。平成31年度以降に公募される補助金でも同様に、経営力向上計画の認定が加点対象になると予想されています。

経営力向上計画に必要な認定書類

それでは、具体的にどのような書類を使って計画を作成すればよいのでしょうか。必要な書類をまとめました。

「経営力向上計画策定の手引き」も参考にしながら、必要な個所を埋めていきましょう。

【参考】中小企業庁:経営力向上計画策定の手引き

経営力向上計画認定申請書

経営力向上計画を作成するためには、経済産業省のホームページから「経営力向上計画認定申請書」をダウンロードする必要があります。

様式1と様式2に分かれていますが、様式2は事業譲渡に係る不動産取得税の軽減措置を希望する場合に使います。通常は様式1を使えばよいでしょう。

下記URLから申請書をダウンロードできるほか、業種別の記入例も確認できます。あわせて参考にしてみてください。
中小企業庁:申請書様式類

ここからは、経営力向上計画認定申請書に記入する上での注意点について解説していきます。

事業分野と事業分野別指針名

「事業分野」欄は、計画を実行する事業がもっとも近い事業分野を、日本標準産業分類を確認のうえ、中分類(2桁)コードと細分類(4桁)コード、およびそれぞれの項目名を記載します。

日本標準産業分類は下記URLから確認できます。
総務省:本標準産業分類

「事業分野別指針名」欄は、経済産業省が定める事業分野別指針を記入します。

事業分野別指針は下記URLから確認できます。
中小企業庁:事業分野別指針及び基本方針

現状認識

「自社の事業概要」には、自社が展開している事業の概要を記載してください。事業分野 別指針において、規模別に取組内容や取組の数が指定されている場合には、自社の事業規模も記入するようにしましょう。

「自社の商品・サービスが対象とする顧客・市場の動向、競合の動向」には、自社が置かれている外部環境を記入します。基本的にはマクロ的な経済的・政治的情勢から、ミクロ的な競合情報やその商品が置かれている状況を、機会と脅威を意識しながら記入すればよいでしょう。

「自社の経営状況」には、財務状況のほか、人事・生産・営業などの部門別の状況を、強みと弱みの視点から記入します。

経営力向上の目標及び経営力向上による経営の向上の程度を示す指標

事業分野別指針で定められた指標がある場合には、各事業分野別指針で定められた指標を使って経営力向上の目標値を設定していきます。

労働生産性であれば、どの業種であっても事業分野別指針で指定されているため、もっとも無難であるといえます。こうした点を考慮に入れて最適な指標を使ってください。

労働生産性を使う場合は、現状の労働生産性と、計画終了時に目標とする労働生産性、およびその伸び率を記入します。最低でも労働生産性の伸び率1%以上になるよう目標値を設定してください。

労働生産性の計算式は以下の通りです。

労働生産性=(営業利益+人件費+減価償却費)/労働投入量

なお、労働投入量は、労働者数もしくは 労働者数×一人あたり年間就業時間 、のどちらかを使います。正社員が多い場合は前者、非正規雇用社員が多い場合は後者を使うとよいでしょう。

経営力向上の内容

「現に有する経営資源を利用する取組」か「他の事業者から取得した又は提供された経営資源を利用する取組」の少なくともどちらか一方を「有」としたうえで、具体的な実施事項を記入していきます。

「事業分野別指針の該当箇所」欄は、事業分野別指針の該当箇所を記載します。ただし、基本方針に基づいて計画策定する場合は、この欄に記入する必要はありません。そのうえで、「実施事項」欄に具体的な取組内容を記入していきます。ここでは、実現性が高く具体的であることが求められます。

事業承継をすることによりおこなう取組の場合は、「事業承継等の種類」欄に吸収合併や株式交換といった事業承継の形態を記入します。

新事業活動(新商品の開発又は生産、新役務の開発又は提供など)となる場合は、「新事業活動への該非」欄に〇を記入します。

経営力向上計画を実施するために必要な資金の額及びその調達方法

「使途・用途」欄に資金の使い道を記載したうえで、「資金調達方法」欄に自己資金・融資・補助金の区別を記入し、「金額(千円)」欄に金額を記入します。

経営力向上設備等の種類

計画にあたって必要となる設備投資のうち、税制措置を活用するものについて記入していきます。

「利用を想定している支援措置」欄で想定している税優遇措置を選択し、設備の名称と設備の設置予定箇所を記入してください。 そのうえで、計画に必要となる設備を、「機械設備」「ソフトウェア」「器具備品」といった種別ごとに集計して記入します。

「証明書等の文書番号等」欄には、工業会などの証明書の整理番号などを記入してください。

経営力向上計画チェックシート

経営力向上計画認定申請書に添えて提出する必要があるチェックシートです。最終的に提出する前にチェックするのではなく、必ず申請書に記入する前の一番初めの段階で確認してください。

具体的にどのような点に注意しながら申請書に記入する必要があるのかを把握できます。そのうえで、提出する前に再度チェックシートをみながら抜け漏れの有無を確認しましょう。

中小企業等経営強化法に基づく支援措置を受けるための書類

経営力向上計画の申請だけであれば、「経営力向上計画認定申請書」と「経営力向上計画チェックシート」のみの提出となります。

しかし、中小企業等経営強化法に基づいて、設備投資について税制措置を受ける場合や事業承継等について支援措置を受ける場合、以下のような書類もあわせて準備する必要があります。

固定資産税の軽減措置および、中小企業経営強化税制A類型の税制措置を受ける場合

「工業会による証明書(写し)」が必要です。導入する設備がファイナンスリース取引であって、リース会社が固定資産税を納付する場合、「リース見積書(写し)」と「リース事業協会が確認した軽減額計算書(写し)」も必要となります。

中小企業経営強化税制B類型の税制措置を受ける場合

以下の書類をあわせて準備してください。

  • 投資計画の確認申請書(写し)
  • 経済産業局の確認書(写し)

事業承継等について支援措置を受ける場合

以下の書類をあわせて準備してください。

  • 事業承継等に係る契約書(又はそのドラフト)
  • 事業承継等に係る誓約書
  • 被承継者が特定許認可等を受けていることを証する書面

【参考】中小企業庁:中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き

経営力向上計画の申請~認定までの流れ

中小企業等経営強化法に基づき、さまざまな支援を受けることに繋がる経営力向上計画。ここでは、申請から認定までの手続きの流れを具体的に説明していきます。

STEP1:利用したい制度の内容や対象になるかを確認

利用したい制度から、自社が対象となるのかどうか確認していきます。ここで注意しなければならないのが、利用したい制度によって中小企業の定義が異なることです。

経営力向上計画の場合、資本金10億円以下、従業員数2,000人以下のどちらかを満たすことが条件です。しかし、中小企業経営強化税制を活用する場合は、資本金もしくは出資金の額が1億円以下の法人といった条件を満たす必要があります。 利用したい制度によって異なるため、自社が対象となるのか十分に確認してください。

【出典】中小企業庁:経営力向上計画策定の手引きより抜粋

STEP2:経営力向上計画の策定・必要書類の作成

経営力向上計画の認定を受けるために必要な書類を作成します。経営力向上計画の認定を受けるだけであれば、「経営力向上計画認定申請書」と「経営力向上計画チェックシート」を作成します。

しかし、受けたい支援措置によって必要となる書類は異なります。利用したい制度で求められる申請書類は十分に確認するようにしてください。

なお、設備投資について税制措置を受ける場合や事業承継等について支援措置を受ける場合であれば、「中小企業等経営強化法に基づく支援措置を受けるための書類」ですでに説明していますのであわせて確認ください。

STEP3:経営力向上計画の申請・認定

作成した申請書類を提出します。事業分野ごとに提出先が異なるため、事前に提出先を確認し間違いがないよう提出してください。

【参考】中小企業庁:環境省所管事業分野の経営力向上計画提出先が変わります

STEP4:経営力向上計画の開始・実行

経営力向上計画を実行に移します。このとき、金融支援を受ける場合は、金融機関に相談をしてください。

また、設備の追加取得等で経営力向上計画に変更が生じた場合は、変更申請が必要となります。必要となる書類は下記からダウンロードしてください。
中小企業庁:申請書様式類

まとめ

  • 経営力向上計画は、中小企業等経営強化法に基づく支援措置を受けるために必要となる計画です。
  • 経営力向上計画の認定を受けると、税制措置と金融支援、補助金申請への加点措置といったさまざまな支援を受けられます。
  • 経営力向上計画の認定に必要な書類は、経営力向上計画認定申請書と経営力向上計画チェックシートです。
  • 中小企業等経営強化法に基づく支援措置を受けるためには、経営力向上計画の認定に加えて、利用したい制度が求める書類や条件に応じる必要があります。

<執筆者>
香川 大輔 中小企業診断士

千葉大学工学部卒業。ベンチャー企業における営業、企画、マーケティング業務を経て、富士ゼロックス関連会社でシステム提案営業に従事。

2015年、中小企業診断士登録。現在では独立し、地域に密着した経営支援や新規事業コンサルティングに加え、セミナー活動や執筆活動など幅広く活動している。


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