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2018年11月28日(水)更新

キャッシュ・フロー計算書

財務三表の1つであるキャッシュ・フロー計算書。「キャッシュフロー経営」という言葉にも表れているように、会社の経営状況の把握においては、利益だけでなく実際の資金(キャッシュ)の動きを注視しておくことが非常に重要です。キャッシュフロー計算書を見れば、営業・投資・財務それぞれの企業活動によって、どのようにキャッシュが増減したかがわかります。この記事ではキャッシュフロー計算書とは何なのか、その重要性に触れつつ、読む際のポイントや作り方まで分かりやすく解説します。

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キャッシュフロー計算書とは

キャッシュフロー計算書(Cash Flow Statement、C/S)とは、会社の一会計期間の現金=キャッシュの動きを示した決算書類の1つです。言い換えると、期首にいくらのキャッシュがあって(期首残高)、期中にどんな増減が起こって(期中増減額)、期末にどれだけのキャッシュが残っているか(期末残高)を、一目で判断できるのがキャッシュフロー計算書です。

同じく決算書類(財務諸表)である「損益計算書(Profit and Loss Statement、P/L)」、「貸借対照表(Balance Sheet、B/S)」と合わせて、財務三表と呼ばれます。

財務三表のそれぞれの役割は次の通りです。

  • 損益計算書(P/L) :期末日の財政状態(どこから資金を調達し、何に使ったか)を示す
  • 貸借対照表(B/S) :期中の利益(収益-費用)を示す
  • キャッシュフロー計算書(C/S) :期中のキャッシュの増減を示す

【関連】財務諸表とは?構成や読み方、分析方法まで基礎知識を徹底解説/BizHint

キャッシュフロー計算書の作成義務

上場企業はキャッシュフロー計算書の作成が義務付けられています。一方、非上場の中小企業はその義務がありません。ですが、資金繰りを把握するためには、中小企業であってもキャッシュフロー計算書を見る必要があります。

キャッシュフロー計算書の重要性。黒字倒産はなぜ起きる?

会社の利益状況、つまり赤字か黒字かの判断は損益計算書から行えます。では、なぜキャッシュフロー計算書が必要なのでしょうか。

それは会計上、損益計算が実際のお金の流れとは連動していないことが関係しています。会社間の取引では一般的に「掛取引」がなされており、売上(=収益)が計上されるタイミングと、実際に代金(=収入)が入ってくるタイミングが異なります。売掛金・買掛金取引においては、収益・費用の発生の後に実際の資金の動き(収入・支出)が発生します。

そのため、たとえ損益計算書上の利益が黒字であっても、結果的にキャッシュが足りず債務を返済できない事態に陥る危険があるのです。黒字倒産が起こってしまうのは、こうした「勘定合って銭合わず」と呼ばれる状況が原因です。

こうしたリスクを避けるため、実際の資金の動きを見られるキャッシュフロー計算書が重要なのです。なお、利益よりもキャッシュフローを重要視することを「キャッシュフロー経営」と呼んでいます。

キャッシュフロー計算書の3構造(営業・投資・財務)

キャッシュフロー計算書は、次の3つの構造に分かれています。

  • 営業活動によるキャッシュフロー
  • 投資活動によるキャッシュフロー
  • 財務活動によるキャッシュフロー

企業の活動は「資金を調達する→投資する→利益を創出する」という3つのサイクルで成り立っており、それぞれに対応する形でキャッシュフローも分かれています。

各キャッシュフローの詳細については、読み方とあわせて次項で解説します。

キャッシュフロー計算書の読み方

先述の通り、キャッシュフロー計算書は営業・投資・財務の3つの活動に分かれています。それぞれのキャッシュフローがどのような状態であれば、経営状態が良いと言えるのでしょうか。

次の2つ企業A・Bのキャッシュフロー計算書を比較しつつ、解説していきます。

両企業とも、当期のキャッシュ増減を示す「Ⅳ 現金及び現金同等物の増減額」は「60」で同じですが、それぞれのキャッシュフローの内容が異なっています。

営業キャッシュフロー

キャッシュフロー計算書を読む上で、最も重要なのか営業キャッシュフローです。営業キャッシュフローは、商品の販売やサービスの提供など、本業である営業活動から獲得したキャッシュ量を示しています。

営業キャッシュフローがプラス:本業でキャッシュを創出している

つまり、営業キャッシュフローがプラスであれば、企業が本業でキャッシュを生み出していることを表しています。プラスが大きければ大きいほど、企業の営業活動が優秀であり、逆にマイナスであれば、本業による資金創出力に問題ありとなります。

企業A・Bのそれぞれの営業キャッシュフローを比較すると、両方とも正の値でありキャッシュを作り出せていることがわかります。ただし、企業Aは「295」であるのに対し、企業Bは「40」なので、企業Aの方が優れていると読み取れます。

営業キャッシュフローには、税金等調整前当期純利益や売上債権・仕入債務の増減、利息及び配当の受取額などが含まれます。営業キャッシュフローを改善するには、当期の業績である利益を上げることに加えて、仕入代金の支払サイトを伸ばす等、取引条件を改善していくことが必要です。

直接法と間接法

営業キャッシュフローの記載方法には、直接法と間接法と2通りありますが、主流となっているのは間接法です。この記事内の営業キャッシュフローも、間接法で表示しています。

  • 直接法 :商品の販売など主要な取引ごとに総額で表示する方法。個々の項目ごとの収入と支出が分かりやすい点が長所
  • 間接法 :純利益に損益項目を加減して表示する方法。利益と営業キャッシュフローとの関係が明示される点が長所

投資キャッシュフロー

投資キャッシュフローは、将来の利益獲得につながる設備投資や事業買収など、投資活動によるキャッシュの増減を示しています。

投資キャッシュフローがマイナス:投資先がある

投資キャッシュフローも同様に、プラスであれば良好と読むのかというと、そう単純ではありません。

投資キャッシュフローがプラスの場合、魅力的な投資先を見つけられていないか、投資戦略の変更・中止によって資金の回収が行われたと読み取れるのです。逆にマイナスであれば、戦略的な投資先があって、将来の資金創出の向上を目的に積極的に投資を行っていると言えます。

企業A・Bの投資キャッシュフローは、Aが「△115」でマイナスであるのに対して、Bは「10」とプラスです。企業Aは積極的に将来のための投資を行っている一方、企業Bは投資先がないのか、投資戦略の見直しを行っていると推測できます。

投資キャッシュフローには、固定資産の取得・売却の他に、有価証券の取得・売却などが含まれています。

フリーキャッシュフロー

また、営業キャッシュフローと投資キャッシュフローを合計したものを「フリーキャッシュフロー」といい、重要な指標となります。

フリーキャッシュフローは、会社が営業活動から稼いだキャッシュから、投資に回したキャッシュを差し引いて残ったキャッシュです。つまり、企業継続のために不可欠な資金支出を除いて、経営者が自由に使える資金余力がどれだけあるのかを表しています。

フリーキャッシュフローがプラス:企業が自由に使える資金がある

フリーキャッシュフローがプラスであれば、新規事業への投資や借入金の返済、自社株の取得、株主への配当に充てることができます。逆に、マイナスの場合、会社の維持のための資金調達(資産売却や資金借入など)が必要です。

企業A・Bのフリーキャッシュフローはそれぞれ「180」・「50」とプラスになっており、フリーな資金があることが読み取れます。ただし、先述の通り、企業Bは投資キャッシュフローがプラスであるため、注視しておくことが必要です。

財務キャッシュフロー

財務キャッシュフローは、営業活動や投資活動を維持するために、どれだけの資金を調達・返済したかを示すものです。

財務キャッシュフローがマイナス:借入金の返済が進んでいる

財務キャッシュフローがプラスの場合、フリーキャッシュフローの不足を外部からの借入などの財務活動で補っていることになります。この状態が続くと、資金の流動性が悪化するため望ましくありません。逆にマイナスの場合には、余剰資金を使って借入金の返済などの財務体質の改善が図られていると読めます。

企業A・Bの財務キャッシュフローを見ると、それぞれ「△120」・「10」です。企業Aは借入金の返済が進んでいる一方、企業Bは資金の返済より調達が上回っている状況だとわかります。

財務キャッシュフローには、借入金の増減の他に、配当金の支払などが含まれます。

キャッシュフロー計算書を読む際は5年分を目安にする

以上のように、最終的なキャッシュの増減額が同じであっても、各キャッシュフローを見ると経営状況が全く異なってきます。キャッシュフロー計算書を読む際は、必ず各キャッシュフローの状態をチェックしましょう。

また、1年分だけでは実態を掴み切れないため、5年分を目安に見るようにすると良いでしょう。

例えば、新規事業に向けて大型の投資を行った年であれば、フリーキャッシュフローはマイナスになりますが、その投資による将来のリターンが見込めるのであれば、問題ないと言えます。

上記の例で見ると、3年目から大きな投資を開始し、5年目にはフリーキャッシュフローがプラス、かつ財務キャッシュフローはマイナスになっていて、良い経営状況に転じていることがわかります。

キャッシュフロー計算書の作り方

最後に、キャッシュフロー計算書の作り方(間接法)を紹介します。

キャッシュフロー計算書を作るために必要なもの

キャッシュフロー計算書を含む財務三表は、企業活動を数表にしたもので密接につながっています。そのため、キャッシュフロー計算書の作成は、前期と当期の貸借対照表、当期の損益計算書があれば簡単に行うことができます。

【出典】 國貞克則(2016)『増補版 財務3表一体理解法』朝日新書.より作成

また、取引があれば、次のようなものも必要です。

  • 固定資産の取得や譲渡に関する資料
  • 有価証券の取得や譲渡に関する資料
  • 新株の発行に関する資料

手順1:P/Lの税金等調整前当期純利益を転記する

まずは、損益計算書の税金等調整前当期純利益の値を、営業キャッシュフローの同部分に転記します。

手順2:B/Sの増減をキャッシュフローに換算する

続いて、前期と当期の貸借対照表を比較して、「現金及び預金」以外の各科目の増減額を算出します。例えば、売掛金の値が「前期末:400」、「当期末:100」の場合、増減額は「300」です。

貸借対照表の各科目の増減額が整理できたら、キャッシュフローへの影響額に換算します。

各科目が資産・負債・純資産のどれに分類されるか、増えたのか減ったのかによって、プラス/マイナスを掛けます。

  • 資産の増加 / 減少:マイナス / プラス
  • 負債・純資産の増加 / 減少:プラス / マイナス

プラス/マイナスに迷ったら、”手元のキャッシュが増えるのか、減るのか”という視点で考えると良いでしょう。

手順3:キャッシュフロー科目に整理する

最後に、キャッシュフロー換算したそれぞれの科目の増減額を、営業・投資・財務それぞれのキャッシュフローに分類して整理します。各キャッシュフローを合計した値が、貸借対照表の「現金及び預金」の増減額と一致すれば完成です。

まとめ

  • キャッシュフロー計算書とは財務諸表の1つで、企業の期中の現金=キャッシュの増減を示している。
  • 黒字倒産に陥らないためにも、実際の資金の動きを読み取ることができるキャッシュフロー計算書はとても重要。
  • キャッシュフロー計算書は営業・投資・財務の3つのキャッシュフローから構成される。また、営業・投資キャッシュフローを合計したものをフリーキャッシュフローといい、企業が自由に使える資金を表す。
  • キャッシュフロー計算書を読むポイントは、各キャッシュフローが正負のどちらになっているかを見ること(一般的に、営業:投資:フリー:財務=+:-:+:-が最も望ましい)。また、単年ではなく5年分程度を見るようにすると良い。
  • キャッシュフロー計算書の作成は、同じく財務三表である「貸借対照表」、「損益計算書」を元に簡単に行うことができる。

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