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2019年1月11日(金)更新

人件費

人件費は企業の「人」に関係する費用であり、総コストの大部分を占めます。収益性への影響が大きいため、適切な人件費率になるようコントロールすることが重要です。また、投資の側面もあるため、削減とのバランスが求められます。この記事では、人件費の概要や人件費率の計算方法を紹介するほか、注意すべきポイントについても解説します。

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人件費とは

人件費とはその名称の通り、企業の「人」に関係する費用全般を指しており、人の労働に対して支払われる経費とも表現できます。

ここでの「人」には経営層や社員はもちろん、契約社員やパートも含まれます。

人件費の管理が重要な理由

人件費は従業員にとっては貰える賃金ですが、企業経営においてはコストとなります。

人件費がどの程度かかっているかを把握しておくことは、経営管理上重要なポイントとなります。なぜなら人件費が企業全体の費用に占める割合は高く、収益性に大きな影響を与えるからです。

経営者は適切な人件費のコントロールが求められ、特に売上が低迷して利益が圧迫されている場合は、人件費の削減に踏み切る判断を視野に入れる可能性も出てきます。

人件費の代表的な勘定科目

人件費には「給与手当」だけでなく、福利厚生費や退職金も含まれます。ここでは、代表的な人件費についてご紹介します。

給与手当

人件費と聞いて、最初に思い浮かべるのが給与手当ではないでしょうか。会社の従業員に対する毎月の給料や残業手当などの諸手当を指しています。また、通勤定期代などの現物支給も給与手当に含まれます。

賞与

賞与は夏や冬に会社が支給するボーナスのことで、人件費に該当します。賞与も前述の給与手当に含めてしまう場合もあります。

役員報酬

取締役や監査役などの役員に支払われる報酬は「役員報酬」と言い、従業員に支払われる給与とは区別されています。役員報酬を決める際には、一般的に株主総会による決議が必要となります。

給与と役員報酬を区別している理由としては、「損金」として扱うことができるかどうかが変わってくるためです。損金は収益から差し引くことのできる費用であり、損金が大きければ支払う税金を小さくすることができます。

給与は原則として全額損金になりますが、役員報酬は原則として損金として扱われません。

福利厚生費・法定福利費

会社が従業員に提供する社員旅行や食堂、結婚・出産時のお祝い金などの福利厚生は、「福利厚生費」として人件費に含まれます。

また、健康保険や厚生年金保険などの社会保険、労災保険や雇用保険といった労働保険は、会社が一部または全額を負担する義務があります。負担義務が法律で定められているため「法定福利費」とされ、こちらも人件費に該当します。

退職金

役員や従業員が退職する際に支払う「退職金」も、大きな人件費となります。退職金は過去の労働に対する慰労金という側面が強いです。

退職金に関しては、役員も損金とすることができます(ただし、損金に算入する時期は従業員の退職金と異なる)。

人件費・人件費率の計算方法

ここでは、実際に人件費や人件費率をどのように算出するのかについて解説します。

人件費の計算方法

社員1人当たりの概算の人件費を考える際には、社員に支払う給与手当だけでなく法定福利費なども含めて計算する必要があります。

法定福利費は厳密には健康保険料率などによって異なってきますが、おおよそ給与の16%程度です。

さらに残業手当や退職金を考慮して、一般には「 給与×1.2~1.3 」が概算の人件費として予算時などに扱われます。

人件費率の計算方法

人件費を見る際に「人件費率」という重要な指標があり、売上高に対する人件費の割合を示すものです。

人件費率(売上高人件費比率)=人件費÷売上高

人件費率が高ければ、その企業経営にとって人件費の負担が重く、小さい場合には軽いと読み取ることができます。

最適な人件費率の目安

健全な経営が可能であるならば、もちろん人件費率は低ければ低いほど良いと言えます。ただし、業種・事業領域によって、最適な人件費率の目安は異なります。

例えば、小規模の飲食店の場合には、人件費を30%以内に抑えるべきと言われています。仮に毎月の売上が150万円の場合、人件費は45万円以内に抑えるという計算になります。

同業種の企業の人件費率を参考に、自社の人件費を見直してみると良いでしょう。

人件費を考える際のポイント

人件費について考える際、留意しておくべきポイントがいくつかあります。ここでは人件費の固定費・変動費の捉え方、消費税の扱い、削減と投資のバランスについて言及します。

人件費は固定費か変動費か

管理会計において費用を変動費と固定費に分類(固変分解)する際、人件費はどう分類すべきかを検討します。基本的には大部分が固定費となりますが、その性質によって変動費にもなり得るのです。

  • 変動費
    販売量や生産量と連動して変化するコスト
  • 固定費
    販売量や生産量の増減に関わらず、一定して発生するコスト

人件費で変動費として扱われる可能性があるものとしては、例えば、残業手当が挙げられます。

変動費・固定費の分類を検討する際には、その費用が「自社にとってどのような性質を持っているのか」に注目することが重要です。

【関連】固定費と変動費の違いや分類方法、固定費の削減方法まで解説/BizHint

人件費に対する消費税の扱い

人件費に対する消費税の考え方も気をつけるべき点です。正社員・契約社員・パート・アルバイト・外注・労働者派遣などの働き方によって、消費税が課税されるかどうかが変わってきます。

まず従業員(正社員・契約社員・パート・アルバイト)に支払う給与・賃金には、消費税はかかってきません。その理由として、国税庁は「雇用契約に基づく労働の対価であり、『事業』として行う資産の譲渡等の対価に当たらないから」としています。

【参考】国税庁:課税の対象とならないもの(不課税)の具体例

外注費の場合、業務の一部を外部の業者に委託した場合に支払う費用です。そのため、基本的には消費税がかかってきます。

また、派遣社員を雇う場合には、派遣先に費用を支払う際に消費財が課税されます。派遣元企業と派遣先企業間での契約となり、「労働者」という商品を売り買いしているため、消費税がかかると考えると分かりやすいです。

人件費は投資の一面も。削減とのバランスをとる

人件費は費用の大部分を占めるコストであるため、もちろん削減を行うことは重要ですが、特に人件費については慎重に検討する必要があります。

「人財」という表現がされるように、企業が継続的に発展していくためには、優秀な人材を確保し続けることが肝要となります。今後の日本は少子化・人口減がさらに進むため、優秀な人材の確保はますます難しくなっていくでしょう。

AIの発展によって単純作業や規則的な作業から代替されていくとはいえ、まだまだ人間の能力が必要です。

こうした少子化が進む中では、人件費は「コスト」という一面だけでなく、「投資」であるという捉え方がより必要になってくるでしょう。人件費を縮小・削減によって、優秀な人材の流出や社員のモチベーション低下が起きてしまうと、削減による効果よりも痛手を被ることになります。

優秀な社員を雇い続けるためには、全社員の給与を一律で上げればいいかと言うとそう単純ではありません。業務内容に基づく適切な人事評価制度のもと、優秀に人材には適切な給与を与えることが重要となります。

まとめ

  • 人件費とは企業の「人」に関わる費用です。代表的な勘定科目としては、給与手当・賞与・役員報酬・福利厚生費・法定福利費・退職金が挙げられます。
  • 一般的に企業の総コストに占める人件費の割合は高いため、企業経営においては収益性の観点から人件費の最適化が重要となります。
  • 最適な人件費率の目安は業種により異なります。
  • 人件費を考える際には、固定費・変動費の分類や消費税の扱い、削減と投資のバランスなどを注意することがポイントです。

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