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2018年12月20日(木)更新

財務管理

財務管理とは企業の健全な成長のために必要な資金調達や資産運用を行うことです。経営者は財務管理を通じて自社の財務状態を正確に把握することで資金ショートなどのリスクを避け、適切な戦略立案を行うことができます。この記事では財務管理の基礎からその目的、対象となる業務とスムーズな遂行に当たってのポイントを解説していきます。

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財務管理とは

財務管理とは、企業が健全に成長するために必要な資金や資産の管理を行うことです。広義には経営管理の一種とも考えられており、人材の管理を労務管理、在庫の管理を在庫管理と呼ぶのに対し、お金の管理をするのが財務管理ということもあります。また、そのことから財務管理のことを英語では「Financial management」とも呼びます。

経営者は、財務管理を通じて自社の置かれている財務状況を正確に把握し、手元のキャッシュの量を確認しながら、来期以降の戦略をより正確に組み立てることができます。

財務管理を行う目的

財務管理の目的は、事業の元手となる資金を集め、運用を通じて得られる収益を元にして経営指標をさらに高めていくことにあります。

より詳しくは後述しますが、財務管理はそのことから対象業務として買収先の企業価値の算出や資金の運用なども含まれることがあり、扱う業務範囲が多岐にわたるのが特徴です。

また、上記の目的の関係上、財務管理は企業のリスクを管理することも役割としています。具体的には事業に必要となる資金を常に確保することで資金ショートを防ぎ、黒字倒産を防ぐのはもちろん、災害時に使える資金を手元に確保しておくことでリスクに対応することも財務管理における重要な役割の一つとして考えられています。

財務会計や管理会計との違い

財務管理とよく似た言葉としてあげられることの多い財務会計と管理会計ですが、この2つと財務管理では目的とする事柄が異なります。

管理会計は社内で使用することを目的とした会計であり、各事業のデータを収集・分析することで差異があれば、軌道修正をするために行います。その性質から管理会計は内部報告会計と呼ばれることもあり、基本的に作成の義務はありません。

また、財務会計については企業の利害関係者に対して営業活動の成果を報告するために行われるものです。こちらもその性質から外部報告会計と呼ばれていますが、作成の義務があるという相違点があります。

対して、財務管理は作成された決算書を元に資金調達や資産運用などをすることに重きを置いており、得られた利益を元に経営指標をさらに高めることを目的としています。

財務管理の対象業務

財務管理の対象となる業務は、「実体的財務活動」と「総合的財務活動」の2種類に分類されます。ただし、財務管理はその目的や性質上、企業の置かれている状況ごとに力を注ぐべき事柄が異なるため、会社ごとに行っている業務が異なるのが実情です。

そのため、ここでご紹介する一般的な対象業務以外にも、会社によっては企業価値の算出やM&Aなどが業務に含まれることもあります。

決算書の作成

決算書の作成は財務管理における最も基本的な業務の一つです。財務管理を行う上ではまず、現在の自社の財務状況を正確に把握するための決算書を作成します。経営者はそれらの情報を元に経営戦略を立案することで、より実現性の高い計画を立てることができると考えられています。

また、財務管理における決算書の作成理由はそれだけではありません。企業は銀行や株主に向けて自社の財務状況や収益性を正確に伝えることで、市場から事業に必要な投資をさらに募ることができます。

このように、財務管理における決算書の作成とは単なる財務分析のためのツールというだけでなく、さらなる資金調達のためのツールとしての側面も持ち合わせています。

財務分析

作成した決算書に分析を加えて自社の展開する事業や資本関係の強み・弱みを浮き彫りにします。財務管理の担当者は各分析結果を元に、資金調達などの計画を立てて実行することになります。

財務分析の手法には様々な手法がありますが、最もポピュラーなものには次のようなものがあります。

収益性分析

売上高総利益率=売上総利益÷売上高×100

売上高に対する各種利益を計算することで事業の収益性を分析します。業種ごとの利益率などと比較することで市場における自社の優越性を知り、各種費用を見直すことができます。 主な計算方法は以下となります。

  • 売上高総利益率=売上総利益÷売上高×100
  • 売上高営業利益率=営業利益÷売上高×100
  • 売上高経常利益率=経常利益÷売上高×100

生産性分析

生産性分析では、売上高に対する付加価値の大きさを計算していきます。この場合の付加価値とは外部から購入した資材を元に企業独自の加工を施して販売し、得られた利益のことを指しています。

付加価値の計算方法については日銀の提唱する加算法や業界ごとに提唱されている方法など様々なものがありますが、最もポピュラーなのは中小企業庁の提唱する控除法です。控除法では付加価値は次のように求められます。

付加価値額=売上高―外部購入価値

ここで求められた付加価値を次の式に代入することで、労働者一人当たりの生産性を求めることができます。

労働生産性=企業全体の付加価値額÷従業員数

計算の結果、求められた数値が高い場合は、企業の労働生産性が高いことを表しています。人を投入することで得られたリターンが大きいことから、財務管理の担当者は従業員の給与アップや市場からさらなる人材の調達を検討することが必要となります。一方、労働生産性が低い場合は、人材投入に対する付加価値創出の割合が低く、計画の変更や人員整理などを検討する必要があると判断できます。

付加価値は、労働生産性を求める以外にも、次の式に代入することで付加価値率や労働分配率を求めることもできます。

付加価値率=付加価値額÷売上高×100** 労働分配率=人件費÷付加価値×100**

付加価値率は自社の生産力の高さを、労働分配率は付加価値における人件費の割合を表しています。

特に労働分配率については人件費を決定するための要素ともなるため、算出しておくようにしましょう。

安全性分析

安全性分析では資本の調達構造を明らかにすることで財政状態の健全性を分析します。分析の方法には「自己資本比率」と「負債比率」を求める方法の2種類がありますが、どちらも資本の調達構造を表しているものであるため、どちらで求めても問題ありません。ここでは負債比率の計算方法をご紹介します。

負債比率=他人資本(負債)÷自己資本×100

負債比率は返済義務のある他人資本と自己資本のバランスを表しています。基本的には1を下回ること、つまり、無借金経営であることが望ましいとされています。

ただし、不動産販売や掛け販売などの業種では多額の運転資金を必要とすることから負債比率の適切な数値については業種ごとに異なるともいわれています。客観性を担保するためにも収益性分析と同じく同業他社との比較をするようにしましょう。

成長性分析

成長性分析をすることの目的は単に自社の成長傾向を把握するというだけではなく、将来的な売上予測を正確に立てるため、あるいは費用を適切に管理するためなど多岐にわたります。

売上高成長率=(当期売上高÷前期売上高-1)×100** 営業利益成長率=(当期営業利益÷前期営業利益-1)×100**

例えば、自社の売上高成長率と営業利益の成長率を比較すれば、売り上げをあげるためにかかった費用の変化の割合を求められます。もし、売上成長率に対して費用の変化率の方が高ければ、何らかの費用が売上高の成長率以上にかかってしまっているという意味です。この場合、担当者は製造原価や販売管理費などといった販売にかける費用を見直す必要性があると判断することができます。

純資産増加率=(当期純資産-前期純資産)÷前期純資産×100

また、過去数年分の純資産増加率を求めれば、自社資本の増減率を求めることもできます。

純資産は総資産から負債分の金額を差し引いた資産であり、実質的な企業規模を表しています。そのため、この部分の数値がマイナスとなっている場合には、財務管理の担当者は何らかの方法による自己資本の強化策が必要だと判断できます。

資金管理

資金管理は財務活動において特に重要な業務の一つです。企業の短期資金と長期資金、それぞれを管理することで資金ショートを防ぎ、黒字倒産などのリスクを回避することが求められます。

短期資金とはその名の通り、企業が短期的に必要とする資金のことです。多くの場合は事業の運転資金などが該当し、資金管理の担当者は短期的な資金需要を確保するために借入や手形の割引などといった手段の検討が必要です。

対して、長期資金とは新規の設備の購入や古くなった設備の刷新、関係先への出資などが該当します。長期資金の確保のために外部からの資金調達や内部留保の放出といった手段の検討が必要です。

資金管理では、これら短期と長期それぞれの資金需要に対して、多種多様な組み合わせの中から自社にとって最適なものを選んで計画を立て、実行することが求められます。業務の遂行に当たっては、資金管理の担当者は資金繰り表や資金運用表、資金移動表など各種の資金表を作り、資金の流れと残高の両方を適切に管理することが必要です。

利益管理

財務管理では企業の収益性に関する事柄も対象業務としており、「利益を収入」と「費用」の2つの側面から管理します。

収入に関する事柄では、商品ごとの売り上げ予測を立てて実際の売り上げと比較することで、その後の販売計画の修正や商品開発を検討します。

一方、費用については、費用別に発生する金額を算出して各部署や部門に割り振ることで、商品や部門ごとの原価を割り出します。費用に関しても実際の値と予測値を比較し、数値に差異がある場合は適切な対応が求められます。

財務管理を円滑に進めるためのポイント

最後に、財務管理を円滑に進めていくためのポイントをいくつかご紹介します。

各部署との連携

財務管理の基本となる決算書の作成には取引の仕分けや製造原価、売上予想のために必要となる情報が不可欠です。そのため、財務管理をスムーズに行うためには元データを提出する各部門・部署との連携が特に重要視されています。

また、提出されたデータについてもその情報が正確であるかどうかの裏打ちも欠かせません。可能であれば、決算書は年次単位ではなく、月次単位で作成することが望ましいことも加味すれば、小まめに顔を合わられる関係作りや体制作りをしておくことが望ましいでしょう。

適切なリスク管理

財務管理をスムーズに行うためにはその時々に応じた適切なリスク管理をすることも重要です。最も身近なリスクの具体例として資金ショートによる黒字倒産がありますが、企業にとって避けるべきリスクはそれだけではありません。

予定していた資金調達が滞りなく行えるかを確認することはもちろん、突発的な災害時に使える資金を確保しておくことや計画失敗時のリスクヘッジを用意しておくことも財務管理をスムーズに行ううえで重要です。

時に財務活動における失敗は、営業活動の失敗以上に企業にとって深刻なダメージを及ぼす原因となることもあるため、常に健全な財務状態を社内で定義し、費用や投資額は適切かどうかを管理するようにしましょう。

システムの活用

財務管理をスムーズに行うためにはシステムを活用することも重要です。システムの導入は費用こそかかるものの、各種の財務取引や銀行の残高などといった財務情報を一元的に管理できる点がメリットです。

これらのシステムを活用することで高度な分析をできるのはもちろん、作成したデータをすぐに全社に共有できる体制を整えることで、報告にかける時間を減らし、さらなる利益創出のために時間を使うことができます。

まとめ

  • 財務管理とは、企業が健全に成長するために必要な資金と資産を管理することです。
  • 財務管理の対象業務は多岐にわたり、会社によっては企業価値の算出なども含まれます。
  • 財務管理がスムーズに遂行するには、他部署との連携や適切なリスク管理、システムの導入が重要なポイントとなります。

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