経営資源
経営資源とは、企業を経営していく上で役に立つ多様な要素や能力のことです。良質な経営資源をどれだけ確保できるかによって、企業の競争力は決まると言われています。一般的には、ヒト、モノ、カネ、情報が主要な経営資源ですが、近年では知恵や技術なども経営資源に含められ、重要性が注目されるようになっています。ここでは、経営資源の概要から活用方法や蓄積方法までご紹介します。
四大経営資源の分析
まず、主要な経営資源についてご説明します。主要な経営資源は、一般的に以下の4つと言われており、それぞれ密接に関係しています。
- ヒト
- モノ
- カネ
- 情報
それでは、それぞれの詳細について解説します。
1.ヒト
まずヒトとは、社員をはじめとした人材を意味します。商品を作り利益を生み出し、ビジネスを行なっていくためには、ヒトの力が必要不可欠です。
ヒトは、全ての経営資源と関係性が深い要素となっています。近年人的資本の不足が懸念される日本企業にとって、ヒトの確保は非常に大きなテーマです。ヒトの資源は、組織のマネジメントや目標設定などを通して管理され、活用されます。
2.モノ
モノは、製品やサービス、そしてそれらを生み出す設備、機械などを意味します。
企業活動を行なっていくためには、ヒトが扱うことのできるさまざまなモノが必要となります。モノの資源は、経営戦略やマーケティングのフレームワークにあてはめられ、検討や管理が行わることが多いです。
3.カネ
カネは、言葉の通りお金である資金を意味します。
企業が成長するため、人材を採用し育て、設備や機械を買うためには、お金がかかります。カネの資源は、会計や財務の分野が主に担当します。キャッシュフローを通して、管理や活用が行われます。
4.情報
最後に情報は、企業が持っている顧客データやコミュニティとの繋がりなどを意味します。
テクノロジーの進化とともに、ヒトやモノ、カネなどの形のある資源だけでなく、情報という形のない資源の経済価値が高まり、重要視されるようになりました。情報は、知識資産や顧客資本となり、企業の競争力を向上します。情報の資源は、汎用性が高いナレッジマネジメントなどを通して管理され、活用されます。
その他経営資源と考えられるもの
そのほかにも、知識経済となった近年においては、知恵や知識、技術が経営資源と考えられる場合があります。
また、企業が培ってきた独自のノウハウや方法論、組織文化、ブランド力が、企業価値を高める知的資本と見なされています。知識創造の過程を経て、情報の資源と同様に、ナレッジマネジメントなどを通して、管理と活用が行われています。
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最も大切なのは「ヒト」
経営資源の中で最も重要だと言われているのが「ヒト」です。
たとえば「モノ」も、ヒトが扱わなければただの置物になってしまいます。「カネ」や「情報」についても同様です。
つまり、そのほかの経営資源である「モノ・カネ・情報」はすべて、ヒトが関与することで大きな効果を発揮するため、「ヒト」が何よりも大切にすべきなのです。
経営資源の活用
どんなに大きな規模の企業であっても、経営資源のリソースは有限です。企業が成長していく上では、限られた経営資源を適切に活用していくことが求められます。
経営資源を適切に活用するためには、「事業ポートフォリオの最適化」と「市場のターゲティング」を行うことが有効です。
事業ポートフォリオの最適化
事業ポートフォリオとは、企業が行なっている事業の組み合わせのことです。それぞれの事業の収益性や安全性、成長性を一覧できるポートフォリオを作成することで、企業が行なっている事業全体を俯瞰し、事業それぞれのビジネス価値を見極めることができます。価値がわかれば、どの事業にどのような経営資源をどのくらい配分すれば良いかバランスを考えることができます。
収益性や成長性の高い事業に経営資源を集中的に投入すれば、その事業においてイノベーションを起こすことができる可能性が高まります。経営戦略と合わせて経営資源の最適配分を検討することで、経営資源を無駄にすることなく、有効に活用することができます。
市場のターゲティング
市場のターゲティングとは、企業の強みを最も発揮できる市場を見つけることです。企業の強みを発揮できる市場に経営資源を重点的に投入することで、経営資源を有効に活用し、利益を最大限に高められます。
市場をターゲティングするためには、企業の強みを発揮できるかだけでなく、ライバル企業の状況を考慮しながら、収益を上げられるか、企業のミッションやビジョンと整合性があるかを確認することが必要です。特に、ミッションやビジョンとの整合性は大切です。儲けることができる市場であっても、企業の存在意義や目指すべき像と異なっていれば、長期的に経営資源を投入しながら事業を継続することは難しくなります。
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経営資源の蓄積
経営資源は投入するだけでなく、企業の中で蓄積していくことも大切です。企業は様々な経営資源を投入し、製品やサービスを社会に提供しています。製品やサービスを提供するプロセスからは、利益や信用、新たなデータ、ノウハウなどを社会から得ることができ、構造的資本として新たな経営資源を手に入れることができます。
手に入れた経営資源は、従業員の採用や賃金、設備の購入、新たな製品の開発、企業文化の生成などに役立てられます。
このように、経営資源の投入であるインプットと製品やサービスの提供であるアウトプットのサイクルを適切に回していくことで、新たに有益な経営資源が企業に蓄積され、企業の成長につながります。
4. まとめ
- 経営資源は、企業が事業展開する上で利用することができる資源である。基本的な経営資源としては、ヒト・モノ・カネ・情報があげられるが、近年では知的資産である知恵や技術なども経営資源として注目されている。
- 有限である経営資源は、事業ポートフォリオの最適化と市場のターゲティングを行い、投入する箇所を見極めながら、有効に活用していくことが求められる。
- 経営資源は投入だけでなく、蓄積を意識することも大切である。経営資源を投入し製品を社会に提供することで、新たな経営資源として利益や信用、新たなデータなどの獲得と蓄積ができ、企業のさらなる成長につながる。
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