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2018年11月12日(月)更新

コングロマリット

競争の激しいグローバル経済において、競合企業に対するM&Aが増えると同時に、異業種の企業を合併・吸収することで、ひとつの事業に依存しないコングロマリット型経営を目指す経営者が増えています。今回は、近年、注目されているコングロマリットの意味やメリット・デメリット、コングロマリットを実現する手法からコングロマリットの企業事例をご紹介いたします。

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コングロマリットとは?

経営を取り巻く環境が不確実性を増している中、異業種の企業を取り込み、経営の安定化や新規参入を目指す企業が増えています。コングロマリットの意味やコングロマリット型M&Aを知ることで、理解を深められます。

コングロマリットの意味

コングロマリットとは、自社が保有していない、または直接関係していない他業種の事業を取得し、多種類の事業を行う複合企業(複合企業体)、または企業グループ(企業集団)を指します。日本においては、インターネット関連企業の金融機関業務やインフラ事業への新規参入がコングロマリットの代表的な事例といえます。

コングロマリット型経営の実施は、迅速に多業種の事業を獲得できるので、早期の 企業価値 の向上や事業間のシナジー効果を目指す企業にとって、有効な手段とされています。また、コングロマリットの経営は知識・ノウハウの取得・共有、間接部門の統合などのメリットが得られます。

近年では、後継者問題により廃業を検討している中小企業が多く、事業承継の供給・需要両方のニーズが増えています。コングロマリットは、大企業だけの特権ではなく、少ない資金でも経営の多角化ができるので、優れた知識・技術を持つ中小企業同士の合併や買収・統合も可能となります。

また、コングロマリットは多種多様な事業を展開することで、中長期的な成長戦略を描きやすいというメリットがあります。同時に短期的な経営戦略には不向きな一面があり、コングロマリット企業を経営する経営者は、自社のコングロマリット・プレミアムと、コングロマリット・ディスカウントを把握しておかなければいけません。

コングロマリット・プレミアムとは?

コングロマリット・プレミアムとは、 他業種の取得により、保有する事業間のシナジー効果が発揮され、企業価値が向上する効果を指します。新規参入による売上・利益の向上や、既存顧客の囲い込み、多様なプロ人材の獲得、経営資源の有効活用などがコングロマリット・プレミアムの代表的な効果といえます。

コングロマリット・ディスカウントとは?

コングロマリット・ディスカウントとは、多業種の獲得により、想定していたシナジー効果が発揮できず、かえって企業価値を低下させてしまう効果を指します。

これは、取得する新たな事業が独立性の高い(金融業やインフラ業などの安定事業)事業となっているため、事業間のシナジー効果が発揮しにくく、事業同士が収益を取り合い、投資家の評価を受けにくい点が原因といわれています。

コングロマリット型M&Aとは?

近年、異業種への新規参入を目的としたコングロマリット型M&Aを実施する企業が増えています。コングロマリット型M&Aとは、新規事業への参入を目的とした、異業種企業の買収・統合を目的とした新たなM&Aの手法のひとつです。

M&Aには、既存事業の強化を図る同業者同士の経営統合を目指す「水平型M&A」と、サプライチェーン・マネジメントの効率化を図る「垂直型M&A」の2種類が一般的でしたが、コングロマリット型M&Aは迅速な事業の多角化を目指す上で、効率の良い経営戦略として注目されています。

しかし、前述でご紹介したとおり、コングロマリットには買収・統合によるコングロマリット・ディスカウントのリスクがあります。そのため、コングロマリット型M&Aを実施する際は、企業の全体最適コーポレート・ガバナンスの強化といった経営基盤の強化が必要です。

【関連】M&Aとは?意味やメリット、成功ポイントから手法・形態までご紹介/BizHint

コングロマリットのメリット・デメリットとは?

コングロマリットという企業形態には、メリットとデメリットが存在します。将来、自社が継続的・安定的な成長を遂げる上でもコングロマリットのメリットとデメリットをしっかりと理解しておくことが大切です。

コングロマリットのメリット

コングロマリットにおける主なメリットには以下が挙げられます。

シナジー効果による企業価値の向上

コングロマリットは、取り扱い商品(製品)・サービスが異なる多業種の事業を持つことで、新技術の知識・ノウハウやグループ企業内での顧客の回遊といった事業間のシナジー効果発揮による企業価値の向上が期待できます。

M&Aは知識・経験・技術を持つ優秀な人材や設備も同時に取得できるため、経営資源の強化にもつながります。また、テクノロジーの発展により、事業間シナジーを発揮しやすくなったこともあり、AI・ロボット、IoTといった新たな成長産業の獲得を目指すコングロマリットも増えています。

変化し続けるグローバル経済では、新たな市場開拓や新規参入はスピード感のある実行が不可欠です。そのため、コングロマリット型M&Aを活用することで、少ない労力と時間で高いシナジー効果を得ることができます。

【関連】「シナジー効果」の意味とは?事例や効果、実現方法から成功ポイントまでご紹介/BizHint

経営におけるリスク分散

現在では、プロダクトライフサイクルの短期化や消費者価値観の多様化、破壊的イノベーションによる異業種からの新規参入が、大量生産・大量消費社会の構築したビジネスモデルを破壊しつつあります。そのため、単体事業のみでの、安定的かつ継続的な成長が困難です。

持株会社を設立し、複数の事業会社を展開(事業の分散)することで、ひとつの事業会社の収益性が悪化したとしても、その他の事業会社の収益でリカバリーが可能なため、財政悪化による経営破綻のリスクを回避できます。

事業再編やM&Aの実施がしやすい

コングロマリットで取り扱う事業は、多業種事業が多いため、それぞれが独立性の高い事業です。そのため、コングロマリット型経営では、持株会社(経営管理会社)を設立し、グループ企業の一員として独立させることが一般的となりつつあります。

経営環境の変化によって、迅速な事業再編やM&Aが実施しやすく、意思決定の遅れによる機会損失の防止や財政悪化リスクも最小限に留められます。

また、間接部門の統合や事業会社の全体最適もしやすく、グループ企業全体での業務効率化や従業員の生産性向上にも期待できます。

コングロマリットのデメリット

コングロマリットにおける主なデメリットには以下が挙げられます。

時価総額の低下リスク

コングロマリット・ディスカウントでもご紹介したとおり、多業種事業が主となるため、ひとつの企業で展開している事業幅の広さから投資家の評価を受けづらい特徴があります。

また、多業種事業で発揮できるシナジー効果も想定以上の効果を見込めない事態も珍しくないため、かえって企業価値を低下させてしまうリスクがあります。企業価値の低下は株価にも大きく影響するため、一時的な時価総額の低下につながり、市場からの資金調達が難しくなってしまう可能性があります。

企業内コミュニケーションの機能不全

コングロマリットが多角化経営を強化するために選択する手法がコングロマリット型M&Aです。コングロマリット型M&Aでは、専門性の高い知識・経験・技術が必要な事業取得が目的となっており、独立性の高い事業といえます。

そのため、専門外である事業会社とのコミュニケーションの機会がなく、 シナジー効果に必要なコミュニケーションや事業部内の情報が会社全体に伝達されにくい環境が生まれてしまいます。

M&A直後は企業風土の違いや評価制度の統合など従業員の不安・不満が高まりやすい時期となるため、M&Aと同時に、適切なPMIの実施が求められます。

コーポレート・ガバナンスの低下

コングロマリット型M&Aでは、事業単体ではなく、企業そのものを買収・統合対象とすることが一般的です。また、取得する事業自体の独立性が高いため、専門的な知識を持たない買収企業が子会社・関連会社の経営を適切に監視・指導できない可能性が高まります。

その結果、コーポレート・ガバナンスの低下を招き、子会社・関連会社での不正会計や品質の低下といった事態を招きやすくなります。これらの事態を防ぐ上でもコーポレート・ガバナンスの強化を図り、グループ全体の健全性を保たなければいけません。

【関連】コーポレート・ガバナンスとは?意味や目的、強化方法をご紹介/BizHint

日本のコングロマリット企業を紹介

従来、巨大企業や外資系企業に多くみられたコングロマリットですが、近年では日本企業の多くが異業種の企業を買収・合併し、多角化経営に乗り出し、成功を収めています。今回はコングロマリットとして活躍する日本企業事例と海外企業事例をご紹介いたします。

楽天株式会社

【参考】楽天株式会社コーポレートサイト/楽天株式会社

日本を代表するインターネット関連企業である楽天株式会社(以下、楽天)では、インターネット通販プラットフォーム「楽天市場」を主力事業としながら、さまざまな業者を手がけるコングロマリットです。

楽天銀行や楽天証券などの金融機関業を主力とするフィンテックグループカンパニーから、楽天データマーケティングや東北楽天ゴールデンイーグルスなどを手がけるメディア&スポーツカンパニーなど幅広い事業を展開しています。

また、Rakuten Global Marketや楽天Kobo、Rakuten VIKIなど海外に向けた事業も展開しており、まさに日本発のグローバル・コングロマリットといえます。楽天では、カンパニー制を採用しており、それぞれの事業が独立した企業体として活動しています。

【参考】楽天の事業・サービス|採用情報 /楽天株式会社

DMM.comグループ

【参考】DMM.com Group

インターネットを通じた、さまざまなWebサービスを展開する、DMM.comグループ(以下、DMM)はグループ業績が2114億円(2018年2月時点)を突破しているコングロマリットのひとつです。

主力である動画配信事業を中心に、現在ではFX・CFDの提供と運営を手掛ける株式会社DMM.com 証券やゲームコンテンツ制作を手掛ける株式会社DMM.com OVERRIDE、商品物流を手掛ける株式会社DMM.com Baseから、社会人向けの私塾「DMMアカデミー」や非大卒向けの人材育成事業など教育分野に至るまで幅広い事業を展開しています。

近年では、最先端技術のひとつであるVRや、ブロックチェーン技術を用いた仮想通貨取引事業や仮想通貨交換業及び金融附帯業などの金融機関業にも進出しています。

【参考】グループ会社概要/DMM.com Group

GMOインターネット株式会社

【参考】GMOインターネット株式会社

インターネットインフラ事業を主力事業として手掛ける、GMOインターネットグループ(以下、GMO)では、インターネット広告・メディア事業などの関連事業の他に、株式取引やFXを手掛けるインターネット金融事業、仮想通貨交換事業や仮想通貨マイニング事業を手掛ける仮想通貨事業を手掛けています。

中でもGMOクリック証券では、業界最安値水準の手数料とスプレッドを採用しており、幅広い個人投資家から支持を受けています。今後もフィンテック事業に特化していくことが予想され、日本の金融業界においても存在感を放つコングロマリットのひとつです。近年、インターネット関連企業において、証券会社や保険会社などの金融商品取引業者を買収し、金融商品取引業に進出する動きが高まっています。

【参考】サービス/GMOインターネット株式会社

株式会社日立製作所

【参考】日立製作所

日本を代表する総合電機企業の株式会社日立製作所(以下、日立)では、IoTプラットフォームを主体に、グループ内の多彩な事業と事業をつなぎ、高いシナジー効果を発揮しています。中でもデジタルソリューション事業では、日立が強みとする「OT(制御技術)×IT(情報技術)×プロダクト(製造業)」を組み合わせ、強力なシナジー効果を発揮したソリューションの提供が可能となっています。

金融デジタルソリューションや、ロボティクス・デジタルソリューションを活用した物流センターの高度化など、ビッグデータ解析、AI、IoTなどそれぞれ異なる最先端技術と、日立のプロダクトの強みをしっかりと連携させている、日本のコングロマリットの成功事例といえます。

【参考】ロボティクス,デジタルソリューション技術を活用した物流センターの高度化:日立評論/日立製作所

【番外編】ゼネラル・エレクトリック(海外のコングロマリット企業)

【参考】会社概要/GE.com Japan

アメリカ合衆国に本社を置く、多国籍コングロマリットであるゼネラル・エレクトロニック(以下、GE)は、世界のエネルギー産業や航空業界、ヘルスケア、そして照明事業など社会インフラ事業を中心とした幅広い事業を展開しています。世界の発明王トーマス・エジソンが創業した、歴史あるコングロマリットでもあり、世界の暮らしを激変させたアメリカを代表する企業です。

一方で、近年ではテクノロジーの発展により、収益性を失った事業も多く、世界規模で事業再編や整理を行ったことでも知られています。コングロマリットでは、事業間のシナジー効果が見込める一方、その独立性の高さからコングロマリット・ディスカウントに陥るケースも少なくありません。

各事業とのシナジー効果を高め、GEが持つ強みを最大限に発揮することが期待されています。

【参考】Business to Business (B2B)/GE.com Japan

コングロマリットを実現するための手法とは?

自社のコングロマリット化には、さまざまな手法が存在します。今回はコングロマリットを実現するための主な手法について、ご紹介いたします。

M&Aアドバイザーの起用

コングロマリット型M&Aに限らず、企業の買収・統合にはM&Aに必要な交渉や作業の他に、デューデリジェンス(DD)PMIの実施が求められます。

一方で、スピード感が求められる現代において、新規事業への参入スピードは、その後の企業価値シナジー効果を向上できるかの大きな鍵となります。そのためにもM&Aに特化したM&Aアドバイザーやコンサルティング会社を仲介し、迅速な買収・統合の実施が望ましいといえます。

M&Aアドバイザーには、経営・財務・法務・会計といった高い専門知識を持つコンサルティング会社や、中小企業を対象とした M&A事業承継専門のM&Aコンサルティング会社が最適です。

CDS(デリバティブ契約)の活用

CDS(Credit default swap:デリバティブ契約)とは、M&Aによる契約対象となる債権の債務不履行のリスクに対して、買収先に一定のプレミアム(保証料)を支払うことで、契約期間中の損失を保証してもらえる仕組みを指すビジネス用語です。

コングロマリットの買収対象は、自社が知識や経験を持っていない企業及び事業となります。そのため、買収におけるリスクを軽減させる上でもCDSは効果的です。経営のリスク分散を目的に、コングロマリットという形態を目指す企業が多いため、CDSは迅速かつ安全なM&Aを実施する上でも有効な債務保証制度のひとつといえます。

スタートアップ企業への投資

現在、次世代の成長産業として注目されている業界が、AIやロボット、自動運転技術といった第4次産業です。ここ日本においても、大企業だけでなく、スタートアップ企業やベンチャー企業もこれらの最先端技術のサービス化に向けた事業を展開しています。また、世界中の複合経営を行っている巨大企業がこうした最先端企業に対して、積極的に資金を投下し、将来の収益源として期待を寄せています。

優れた技術や経験を持つ中小企業でM&A事業承継を実施することも多業種事業の獲得には魅力的です。さらに、将来的な成長事業の獲得という目的で、こうした最先端技術を研究・開発するスタートアップ企業やベンチャー企業に投資することもコングロマリットの実現に効果があります。

まとめ

  • コングロマリットとは、多業種の事業を手掛ける複合企業(複合体、または持株会社グループ)を指し、事業間のシナジー効果を高め、企業価値を上げる経営手法として注目されている。
  • コングロマリットには、 メリット・デメリットの双方があり、短期的にはコングロマリット・ディスカウントとして企業価値を下げてしまうリスクがある。一方で、M&Aを通して、次世代の成長産業の構築や経営リスクの分散など長期的なメリットも多い。
  • コングロマリットの確立は、M&Aアドバイザーの起用やCDSの活用が望ましい。また、中小企業のM&Aだけでなく、スタートアップ企業・ベンチャー企業への投資を通して、多様な事業の獲得を迅速に行える。
  • 近年では、インターネット関連企業による、証券会社や保険会社、銀行が担う金融機関業務への進出が多い傾向にある。

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