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2019年2月21日(木)更新

BCP(事業継続計画)

近年、企業においては、災害発生時に短期間で業務を復旧し、事業を再開するためのBCP(事業継続計画)を準備しておくことが求められています。当記事では、BCPとは何か、その必要性やメリット、策定方法とポイントのほか参考になる国のガイドラインやテンプレートなど幅広くご紹介します。

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BCP(事業継続計画)とは

BCPとは、Business Continuity Planの略語で、「事業継続計画」や「業務継続計画」と和訳されています。災害などにより、企業の設備や従業員に損害が及んだ際、いかにスムーズに操業を再開するかを、事前に計画しておくものです。

なぜBCPが必要なのか

日本は災害の多い国です。平成23年に起こった東日本大震災をはじめ、台風や豪雨被害といった様々な天災により、事業が継続できない状況が多く発生しています。また、近年はコンピュータの誤動作が不安視された「西暦2000年問題」や、2001年に起こった「アメリカ同時多発テロ」、サイバー攻撃など、自然以外の潜在的脅威も発生しています。

特に日本の製造業の多くは、下請分業構造で構成されているため、特定の部品が供給できなくなると、完成品を製造・販売できなくなる恐れがあります。そうなると、一企業だけでなく、サプライチェーン(部品を供給する企業群)そのものが寸断され、地域経済や国民生活にも多大な影響を及ぼしてしまいます。

国も、こういった近年の状況にかんがみ、中小企業庁を通じて「中小企業BCP策定運用指針」を発表し、特に中小企業に対する取り組みを推進しています。

BCPの特徴

BCPは、従来の防災計画と違う点と、多様なリスクに対応できる点が最大の特徴です。

従来の防災計画とは異なる

BCPは防災計画と混同されがちですが、本質的には違います。防災計画は、災害発生時に企業の設備や従業員の生命身体被害を最小限に食い止めようとするものですが、BCPは被害を想定し、いかに短期間で企業活動を復旧させるかに力点が置かれています。

広範囲なリスクに対応可能

企業活動を阻害する要因は、災害だけではありません。SARSや新型インフルエンザなどの病気の大流行や、テロ、サイバー攻撃など、人的な要因もあります。さらに、リコールや従業員の不正やスキャンダルなどの内部要因に伴って、企業活動が停止に追い込まれることもあります。BCPは対象となる要因を広く考える事で、あらゆるリスクに対応することが出来ます。

【関連】コンプライアンスの意味とは?違反事例や企業の対応策、背景まで徹底解説/BizHint

BCP策定のメリット

BCPを策定、運用することによって、企業の存続の可能性が高まりますが、その他にも多くのメリットがあります。

企業価値の向上

BCPが策定され、その後も更新やテストを行っていくと、事業継続力の向上が図れます。

BCPは、特にその企業がサプライチェーンの一翼を担っている場合、社内の周知だけでなく、取引先への周知も必要になりますが、これらは取引先にとって安心感につながり、企業全体の評価が高まります。そして、総じて企業価値が向上し、取引案件の増加や資金調達のし易さにつながっていくのです。

【関連】「企業価値」とは?企業価値の意味や評価方法、メリット、向上施策までご紹介/BizHint

CSR (社会的責任)

BCPを策定するということは、企業のCSRという点からも、大いに意義があります。その企業が災害によって操業停止に追い込まれてしまうと、従業員をはじめ、取引先や金融機関、投資家、地域住民や国にとっても、直接的・間接的に大きな影響をもたらします。

そのための事前の対策を打っていることは、その時点でステークホルダー(利害関係者)に対して、一定の責任を果たしていると言えるからです。

【関連】CSRとは?意味(定義)や事項、メリット、作り方から企業事例までご紹介/BizHint

企業の問題点・課題の発見

BCPを策定するためには、自社設備の性能や稼働状況、原材料や部品の在庫状況、人材の能力・配置状況など、社内の状況を改めて調べ直すことが必要ですが、そのことをきっかけに、社内の問題点や課題を発見することにもなります。

つまり、BCPの策定過程自体に、企業力を高める要素があるということです。

BCP策定は義務?

BCPを策定することは法律上の義務ではありません。また、国や業界団体が推奨しているBCP策定のガイドラインや支援事業を受けることも義務ではありません。

しかし、BCPを策定していないために災害に対応できず、企業生命が絶たれるだけでなく、従業員の遺族から安全配慮義務違反で訴えられる可能性や、取引先から履行できなかった契約に対する違約金を請求されるというリスクもあります。義務でないとは言え、策定しないリスクはかなり大きいことが予測されます。

BCM(事業継続マネジメント)との関係性

BCPと類似した言葉にBCMというものがあります。いずれも企業の事業継続をテーマにした言葉ですが、両者の関係について見ていきましょう。

BCM(事業継続マネジメント)とは

BCMとは、BCP を生み出し、改善していくためのプロセスと言えます。具体的には、以下のPDCAステップでサイクル状に実施していきます。

BCM基本方針の策定

まず、災害などにあった際の事業再開に関する基本的な方針を決定していきます。経営陣がコミットすることがとても重要です。

ビジネスインパクトの分析

事業を復旧・継続するにあたってリスクになるような事柄を分析します。自然災害で言えば、都道府県の防災情報マップなどをもとに、地震や津波などの想定を行います。

その後、自社の存続にかかわる重要な業務は何か、その業務を復旧させるための目標時間や代替手段、資金も含めた経営資源、従業員や取引先との連絡手段等を検討します。

さらに、これらの事項について、取引先との共通認識を持っておくことが重要です。

BCP(事業継続計画)の策定

被災時からの指揮命令系統をどうするか、指揮命令を下す本社機能をどう確保するか、対外的な情報発信の方法・情報の共有化、必要な情報のバックアップ方法などを盛り込んだ実施計画を作っていきます。

実施計画は、文書化し、電源喪失状況も想定して、ペーパーでも準備しておきましょう。

実施・運用

BCPで決められた内容の実施、マニュアルやチェックリストの準備、災害時に活用できる融資制度や借入金・保険契約の締結、全従業員が参加した教育・訓練の実施などを行います。

点検・見直し

企業を取り巻く環境は、日々変化しています。これまでのBCM活動を見直し、計画どおりに行かなかった項目や、中核事業・取引先・目標復旧時間の変更が無いかなどを確認し、BCPを毎年ブラッシュアップし事業継続力を高めていきます。

また、その見直し結果をもとに、BCM基本方針の策定の見直しも図っていきます。

【参考】中小企業庁:BCP策定のためのヒント~中小企業が緊急事態を生き抜くために~

BCP(事業継続計画)の策定について

BCMの中核であるBCP策定の具体的な方法について見ていきます。

2つの方法

BCPを策定する方法としては、まず自社独自でBCPを策定する方法と、国際規格に則って策定する方法が考えられます。

自社独自のBCPを策定

現在企業が持っているBCPの多くは、自社で独自に作られたものです。

方法としては、書籍など読んで作成する方法や、中小企業庁や各種団体が作成しているテンプレートを活用する方法、専門のコンサルタントに指導を受けながら作成していく方法などがあります。また、それらを併用して作成する方法も考えられます。

国際規格

今後増えていく事が予想されるのが、国際規格に則ってBCPを作成し、認証を受ける方法です。

英国規格協会(BSI)から発行されている英国国家規格「BS25999」や情報システムに特化した「ISO27001」がありましたが、2012年にBCPの国際規格である「ISO23001」が発行され、一番活用されていく事が予想されています。

国際規格の認証を受けると、社会的にも信用度がアップするというメリットがあります。

BCPの対象範囲

BCPを策定するにあたっては、計画の対象をどの事業や業務にするかということを明確にしておかなくてはいけません。本来的には、全ての事業や業務を復旧することが求められますが、現実問題として全ての事業・業務を同時に復旧することは困難ですし、合理的ではありません。

企業の存続と社会的責任を考慮し、優先順位を決めておくことが必要となります。これもまた、定期的に見直しをしていく必要があります。

BCPの全体像

災害などの業務停止要因が発生し、BCPを本番で実行する際、以下の4つの段階を踏んで実行していく事になります。各フェーズのポイントを見ていきます。

BCP発動フェーズ

災害等の発生及びその可能性を検知し、初期対応を行った後、実際にBCPを発動させる段階です。正確な情報に基づき、発生事象の確認、対策本部の立ち上げ、BCPの基本方針を決定します。

業務再開フェーズ

BCP発動後、予定していた別拠点やバックアップ、手作業などの代替手段により、業務を再開し軌道に乗せていくまでの段階です。代替手段へのスムーズな切り替え、従業員の配置、復旧作業の推進、遂行状況の確認と、それに伴うBPC基本方針の見直しが行われます。対象業務は、基幹業務など優先度の高い順に行っていきます。

業務回復フェーズ

基幹業務や優先度の高い業務が復旧された後、さらに復旧対象業務を広げていく段階です。代替手段や設備を残しながら復旧していくため、作業手順や現場の指揮命令系統に混乱が生じないような配慮が必要です。

全面復旧フェーズ

代替手段や設備から、通常手段・設備に切り替え、通常業務に戻っていく段階です。この切り替えによって、思わぬ新たなトラブルや災害が発生する恐れもあるため、業務手順の確認・テスト等、慎重な対応が求められます。

BCP(事業継続計画)策定・運用のポイント

具体的にBCPを策定し運用するにあたって、重要なポイントを整理していきます。ここでは中小規模の事業所を想定して見ていきます。

取引先との連携

中小企業は、取引先企業との密接な関係があります。自社の生き残りのためには、顧客である販売先や仕入先との積極的な打ち合わせが必要になります。

取引先に対してこういった中小企業の姿勢は、取引上の信頼関係を増幅させて安定した経営に役立ちます。

従業員全員参加型の取り組み

中小企業の経営資源は、何といっても「人」です。災害発生時には、その重要な経営資源が奪われる恐れがありますが、復旧する際も人の力に頼ることが多いのが中小企業です。

経営者としてBCPを作り上げていく事はとても重要なことですが、是非一人で抱え込まず、従業員を積極的に参加させ、全員参加型の計画にしていきましょう。そのことをきっかけに、社員にも「自分の会社」という意識が醸成されていくでしょう。

BCPの戦略的活用

BCPの策定は、対外的にも大きな信用に繋がるため、取引先の新規開拓や従業員採用活動のPRポイントになります。

いきなり国際規格の認証は難しいとしても、行政や各種団体の指導を得ながら早期に確立していきたいものです。

事業継続計画策定ガイドラインをはじめとした資料まとめ

災害時に早期に事業を再開出来る体制を整える事は、労働力不足を憂慮する日本にとって非常に重要な課題です。

そのためBCP策定やBCM活動について、国や地方公共団体、各種業界団体があらゆる角度から支援をしています。

BCP策定指針・ガイドライン

内閣府や中小企業庁より、BCPの概要を説明したガイドラインが出されています。比較的優しい表現で記述されていますので、参考にしやすい資料です。

【参考】内閣府:事業継続ガイドライン-あらゆる危機的事象を乗り越えるための戦略と対応-
【参考】中小企業庁:中小企業BCP策定運用指針 第2版 -どんな緊急事態に遭っても企業が生きぬくための準備-

中小企業経営者向けに事例やQ&Aを解説している資料

BCPの策定に当たって、中小企業の経営者や幹部の立場に立った、業種業態別の事例や、対応方法のQ&Aを分かりやすく解説している資料です。

【参考】中小企業庁:BCP策定のためのヒント~中小企業が緊急事態を生き抜くために~
【参考】中小企業庁:BCP 等の取組事例集 
【参考】中小企業庁:中小企業BCPに関するQA集 ~儲かるBCPにするためのお悩み解決集~

BCP作成テンプレート

BCPを実際に導入する際のポイントを、初級・中級・上級とレベル別に解説してくれるとともに、すぐに使えるフォームが無料でダウンロードできるようになっています。

【参考】中小企業庁:中小企業BCP策定運用指針 ダウンロード

まとめ

  • BCPとは事業継続計画のことであり、災害の多い日本においては企業存続のためや地域経済への影響が大きいため、中小企業庁をはじめとする行政や各種団体も対応を推進しています。また、BCPとは災害の最小化ではなく、災害後の早期の事業復旧を目的としており、自然災害以外の多様なリスクにも対応できる特徴を持っています。
  • BCPには、企業価値の向上、CSRの向上、企業の問題点・課題の発見というメリットがあります。策定には法的義務はないが、策定しない場合には企業生命が絶たれることによる従業員遺族や取引先からの訴訟リスクが存在します。
  • BCPを策定する方法には自社独自方法と国際規格の認証を受ける方法があるが、対外的な信用度を得やすい国際認証を受けるケースが増えていくことが予測されてます。
  • BCPを実行に移す場合、「BCP発動フェーズ」、「業務再開フェーズ」、「業務回復フェーズ」、「全面復旧フェーズ」の順で展開されます。
  • BCP(事業継続計画)策定・運用のポイントには、「取引先との連携」、「従業員全員参加型の取り組み」、「BCPの戦略的活用」が重要です。

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