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コア・コンピタンス

2020年9月16日(水)更新

コア・コンピタンス(Core competence)とは、「企業の中核となる能力」のことであり、具体的には「バリューチェーン上における特定の技術力や製造能力」のことを指します。長期的かつ安定的な企業成長を実現するためには、自社のコア・コンピタンスの見極めや強化、他分野への応用が欠かせません。当記事では、コア・コンピタンスという言葉の意味や定義、ケイパビリティとの違い、見極めに必要な3つの条件と5つの視点、見極める方法、企業事例などの項目に整理して分かりやすく解説します。

コア・コンピタンスとは

コア・コンピタンス(Core competence)とは、「企業の中核となる能力」を指すビジネス用語です。

そして、競合他社に対して圧倒的な優位性を持つ自社のコア・コンピタンスを見極め、強化を図り、経営戦略に組み込むことで、長期的かつ安定的な企業成長を目指す考え方をコア・コンピタンス経営といいます。

コア・コンピタンスの定義

コア・コンピタンスの提唱者は、ロンドン・ビジネススクール客員教授のゲイリー・ハメル氏と、元ミシガン大学ビジネススクール教授のC・K・プラハラード氏です。

両氏は「ハーバード・ビジネス・レビュー Vol.68(1990年)」へ共同寄稿した「The Core Competence of the Corporation」の中でコア・コンピタンスという概念を提示。「顧客に対して、他社には提供できないような利益もたらすことのできる、企業内部に秘められた独自のスキルや技術の集合体」と定義しました。

コア・コンピタンスの3つの条件

コア・コンピタンスは、以下の3つの条件全てを満たした自社能力です。

  1. 広範かつ多様な市場へ参入可能である
  2. 最終製品が顧客にもたらす価値に貢献している
  3. 模倣することが難しい

現時点で全ての条件を満たすことができていない自社能力であっても、新たな付加価値を生み出して強化することで、コア・コンピタンスへと昇華させることができます。

ケイパビリティとの違い

コア・コンピタンスと混合しやすいビジネス用語にケイパビリティ(Capability)があります。

コア・コンピタンスが「バリューチェーン上における特定の技術力や製造能力」であるのに対し、ケイパビリティは「バリューチェーン全体に及ぶ組織能力」です。「可能な」という意味をもつ「Capable」と「(~することができる)能力」という意味を持つ「Ability」が組み合わさってできているケイパビリティは、「何かを実現し、遂行するために必要な環境や力」と捉えることができます。

ケイパビリティには、コア・コンピタンスのような条件や基準は存在しません。自社にとって何らかの可能性や将来性、未来への見通しを与えてくれるものであるならば、それらは全てケイパビリティと呼ぶことができるでしょう。

【ケイパビリティの一例】

  • スピーディな業務遂行能力
  • 効率的な商品生産体制
  • 高い品質保持能力
  • 海外市場への太いパイプ
  • 群を抜いた情報収集力

【関連】ケイパビリティとは?コアコンピタンスとの違いや重要性、創出法などご紹介 / BizHint

コア・コンピタンスを見極める方法

ここでは、コア・コンピタンスを見極めるための手順や方法について解説します。

自社の強みを洗い出す

最初に行うのが、自社の強みの洗い出しです。このステップでは、自社内に存在する技術やスキルの中から、他社よりも優れていると思われるものを全てリストアップしていきます。

強みの洗い出しには、ブレインストーミングロジックツリーなどのフレームワークを活用しましょう。自由な発想で意見を出し合ったり、製品やサービスを構成する要素を一覧にまとめることで、目立たないけれど重要な役割を持つコンピタンスの見落としを防ぐことができます。

5つの視点で評価を行い、コア・コンピタンスの絞り込みを行う

次に、前のステップで洗い出した強みが、コア・コンピタンスに必要な3つの条件を満たしているかどうか見極めます。

以下の「5つの視点」で評価し、コア・コンピタンスとなりえるものなのか、絞り込みを行っていきましょう。

  1. 模倣可能性(Imitability)
  2. 移動可能性(Transferability)
  3. 代替可能性(Substitutability)
  4. 希少性(Scarcity)
  5. 耐久性(Durability)

そてぞれの項目について、詳しく解説します。

模倣可能性(Imitability)

模倣可能性は、その技術やスキルが競合他社に簡単に真似できるものであるかという視点です。模倣可能性が低いほど、その分野や商品において他社は自社に追いつくことが難しく、大きな競争優位性を得ることができます。

移動可能性(Transferability)

移動可能性は、1種類の製品や分野だけではなく、多くの製品や分野に応用ができ、幅広く展開していくことができるかという視点です。移動可能性が高いほど、その強みに汎用性があることになり、次々に優れた商品やサービスを提供していける事になります。

代替可能性(Substitutability)

代替可能性は、その強みが簡単に他の方法で置き換える事の出来ない唯一無二の存在であるかという視点です。代替可能性が高いほど、その分野における需要が大きくなり、独占的なシェアを獲得することができます。

希少性(Scarcity)

希少性は、その技術やスキルが珍しいものであり、希少価値が存在するかどうかという視点です。希少性は代替可能性や模倣可能性と強い関わりを持ち、各視点で高い評価を得た技術やスキルは、その分野や市場において圧倒的なアドバンテージを有する強い武器に成長する可能性が高いと考えられます。

耐久性(Durability)

耐久性は、その強みが長期に渡って競争優位性を維持する事ができるかどうかという視点です。耐久度が高いほど、コア・コンピタンスの価値が補償され、廃れにくいものとなります。

ITなどの技術の進歩が著しい分野では日々新たな技術や発見が生まれているため耐久性は低くなりがちであり、名声やブランド的価値など大きな変動の少ないものは耐久性が高くなる傾向があります。

定期的に再評価や見直しを行う

市場や周辺環境の変化に伴い、既存のコア・コンピタンスが陳腐化してしまうことがあります。そのため、コア・コンピタンスは確立した後も定期的な再評価や見直しを行い、既存のコア・コンピタンスが陳腐化している場合には、その時代に合ったコア・コンピタンスを早急に確立する必要があります。

既存のコア・コンピタンスの効力が十分に発揮されているかを定期的にチェックし、必要に応じて新たなコア・コンピタンスを確立することで、競合他社に対する圧倒的な優位性を保ち続けることができるでしょう。

コア・コンピタンス経営を実現するために

コア・コンピタンスは必ずしもすぐに確立できるものではありません。現段階において、3つの条件全てを満たす強みが自社に存在しなければ、多くの時間と手間をかけながらコア・コンピタンスへと育て上げることが必要です。

企業にとってお金は血液であり、活動を行う上で欠かすことのできない非常に重要な資源です。そのため、企業経営が不安定な状態に陥ってしまうと、リストラクチャリングやコスト削減などのダウンサイジングにばかり目が行きがちとなってしまいますが、今を乗り切ることばかりを考えていては厳しい現代社会を生き残ることはできません。

コア・コンピタンス経営を実現させている企業は、いずれもこの4つの要素を持ち合わせているといいます。

  1. 未来では現在とは違う競争が行われているかもしれないと考えられる「想像力」
  2. 将来的に発展していくであろう市場機会に気付ける「洞察力」
  3. 社内の士気を高め、社員全体で未来へ突き進むことが出来る「統率力」と「団結力」
  4. 競合他社よりも先に未来へと一番乗りするための「決断力」と「行動力」

多くの顧客に必要とされ続ける企業へと成長するためにも、ダウンサイジングは必要最小限の範囲で行い、長期的な視野を持って積極的な投資を行いましょう。

コア・コンピタンスを活かした企業事例

最後に、コア・コンピタンスを活用することで多くの利益を生み出すことに成功した4つの企業事例を紹介します。

ホンダのエンジン技術

1960年代後半から国内で社会問題化しはじめた自動車の排気ガス問題に対応するため、1970年に制定された大気浄化法改正法(マスキー法)。この法律の厳しすぎる基準に対し、アメリカ企業をはじめとする世界中の自動車メーカーが基準をクリアすることは無理であると主張しました。

そんな中、ホンダ(本田技研工業株式会社、HONDA)の創始者である本田宗一郎氏は技術者を呼び寄せ、「4輪の最後発メーカーであるホンダにとって、他社と技術的に同一ラインに立つ絶好のチャンスである」と熱い激を飛ばしたといいます。先行者有利の自動車市場において大きな遅れをとっていたホンダは、このマスキー法の制定をピンチではなく自社の技術を世の中に知らしめるチャンスだと捉えたのです。

その結果、ホンダはCVCC(Compound Vortex Controlled Combustion)と呼ばれる低公害技術を駆使した新しいエンジンの開発に成功。このエンジン技術を応用し、芝刈り機や除雪機などの小さなものからオートバイや自動車などの大きなものまで多種多様で高性能なエンジンを作れるというコア・コンピタンスを確立しました。

【参考】Honda|語り継ぎたいこと|CVCCエンジン発表/1972


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ソニーの小型化技術

日本で最初にテープレコーダーを販売したソニー(東京通信工業株式会社、SONY)。

「G型」と呼ばれる当時のテープレコーダーは重量が35kgと非常に重く、価格も16万円と高いために家庭用として普及することはありませんでした。

そんなテープレコーダーに対し、大きな変化を生み出すきっかけとなったのがソニー創業者であり当時の社長である井深大氏の「もっと小さくできないか」という口癖。常日頃から繰り返し言い続けていた「もっと小さくできないか」という言葉が社内に浸透した結果、ソニーは小型化技術というコア・コンピタンスを形成することができました。

この小型化技術を活かして開発されたのがウォークマン。わずか390gという軽さが話題となり、またたく間に大ヒット商品となったのです。今や小型化は商品改善の定番となっていますが、その先駆けとなったのは間違い無くソニーであったといえるでしょう。

【参考】7/12 言い続けると、ブランドになる。|ブランディング ナレッジベースSINCE.

シャープの液晶技術

穴がいらないベルトのバックルやシャープペンシルなど、これまで数多くの発明をしてきたシャープ(シャープ株式会社、SHARP)創業者の早川徳次氏。早川徳次氏率いるシャープは「いつでも・どこでも・だれにでも」使える計算機の開発に取り組み、1964年に世界初となるオールトランジスタ・ダイオードの電卓を完成させました。

しかし、その後の技術革新によって電卓の小型化競争が加熱。競合他社との激しい競争に打ち勝つため、シャープが目をつけたのが液晶技術でした。

開発チームの努力によって1973年に液晶の実用化に成功。その液晶技術を使用した電卓やテレビが大ヒットしたことで、「液晶のシャープ」として世界中に名を知られるようになったのです。

【参考】液晶電卓開発物語|液晶の世界:シャープ
【参考】オールトランジスタ電卓「コンペット」
【参考】「目の付けどころがシャープ」な歴史はシャーペンとラジオから始まった|企業の民俗学 - イーアイデムの地元メディア「ジモコロ」

富士フィルムの精密技術、高純度コラーゲン生産技術

富士フィルム(富士フイルム株式会社、FUJIFILM)は、2000年以降のデジタルカメラの普及に伴う市場の変化をいち早く察知し、長年携わってきたフィルム事業を戦略的に縮小。フィルム事業で培った抗酸化に関するノウハウや精密技術、高純度コラーゲン生産技術を最大限に活かすことができ、長期的な需要が見込める医療・ヘルスケア分野に進出しました。

富士フィルムの総力を結集して開発されたスキンケアシリーズ「アスタリフト」は、発売からわずか4年で売上高100億円を突破。その他にも富士フィルムは医療・ヘルスケア分野で多くのソリューションを生み出しており、今ではフィルム事業に代わる新たな収益の柱となっています。

【参考】アスタリフト(ASTALIFT)シリーズ : 富士フイルム|挑人ストーリー|ものづくりの挑人たち
【参考】野中郁次郎の成功の本質 アスタリフト/富士フイルム

まとめ

  • コア・コンピタンスとは、「企業の中核となる能力」のことである
  • 自社のコア・コンピタンスを見極め、強化を図り、経営戦略に組み込むことで長期的かつ安定的な企業成長を目指す考え方をコア・コンピタンス経営という
  • コア・コンピタンスは自社の強みを洗い出し、3つの条件と5つの視点で評価することによって見極めることができる
  • 現時点で3つの条件を全て満たすことができていない自社能力であっても、新たな付加価値を生み出して強化することで、コア・コンピタンスへと昇華させることができる
  • 5~10年後の未来を見据え、長期的な視野をもってコア・コンピタンスの確立に取り組む必要がある

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