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2019年2月12日(火)更新

執行役員

取締役や監査役などの役員のほかに、「執行役員」と呼ばれる役職の方がいる会社も少なくないのではないでしょうか。今回は、執行役員と取締役などの他の役職との違いについて、その報酬や定年などにも触れながら解説していきます。

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執行役員とは

執行役員とは、取締役会の決定に基づいて業務の執行を行うポストのことをいい、部長や課長などと同じように社内外における敬称としての役職のことをいいます。

  • 敬称としての役職一例
    会長/社長/副社長/専務/常務/部長/次長/課長/係長 など

通常は管理部門や、各事業部門を統括する者として執行役員が置かれるケースが多く、その位置づけは従業員のトップとなりますが、あくまでもその立場は「従業員である」という部分に特徴があります。

役員の意味の違い

執行役員は、取締役や監査役などの他の役職と同じように「役員」といわれることが多く、混同されることが多いですが、他の役職とは違いがあります。

ここでまず大事なのが役員の意味の違いです。役員の意味は、会社法上で利用される役員と、一般的に利用される役員の2つの考え方があります。

会社法上で利用される役員

会社法上では、「取締役」「会計参与」「監査役」が役員と定められています。 また会社法施行規則では、これに加え「執行役」「理事」「監事その他これらに準ずる者」が役員であるとされています。

したがって、 会社法上での役員は、「取締役、会計参与、監査役、執行役、理事、監事」を指しており、執行役員は含まれません。

なお、執行役は、委員会設置会社において取締役会の意思決定に基づいて業務執行を担当する役員のことをいい、執行役員とは違うため注意が必要です。

【参考】電子政府の総合窓口(e-Gov)/会社法:329条(選任)
【参考】電子政府の総合窓口(e-Gov)/会社法施行規則:2条(定義)第3項第3号

一般的に利用される役員

一般的に役員といわれるときは、上記の会社法の役員に加え、執行役員も含まれて解釈されていますが、執行役員は会社法上での役員ではありません。

取締役との違い

冒頭でも述べたように、執行役員は取締役会の決定に基づいて業務の執行を行うポストであり、取締役のように経営権や法律上の責任があるわけではありません。

会社法では取締役の役割及び責任として下記のように定めていますが、執行役員にはこのような役割と責任はなく、業務の執行について取締役から監督される関係性になります。

取締役の役割

取締役会設置会社においての取締役の主な役割については、会社法で定められています。

  1. 取締役会の構成員として重要な業務執行の意思決定(第362条第2項第1号)
  2. 会社の業務を執行する取締役の選定(第363条第1項2号)
  3. 他の取締役の業務の執行の監督(第362条第2項第2号)と3ヵ月に1回以上の職務の執行状況の報告(第363条第2項)

したがって、取締役の役割は、重要な意思決定と各々の取締役の職務の執行状況や使用人の業務の執行状況を監督し、会社の運営が適正に行われる体制を整備することであるといえます。

【参考】電子政府の総合窓口(e-Gov)/会社法:第362条(取締役会の権限等)、第363条(取締役会設置会社の取締役の権限)
【関連】役員とは?社員・執行役員・役職との違い、その種類や選出のポイントまでご紹介/BizHint

取締役の責任

会社法では取締役の責任として、上記で述べたような取締役としての役割を怠ったとき(第423条第1項)、自己又は第三者のために会社と同種の取引(競業取引)を行ったとき(第423条第2項)、そして、自己又は第三者の利益となるような取引(利益相反取引)を会社と行ったとき(第423条第3項)会社に損害が生じた場合は、会社に対し損害賠償責任を負うとされています。また、原則として当該取引を行った取締役のみではなく、その取引を決定・賛成した取締役も監督の役割を怠ったとして任務懈怠責任を負うことになります(第423条第3項)。
さらには、第三者に対してもその職務を行うについて悪意(わざと行った)又は重大な過失(ダメだと知っていた)があったときは、取締役は当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明した場合を除き、第三者に生じた損害を賠償する責任を負うことになります(第429条第1項第2項)。

このように、責任面でも行為を行った取締役のみならず、他の取締役に対しても重い責任が課されます。

【参考】電子政府の総合窓口(e-Gov)/会社法:第423条(役員等の株式会社に対する損害賠償責任)、第429条(役員等の第三者に対する損害賠償責任)

取締役との兼務は可能なのか

結論からいうと、取締役と執行役の兼務は可能です。大企業では、明確に取締役と執行役を分けているケースが多いですが、中小企業では取締役と執行役を兼務している企業も多数あります。

兼務のメリットは、従業員の立場でもあるため従業員目線での意思決定が可能となること、取締役と執行役との間での情報伝達が不要のため迅速な意思決定が可能となります。デメリットは、自ら行った業務執行について監督をする必要があるため、監督機能が脆弱になる点が挙げられます。

執行役員制度を導入する目的

執行役員制度は、ソニーが1997年に初めて導入したことで有名です。当時、38人いた取締役のうち、7人のみを社内取締役として残し、執行役員制度を導入しました。

執行役員制度導入の目的は、取締役の本来の役割である「重要な業務執行の意思決定」及び「その執行の監督」を果たすことです。業務の執行を執行役員に任せることで、議論を行う取締役の人数をしぼり、取締役会の活性化及び、会社全体の方針決定と監督機能の強化を図ることを狙いとしています。

執行役員制度を導入するメリット

執行役員制度を導入するメリットは下記のものが挙げられます。

  • 取締役会の活性化及び会社全体の方針決定と監督機能の強化を図ることができる。
  • 執行役員は担当業務の業務執行権限を有することから、実務レベルでの意思決定を迅速に行うことができる。
  • 業務執行に関し、業務執行機能に対する責任と業務執行の監督機能に対する責任を明確に区別できる。
  • 社内取締役の人数が減ることから、社外取締役による監督機能の強化につながる。
  • 執行役員は会社法上の役員ではないことから、会社法の規定に基づく損害賠償責任は追及されない。
  • 執行役員として経験を積ませることで次期取締役の育成につながる。

執行役員制度を導入するデメリット

執行役員制度を導入するデメリットは下記のものが挙げられます。

  • 執行役員への業務執行権限の委譲が十分に進まないと取締役会の決定を待つことになり、意思決定が遅延化する。
  • 場合によっては一部の取締役に権限が集中する結果となってしまう。
  • 執行役員制度導入時に取締役と執行役員になる者をしっかりと選別せずに、従来の役付(常務・専務等)取締役だけを取締役とした場合は、実務面での意見を考慮した意思決定が行われない可能性が生じる。
  • 執行役員は会社法の規定に基づく損害賠償が追及されないため、取締役の責任が重くなる。

執行役員の定年について

執行役員はあくまでも身分は従業員であることから、その定年についても会社ごとに異なる定めを設けているのが一般的です。

定年退職制度がある企業については、従業員の定年については就業規則内で年齢や退職の時期が定められています。執行役員の定年についても、従業員の定年退職制度と同様の扱いと同様となります。また、執行役員以外は定年を60歳とし、執行役員は定年を65歳とするなど、異なる年齢を定めることも可能です。

執行役員の報酬について

最後に執行役員制度を採用した場合の、報酬について解説していきます。

執行役員は給与なのか、役員報酬なのか

執行役員は、取締役などの会社法上の役員とは異なり、株主総会で選任されるわけではなく、立場も従業員となるため、その報酬は他の従業員と同様に「給与」となります。

税務上についても役員は、①法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人と、②法人の職制上使用人としての地位のみを有する者以外の者で、その会社の経営に従事している者と定められています。

②について、執行役員が該当するかどうかですが、執行役員は取締役会における業務執行の意思決定権を持たないことから、会社の経営に従事しているとはいえないので、他の従業員と同様の取扱いとなります。したがって、その報酬についても法人税法上は損金として認められ、損金不算入として処理される「役員報酬」とは異なります。

【参考】国税庁:役員の範囲

報酬の勘定科目の書き方

執行役員の給与は「役員報酬」勘定ではなく、「給与手当」勘定で処理されますので注意が必要です。また、会社によっては執行役員とそれ以外の従業員の給与を区別するために、補助科目などにより執行役員と他の従業員を区別できるように集計しているので、必要であれば区別して集計しましょう。特に区別しなくても法律上問題はありません。

執行役員の報酬の相場

執行役員の報酬の相場については明確なものは存在しません。一般的には部長職の2割増し、3割増しと考えられている場合もありますが、これについても明確に定められたものはありません。

通常は各会社で独自の給与テーブルがあり、課長職や部長職等のテーブルを作成した場合と同様の考え方に従い、「従業員の最高位」である執行役員のテーブルも作成されます。執行役員の職責に応じて不平不満が生じないように慎重に検討しましょう。

まとめ

  • 執行役員とは取締役会の決定に基づいて業務の執行を行うポストのことで、取締役のように経営権や法律上の責任があるわけではありません。
  • 一般的に役員といわれるときは、会社法の役員に加え執行役員も含まれて解釈されますが、執行役員は会社法上での役員ではありません。
  • 執行役員は取締役との兼務が可能です。
  • 執行役員の定年は社内規程で定めることができます。
  • 執行役員の報酬は給与扱いとなります。

“***

<執筆者>
宇佐見 剛 公認会計士(合同会社UKトラストグループ

大阪市立大学商学部卒業。建設業系事業会社(経営企画室)で6年、経営コンサルティング会社で2年半の勤務経験を経て、2019年に「合同会社UKトラストグループ」に参加。

IPO全般に関する業務や予算作成、経理体制の構築等の会社の管理体制の建てつけに関する業務を多数経験。

***”

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