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2018年10月24日(水)更新

間接部門

どの企業にも会社の業績(売上・利益)に多大な貢献をもたらす「花形」と呼ばれる部署や職種があります。しかし、それらの成果は直接部門を陰から支える間接部門があってこそ、初めて実現できます。今回は企業の屋台骨である間接部門の役割や直接部門との違い、役割、現在の実態から今後の課題までご紹介いたします。

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間接部門とは

主にコーポレイト機能と呼ばれる間接部門は、企業の屋台骨として知られています。間接部門の意味や直接部門との違い、また間接部門へのさまざまな意見をご紹介いたします。

間接部門の意味

間接部門とは、会社の業績(売上・利益)に結びつく業務を担当する直接部門(製造や開発、営業・販売など)を支援する部門を指します。主に人事や総務、経理、情報システム部門など、コーポレイト機能を担う部署が該当します。バックオフィスとも呼ばれ、企業のあらゆる業務支援を担っていることが特徴です。また、間接業務は定期的な業務(給与計算や事務処理)も多く、外部会社にアウトソーシングしやすく、業務の効率化や品質向上施策の対象になりやすい傾向があります。

目標や評価基準を数値化しやすい直接部門と比べて、間接部門のそれは曖昧なものになってしまいがちであり、業務自体も会社の業績(売上・利益)に直結するものではないため、直接部門と摩擦生じやすいとされています。

さらに経済のグローバル化が進む中で、グローバル人事の構築が急務となっており、間接部門の集約化が進んでいます。また、イノベーションによる技術革新(AIやクラウドの台頭)やBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)といったアウトソーシングの活用需要の高まりも、間接部門の縮小の要因と考えられます。

そのため、企業には間接部門の生産性・効率性を推進しつつも、直間比率に依存しない目標設定の導入と、経営総務などの「経営」と「間接部門」が一体となった企業改革や業務改善が求められます。

直接部門との違いは?

直接部門とは、会社の業績(売上・利益)に直結する製造や開発、営業・販売などの部門を指します。間接部門は直接部門のように、業務が会社の業績(売上・利益)に直結しないという点に違いがあります。

しかし、営業支援や品質管理といった間接部門の業務が、営業活動の効率化や推進、顧客満足度向上の要因となっていることから、必ずしも会社の業績(売上・利益)に直結していないとは言えません。また、労働環境の整備や新卒・中途採用活動に従事する総務部や人事部も同様に、直接部門が業務に集中できるように貢献していると考えられます。

これらのことから、直接部門も間接部門は、会社の業績を最大化する上で、どちらも必要不可欠の存在と位置付けることができます。

間接部門へのさまざまな意見

直接部門と間接部門は会社の業績(売上・利益)において、直接ないしは間接的に貢献しており、本来、両者を比較することはできません。一方で直接部門と間接部門との間に摩擦が生じているのも事実です。

例えば、間接部門が制定した実情に合わないルールの導入や業績(売上・利益)に直接関係がない業務や煩雑な社内手続きが、現場・経営のスピードを阻害する形式的なものであると指摘する声が挙がっています。また、賞与基準においても直接部門と間接部門に大きな差がないことも、直接部門の不満につながっていると考えられます。さらに間接部門に対する業務の効率化や品質向上は、経営戦略部でも取り上げやすいテーマであり、今後も間接部門の更なる高度化・合理化が推進されると考えられます。

しかし、事業の多角化により、カンパニー制や部分最適が促進される中、企業の全体最適もより重視されるようになっています。そのため、間接部門と経営が一体となった企業改革や業務改善が必要とされています。

間接部門の役割とは

人事、総務、経理、法務、情報システムなどの間接部門は、企業を支える基盤となる部門です。それぞれには明確な役割が存在しており、企業の業績(売上・利益)にも大きく貢献していると考えられます。

人事・総務・経理・法務・情報システムの役割とは

間接部門の代表的な部門として、人事部門、総務部門、経理部門、法務部門、情報システム部門が挙げられます。それぞれの部門は企業経営に必要不可欠な役割を担っています。

人事部門の役割

人事部門では、重要な経営資源のひとつである「ヒト」に関わる業務全般を担当します。新卒・中途採用、人事異動、昇進・退職などの諸手続き、給与待遇や人事評価の管理、労務管理、さらには毎月の給与計算に加え、職級に応じた社員研修、人事・評価制度の策定など多岐に渡ります。

また、経済がグローバル化する中で、ダイバーシティが広がり、全世界共通の人事・評価制度を採用したグローバル人事への移行などの重要なミッションも担うようになりました。

アウトソーシングの需要が高まる中で、人事部門が扱う高度な専門知識と豊富な経験を必要とする業務も外部会社に委託することが可能になり、企業改革や再構築に関わる機会も増えてきた間接部門でもあります。

総務・法務部門の役割

福利厚生の整備やオフィス備品・建物の管理、個人情報保護や避難訓練などの防災対策、さらには社内イベントや地域交流なども担い、会社が必要とする業務を総合的に扱うのが総務部門の役割です。また、総務部門に含まれる法務は、現在主流となっているM&Aや外部とのアライアンスで必要となる商取引、契約書の作成などを担います。 長時間労働過労死などの労災問題や企業トラブルなどの対応の他、知的財産権関連の問題への対応などの需要も高まっています。

総務部門は従業員が快適に働ける労働環境の構築に欠かせない部門であり、「働き方改革」が叫ばれる現在において、経営的な視点と現場の視点のバランスを重視する経営と一体となった総務の在り方が注目を集めています。

経理部門の役割

「経理業務」、「会計業務」、「財務業務」の3つの役割を担う経理部門は、重要な経営資源であるカネを適切に管理する間接部門です。

経理業務は日々の出入金管理から、独立法人として運営するために必要な決算表や財務諸表、賃借対照表などの重要な書類の作成を担います。

財務業務は企業経営に結びつく資金調達や予算編成の他、海外事業の資金調達及び管理、さらに世界規模の金融情報の収集・分析を行なう重要な役割を担っています。

会計業務は企業の収支計算や財産の変動を把握し、決算期に業績の報告を行なう部門です。会計業務は上場企業の場合、自社の株価や株式市場にも大きな影響を与え、会社の信用にも直結する重要な職務です。そのため、社外取締役や監査役の監視のもと、適切な会計報告書を作成しなければいけません。

情報システム部門の役割

IT技術の進展により、パソコンなどのPC機器はもちろん、製造、研究開発、品質管理、営業、販売促進において、情報システムは欠かせない存在となっています。業務別に効率化・品質向上を目的に独自の情報システムを構築する部分最適が進む中、グループ一体経営も採用されるようになり、全体最適を目的とした情報システムの統合や導入も広がっています。そのため、各部門が設置したシステムと新たに導入したシステムとの不整合が起きないためにも情報システム部門の担当者が中心となって、現場の状況を把握し、適切な情報システムの導入と運用を行わなければいけません。

今後、AIやロボット、IoTなどのイノベーションにより、属人化されやすい業務を効率化・品質向上しようとする動きが加速すると考えらえます。これらの企業改革や業務改善においても、情報システム部門は企業に欠かせない重要な間接部門といえます。

企業経営を支える基盤

間接部門である人事や総務・法務、経理、情報システムは、会社の業績(売上・利益)を生み出すためのサポート機能を担っています。経理部門の一つである財務業務がなければ、企業が経済活動を行なうための資金の調達が困難となります。また、締結する契約書の不備や、自社に不利になるような内容がないかをチェックする総務部門の法務が欠かせません。

個人情報の保護やインサイダー取引、コンプライアンスの徹底は、人事が指導する社員教育・研修が必要です。このように、間接部門は企業経営を支える基盤として、位置付けることができ、直接部門同様に重要な組織といえます。

顧客満足度の向上

企業の業績(売上・利益)を高めるには、顧客満足度の向上が欠かせません。近年では、「モノ」の所有や消費する価値観よりも「コト」を体験する価値観が重視される傾向があります。そのため、消費者に提供される製品(商品)・サービスに感動的な体験を生み出す付加価値をつけ、顧客満足度の向上を図らなければいけません。

しかし、いかに優れた付加価値であっても最低限の品質を担保しなければ、顧客からの不信を招き、顧客離れにつながってしまいます。そのため、間接部門である生産管理・品質管理部門は、厳しいチェックやフィードバックを行ないます。仮に直接部門である製造部門と摩擦が生じたとしても、厳しいチェックを行なうことは、顧客の信用を勝ち取る重要な作業といえます。

無駄を省いたコスト削減

間接部門は、業務の無駄や非効率性を見つけ出し、直接部門に改善を促す役割も担っています。生産性向上は、従来必要となる費用をかけずとも同水準、もしくはそれ以上の水準で売上を上げることができます。

さらに削減できたコストは企業の利益にそのままプラスされます。間接部門が提案した製造部門の生産性向上施策(原価率の削減など)が功を奏し、月間200万円のコスト削減を達成できれば、年間2400万円の利益創出となります。これはコスト削減施策を提案した間接部門が生み出した業績に他なりません。

このように、間接部門が提案する無駄を省いたコスト削減の提案は企業の業績に直結するため、直接部門同様に重要な部門であることがわかります。

間接部門の実態とは

企業がより良い経済活動を行なう上で欠かせない間接部門は、直接部門の強みを最大限に引き出すパートナーといえます。しかし、間接部門を取り巻く環境は厳しく、現場では深刻な事態に陥っている実態が報告されています。

直接部門との対立の顕在化

間接部門の実態のひとつが、直接部門との対立です。間接部門が提案するルールや改善施策は、直接部門から見れば、現場の状況を把握していない「机上の空論」と断じることも少なくありません。また、コンプライアンスを遵守するため、直接部門の活動を阻害する間接業務が労働時間を増やし、本来の業務に集中できないと指摘する声も少なくありません。

さらに実情に沿わないルールの導入は、アウトソーシングやシステム導入による効率化された間接部門の存在意義を堅持するため、無理やり仕事を作っていると非難する声まであります。

生産性・評価が見えにくい

間接部門は、定期的な業務が中心のため、労働時間以外には生産性が測りにくいという特徴があります。また、直接、企業の業績(売上・利益)を生み出さないため、加点方式の評価がしにくく、ほとんどの場合がミスの有無や期限遵守の徹底を促す影響力を判断基準とする減点方式が採用されています。そのため、間接部門ではミスや期限遅れを誘発しやすいチャレンジを避ける傾向があります。特に大企業においては、自浄作用が働きにくく、業務改革が行なわれにくいと指摘されています。

また、このような意識になってしまう要因として、日本的慣行のひとつであるジョブローテーションが挙げられます。日本企業の多くはジェネラリストを育成する傾向があります。さまざまな業務を経験させることで、従業員の適材適所の発見や優秀な人材の確保を目的にしています。経理部門の中で、「経理業務→財務業務→会計業務」といった形でジョブローテーションを繰り返すことは、スペシャリストの育成が進まないデメリットを生み出します。そのため、スペシャリストよりも生産性や評価基準が見えにくいと考えられます。

リストラの対象となりやすい

間接部門の業務は、定型的・機械的になりやすい属人化された業務が多く、技術革新やアウトソーシングによって、効率化・高品質化されやすい傾向があります。そのため、従来、人で担って来た業務がなくなり、人員削減につながりやすく、リストラの対象となる可能性が生じます。

しかし、人事部門や総務部門は人材育成や労働環境の構築など機械化できないものも多く、より創造性の高い業務が求められやすいといえます。間接部門もミスをしない、納期を守らせるという古典的な業務ではなく、積極的に企業改革や業務改善が求められる世の中が訪れていることを自覚しなければいけません。

変革の対象となりやすい

ビジネス環境の変化や労働市場の変化、さらには情報システムの活用が進み、間接部門の高度化・合理化する動きが多くなり、多角化経営やグループ経営を行なう企業が増えています。そのため、 アウトソーシングシェアードサービスを活用する企業も増えていきます。

これらの法人向けサービスは人件費など大幅なコスト削減が可能になり、経営資源を有効活用することができます。一方で、間接部門の業務が合理化され、仕事が減ることで、従業員のモチベーションを低下させてしまう要因にもなります。

そのため、企業の経営戦略部は、間接部門の従業員がモチベーションを維持及び向上できるように、変革後の間接部門の運用体制を構築する必要があります。

間接部門の今後の課題

企業を取り巻くビジネス環境の変化や技術革新により、間接部門は新たな局面を迎えています。今後の間接部門の課題の一部をご紹介いたします。

グローバル化による間接部門の縮小

少子高齢化の影響を受け、国内人口が減少する中、海外に活路を見出す日本企業が増えています。その結果、事業の多角化・部分最適が進むことで、組織が肥大化し、非効率性が増しています。そのため、企業はアウトソーシングシェアードサービスを活用し、間接部門の拠点を一箇所に集約化することで、コスト削減と効率性を高めようとしています。

今後もダイバーシティが進み、グローバル人事やグローバル規模のサプライチェーンの構築が求められる動きが広がると予想され、同時に間接部門の縮小も広がると考えられます。

AI技術の台頭

イノベーションによりAIが台頭し、間接部門のあらゆる業務がシステム化され、「いずれ間接部門は消滅する」とさえ指摘する専門家もいます。属人化されやすい間接部門の業務は、効率的にシステム化され、人の手を介さずに運用できると考えられています。その結果、従来の間接部門の役割はAIが担い、経営者や直接部門はスマートフォンやタブレット型コンピューターのみで、情報提供を受けることが可能です。

しかし、AI技術の発達は間接部門にも恩恵をもたらす可能性があります。煩雑だった事務処理や定期的な業務は全てAIが行い、最終的なチェックは間接部門の従業員が行うことができます。その結果、削減した時間を企業経営に向上させる業務にあてることが可能になります。

直間比率に依存しない、定量化された目標設定

間接部門は、生産性や評価が見えにくい部門でもあります。また、間接部門が効率化・合理化する動きが加速する中で、企業の業績のうち、間接部門が占める直間比率はどんどん少なくなっています。そのため、間接部門の目標設定は、直間比率に依存しない、定量化された目標を掲げる必要があります。経費の節減金額やミス・クレームの件数、品質マネジメントシステムの導入による業務の可視化、処理時間の短縮など定量化した具体的な目標を定めることが大切です。

生産性・効率化の推進

間接部門は、業務自体が属人化しやすく、適切な情報共有や業務の標準化が行なわれていないと指摘されています。また、仕事量や進行具合のブラックボックス化、業務管理の不徹底による後追い時間の増加なども問題となっており、間接部門の「業務の見える化」が求められています。属人化しやすい、定期的な業務をシステム化することで、生産性・効率化を推進させ、より創造性の高い業務に従事しなければいけません。

その結果、企業の組織形態が複雑化する中で、経営に参画できる間接部門が求められています。過去の習慣的な業務はシステム化し、余った人材を経営に活かす取り組みが注目されています。

アウトソーシングの積極活用

日本国内のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の市場規模は、2009年の1兆4936億円から2015年には1兆6000億円を超え、今後もアウトソーシングの需要が高まると考えられています。BPOを含むアウトソーシングは、間接部門の人件費の削減にもつながり、経営資源を間接部門のコア事業に集約することができます。現在では、間接部門である人事部門や情報システムなど高度な知識と豊富な経験を必要とする業務もアウトソーシングが可能です。業務別に外部委託する業務を分析し、非コア業務を外部委託することは、現在のビジネストレンドといえます。

また、間接部門の業務は、自由化業務の派遣サービスを利用して、部分的に人件費を削減することもできます。アウトソーシングと派遣サービスを利用することで、間接部門の適切な運用が可能となります。しかし、2015年の労働者派遣法の改正により、自由化業務の派遣制限期間が撤廃されました。自由化業務の派遣スタッフを迎える際は、自社の戦力となるように正当な待遇で迎えることが大切です。

【参考】経済産業省 平成26年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(2)国内BPO市場の規模

まとめ

  • 間接部門は、企業経営や直接部門に欠かせないサポート部門です。さまざまな課題や摩擦が発生しますが、今後は単なるサポート部門ではなく、経営に携わる頼もしい部門になることが予想されます。
  • 現在、間接部門の効率化・合理化を進めつつも、間接部門の優秀な人材を有効活用し、組織活性化を図ることが、経営者の腕の見せ所といえます。

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