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2018年11月18日(日)更新

シナジー効果

消費者・市場ニーズの多様化・複雑化により、企業は今まで以上に新たな価値を生み出す必要があります。そのため、企業は複数の事業を立ち上げ、シナジー効果を得ることで収益の拡大を図る経営多角化戦略に取り組んでいます。今回は経営多角化戦略で得られるシナジー効果の意味や事例、その効果、実現方法から成功ポイントまでご紹介いたします。

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シナジー効果とは?

経営を担う方であれば、必ずといっていいほど耳にするシナジー効果。経営者だけでなく、管理職や経営幹部候補生にとっても重要なビジネス用語のため、意味や必要性をしっかり押えておく必要があります。

シナジー効果の意味とは?

シナジー効果とは、相乗作用による効果という意味で使われます。ビジネスシーンでは企業同士の事業提携や協業、または企業内での事業同士、グループ企業内の企業の事業が協働することで得られる相乗効果を指すビジネス用語です。

シナジー効果には、新規顧客の獲得やサービス向上、共通する業務の一本化によるコスト削減などが挙げられます。企業による経営多角化戦略やM&Aとも密接に関連しており、例えば、垂直型M&A(製造と販売の一本化など)は、企業同士の弱点を相互補完して、得られるシナジー効果を目的に実施される経営戦略です。

シナジー効果が求められる理由とは?

企業が経営多角化戦略やM&Aに乗り出し、シナジー効果を求める理由のひとつとして、企業価値の向上が挙げられます。企業価値を測る評価基準として、株価指数があります。経済がグローバル化しビジネス課題が高度化・複雑化する中で、将来の会社の方向性を見出し、新たな収益軸となる将来の事業を手掛けることは、日本の株式市場においては好材料と判断されます。積極的に経営多角化戦略を打ち出し、M&Aを行う企業は株価指標が高くなる傾向がある論評する専門家もいます。

そして、もうひとつの理由が企業の競争力の向上です。消費者や市場ニーズが多様化する中で、企業がひとつの事業を続けることが難しくなっています。また、技術革新による破壊的イノベーションにより、経営資源の選択と集中を行なってきた市場を奪われる危険性が高まっています。

そこで、企業は自社が持つ競争力を高めるためにもシナジー効果が期待できる経営多角化戦略やM&Aを積極的に取り組む傾向になります。シナジー効果は1+1=2ではなく、1+1=3以上の効果を生み出します。また、シナジー効果を発揮させることは安定的かつ強固な財務基盤を築くことにもつながるため、企業の持続的成長にもつながります。

アナジー効果とは?

シナジー効果の反対語として使われる経営用語で、アナジー効果というものがあります。アナジー効果とは、事業間におけるマイナス効果、またはそれぞれの事業の価値の合計よりも下回ることを意味するビジネス用語です。

経営多角化戦略やM&Aによる経営戦略はシナジー効果を得やすい反面、組織拡大による意思決定スピードの遅れや企業ガバナンスの弱体化、異なる人事・評価制度の乱立などによって、アナジー効果が発生しやすい傾向にもあります。そのため、シナジー効果を目的とした経営戦略を行う際は、アナジー効果を排除するように徹底した組織改革と業務改革が必要です。

シナジー効果の実現方法

シナジー効果を得るには、「M&A」、「グループ一体化経営」、「経営多角化戦略」、「事業提携」の4つの実現方法が挙げられます。

M&Aによるシナジー効果の創出

M&Aとは、企業の買収及び合併を意味する経営用語です。M&Aのメリットは、主に市場支配力、市場効率性、税の控除の3つで、これらの要素を基にシナジー効果を発揮します。具体的には、市場支配力では仕入れのコスト削減が、市場効率性では生産性向上による新たな価値の創出が、税の控除では事業譲渡における消費税控除や繰越欠損金の特例(いずれも条件が存在します)が挙げられます。

M&Aは時間的・費用的にもメリットが多く、高いシナジー効果を創出する実現方法として活用されています。M&Aには、生産者余剰・消費者余剰の解決を目指した上流・下流の一本化を図る垂直型M&Aと、既存事業と関連のない分野を手掛ける企業を買収するコングロマリット型M&Aがあります。

グループ一体経営によるシナジー効果

共通する消費者を有するグループ会社が複数存在する場合、グループ一体経営を行なうことで経営のスリム化を目指すことができます。共通するニーズを持つ顧客へのアプローチの強化や、共通業務の一本化によるコスト削減が可能です。金融業界にはさまざまな事業が存在しますが、共通する業務やノウハウも多く、グループ一体経営が最適とされています。同業種の事業が集約することは、スケールメリットが生まれやすくなります。

多角化戦略によるシナジー効果

多角化とは、企業の総合的な売上・収益を向上させるために、主力事業とは別の分野に進出し、シェアの獲得及び拡大を目指す経営戦略です。多角化には、水平型多角化戦略、集中型多角化戦略、垂直型多角化戦略、集成型多角化戦略の4つに分類でき、自社にあった戦略を構築できます。中でも水平型多角化戦略は自社が持つ技術を基に新たな市場を開拓させる有効な手段であり、経営資源の有効活用によるシナジー効果が期待できます。

【関連】「多角化」の意味とは?多角化戦略の分類、メリット・デメリット、成功要因から事例までご紹介 / BizHint HR

事業提携によるシナジー効果の創出

異なる商品・サービス、技術を持つ企業同士の事業提携は、お互いの企業価値を高め、ノウハウを共有することで、高いシナジー効果を得ることができます。お互いの事業を提携することで相互補完が可能となり、それぞれの経営課題を解決することができます。特に経営ノウハウの共有化は、海外市場への進出や生産性の向上などに高いシナジー効果を発揮することができます。

日本企業におけるシナジー効果の事例

1990年代後半以降、日本企業も経営多角化戦略やM&Aを積極的に実施するようになってきました。

その中には、優れた経営戦略を打ち出し、高いシナジー効果を発揮している企業も少なくありません。今回は優れたシナジー効果を発揮した企業例をご紹介いたします。

ソフトバンクのM&Aによるシナジー効果

1981年にパソコン用ソフトの流通事業を開始した株式会社ソフトバンクは、2004年7月に日本テレコム株式会社に対してM&Aを実施。法人営業の強化により、国内通信事業の収益拡大に成功しました。その後、携帯電話事業を手掛けるソフトバンクの前身であるボーダフォン株式会社、検索サイト大手のヤフー株式会社などを次々とM&Aを実施し、企業価値そのものを大幅に向上させています。

【参考】株式会社ソフトバンク 沿革

みずほファイナンシャルグループのグループ一体経営によるシナジー効果

みずほファイナンシャルグループは、2011年にみずほ銀行とみずほコーポレート銀行の合併を発表しました。「顧客の利便性向上」、「トップライン(粗利益)の増強」、「経費削減」、「グループ経営の効率化」の4つに注力し、それぞれのシナジー効果によるグループ収益の最大化を目指しています。現在は信託・証券の連携による売上の向上、人員のスリム化、システム共通化などによる経費削減を実現しています。

【参考】みずほファイナンシャルグループ グループ一体経営とシナジー効果

セブン&アイ・ホールディングスの多角化戦略によるシナジー効果

グループ売上が10兆円を超えるセブン&アイ・ホールディングスは、集客力の高いセブン・イレブンやイトーヨーカードーにATMのセブン銀行を設置することで、強力なシナジー効果を発揮させています。セブン&アイ・ホールディングスが手掛けるセブン銀行はATMの利用手数料に特化した銀行業務を中心にしており、財務基盤の安定化を実現しています。

【参考】セブン&アイ・ホールディングス グループ会社

ビックカメラとユニクロの事業提携によるシナジー効果

新宿の新しい名所としても注目された家電量販店大手ビッグカメラとアパレル大手ユニクロによる「ビックロ ユニクロ新宿東口店」をオープン。双方のノウハウを共有し、シナジー効果による顧客獲得と収益拡大、経費削減を目的にした事業提携として知られます。

【参考】株式会社ユニクロ プレスリリース

シナジー効果によって得られるものとは?

シナジー効果は、企業にさまざまなメリットを生み出し、会社の安定的かつ継続的な成長をもたらしてくれます。今回はシナジー効果で得られる効果の具体例をご紹介いたします。

組織マネジメントの強化

企業が実施する経営多角化戦略やM&Aは、重複する業務を統一することができ、コスト削減が可能となります。しかし、適切な統合ができなければ意思決定に遅れが生じ、アナジー効果を発生させてしまいます。そこで組織を円滑に運営するためにも、戦略、組織、システムを統合・強化できる組織マネジメントの実施が求められます。

企業同士のノウハウを共有することで、高いシナジーを発揮させることができます。そのため、組織マネジメントが最適化され、結果的に組織としての力を向上させることができます。

【関連】「組織マネジメント」とは?意味や基本知識、スキル、解決可能な課題や研修までご紹介 / BizHint HR

販売促進による売上の強化

経営多角化戦略やM&Aによるシナジー効果として、販売促進による売上の強化が挙げられます。企業間で事業提携を行なうことで共通する市場、消費者に対して、商品(製品)・サービスの拡充が可能です。その他、営業・接客のノウハウ、商品(製品)・サービスの開発力、シェア拡大による市場・価格支配力のアップ、ブランド力の活用、会社の知名度・信用度の向上などのシナジー効果は、売上に直結します。

経営資源のコスト削減

企業の統合に伴う人事・総務・法務などのコーポレート機能の一本化、業務内容のノウハウ共有、仕入れ・販売・製造・物流によるコスト削減が可能です。その他にもシステムの共通化や研究・開発の人員削減と効率化によってもコスト削減が実現できます。コスト削減により、経営資源の余剰は人員の再配置や商品(製品)・サービスの価格帯に反映させることができます。グループ一体経営は、主に経営資源のコスト削減のシナジー効果を目的として実施されます。

資金調達力の向上

M&Aによる企業統合は、財務基盤の強化につながります。資本金が高まることで、借入余力が高まり、融資を受けやすくなります。このように資金調達力の向上は多角化を展開しやすく、将来、収益となる主力事業を成長させるきっかけともなります。

その他のシナジー効果として、新規開発に必要な技術力の獲得、事業リスクの分散などが挙げられます。

シナジー効果を発揮させるための成功ポイントとは?

シナジー効果を得るためには、経営多角化戦略やM&Aが欠かせませんが、シナジー効果を発揮させる成功ポイントを押えることも大切です。

PMI(統合)の徹底

PMIとは、Post Merger Integrationの略であり、合併後の統合を指すビジネス用語です。また、M&Aの3割は失敗するといわれており、その原因のひとつがPMIの見通しの甘さと指摘されています。買収や統合後の統合プロセスを明確化にし、中長期的なマネジメント体制を構築・推進していく必要があります。

経営統合、業務統合、意識統合の3つのポイントを押え、それぞれに適した統合プロセスの策定・実施することが大切です。特に海外企業を買収する際は、英語の共用化やグローバル人事の構築による統合が必要となります。

【関連】PMIの意味とは?M&Aの鍵を握るキーワード / BizHint HR

事業計画の早期立案と実行

M&Aを成功に導いた企業の多くが事業計画の達成を果たしており、その成果の大半が経営多角化戦略やM&Aが生み出したシナジー効果によるものとされています。

そのため、会社の将来性や方向性を見出し、早い段階から経営多角化戦略やM&Aを含む綿密な事業計画を作り出す必要があります。また、M&A後に作成した事業計画を適切に実行することも大切です。

M&Aのタイミング

M&Aによるシナジー効果のひとつに、企業価値の向上があります。M&A実施の前は、企業価値が低くても市場ニーズが高まるにつれて、企業価値が高まる可能性があります。そのため、買収側も買収される側も市場ニーズの変化を見極め、お互いに有利な条件でM&Aを行なうことが大切です。

経営統合や買収のタイミングをしっかりと把握することは企業価値の最大化につながるので、経営者には適切なM&A実行のタイミングを見極めなければいけません。

リスクの事前検討

シナジー効果を得るための有効な実現方法であるM&Aには、さまざまなリスクが存在します。リスクを適切に把握しておかないと、想定を下回るアナジー効果を誘発してしまいます。また、お互いの財務情報を把握しておかないと債務超過による大規模な損失を被る可能性もあります。

その他にも数値で測ることができない社員のモチベーションの維持、人材流出、社員の雇用維持や報酬制度の変更、企業文化の不適合などもリスクとして想定できます。共通する業務の一本化やシステムの共通化の可否も、事前に検討しておくべきリスクと位置付けることができます。

まとめ

  • 企業が持続的に成長していく上で、企業同士または複数の事業によるシナジー効果が欠かせません。
  • 経営者にとって、経営多角化戦略やM&Aによる事業領域の拡大は、経営戦略の基本となっており、自社にとってどんなシナジー効果が得られるかを入念に検討する必要があります。

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