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2018年6月24日(日)更新

ケイパビリティ

ケイパビリティ(ケイパビリティ―)とは、人や組織の結束といった内的環境を利益創出のカギとする考え方です。事業の外的環境が激動し、企業淘汰が激化する現代において、組織の内側から強みを増強できるケイパビリティの考え方は決して無視できません。企業の内部環境を向上させていくために欠かせないケイパビリティ。今回は、このケイパビリティの定義とその重要性、そしてケイパビリティを見いだす方法や、それを常に変革させるための「ダイナミック・ケイパビリティ」等について解説します。

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1.ケイパビリティとは

そもそもcapability(ケイパビリティ)とは「(…の)能力、才能/(物のもつ)特性」等の意味を持つ単語です。

そして、ビジネス用語として使われる「ケイパビリティ(ケイパビリティー)」は、ある事業を成し遂げる時の「組織としての能力」や、その組織が持つ独特の強みを指します。ケイパビリティの一例として、スピーディな業務遂行能力や、高い品質の保持能力、効率性の高い商品生産能力などが挙げられます。

昨今の市場の変化や競争の激しい時代においては、人材や組織の結束・連携にといった内的環境を重視して、組織全体で優位性を創出していくことが重要であるといわれています。こうして、ケイパビリティを創出、また高める事で、持続可能な競争優位性の確保・向上が可能となります。

【出典】weblio英和辞典・和英辞典「capability」

ケイパビリティの重要性

現代は、事業の外的環境が目まぐるしく変化する苦難の時代と言えるでしょう。価格競争はますます激化し、技術面の革新も頭打ちに近くなった状況の中で、もはや競争戦略のみで他社に抜きん出ることは困難な時代に突入しつつあります。

このような事業環境の中において、競争に勝ち抜く大きな原動力となるのはケイパビリティを重視した組織づくりです。人材の効果的な配置、部署の連携などを強化した総合的な組織づくりをすることで、リードタイムの短縮・確実な品質保証などといった、オペレーション面での強みを確かなものにしていくことができます。

こういったケイパビリティ・ベースドな組織づくり戦略は、外的環境がどのように変化しても負けることのない「持続的事業」を作り上げるためのカギとなります。

2.ケイパビリティとコアコンピタンスの違い

「ケイパビリティ」と「コアコンピタンス」は、よく混同されがちな概念です。ここで2つの概念の違いについて整理してみましょう。

︎︎コアコンピタンスとは

そもそもコアコンピタンスの「core(コア)」は、「芯・核心・中心核」、そして「competence(コンピタンス)」は、「能力・適正」などの意味を持つ単語です。ビジネスにおいて使われる「コアコンピタンス」は、組織が持つ能力の中でも、競争優位性の高い、中核的な能力の事を指します。

【出典】weblio英和辞典・和英辞典「core」
【出典】weblio英和辞典・和英辞典「competence」

【関連】BizHint HR「コアコンピタンスの意味とは?分析の方法と経営への活用・事例」

組織力︎と技術力

ケイパビリティとコアコンピタンスの違いは、ケイパビリティが「(組織としての総合的な)能力」のことであるのに対し、コアコンピタンスとは、組織がある事業を成し遂げるために必要な「(一定の水準を満たした)能力の核となる部分」である事。

たとえば、ある企業が新製品の開発に成功して販売を開始する時、その製品の開発のカギとなった新技術がコアコンピタンスです。そして、その製品を開発し、製造、品質管理をして流通させるといった組織の連携プレーの能力がケイパビリティなのです。

ケイパビリティは「組織力」、コアコンピタンスは「技術力」であると単純に考えてもよいでしょう。

3.ケイパビリティを創出する方法

それでは、企業はケイパビリティをどのように創出すれば良いのでしょうか。

市場のニーズを読み取る

自社の強みを見いだす前に、まずは自社が置かれている市場について知る事から始めます。その市場において、自社はどのような役割を持ち、そしてどのような成長の可能性があるのかを把握し模索します。

ただし、その市場は常に変化している事を忘れてはいけません。ニーズを見いだした後も、常に観察を続ける必要があります。

差別化が可能な自社の強さを見いだす

市場における役割を把握したら、次に自社の独特の強みを見いだします。他社と比較して、競争力のそれが、競争優位性となり、今後の自社の大きな競争力の源となります。

注意すべきなのは、競合他社と「差別化」できる能力であるかという事。その能力がいくら大きなものであっても、他社が既に持っているものであれば、そこに「競争優位性」は生まれません。

ケイパビリティ・ベースド・ストラテジー

企業は、自社のケイパビリティを見いだすだけではなく、それを最大化して企業戦略に活用する必要があります。ケイパビリティを、市場で競争優位性を保つために戦略に落とし込む事を「ケイパビリティ・ベースド・ストラテジー」と言います。これは、ケイパビリティを設定し、企業運営に活かすためには欠かせない行動であると言えます。

4.ダイナミック・ケイパビリティとは

ケイパビリティを語る上で欠かせないのが「ダイナミック・ケイパビリティ」です。

これは、1997年にアメリカの大学教授であり研究者のデイビット・J・ティース氏らが提唱した経営戦略論で、「すばやく変化する環境に対し、当該企業内外のコンピタンスを統合、再構成する企業の能力」と定義されています。簡潔に言えば、自社の競争優位性を環境変化に合わせて変革する能力、という考え方であり、具体的にはさらに以下の3つの能力に分類されます。

  • 感知…環境の変化の中で、機会や企業を脅かす脅威を感知し活用する能力
  • 捕捉…感知した脅威を避け、機会を活かすための組織の構造やプロセスを再活用する能力
  • 変革…環境の変化に対応するため、保持する経営資源などをマネジメントし変革させる能力

【出典】科学技術情報発信・流通総合システム「ダイナミック・ケイパビリティ1-持続的競争優位の源泉の探求-」

ケイパビリティは陳腐化する

昨今の日本企業は、グローバル化や少子高齢化、情報技術の発展、ダイバーシティの推進など…様々な要因により、激しい環境変化に置かれています。

そのような変動する事業環境の中を持続的に勝ち残っていくため、ケイパビリティを重視した組織づくりは重要です。しかしながら、ケイパビリティそのものも時代の変容の中で陳腐化していく可能性が高いことを忘れてはいけません。時代の変化によって、それまで上手く作用していたケイパビリティがいつの間にか陳腐化し、事業衰退の原因となってしまう場合もあります。

ケイパビリティ陳腐化の事例

全国チェーンの小売店がそれぞれの実店舗ごとに販売戦略を練り、活発に売上を競い合って利益を伸ばしていたとします。

しかし、時代の変容とともに、ネット通販のニーズが実店舗と同等かそれ以上に急増した今、もはやネット通販に参入していない小売事業は、時代に取り残されつつある状況です。この時、この企業の「実店舗ごとに販売戦略を練り、互いに売上を競い合う」というケイパビリティは、全く陳腐化してしまったと言ってよいでしょう。

このように、今まで上手く利益を生み出していたケイパビリティも、外的環境の変化によって知らず知らずのうちに過去のものになってしまう可能性があるのです。

ケイパビリティの革新をためらうな

数年規模の短期的な事業運営ならば、事業環境や消費者のニーズもそうそう変化することはありません。しかし、10年、20年タームの長期的な経営・ビジネスにおいては、外的要因の変化に応じてケイパビリティを革新させていくことも念頭に入れて人事戦略を行うべきです。

先の小売店の事例にように、ケイパビリティの陳腐化は、気づいたときにはもう致命的であるという状況に陥りがちです。 ケイパビリティの陳腐化による事業の弱体化を防ぐためには、以下の点に留意しましょう。

スピーディな人事戦略

ケイパビリティの陳腐化による事業の弱体化を防ぐためには、長期的な変化を見据えたスピーディな人事戦略が必要不可欠です。 人事戦略とは、人事異動を行ってすぐに期待通りの効果をもたらしてくれるものではありません。

各人員の効果的な活用には数ヶ月単位・年単位での時間が必要です。 ダイナミック・ケイパビリティを考える上では、時に「時期尚早なのではないか?」と思われるほどに先進的な人事戦略が必要となることもあります。

変化を受け入れる意識の醸成

スピーディで先進的な人事戦略を進める場合には、従業員たちの組織変革に対する抵抗感がケイパビリティ革新の大きな足かせとなることもあります。

その対策として日頃から、変化をためらわず受け入れる従業員意識の涵養に留意しておくことが大切です。 企業独自のケイパビリティを設定することは、勝ち抜いていくためのカギとなります。

5.まとめ

  • ケイパビリティとは、組織としての結束や連携の能力を示す概念
  • ケイパビリティは「組織力」、コアコンピタンスは「技術力」を意味する。
  • ケイパビリティを創出するには、まず市場のニーズを読み取り、そこに他社と差別化可能な自社の独特の能力を見いだす必要がある。
  • 変化を恐れない組織改革に挑んでいくこと(ダイナミック・ケイパビリティ)が重要。
  • 企業独自のケイパビリティを設定し、変化を恐れない組織改革に挑んでいくことが勝ち残っていくためのカギとなる。

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