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2018年11月15日(木)更新

アントレプレナーシップ

企業や組織が安定的に成長していくためには、積極的に新事業に取り組む優秀な人材が必要です。そこで注目されているのが、アントレプレナーシップを有する人材です。今回はアントレプレナーシップの意味や定義、アントレプレナーシップに必要なスキルからアントレプレナーシップ教育までご紹介いたします。

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アントレプレナーシップとは?

ビジネスシーンにおいて、「アントレプレナーシップ」という用語を聞く機会が多くなりました。このアントレプレナーシップは企業家精神、または起業家精神という意味で理解されています。今回は前者の企業家精神について、ご紹介いたします。

アントレプレナーシップの意味とは?

アントレプレナーシップとは、事業創造や新商品開発などに高い創造意欲を持ち、リスクに対しても積極的に挑戦していく姿勢や発想、能力などを指す企業家精神を意味します。この企業家精神は、独立心や達成動機、独創的な発想力が中核となっており、大企業においても企業家精神を持つ人材の需要が高まっています。そのため、経営に深く関わる経営者や幹部候補性に必要な精神、もしくは行動として理解されています。

しかし、アントレプレナーシップは幅広く解釈されており、ベンチャー企業やスタートアップ企業の創業者または起業家が持つ精神、起業家精神と定義されることもあります。米ハーバード・ビジネス・スクールのハワード・スティーブンソン教授は、アントレプレナーシップを「コントロールできる経営資源を超越して、機会を追求する姿勢」と定義付けており、起業家精神として位置付けています。米国などの欧米諸国には起業家精神という意味でのアントレプレナーシップが根付いており、各ビジネススクールは起業家教育に特化したプログラムを採用している傾向にあります。

一方で、企業家精神を意味するアントレプレナーシップは、「業」を「企てる(計画を立てる)」人として定義されており、起業家精神で強調されている「コントロールできる経営資源を超越して、機会を追求する姿勢」も必要としています。また、これ以外にもアントレプレナーシップをさまざまな視点から定義付けている研究者も数多く存在しており、共通した概念を持たない用語としても知られています。

アントレプレナーシップが必要とされる背景とは?

大企業においても、アントレプレナーシップを持つ人材の需要が高まっており、アントレプレナーシップが必要とされる背景は以下の要因が考えられます。

ビジネス創出の需要の高まり

イノベーションによる技術革新や新興国の発展により経済がグローバル化する中で、ビジネス課題はより高度化・複雑化しており、製品ライフサイクルが短期化しています。そのため、 持続的イノベーションを選択しがちな大企業や優良企業においても、新たなビジネスを創出し続ける必要性が生じています。

しかし、新規ベンチャー事業を立ち上げるためには、高い創造意欲を持ち、リスクに対しても積極的に挑戦するアントレプレナーシップを持つ人材が必要です。一方で、企業家精神を持つ人材は新規ベンチャー事業の立ち上げだけでなく、既存事業を含む全ての事業を適切に管理・運営する、最適なビジネスプラン(事業戦略)を立てる人材としても認識されています。

そのため、強力なリーダーシップを持ち、経営の知識をもつ人材の需要も同時に高まっていることから、アントレプレナーシップを有する人材が求められていると考えられます。

日本的慣習が強い雇用制度の崩壊

経済の不確実性が増す中、終身雇用年功序列による評価制度が崩壊しつつあり、企業が全ての従業員の面倒を一生涯担うことが困難となっています。そのため、企業は「指示待ち」人間を評価せず、自発的に経済活動に取り組む人材を評価する方向に舵を切り出しました。

大企業においても成果主義を前提とした役職等級制度の導入が進められていることからも、リスクを怖れず、高い創造意欲を持った人材が求められていると考えられます。

グローバルリーダーの育成

世界規模で興るイノベーションは、人類に恩恵をもたらす一方で、既存企業の競争力を低下させる要因となっています。変化の激しい世界経済において、常識を疑い、新たな価値を見出していく考え方や姿勢であるアントレプレナーシップを持つ人材が必要不可欠です。その結果、多種多様な価値観を理解し、社会ニーズや変化に対して、敏感に反応するグローバルリーダーの需要は年々高まっていることに影響され、アントレプレナーシップを持つ人材の需要も高まっていると考えられます。

【関連】グローバルリーダーとは?言葉の意味や能力、育成に関して解説 / BizHint HR

アントレプレナーシップが持つさまざまな定義とは?

アントレプレナーシップに関する研究は数多く実施されており、その定義もさまざまです。今回は主要なアントレプレナーシップの定義をご紹介いたします。

イノベーションを前提としたアントレプレナーシップ

『イノベーションと企業家精神』の著者であり、オーストリア人の経営学者であるピーター・ドラッカー(以下、ドラッカー)は、「イノベーションを生み出し、それを企業活動へと適応・管理していく力」をアントレプレナーシップと定義付けています。

ドラッカーは、アントレプレナーシップを起業だけに限らず、既存企業や公的機関も対象とした上で、いかに新事業を興すかという視点でアントレプレナーシップを考察しています。企業の管理職の視点から観たイノベーションのマネジメント方法と戦略立案に重きを置いているのが特徴的です。

企業家としてのアントレプレナーシップ

企業家としてのアントレプレナーシップは、個人もしくは組織が、限られた(現状、コントロール下にある)経営資源に捉われずに、機会を追求する姿勢、スキルと定義することができます。この限られた経営資源とは、ヒト、モノ、カネを意味します。経営資源は新たな事業の立ち上げや多角化戦略を行なう上では重要な要素となりますが、必ずしもこれらが必要とも限りません。研究開発部門やマーケティング部門の担当者に顧客の生の声に触れる機会の創出や、小さな組織への権限委譲も、アントレプレナーシップの具体的な姿勢といえます。

このように既存の経営資源という概念に捉われることなく、個人または組織が創意工夫をして、取り組む姿勢こそが企業家としてのアントレプレナーシップと定義することができます。

行動体系としてのアントレプレナーシップ

米バブソン大学では、「機会の発見」、「総合的なアプローチ」、そして「バランスの取れたリーダーシップ」に関わる一連の思考及び行動体系をアントレプレナーシップと定義しています。バブソン大学のミッションステートメントにおいても、「あらゆる経済的、社会的価値を創造するリーダーの育成」を掲げており、ビジョンにおいては「アントレプレナー(起業家)の思考と行動を重視する」と宣言しています。

アントレプレナーシップは、企業家精神、起業家精神ともに精神論として位置付けられることが多いですが、バブソン大学ではひとつの思考・行動体系として位置付け、教育を行っています。近年では、先進的なアントレプレナーシップ教育を行っている教育機関として高い評価を得ており、企業家もしくは起業家を目指す若者が勉学に励んでいます。

【参考】BABSON COLLEGE MISSION STATEMENT

アントレプレナーシップに必要なスキルとは?

企業家精神としてのアントレプレナーシップを発揮するためには、いくつかのスキルが必要です。また、これらのスキルは起業家精神に見られる先天的な才能ではなく、企業内活動において、身につけられるスキルでもあります。

マネジメント・スキル

先にご紹介したピーター・ドラッカー(以下、ドラッカー)は、企業内でイノベーションを興し、それを企業活動へと適応させていく能力をアントレプレナーシップと定義しています。そのため、それらの活動を推進しやすい管理能力や環境の構築が大切となります。

イノベーションを興す手法には、既存の社風や社内ルール、意思決定に左右されないイノベーション専用の組織の立ち上げが有効とされています。そしてこれらの組織には、ビジョンを示しゴールを示す強いリーダーシップを持つ人材と、それを適切に管理するファシリテーション能力を持つ人材が不可欠であり、彼らへの権限譲渡も重要です。

このようにイノベーションを興すためには、個人や組織の優れたマネジメント・スキルが必要となります。

ビジネス・ノウハウ

企業家精神というアントレプレナーシップを持つ人材は、企業や事業の中核的な存在となる人材です。そのため、顧客や市場に精通しており、どのような価値を求めているかを敏感に反応し、ビジネスモデルを確立させるビジネスのノウハウが求められます。

どれだけ優れた、差別化された技術でも、それをビジネスモデルとして構築し、活かすノウハウがなければ、宝の持ち腐れとなってしまいます。そのため、アントレプレナーシップには、ビジネスとして確立させる優れたビジネス・ノウハウが必要と考えられます。

人的ネットワーク

アントレプレナーシップに求められる人的ネットワークとは、自分の意見や考えに対して率直的なアドバイスを与えてくれる、または会社や事業に対する率直な質問をする人脈を指します。

この人的ネットワークは、利害関係や既得権益といったさまざまなしがらみが発生しやすい組織の中でこそ活きるネットワークです。創造意欲が高く、リスクに挑戦する姿勢を持つ人材は、さまざまな人的障害が立ちはだかります。しかし、それらを突破する要素となる支援体制の構築や支援者も、人的ネットワークを基に形成されていきます。これらの支援があってこそ、はじめて優れたアントレプレナーシップを発揮できると考えられられます。

創造性とイノベーション

今までにご紹介した、マネジメント・スキル、ビジネス・ノウハウ、人的ネットワークはアントレプレナーシップには欠かせないスキルですが、これらだけではアントレプレナーシップを発揮できるとはいえません。そこで重視されるスキルが、創造性とイノベーションです。

しかし、これらは今までにない画期的な技術や発明に限るものではありません。企業家に求められる創造性とは、機会の認知、経営資源の動員のあり方も含まれます。つまり、変化し続ける市場環境において、どのようなニーズが発生しているかをいち早く見抜き、行動に移すプロセスを意味します。

また、既にご紹介しているように、限られた経営資源に捉われずにビジネスを開拓していくことこそが、企業家に求められるイノベーションであり、先天的かつ特質的な能力ではありません。このように、創造性とイノベーションに対する正しい認識を持つことが、アントレプレナーシップの発揮に大いに影響すると考えられます。

現在、注目されているアントレプレナーシップ教育とは?

アントレプレナーシップが広義な意味で使用されるようになり、多くの企業が企業家精神を持つ人材を求めるようになっています。そこで注目されているのがアントレプレナーシップ教育です。

アントレプレナーシップ教育(アントレプレナー教育)とは?

アントレプレナーシップ教育とは、常に問題意識を持ち、新たなビジネス課題に対して挑戦する事を通して、既存社会・組織に変革をもたらす人材を育成するための教育を指します。「主体的に学ぶ」ことを前提にした教育方針が主に採用され、創造力や発想力はもちろん、問題発見能力、問題解決能力、決断力、行動力の育成を目指します。

また企業内で活躍するためにも、優れたコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力、リーダーシップを身につけることも重視しており、考え方と行動が一体になった教育が特徴的です。

ハブソン・カレッジにおけるアントレプレナーシップ教育とは?

米国マサチューセッツ州ウェルズリー市のハブソン大学では、先進的なアントレプレナーシップ教育を行っていると高い評価を受けています。ハブソン大学では、アントレプレナーシップを「機会の発見」、「バランスの取れたリーダーシップ」、そして「総合的なアプローチをアントレプレナーシップ」の要素を総合した一連の考え方・行動体系と定義しています。

企業家精神を意味するアントレプレナーシップにおいては、組織内で強いリーダーシップを発揮し、さまざまなアプローチを行なう姿勢が求められます。そのため、ハブソン大学ではより実践的なアントレプレナーシップを学ぶため、「学生全員は開業(ビジネスを開始)しなければいけない」という変わったプログラムを採用しています。ハブソン大学は小さな学校ですが、教授や教員に対して、「学生のビジネスプランやベンチャーを立ち上げに協力する」という教育方針を掲げる珍しい学校といえます。卒業生に日本を代表するグローバル企業、トヨタ自動車株式会社のCEO豊田章男氏を持つ大学でもあります。

【参考】BABSON BLOGS NEWS & ANNOUNCEMENTS BLOG / RANKINGS & RECOGNITION Babson Among Top Colleges according to Forbes
【参考】BABSON COLLEGE FACULTY

まとめ

  • 不確実性が増す経済において、企業内には高い創造意欲を有し、果敢にリスクに立ち向かう人材が必要不可欠です。
  • 大企業や優良企業といわれる企業においても、破壊的イノベーションによる脅威は身近なものとなりつつあります。- 企業を存続させるためにも、アントレプレナーシップを有する人材の獲得や育成環境の構築は急務です。

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