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2018年4月11日(水)更新

役員

「役員」とは、一般的に、会社の業務執行、業務・会計の監査などの権限を有する幹部職員の事を言いますが、「会社法」などでは、取締役などの役職がこれに当たるものと定義されています。今回はこの「役員」について、社員や執行役員との違い、役員の種類、役職との違いから、人選の際のポイント、そして役員になる人材の特徴までをご紹介します。

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1.役員とは

「役員」とは、中心的な役割でその組織を動かしたり、管理監督を行う人材の事を言います。

大辞林などによると「会社・団体などの幹部職員」「法人においては、その業務執行、業務・会計の監査などの権限を有する者」と定義されていますが、法的な整理を見ると、「会社法」では、取締役や会計参与、監査役のことを指し、「役員等」としては、執行役や会計監査人なども含めることとされています。

いずれにしても「役員」は経営陣であることから、「社員」やその他の役職とは会社としての位置付けに大きな違いがあります。

【出典】コトバンク「役員」
【参考】占部行政書士事務所「会社法の条文と解説Web〜会社法329条〜」

役員と社員の違い

それでは、「役員」と「社員」は何が違うのでしょうか。

まず、「役員」はそもそも「社員」ではなく、会社における「機関」になります。「機関」とは、「法人や団体などの意思を決定したり、代表したりする者、または組織」という意味で、「役員」のほか、「株主総会」や「取締役会」などもこれに当たります。

会社との関係を考えると、「社員」は雇用関係にあり、指揮命令に従って業務を行うことで賃金を得ているのに対し、「役員」は委任関係(株主から会社経営を委任されている。)にあり、経営陣として経営を進めていくことで役員報酬を得ています。

このため、労働基準法上においても、「役員」は「労働者」に該当せず、「使用者」側として整理されているなど、会社としての位置付けが「社員」とは根本的に異なります。

執行役員との違い

企業において「役員」という名称の付く役職には「執行役員」もあります。(「執行役」というものもありますが、これについては後述します。)

そもそも「執行役員」とは、「会社の業務執行を担当する役員」とされていますが、これは企業における役職の一つであり会社法で定められたものではありません。執行役員は、一般的には企業に雇用された状態の所謂「社員」であり、これが「役員」との大きな違いとなっています。

「役員」は会社の重要事項や方針などを決定する権限を持っていますが、「執行役員」にはそれらの決定権限はなく、「取締役会の決定に基づいて業務の執行に専念する」役割を担っています。具体的には特定の部門などのトップとしての権限を与えられ、責任を持ってその業務を遂行します。

2.役員の種類

次に、役員の種類について詳しく見てみましょう。ここでは、「会社法」で、「役員」あるいは「役員等」とされているものについてご紹介します。

取締役

取締役とは、会社法により、株式会社にはその設置が義務付けられている機関であり、取締役会の構成員として、会社の業務執行に関する意思決定に参加する者の事を言います。

取締役には、企業の代表権を持って業務を執行する「代表取締役」や、その代表者を補佐する役割の「常務取締役」や「専務取締役」(会社法で定められたものではなく、企業において必要に応じて設置されるもの)、そして、社外の人材から選任される「社外取締役」など様々な種類があります。

【参考】会社法第38条第1項/電子政府の総合窓口e-Gov〔イーガブ〕

会計参与

会計参与とは、会社法により、取締役と共同で会社の計算書類を作成するため、任意で設置が定められている機関です。この役員となるには、公認会計士・監査法人・税理士・税理士法人である必要があります。

主な役割は、主に企業の貸借対照表や損益計算書などの計算書類の適正を確保するためのものであり、株主総会などにおいて、作成した書類への質疑応答に応える義務があります。

【参考】会社法第326条第2項/電子政府の総合窓口e-Gov〔イーガブ〕

監査役

監査役とは、会社法により、取締役および会計参与の職務の執行を監査するため、原則として任意で設置が定められている機関です。公開会社(株式譲渡の制限をしていない会社)の場合には原則として設置義務があります。

主な役割は、会計監査と業務監査です。「会計監査」では、取締役と会計参与が作成した計算書類のチェックを行います。また「業務監査」では、取締役の職務の違法性などをチェックします。これらのチェック内容は、報告書としてまとめられ、株主総会時に提出されます。

【参考】会社法第381条/電子政府の総合窓口e-Gov〔イーガブ〕

執行役

執行役とは、会社法により、指名委員会等設置会社(取締役会の中に、社外取締役が過半数を占める指名委員会、監査委員会及び報酬委員会を置く株式会社)に設置が義務付けられている機関です。

主な役割は、取締役に代わって業務執行を行うことです。執行役を置いている会社では、取締役は業務を執行せず、取締役会の構成員として、方針の決定や監視役に専念することになります。執行役の設置目的は、業務執行と監視役を担う組織を分離して、より適正に経営管理を行うことですが、執行役は取締役を兼ねることができることとされています。

【参考】会社法第402条第1項/電子政府の総合窓口e-Gov〔イーガブ〕

会計監査人

会計監査人とは、会社法により、資本金が5億円以上または負債額が200億円以上である大会社や監査等委員会設置会社(取締役会の中に、社外取締役が過半数を占める監査等委員会を置く株式会社)および指名委員会等設置会社(上記、執行役での解説を参照)などに設置が義務付けられている株式会社の機関です。

主な役割は、監査役と恊働して計算書類の監査を行う事です。この役員には、会社が選んだ公認会計士もしくは監査法人が就任します。

【参考】会社法第327条第5項、第328条/電子政府の総合窓口e-Gov〔イーガブ〕

3.役員と各役職の違い

ここでは、役員とそれぞれの役職の違いについて見てみましょう。

会長や社長との違い

まず、「会長」や「社長」との違いです。そもそもこれらの役職は企業により役割は違いますが、大まかに言えば

  • 会長…企業を代表する立場にあり社長より上級の役職であるが、名誉職である場合もある
  • 社長…企業の代表として、基本的な方針を執行する権限や責任を担う

という特徴があります。

この「会長」「社長」は企業における役職名であり、会社法で定められているものではありません。ここが、「役員」との大きな違いとなります。ただ「代表取締役会長」「代表取締役社長」など、「役員」である取締役が会長や社長を兼任するケースが一般的です。この場合は、いずれも「役員」であると言えます。

専務や常務との違い

続いて、「専務」や「常務」との違いです。これらの役職も企業により役割は違いますが、大まかに言えば

  • 専務…社長の補佐的な立場にあり、企業全体の管理監督を担う
  • 常務…社長の補佐的業務や、日常的な業務執行を担う

という特徴があります。

この「専務」「常務」も前述のとおり、企業における役職名であり、会社法で定められているものではありません。「会長」「社長」同様に、ここが「役員」との大きな違いとなります。

一般的に「代表取締役」の下に「専務取締役」や「常務取締役」が設置されるケースが多くありますが、これは「役員」から選任されるケースが多いのも事実です。その場合、これらはいずれも「役員」であると言えます。ただし、「常務執行役員」「専務執行役員」の場合は執行役員であるため、その実態は「社員」となります。

CEOやCOOとの違い

次に、近年多く見られるようになった「CEO(最高経営責任者)」「COO(最高執行責任者)」等との違いです。これらの役職も企業により役割は違いますが、大まかに言えば

  • CEO(最高経営責任者)…会社経営の方針を決定する
  • COO(最高執行責任者)…CEOの方針に従い、業務を執行する

という特徴があります。

これらも、先の役職と同様に企業における役職名であり、会社法で定められているものではなく、ここが「役員」との大きな違いとなります。

具体的には「取締役社長兼CEO」や「取締役副社長兼COO」など、取締役と兼任されるケースも多くあります。その場合、その実態は「役員」であると言えます。

みなし役員との違い

以上の役職のほかに、「みなし役員」というものがあります。これは法人税法で規定されているもので、会社法や会社法施行規則で定義されている「役員」以外に、一定の要件を満たした場合に「役員」とみなされる者のことを言います。おおまかに言えば

  • 法人の使用人(税法上では従業員のことを指します。)以外の者で、経営に従事している者
  • 同族会社の使用人で特定の要件(一定割合以上の株式を保有しているなど)を満たし、経営に従事している者

といういずれかの要件を満たした場合に「みなし役員」とされます。前者であれば、取締役になっていない会長や相談役、顧問などが挙げられます。

この「みなし役員」とされるとどうなるかというと、これまで従業員として支払っていた給与や賞与について、役員と同様の扱いを受けることになり、基本的に経費として処理できないことになります。これを損金不算入と言いますが、これにより税金が高くなります。

【参考】役員の範囲/国税庁

4.役員を選ぶ際のポイント

役員は最終的に株主総会にて選任されますが、ここではその候補となる人材を選ぶ上でのポイントについてご紹介します。

人物像を明確にする

まずは、自社の役員となるべき人材の人物像を明確にする事です。

それには、今一度自社の経営方針や経営戦略を見つめ直し、それと照らし合わせながら役員に求める役割、そして成果を洗い出します。それが明確になれば、その役割に必要なスキルな能力をリストアップし、人材の過去の職務経験や業績、スキル等を照らし合わせてピックアップします。

次世代リーダーの視点を持つ

次世代リーダーとは、次世代の企業の経営を担う人材を指します。「役員」は、現在の企業の代表が退任した後、後任となり得る人物、所謂「次世代リーダー」となる可能性のある人材です。そのため、人選の際には「次世代リーダー」としての視点が必要なのです。

日本能率協会 経営・人材センターの2014年の調査(対象:企業の取締役および執行役員223人)によると、「これからの理想の経営者に求められる資質」として、

  • 1位…イノベーションの気概(76票)
  • 2位…変化への柔軟性(59票)
  • 3位…本質を見抜く力(51票)

となりました。次世代リーダーに求められる条件は、イノベーションを起こすバイタリティを持ち、変化の激しい時代において明確な指標を持って突き進む「変革型」のリーダーである事が分かります。

ただ役職に相当するスキルや能力に着目するのではなく、もっと先の視点で人材を選ぶ必要があるという事です。

【出典】一般社団法人日本能率協会「現役の取締役・執行役員に聞いた”経営者コンピテンシーに関するアンケート”」

【関連】BizHint HR「次世代リーダーを育成するには?プログラム計画のポイントや必要な要素をご紹介」

客観的な目線で選抜する

最後に、客観的な目線を持つという事です。過去の役員の人選においては、上司や現在の役員などからの推薦で選ばれるケースが多くありました。しかしその場合、上司や役員との関係性の有無などが影響し、公平性の点での問題も指摘されてきました。

産労総合研究所「企業と人材」誌の2012年の調査(対象:任意抽出した3,200社のうち回答のあった106社)によると、次世代経営者として選抜対象となる社員の選抜方法として「人事部の推薦」がトップとなっています。2005年の同調査と比較すると、「上司の推薦」「経営トップの指名」が減少し「人事部の推薦」が増加している事が分かります。

近年では、社会の流れが「年功序列」から「成果主義」へ転換している事もあり、タレントマネジメント等を導入する企業も増加。社員のスキルや能力を、適切に把握する動きが盛んとなっています。それにより、客観的なデータを元に適正に役員を選抜する環境が整ってきています。

【出典】企業と人材「次世代経営幹部はどのように選ばれ育成されているのか〜2012年 選抜型の経営幹部育成に関する実態調査」

【関連】BizHint HR「タレントマネジメントの意味とは?定義や目的、事例をまとめてご紹介」

5.役員に就任する人の特徴

役員に就任できるのは、社員の中でもほんの一握りの人材です。高いスキルや能力ももちろん必要ですが、実際に役員に就任する人物には、どのような特徴があるのでしょうか。

腰が低い

特別な役職に就く人は、その能力の高さゆえについ奢りが生じてしまいがちです。しかし、実際に役員となる人材は腰が低く、どんな相手に対しても丁寧なコミュニケーションを心がけます。

例えば、一つ一つの挨拶を大切にしたり、相手が理解できる言葉で話す、などです。そうする事で、部下や外部の人材からも厚い信頼を得る事ができます。

面倒見が良い

次に、部下や組織に対する面倒見の良さです。これは「優しく接する」という意味ではなく、必要であれば厳しく指導し、その後のフォローも忘れないという姿勢です。

そういった特徴を持った人物は、例えば宴会の幹事などもうまくこなし、日取り・予算・場所・内容などの全てにおいて最適な塩梅に仕上げる事のできる人。つまり、仕事においても多くの人を巻き込んで組織を動かせる人なのです。

感謝の気持ちを素直に伝えられる

次に、感謝の気持ちを素直に伝える事のできる人です。これは相手が誰であろうと、例え自分と親子ほど歳の離れた外部の人材でも、何かをしてもらったら素直に「ありがとう」と感謝の気持ちを表せる人です。

一つ一つの出会いを大切にする姿勢が、組織や企業との繋がりを強固にします。

常にアンテナを張っている

常にインプットを意識し、新しい物事に対してアンテナを張っているという点です。自身の知識や経験を過信しすぎず、若い人材の話にも熱心に耳を傾け、新しい情報を得ようとする姿勢が大切です。

そうする事で、斬新なアイデアや先見の目も養われます。

意志をしっかり持っている

最後に、自身の意志をしっかりと持っているという点です。役員と言えども階級があり、つい上の階級の人材に迎合してしまいがちですが、それではその人材が選ばれた意味がありません。

しっかりと自分の意志を持ち、自分の言葉で意見が言える人材が、役員に適していると言えるでしょう。

6.まとめ

  • 役員とは、会社法における整理(「役員等」とされているものも含む。)では、取締役や会計参与、監査役、執行役に加え、会計監査人のことである。
  • 会長・社長・常務・専務などと呼ばれる役職も役員と思われがちだが、厳密に言えばこれらは企業が必要に応じて定めた「役職」であり、必ずしも「役員」であるとは言えない。
  • 役員の人選の際には、まず人物像を明確にした上で、次世代リーダーの目線を持ち、かつ客観的なデータを元に選ぶ必要がある。

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