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2018年11月28日(水)更新

原価率

原価率は売上に占める原価の割合のことです。計算方法は簡単で一見単純に見えますが、最も基礎的な経営指標となります。この記事では、飲食店経営に焦点を絞って原価率とその計算方法、原価率改善のポイントなどを解説します。

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原価率とは

原価率とは、飲食店を経営するうえで極めて重要な経営指標で、売上に占める原価の割合です。原価率が把握できれば、飲食店経営において最も基本的な利益である粗利益額を把握できます。

飲食店の場合、この粗利益額から人件費や家賃、チラシなどのプロモーション費用を負担する必要があるため、販売予測ができれば適切な売上目標が設定できるなど、経営戦略を立案しやすくなります。

そのため、飲食店経営において自店の原価率を把握することはとても重要で、そのためには原価が何なのかを把握する必要があります。

原価とは

一般的に原価とは「商品やサービスを生産するために、直接的に必要となる費用」と定義されます。

業種によっては、原価として人件費などを含める場合もありますが、飲食店の場合は原価として食材費のみを考慮に入れればよいでしょう。

このため、飲食店において原価の管理は容易であると考える方もいるかもしれません。しかし、売れ残りや廃棄の発生によって原価が上昇すれば原価率も上昇するため、注意が必要です。

原価を理解するうえでは、原価が変動費であるということも覚えておきましょう。売上が倍になれば原価も倍になるなど、売上と原価は足並みを揃えて動きます。

原価率の計算方法

原価を正確に把握できれば、原価率の計算方法は難しくありません。計算方法は以下になります。

  • 原価率=原価÷売上×100%

それでは、実際に飲食店を例にして原価率を求めてみましょう。

【例題】
あるラーメン屋では、原価率40%を目標にしています。
食材費はラーメン1杯当たり240円かかることが分かっているため、提供価格は600円に設定しました。
営業を開始するとラーメンは1,000杯提供できましたが、廃棄ロスの発生で仕入価格は300,000円かかりました。

このケースで原価率を求める場合、原価率の分母となる売上を把握することから始めます。

売上は単価×販売量で求められるため、 600円×1,000杯=600,000円 です。

次に、原価を算出します。このケースでは原価は仕入価格と同じであるため、 300,000円 です。

従って原価率は、 300,000円÷600,000円×100%=50% となります。

ここで問題になるのは、当初想定していた原価率40%から、廃棄ロスが発生したことで原価率が50%に上がってしまっていることです。

ロス率との関係性

前述の例題では、廃棄ロスが発生したことで原価率が上がっていました。なぜこのようなことが起こるのか、詳しく見ていきましょう。

前述の例題において、仕入はラーメン1杯あたり240円かかることが分かっていました。ラーメン1,000杯を販売すると原価は240,000円かかるはずでしたが、実際には原価は300,000円になりました。

これは、差額である60,000円分の食材費は、消費期限などの問題で廃棄してしまったため、余分に食材費が必要となったためです。

このとき、売上に占める廃棄した食材費の割合をロス率といい、以下のように計算されます。

  • ロス率=廃棄した食材費÷売上×100%

前述の例では、ロス率は 60,000円÷600,000=10% となります。

ここで、もう一度前述の例題に目を通してください。

ラーメン屋が原価率を目標とする原価率を40%に設定しているのであれば、販売価格を決定する際、仕入れる原材料のロス率も考慮にいれなくてはなりません。この例題では【図表1】のように、当初想定した粗利額が360,000円から300,000円に減少してしまいました。

逆に原材料のロス率が分かっていれば、売上の10%が無駄になることを考慮して原価は1杯あたり300円と想定できます。さらに原価が300円であれば、目標原価率40%を達成するための販売価格は750円になります。

原価率を重視する理由

飲食店の経営者が原価率を重視する理由は、適正な販売価格の値付けや売上目標の設定ができるようになれば、確実に粗利額を得ることができようになるためです。

十分な粗利額が確保できれば、人件費や家賃、プロモーション費用を賄うことができるため、どの程度の営業利益を獲得できるかといった予測が立ちます。

ここで重要なのは、値上げは客離れに直結しやすく、飲食店経営の場合は販売価格を後から上げることは難しいことです。

そのため、飲食店経営では予め想定される原価から原価率を把握して、適正な販売価格の値付けをすることがとても重要です。実際には、【図表2】のステップで売上管理のシミュレーションをすることになるでしょう。

飲食店の適正原価率は?

飲食店における適正原価率はどの程度が妥当なのでしょうか。

飲食店経営における適正原価率は「30% 」といわれますが、日本政策金融公庫の中小企業の経営等に関する調査によると、実際には一般飲食店の原価率の平均値は36.8%となっています(原価率は「100%-売上高総利益率」で算出)。なお、黒字かつ自己資本プラス企業平均では原価率は34.5%となっています。

これらを加味すると、適正原価率は30%から35%が妥当であるといえるでしょう。

ただし、適正原価率は業態によって異なり、設備やサービスが充実した高級飲食店では、販売管理費を賄うために原価率は低くなります。逆に販売価格を下げて量を売る飲食店は、原価率は高くなります。

【参考】日本政策金融公庫:業種別経営指標

原価とFLコスト、FLRコストの関係性

飲食店では、原価と並ぶ重要なコストとして「FLコスト」と「FLRコスト」が挙げられます。

「F」はフードドリンクを指し食材費つまり原価のことで、「L」はレイバーで人件費、「R」はレントで家賃を意味ます。

飲食店では、原価(食材費)、人件費、家賃は三大コストと捉えられ、原価だけではなくFLコスト、FLRコストも重要視されるのです。

原価とFLコスト、FLRコストの関係性は【図表3】のように示されます。

売上と原価率の関係性について理解をした上で、原価率だけではなくFLコストやFLRコストも一定の範囲内で抑えることができるよう店舗運営していきます。

なお、FLコストは売上の60%以内に、FLRコストは売上の70%以内にそれぞれ抑える必要があると言われています。

【関連】【飲食店経営に必須】FLコスト・FL比率とは?お店の特徴や活用・改善方法をご紹介 / BizHint

原価率が高くなる原因

ここまでの解説で、原価率が高くなる要因として廃棄ロスを取り上げました。ここでは、廃棄ロス以外に原価率上昇の要因について解説します。

オーバーポーション

オーバーポーションとは、決まった分量より多く盛り付けることです。

オーバーポーションは原価上昇要因になるだけではなく、顧客満足の低下にもつながります。分量のバラツキがあると、量が少なくなったときに顧客は不満を感じるからです。

しかし、いつも決まった一定量の分量の盛り付けを継続することは簡単ではないため、これを回避するためにはレシピを標準化しマニュアル化しておくことが求められます。

仕入れ価格の上昇

飲食店が仕入れる食材費は価格の変動が激しいという側面があり、野菜であれば天候に左右されやすく、肉の場合は家畜伝染病の影響を受けることがあります。また、ワインなどの輸入品であれば為替の影響も考慮が必要です。

こうした影響を予め加味した上で原価を設定し、目標とする原価率を算出する必要があります。

販売価格の値引き

ここでもう一度、原価率の算出式を確認しましょう。 - 原価率=原価÷売上×100%

ここまでは、原価率の上昇を計算式の分子である原価が増加する側面から解説してきましたが、分母の売上は低下するだけでなく上昇することも忘れてはいけません。

ここで問題となるのは、売上を下げて原価を増加させてしまう「値引き」です。原価率を下げるためには、値引きは極力避けるべきといえます。

原価率を改善する方法

たくさんの原価上昇の要因がある中で、どのように原価率を改善すればよいのでしょうか。その方法は、大きく分けて2つに大別されます。それは、「原価を下げること」と「粗利貢献度の高いメニューに見直すこと」です。

原価を下げる方法

原価が高くなる要因で解説してきたように、原価は以下のような要因で増加します。

  • 廃棄ロス
  • オーバーポーション
  • 仕入価格の変動

このうち、廃棄ロスと仕入れ価格の変動への対応は、在庫管理を徹底することで対応することができ、オーバーポーションはオペレーションの改善で対応します。

それぞれ具体的な方法についてみていきましょう。

在庫管理

廃棄ロスを回避するためには、食材費の在庫管理が有効になります。

在庫管理は、今後の販売予測などから、現在ストックしてある食材の量を適正な数に保つことが基本的な管理手法です。

在庫管理ができていれば、原材料の在庫数を容易に把握することもできます。このことは、仕入価格変動への対応にもつながります。

なぜなら、価格高騰が予想される局面で在庫を多めに保持したり、逆に価格低下が予想される局面で在庫を少なくしたり、といった対応策が取りやすくなるためです。

オペレーションの改善

メジャーブランドの飲食店では、マニュアルが整備され、レシピや分量が細かく定められています。

中小の飲食店で細かくマニュアル整備することは、従業員の自由度を奪う事にもつながるため、行き過ぎた対応はお勧めできません。

しかし、オーバーポーションのような初歩的な問題を避けるためにも、最低限のマニュアルや規則を作成し、オペレーション業務の一定の平準化を検討するべきでしょう。

粗利貢献度の高いメニューに見直す方法

原価率を抑える方法として、原価を低減する方法を紹介しましたが、原価率を低減するために、値上げによる売上向上を検討される方もいるでしょう。

しかし、値上げは客離れの危険があり、容易に行うべきではありません。ここでは値上げの代わりに、粗利貢献度の高いメニュー構成に見直す方法について解説します。

粗利貢献度の高い商品でメニューを構成する

飲食店で提供される商品は1種類だけということは少なく、食事のメニューが複数あって飲み物にはソフトドリンクだけではなく酒類も提供されているでしょう。

こうした商品すべての原価率を把握し、原価率が高く売上貢献度も高い商品を中心にメニューブックに改訂していきます。

これにより、飲食店のメニューは利益貢献度の高い筋肉質な商品だけで構成されることになるでしょう。

適正な原価率での運営ポイント

原価率は、日々の店舗運営の中で管理を怠るとすぐに悪化するため、原価率を維持するためには、常に目を向ける必要があります。そのためには、日々の店舗運営の中でどのような対応をとればよいのでしょうか。

プロモーションの充実

適正な原価率を維持するための基本的な対策は、お店の回転率を上げることです。

定期的に顧客が来店し、ほどよく回転すれば当然売上はあがり、廃棄ロスも回避することができます。こうした回転率の原動力となるのがプロモーションです。

プロモーション活動には、看板やメニューブック、チラシといった物理的な販促があります。また、近年ではホームページのほか、SNSも活用した電子的な販促も活発化しています。

両方のプロモーション活動を効果的に活用し、常に顧客が来店する回転率の高い店舗運営を心がけましょう。

適切なタイミングでの原価率をチェックする

原価率は日々の店舗運営の中で、知らず知らずのうちに変動します。

特に飲食店の場合、食材費の変動リスクが高く、いつのまにか原価率が悪化しているという事があり得るため、定期的に原価率をチェックすることが必要です。

可能な場合には毎月、それが難しい場合でも3ヶ月に1回程度は在庫の棚卸しを行って原価チェックを行うとよいでしょう。

同時に、顧客の嗜好の変化によって利益貢献度の高い商品が以前とは異なっている可能性があるため、商品ごとの売上げ状況を把握します。

頻繁にメニューの見直しを行うべきではありませんが、メニューブックは1年に1回程度改編を検討してもよいでしょう。

ITシステムの導入

商品ごとに売上や原価率を把握することは、かなりの手間がかかります。しかし、POSシステムを導入することで、容易に商品ごとの売上・粗利の集計ができるようになります。

POSシステムというと投資額が大きいため躊躇されますが、タブレット端末さえあれば、無料で使えるPOSシステムを提供する会社も増えています。

こうしたシステムを導入すれば、今後の需要増が予想されるキャッシュレスへの対応も容易です。

【参考】株式会社リクルート: 0円でカンタンに使えるPOSレジアプリAirREGI

加えて飲食店の場合、商品のテイクアウトやデリバリーを行っていれば軽減税率対策補助金を使うことができため、対象となる企業は検討してみてもよいでしょう。

【参考】軽減税率対策補助金事務局:軽減税率対策補助金

まとめ

  • 原価率とは売上に占める原価の割合で、飲食店における利益を最大化するためには避けることができない重要な経営指標です。
  • 原価率は原価の増加や値引きにより悪化します。原価増加の要因としては廃棄ロスや仕入価格の変動、オーバーポーションがあります。
  • 在庫管理などを通じた原価の低減や利益貢献度の高いメニュー構成とすることで、原価率を改善することができます。
  • 原価率を維持するためには、適切なプロモーションによる回転率の高い店舗運営や定期的な原価率確認が必要になります。そのためのITツールとしては、タブレットを使ったPOSレジシステムなどが有効です。

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