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2018年11月28日(水)更新

貸借対照表

貸借対照表は、会社経営をする上で必ず必要となる資料です。特に、金融機関から資金を借り入れる際には必ず提出を要求されるほか、株主や債権者などに対しても提出が要求される場合があります。この記事では、経営者が知っておくべき貸借対照表について見方や書き方などについて解説します。

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貸借対照表とは

貸借対照表とは、「 会社の一定時点の財政状態 」を示すために作成される表のことを言います。

「一定時点」とは、貸借対照表の作成日時点(後述します)のことを示し、「財政状態」とは、会社がどのような資産や負債を有しており、その結果として資産を豊富に有している状態か、逆に負債が多い状態かを示します。

例えば家の家計簿に置き換えると、年末(一定時点)に預金残高がどれくらいあるか、持ち家がある場合には持ち家としての資産がいくらあって、それに対するローン残高がどれくらい残っているか(財政状態)などを把握するための表となります。

貸借対照表の作成については以下の通り、 会社法の規定に基づき設立されるすべての会社に作成が義務付けられています 。貸借対照表の作成は原則として 会社の決算期ごと に作成が行われることになります。

「各事業年度に係る計算書類(貸借対照表その他の財産の状況を示すために必要かつ適切なものとして法務省令で定めるものをいう。)を作成しなければならない。」 【引用】会社法:第四百三十五条第二項、第六百十七条第二項

従って、会社法上要求される貸借対照表の「一定時点」とは会社の決算期末日のことを言います。例えば、決算月が3月の会社の貸借対照表は、3月31日時点の財政状態を示すことになります。

下図は一般的な貸借対照表の形で、左側に資産合計、右側に負債合計と純資産合計が記載されます。

【図表1】貸借対照表

左側の資産合計と右側の負債及び純資産合計(負債合計+純資産合計)が必ず一致することから、左側と右側がバランス(釣り合いがとれている)するという意味で貸借対照表は「バランスシート(Balance Sheet)」と呼ばれます。実務上はそれがさらに省略されて「BS」という言葉で使われます。

貸借対照表の構成

前述の通り、貸借対照表の左側に資産の部が、右側に負債の部及び純資産の部が記載されます。右側が「会社がどのように資金を調達したか」を表し、左側が「調達した資金を会社がどのように利用しているか」を表すというイメージです。

右側を見ると、金融機関からの借入金がどのくらい(「短期借入金」及び「長期借入金」の金額)で、株主(出資者)からどのくらい資金を調達したか(「資本金」及び「資本準備金」の金額)の規模が分かります。

左側を見ると、例えば、「現金及び預金」を確認するとお金がいくら残っているか、「製品」を確認すると営業する上で販売するための資産にいくらお金をかけたか、「建物」を確認すると建物の購入にいくらお金をかけたか、といったことが分かります。

それぞれの部で項目がどのように分類されているかを、以下にご紹介します。

資産の部

資産とは、現金及び預金、換金性のあるものや株などの有価証券への投資、そのほか会社が購入したモノのことです。

資産の部とは、会社が保有する資産が記載される部分を指し、資産の部はさらに流動資産と固定資産の区分に分けられます。

■流動資産
流動資産の区分には現金及び預金、会社の通常の営業の過程で販売される商品・製品等、期末時点から1年以内に換金されるような資産が記載されます。1年以内に換金され、流動性が高い項目であることから、「流動資産」と呼ばれます。

上記の区分に従って図表1の科目を分類すると下図のようになります。

分類 科目
現金及び預金 現金及び預金
会社の通常の営業の過程で販売される商品・製品等 製品
商品
材料
仕掛品
期末時点から1年以内に換金されるような資産 受取手形
売掛金
有価証券
前渡金
短期貸付金
その他
※上記の分類に当てはまらない、会計基準上の特殊な科目
貸倒引当金

■固定資産
固定資産の区分には、長期(1年超)の保有を目的として会社が投資・購入した資産、期末時点から1年を超えて換金されるような資産が記載されます。長期に渡って資金が拘束される項目であることから、「固定資産」と呼ばれます。

上記の区分に従って図表1の科目を分類すると下記のようになります。

分類 科目
長期(1年超)の保有を目的として会社が購入した資産
【有形固定資産】…実物が目に見える資産
【無形固定資産】…権利などのように実物が目に見えない資産
【有形固定資産】
建物
構築物
機械装置
車両運搬具
工具器具備品
土地
【無形固定資産】
商標権
ソフトウェア
長期(1年超)の保有を目的として会社が投資した資産 関係会社株式
投資有価証券
期末時点から1年を超えて換金されるような資産 長期貸付金

負債の部

負債とは、会社が負っている将来的に会社が支払わなければならない債務のことです。

負債の部とは、会社が負う債務が記載される部分を指し、負債の部も資産の部と同様に、流動負債と固定負債の区分に分けられます。

■流動負債
流動負債の区分には、1年以内に支払期限到来するような債務や1年以内に支払が生じる可能性が高いような潜在的な債務(必ず支払わなければならないと決まったものではない)が記載されます。1年以内に支払期限が到来し、流動性が高い項目であることから「流動負債」と呼ばれます。

上記の区分に従って図表1の科目を分類すると下記のようになります。

分類 科目
1年以内に支払期限到来するような債務 買掛金
支払手形
短期借入金
未払金
未払費用
前受金
預り金
1年以内に支払が生じる可能性が高いような潜在的な債務 製品保証引当金
賞与引当金

■固定負債
固定負債の区分には、支払期限の到来が1年超に渡る債務や1年後よりもっと後に支払が生じる可能性が高いような潜在的な債務(必ず支払わなければならないと決まったものではない)が記載されます。長期的な債務に関する項目であることから、「固定負債」と呼ばれます。

上記の区分に従って図表1の科目を分類すると下記のようになります。

分類 科目
支払期限の到来が1年超に渡る債務 社債
長期借入金
1年後より先に支払が生じる可能性が高いような潜在的な債務 退職給付引当金

純資産の部

純資産の部とは、主に借入以外で会社が調達した資金(株式会社であれば株主からの出資金であり、借入金のように返済する必要がないもの)及び会社が稼いだ利益が記載される部分を言います。

純資産の部は、株主資本、評価・換算差額等そして新株予約権の区分に分けられますが、純資産の部について特に重要な部分は、株主資本の区分の中の「資本金」、「資本準備金」及び「繰越利益剰余金」(図表1参照)です。

「資本金」、「資本準備金」が借入以外で会社が調達した資金を示し、「繰越利益剰余金」が会社が稼いだ利益を示します。実務上はこの3つの科目が特に重要視されますが、その他の純資産の部の説明に関しては専門的な部分になるため、ここでは割愛します。

貸借対照表と損益計算書の関係性

貸借対照表と同様に実務上で頻繁に出てくるのが損益計算書です。

損益計算書についても金融機関から資金を借り入れる際は必ず提出を要求され、株主や債権者などの外部者に対しても提出が要求されることもあるため、必ず貸借対照表と同時に作成されます。

下図は損益計算書の例です。

【図表2】損益計算書

損益計算書は収益と費用を表示することから「プロフィットアンドロスステートメント(Profit&Loss Statement)」と呼ばれ、実務上はそれがさらに省略されて「PL」という呼ばれています。

貸借対照表との違い

損益計算書は、「 会社の一定期間の経営成績 」を表す計算書です。「一定期間」とは通常は期首から期末の間を示し、「経営成績」とは売上から売上原価や経費を差し引いた結果としての稼ぎ出した利益のことを示します。

例えば、決算期が3月の会社の場合の損益計算書は、4月1日から翌年の3月31日までの間の売上高、売上原価、経費等の収益、費用の額を表し、結果として利益がいくら出たのかを示しています。

従って、貸借対照表が一定時点の会社の状況を表すのに対し、損益計算書は一定期間の会社の活動の状況を表すことになります。

貸借対照表と損益計算書のつながり

貸借対照表と損益計算書の違いについては前述の通りですが、その違いから損益計算書は、期首時点の貸借対照表と期末時点の貸借対照表の連結環の役割を果たすとも言われています。

イメージとしては下図のようになります。

実際の貸借対照表や損益計算書は上図のような簡単なものではないですが、損益計算書が表す一定期間(期首から期末)の利益は、貸借対照表の純資産の部の会社が稼いだ利益(繰越利益剰余金の科目)を増加させます。

上図で説明すると、期首時点の繰越利益剰余金(期首貸借対照表の純資産の部)が100万円であり、当期純利益(損益計算書)が50万円であった場合、期末時点の繰越利益剰余金(期末貸借対照表の純資産の部)の金額は100万円(期首時点の繰越利益剰余金)+50万円(当期純利益)=150万円となります。

このように損益計算書は期首時点と期末時点の貸借対照表をつなぐ役割を有することから、連結環の役割を果たすと言われています。

また、期末時点の貸借対照表の繰越利益剰余金の金額は、これまでの毎年の損益計算書の利益が積み重ねられたものとなり、起業してからどのくらいの利益を上げているのか目安の一種です。

従って貸借対照表の繰越利益剰余金がマイナスの残高になっている会社は、利益を積み重ねることが出来ない赤字の状態が続いており、金融機関などから資金を借り入れて、なんとか事業を回している事態に陥っていることが多くなります。

このような会社は借り入れによる負債が膨らんで繰越利益剰余金がマイナスの結果、純資産の部の合計額がマイナスになることが多く、俗に「債務超過」と呼ばれています。

【関連】損益計算書とは?見方や書き方のポイントまでを分かりやすく徹底解説 / BizHint

貸借対照表の見方・チェックポイント

次に貸借対照表を見る際のチェックポイントについて、特に金融機関や税理士などの専門家が実務上優先的に気にする部分について説明します。

純資産合計額がマイナス残高になっていないか?

純資産合計額がマイナスの状態(債務超過)になっている場合は、会社として事業がうまくいっていない状況を示しています。

債務超過になる要因としては繰越利益剰余金がマイナスになっているのが主な要因のため、過去の損益計算書を確認し、どの期間にどのような損失があったのかの確認が必要となります。

有利子負債(借入金、社債、リース債務)の金額がどの程度か

会社として負っている有利子負債残高の金額を確認し、その金額を返済できる能力がありそうかを検証します。見るべきポイントは、資産の部の現金及び預金の金額と損益計算書の当期純利益の金額となります。

現金及び預金に注目するのは、負債の返済を行えるだけのお金を手許に有しているのかを確認するためとなります。また、損益計算書の当期純利益に注目するのは、きちんと利益を出せているのかを確認するためです。

利益が出ている場合は、少なからず返済の可能性はありますが、利益が出ていない場合は返済が困難な状況と推察できます。

流動負債に対する流動資産の割合(流動比率)がどの程度か

流動負債の区分に記載される項目は、1年以内にその支払が予定されている項目の金額となります。これに対し、流動資産の区分に記載される項目は、1年以内にその回収が予定されている項目の金額です。従って、流動負債の合計額よりも流動資産の合計額が多い場合は、次年度の支払いを賄う分の資産は保有していることになります。

しかしながら、流動負債の合計額が流動資産の合計額よりも多い場合は、次年度の支払いを賄う分の資産が足りていない状況となることから、早急に資金の手当てを考える必要があります。

月平均売上高に対する売掛金の残高の割合はどの程度か

通常商品・製品を販売した際の入金があるのは1~2ヶ月後が一般的です。コンビニやスーパーなどのように売上額を現金で回収できる場合はいいですが、現在の商取引は信用取引が基本となっているので、売上に対する入金が遅れます。この売上に対して未回収の金額を表すのが「売掛金」となります。

従って、下図のように月の平均売上高に対し、この売掛金の残高金額が平均売上高の3倍、4倍と膨らんでいる場合は、売上代金の回収ができていないことになります。

この場合は、どこの取引先から入金が遅れているのか、またその原因の調査が必要となります。

月平均売上原価に対する製品や商品の残高の割合はどの程度か

売上原価は商品・製品の売上に対するその仕入額や製造原価の金額となります。商品や製品の販売を行う場合は、今後売れると見込まれる商品や製品の在庫を保有しておくことが必要です。それは、商品や製品のリードタイム(発注・製造を始めてから、納入・製造完了するまでの期間)によって各業種で異なります。

従って、下図のように仮にリードタイムを2ヶ月とした場合、月平均売上原価に対して商品の残高金額が3倍、4倍と膨らんでいれば、商品・製品の在庫が多いか不良在庫が残っている(月平均の売上原価が500万円でリードタイムが2ヶ月になるということは、 500万円/月×2ヶ月=1,000万円 が適正な商品・製品残高)ことになります。

この場合、商品・製品の在庫が単純に多ければ、適正な在庫量に圧縮することで商品・製品を保管する場所を縮小でき、賃料が減らすことが可能です。

一方、不良在庫が残っている場合には、不良在庫が発生した原因を調べることによって業務プロセスの改善や不良在庫の処分による保管費用の圧縮が可能となります。

株主資本が十分にあるか

株主資本の項目は、借入金のように返済義務を負わないことから会社の安全性を評価する尺度として利用されます。特に資産合計(負債・純資産合計)に対する株主資本の割合はよく利用され、資産合計(負債・純資産合計)のうちどれだけを株主資本で賄えているのかの指標となります。この割合が低いと資産のほとんどを借入で調達した資金で賄っていることになります。

この割合は、一般的にどの程度の割合がいいのかの指標はなく、業種によって様々です。

例えば、不動産業のように多額の不動産の調達が必要な業種は、借入による資金調達が多くなって株主資本の金額割合が相対的に低くなります。

また、IT業のようにパソコンとプログラマーがいれば成り立つ業種では、特に借入を行う必要はなく、株主資本の金額割合が相対的に高くなります。

自社が属している業界がどの程度の水準の業界かを調べることで一定の目安がわかるため、その水準に近づくための対策を練ることが可能です。

貸借対照表の作り方

貸借対照表については、冒頭で説明したとおり作成が義務付けられることから、必ず作成する必要があります。実務上は、どの会社も会計ソフトを利用して作成を行っています。

会計ソフトの導入

会計ソフトの機能としては、日常の活動の結果を記録(以下、仕訳処理)し、その結果を自動で集計して損益計算書や貸借対照表として出力します。

会計ソフトは現在パッケージ版とクラウド版のタイプが主流として利用されています。

パッケージ版

パッケージ版は、パソコンにインストールすることで利用することが出来るタイプの会計ソフトです。

パソコンにインストールするため、ネット環境がない場合でも会計データの管理ができるというメリットがありますが、インストールしたパソコンでしか利用することができないというデメリットがあります。

クラウド版

クラウド版は、インストールすることは不要で、インターネット上で仕訳処理などの会計データを管理するタイプの会計ソフトです。

インターネットを経由して提供されるため、スマートフォンを含めて、インターネットに接続できる端末があれば利用することができるというメリットがありますが、インターネットに接続できないような環境では利用することができないというデメリットがあります。

最近は情報インフラの発達に伴い、インターネットへの接続環境が整ってきているので、クラウド版を利用する会社が増えています。

仕訳処理から貸借対照表の作成

会計ソフトの導入後はいよいよ仕訳処理です。会社は日常的にモノを売ったり、モノを買ったり、モノを製造したり、といった様々な活動を行っています。会社はこのような活動を記録するために、会計ソフトを利用し、仕訳処理という形で記録しています。

仕訳処理を理解するには簿記の知識が必要なため細かい説明は割愛しますが、仕訳処理がどのようなものか以下設例を交えて説明します。

【設例1】4月15日に金融機関期間からお金を1,000万円借り入れた場合

貸借対照表の構成要素の説明を思い出して下さい。貸借対照表上、お金である現金及び預金は左側の資産の部で表示され、金融機関からの借入金は右側の負債の部で表示されていたかと思います。会計ソフトにはこのイメージのまま仕訳処理を行います。

本設例の場合の仕訳処理は下記のようになります。

4月15日:(現金及び預金)1,000万円 (長期借入金)1,000万円

会計ソフト上必ず上記のように左側と右側に科目と金額を入れる仕様になっています。また、左側と右側の金額は合計が必ず同じ額になるように仕訳処理を行わないとエラーが出る仕組みになっています。

このため、貸借対照表の左側と右側の合計額は必ず一致する(バランスする)ことになります。この仕訳処理の結果、貸借対照表上は左側の現金及び預金が増加(資産の部の増加)し、右側の借入金が増加(負債の部の増加)する処理が行われます。

【設例2】4月30日に製品を製造するために機械装置を200万円で購入した場合

貸借対照表上、お金(現金及び預金)も機械装置も左側の資産の部で表示される項目ですが、の場合のように、「お金が増える」場合は左側に現金及び預金となるように仕訳処理が行われます。これとは逆に「お金が出ていく」場合は、右側に現金及び預金となるように仕訳処理が行われます。設例1>

本設例の場合の仕訳処理は下記のようになります。

4月30日:(機械装置)200万円 (現金及び預金)200万円

この仕訳処理の結果、貸借対照表上は左側の機械装置が増加(資産の部の増加)し、お金が減った(資産の部の減少)ことから、右側に現金及び預金となる処理が行われます。

上記の結果、例えば4月30日の時点で会計ソフトから貸借対照表を出力すると、下記の形で出力されます。

実務上、ひと月の間の会社の活動が借入と機械の購入だけのケースはないですが、日常的に【設例1】や【設例2】のような仕訳処理を積み重ねていくことで、貸借対照表が作られていくことになります。

まとめ

  • 貸借対照表は会社の財政状態を示すものです。
  • 貸借対照表は会社法で作成が義務付けられています。
  • 貸借対照表の作成については、会計ソフトの導入をまず行う必要があります。
  • 将来の資金繰りのためにも、定期的に自社の資産と負債の状況の確認することが必要です。

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