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2018年8月15日(水)更新

企業コンプライアンス

企業コンプライアンスは、もはやどの企業でも重要視されているものですが、法令だけではなく、社会的規範などの遵守も求められていることは十分に理解されていません。また、最近の違反事例のとおり、その推進体制が適切なものでなければ倒産に追い込まれる危険性もあります。経営者、担当者においては、いま一度、企業コンプライアンスへの理解、徹底が必要です。

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企業が守るべき「コンプライアンス」とは

コンプライアンスは、企業の不祥事が起こる度にその体制が問われることが多いですが、その意味するところは、法令遵守だけではありません。

また、企業が事業を継続していくうえで、コンプライアンスのほかにも重視しなければならない考え方がいくつかあります。

「コンプライアンス」の意味

コンプライアンス(compliance)を直訳すると、「法令遵守」という意味になりますが、今の日本においては、法令だけではなく、以下すべてを遵守しなければならないものと捉えられています。

  • 法令
    法令とは、国会が制定する法律と行政機関が制定する命令の総称ですが、名称にかかわらず拘束力のあるものすべてを含みます。
  • 就業規則や社内規程等
    社内の各規則、規程のほか、業務手順、マニュアルのような社員として守らなければならないものすべてを含みます。
  • 企業倫理や社会的規範
    法令には定められていないものの、社会的に求められる倫理規範や道徳規範のことを言います。企業に求められる倫理観や道徳観は、時代とともに変わっていくこともありますので注意が必要です。

【参考】企業のコンプライアンスと社会的責任(CSR)/独立行政法人 労働政策研究・研修機構

【関連】【弁護士監修】コンプライアンス違反を防ぐためには?/BizHint HR

コンプライアンスと関連する考え方

企業が事業を継続していくうえで、企業コンプライアンスとともに重視すべき考え方がいくつかあります。それぞれ企業価値の向上に目的を置いたもので、同義として使われることもありますが、考えるべき範囲や手段などは異なります。

CSR(企業の社会的責任)

CSR(Corporate Social Responsibility)を直訳すると、「企業の社会的責任」という意味になりますが、一般的には、法令遵守にとどまらず、社会や環境などへも配慮し、株主、顧客、従業員、取引先、地域住民などの利害関係者(ステークホルダーと言います。)に対して説明責任を果たしていくことで、企業価値の向上を目指す考え方のことを言います。

企業コンプライアンスはCSRの基礎となるもので、CSRの中に包含されていると考えられていますが、企業コンプライアンスも社会的責任を重視する傾向にあるため、同義に近いものになってきていると言えます。

【関連】CSRとは?意味(定義)や事項、メリット、作り方から企業事例までご紹介 /BizHint HR

コーポレートガバナンス

コーポレートガバナンス(Corporate Governance)を直訳すると、「企業統治」という意味になりますが、一般的には、企業の利害関係者(ステークホルダー)が経営者の利己的な判断を監視、牽制しながら経営をコントロールする仕組みのことを言います。

法令違反のない健全な経営を目指す点においては、企業コンプライアンスと共通しています。

【参考】中小企業の情報開示とコーポレートガバナンス)/中小企業庁
【参考】第176回産業セミナー 企業の社会的責任と会社法/関西大学

【関連】コーポレート・ガバナンスとは?意味や目的、強化方法をご紹介 /BizHint HR

内部統制

内部統制とは、金融庁の定義によると、〔業務の有効性及び効率性〕、〔財務報告の信頼性〕、〔事業活動に関わる法令等の遵守〕、〔資産の保全〕の4つの目的が達成されているとの合理的な保証を得るために業務に組み込まれ、組織内のすべての者によって遂行されるプロセスを言います。

そして、「〔統制環境〕、〔リスクの評価と対応〕、〔統制活動〕、〔情報と伝達〕、〔モニタリング(監視活動)〕及び〔IT(情報技術)への対応〕の6つの基本的要素から構成されるもの」とされています。

内部統制の目的には、「事業活動に関わる法令等の遵守」が含まれていますので、この点においては企業コンプライアンスと共通しています。

【参考】財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準のあり方について/金融庁

【関連】内部統制とは?意味や目的、メリット、実施基準をご紹介 /BizHint HR

リスクマネジメント

リスクマネジメントとは、企業の諸活動における様々なリスクを想定し、そのリスクを回避または損失を最小限にするように管理していくことです。

リスクマネジメントには、法令違反のリスク管理も含まれますので、この点においては企業コンプライアンスと共通しています。

【関連】「リスクマネジメント(リスク管理)」とは?手法・事例もご紹介/BizHint HR

企業コンプライアンスの社会的要請

企業コンプライアンスの考え方は以前よりあったものですが、2000年代に入ってから大企業の不祥事が続いたことを契機として、社会的にも企業におけるコンプライアンス体制の整備が求められるようになり、また、それは欧米においても同様であったため、各企業はコンプライアンスを重視していくようになりました。

規制緩和の推進

1980年代以降、政府は市場の活性化や経済成長を目的として、公的事業の民営化や規制を撤廃して民間企業の参入を促進してきました。

この規制緩和により、企業はこれまで以上の自由な競争が可能になりましたが、政府は2000年の行政改革大綱において、「規制改革(規制緩和から用語を変更)の推進にあたっては、国民の安全を確保する見地から、企業における自己責任体制を確立し、情報公開の徹底を図るものとする。」とし、自由競争の中での企業における自己責任体制の重要性を打ち出しました。

【参考】行政改革大綱(平成12年12月1日閣議決定)/内閣官房行政改革推進室(当時)

関係法の整備

各法律においても、企業コンプライアンス体制の整備を求めるものが多くなってきています。例えば、会社法や独占禁止法、公益通報者保護法などが挙げられます。

会社法

2006月5月に旧商法の会社に関する部分や商法特例法、有限会社法を統合する形で施行されたものですが、この法律では、資本金5億円以上もしくは負債総額が200億円以上の大会社には、株式会社の業務の適正を確保するための体制(企業コンプライアンス体制に近い考え方です。)の構築を義務付けています。

上記の資本金、負債総額を下回る会社については、委員会設置会社(会社法上の分類で、取締役会のなかに、指名委員会、監査委員会、報酬委員会の3委員会を設置している会社のことを言います。)を除いては、法的な義務はありませんが、内部統制を強化すべきという法律の趣旨からしても、大会社でなくても従うべきものと考えられています。

【参考】企業法務コラム第3回 内部統制システム構築義務と新会社法/中央大学

独占禁止法

2006年1月に施行された改正法では、カルテル(企業間で価格の調整を行うことなど)や入札談合などの違反行為事業者への課徴金(違反行為事業者に課される金銭的不利益のことで、罰金とは異なります。)の算定率を大幅に引き上げ、再度の違反には、さらに割り増しした算定率を適用することとしています。

また、違反行為を自ら申告した場合には課徴金を減免する制度を導入し、法令遵守体制を整備していることによる自己申告にインセンティブを設けています。

2010年1月に施行された改正法では、課徴金の対象となる行為類型をさらに拡大するなど、その後も改正が続いています。

【参考】独占禁止法改正の概要/公正取引委員会

公益通報者保護法

2006年4月に施行されたものですが、昨今の企業における不祥事の発覚が、企業内部者からの通報をきっかけとしていることが多いため、その通報した労働者を解雇などの不利益扱いから保護することを目的として制定されました。この法律についても、企業コンプライアンスを徹底させるために設けられたものであると言えます。

【参考】公益通報者保護制度/消費者庁

違反企業の増加

企業コンプライアンス重視の傾向が高まっている理由としては、違反企業の増加があります。一度、大きな法令違反を犯した企業は、そのことにより社会的信用を失い、倒産することも少なくありません。

図表1は、粉飾決算などのコンプライアンス違反による企業の倒産件数ですが、2016年度こそ前年度より減少しているものの2015年度までは毎年上昇傾向です。

【図表1】コンプライアンス違反倒産 件数推移

【出典】【(株)帝国データバンク】コンプラ違反倒産、過去2番目の高水準

図表2は、図表1を違反類型別に整理したものです。2016年度で最も多いのは、「粉飾決算」で79件、続いて、消費者勧誘時のトラブルなどを取り締まる特定商取引法違反などの「業法違反」として57件、役員による事業外での不祥事や悪質な支払い遅延などの「その他」として49件となっており、「その他」については過去最多となっています。

【図表2】コンプライアンス違反倒産 違反類型別 件数推移

【出典】【(株)帝国データバンク】コンプラ違反倒産、過去2番目の高水準

海外の動向

アメリカにおいては、2000年以降、粉飾決算による大企業の倒産(エンロン社が2001年12月、ワールドコム社が2002年7月に倒産)を契機に、コーポレートガバナンスが重視されるようになり、2002年7月には、監査の独立性の強化、コーポレートガバナンスの改革、情報開示の強化などを規定した、企業改革法(サーベンス・オクスリー(Sarbanes-Oxley)法、SOX(ソックス)法とも言われています。)が制定されています。

ヨーロッパにおいては、欧州連合(EU)が2001年7月に「企業の社会的責任(CSR)に関するグリーンペーパー(政策の提案)」を発出、2002年7月には先のグリーンペーパーを具体化した「ホワイトペーパー(決定事項を整理した白書)」を公表し、CSRを主導しています。

欧米では、法令遵守は当然のこととして、コーポレートガバナンスやCSRなどが議論になっているものと考えられますが、日本の企業がグローバル展開を考える際には、企業コンプライアンスを含めて、上記の動きに同調していく必要があります。

【参考】ガバナンスのグローバル・スタンダードが確立するまで/日本銀行
【参考】欧州における企業の社会的責任/公益社団法人 経済同友会

企業コンプライアンスの重要性

企業コンプライアンス体制の整備は、様々なリスクを回避または損失を最小限にするために必須のものであり、企業としての価値を向上させるものでもあります。

リスクの回避

前述のリスクマネジメントと共通の効果になりますが、法令その他を十分に理解、遵守することで、事業活動に伴う様々なリスクを回避することができます。また、問題が生じた場合でも、想定されるケースを分析しておくことで、損失を最小限に抑えることができます。

企業価値の向上

企業コンプライアンス体制の整備は、企業としての価値を向上させることにもつながります。具体的には次のような効果が期待できます。

  • 企業コンプライアンス体制をホームページなどで公表することにより、消費者をはじめとした利害関係者から、リスクの少ない企業として信用を得ることができる。
  • 積極的な環境活動や災害支援などの社会貢献活動を行うことにより、社会から評価を得ることができる。
  • 労働環境を整備することで、社員のモチベーション、生産性の向上が期待できる。

【参考】コンプライアンスで企業価値は向上するか/ChuoOnline

【関連】「企業価値」とは?企業価値の意味や評価方法、メリット、向上施策までご紹介 /BizHint HR

企業コンプライアンスの違反事例

企業のコンプライアンス違反で多く見られるものとしては、次の4つの類型が挙げられます。

  1. 不正経理(粉飾決算や脱税など)
  2. 製品に関する偽装(出荷をクリアするための検査データ偽装や食品の産地偽装など)
  3. 情報管理の不徹底(顧客の個人情報流失など)
  4. 不適切な労務管理(社員の労働時間管理を適切に行っていないなど)

これらは、企業として存続していくうえでも致命的なコンプライアンス違反になりますが、それぞれについての最近の事例をご紹介します。

不正経理

インターネット関連の会社であったライブドアにおける粉飾決算事件です。

同社は、2004年9月期連結決算で、実際には3億円の経常赤字であったにもかかわらず、売上高計上が認められない自社株売却益などを売上高に含め、53億円の経常黒字としたことで、2006年1月に社長のほか役員3名が逮捕されたものです。

粉飾決算の総額で言えば、東芝などと比べるとかなり少額ですが、2007年3月の裁判においては、損失額を隠ぺいする過去の事例とは異なり、飛躍的に収益を増大させて投資家を欺いた罪は重いとされ、社長は執行猶予もなく実刑を言い渡されました。(その後、控訴、上告を経て、2011年4月に確定)この事件を受けて、2007年9月に金融商品取引法(旧証券取引法)が施行され、有価証券報告書の虚偽報告やインサイダー取引などの罰則が強化されています。

そもそも、企業コンプライアンスは経営者が主導していくべきものですので、経営トップによる不正行為を防ぐことは容易ではありませんが、外部監査体制をより強化するなどの対策は必要です。

【参考】ライブドア事件、堀江被告に実刑判決 東京地裁/朝日新聞
【参考】堀江被告の実刑確定へ ライブドア事件/日本経済新聞

製品に関する偽装

自動車タイヤなどの大手メーカーである東洋ゴム工業の製品偽装事件です。

同社は、2007年11月に断熱パネルの性能偽装(必要とされる不燃物質の不使用)が発覚後、2015年3月には建物の揺れを抑える免震ゴムの性能データ改ざんも判明し、会長、社長ほかの経営陣が辞任に追い込まれました。その後も、同年10月にも鉄道車両などに用いられる防振ゴムの性能データ改ざん、2017年2月には船舶に用いられるシートリングについて必要な回数の検査を実施せずに出荷するなどの不祥事が続き、2016年12月期連結決算では、600億円以上の特別損失を計上し、最終損益は120億円を超える赤字に転落しました。

免震ゴムにいたっては、10年以上も1人の担当者に管理させ、その次の担当者も異変に気付きながら約1年も不適合な製品を納入し続けるなど、ずさんな品質管理体制が問題になった事件です。

【参考】東洋ゴム、社長・会長退任 偽装問題 非中核事業にスキ/日本経済新聞
【参考】東洋ゴム、16年12月期は8期ぶり最終赤字 免震偽装で特損計上/日本経済新聞
【参考】「偽装だらけ」の東洋ゴムは、復活できるのか/東洋経済ONLINE

情報管理の不徹底

通信教育の大手であるベネッセコーポレーションの顧客情報流失事件です。

同社は、2014年6月頃より顧客に他社からダイレクトメールが届くことについて社内調査した結果、最大約2,000万を超える顧客情報が漏洩した可能性があることがわかり、警察と経済産業省に報告、翌7月にはグループ企業勤務のエンジニアが逮捕されたものです。

この事件により、責任部署にいた役員2人が引責辞任し、会長兼社長も2016年6月に辞任に追い込まれました。同社では、顧客に対する補償として200億円以上を捻出し、図書券や電子マネーなどを送付するなどの対応を行いましたが、大規模な顧客離れにより、経営赤字に転落するなど大きな打撃を受けました。

同グループ内での個人情報の管理体制は、一般的な企業と比べてもずさんなものではなかったと言われていますが、あらゆるケースを想定した管理体制の見直しを考えさせられた事件です。

【参考】事故の概要/ベネッセお客様本部
【参考】ベネッセ、役員2人が引責辞任へ 情報漏えい当時の社長/JCASTニュース
【参考】ベネッセ原田社長、改革挫折で涙の引責辞任/日経ビジネスONLINE

不適切な労務管理

広告代理店の大手である電通の過労死事件です。

同社は、1991年8月、1か月あたり140時間を超える残業をしていた社員が自殺したことについて、遺族と裁判で争いましたが、2000年3月の最高裁では、会社に安全配慮義務違反があったとされ、賠償金の支払いを命じられて敗訴しました。また、2015年12月にも1か月あたり100時間を超える残業をしていた社員が自殺し、そのことについて、2016年12月に労働基準法違反の疑いで書類送検され、2017年1月には社長が辞任、同年10月には東京簡易裁判所から有罪判決を言い渡されました。

1991年の事件は、過労死の認定基準を緩和させる契機にもなり、企業における労働時間管理の重要性を広く知らしめましたが、2015年には再び同様の事件を発生させて、企業の体質が問われました。

【参考】過去の最重要判例 1991年 電通事件最高裁判決/大阪過労死問題連絡会
【参考】電通の過労自殺「命より大切な仕事ない」/産経ニュース
【参考】電通、労働基準法違反に対する判決について発表/日本経済新聞

企業コンプライアンスの対策方法

企業コンプライアンスは法令の遵守だけを考えるものではないことは前述のとおりですが、専門家のサポートも得て、自社の業務に係わる法令を十分に認識したうえで、その他の社会的な範囲も含めて全体の管理を強化していく必要があります。

専門家の活用

企業コンプライアンス体制を強化していくうえで、最も効率的なのは、弁護士や公認会計士、社労士などの専門家を活用することです。遵守すべき法令は多岐に渡ることに加え、グローバル展開を考える企業にとっては、該当国の法律、慣習なども考えていかなければなりませんので、専門家の導入が必須と言えます。

ただし、完全に専門家任せになることによって、経営者、各社員の法令遵守の認識が薄くならないように注意する必要があります。

【関連】顧問契約とは?弁護士・税理士との契約メリット、解除時の対応まで徹底解説 / BizHint HR

法令の理解

専門家を活用しても、経営者、各社員自身が、自社の業務に係わる法令を理解していなければなりません。

しかしながら、企業が遵守すべき法律は、全企業について規定されている会社法や税法、労働関係法のようなものから、業種毎に規定されている建築基準法や食品衛生法のようなものまで、非常に多岐に渡ります。基本的な法令や各自の業務に絞った法令への理解については、外部のコンプライアンスセミナーなどを活用することが効率的です。

就業規則や各規程の整備

法令の遵守を徹底していくにあたっては、労働関係法などで規定されている事項が社内において適切にルール化されていることも必要です。

就業規則のほか労働関係法に基づく規程としては次のようなものが挙げられますが、このほか、各業務に関するルールなどもできるだけ明文化して、社員間で認識の違いがないようにする必要があります。

  • 就業規則
  • 給与規程
  • 退職金規程
  • 出張旅費規程
  • 育児介護休業規程
  • 継続雇用に関する規程
  • 個人情報保護に関する規程
  • マイナンバー管理規程
  • セクハラ・パワハラ防止規程

また、これらの就業規則や各規程については、各社員に配布、あるいは、いつでもアクセスできるように共有ネットワーク内に保存するなどによって周知徹底を図り、社内の秩序を保つ必要があります。

【関連】就業規則とは?作成~届出までの手順・ポイントをご紹介 /BizHint HR

管理部門などの体制整備

企業コンプライアンスを推進していくためには、その推進体制の整備も必要になります。

具体的には、以下のような整備を行います。

  • コンプライアンス担当部門の設置
    コンプライアンスを推進するための経営トップ直属の部門です。経営トップの直属とすることで、問題があった場合の報告も含めて、権限を持って迅速に対応することができます。 社内のコンプライアンス推進状況を定期的に確認し、マニュアルなどの改正についても責任を持ちます。
  • コンプライアンス委員会の設置
    組織の名称は問いませんが、コンプライアンスの推進に関する方針の策定や監査的な役割を果たす組織です。委員については、役員だけで構成する場合や、役員と外部の専門家などで構成する場合がありますが、経営トップによるコンプライアンス違反の可能性も考えると、外部の者を入れることが望まれます。

行動規範の策定

企業コンプライアンスを推進していくためには、具体的な行動規範の策定も必要になります。(名称は行動基準や行動指針などでも構いません。企業によってはそれぞれ別に策定しているところもあります。)

2013年に東京商工会議所が公開している企業行動規範を参考にすると、CSRなどの考え方も取り入れ、次の大枠が示されています。

  1. 法令の遵守
  2. 人権の尊重
  3. 環境への対応
  4. 従業員の就業環境整備
  5. 顧客・消費者からの信頼獲得
  6. 取引先との相互発展
  7. 地域との共存
  8. 出資者・資金提供者の理解と支持
  9. 政治・行政との健全な関係
  10. 反社会的勢力への対処

上記の各ポイントについて、自社の経営理念との整合性や、緊急性、重要性などを考慮したうえで、具体的な取り組み内容を決定します。

行動規範の周知・実践

決定した行動規範の内容については、社内に掲示するほか、各社員に配布、あるいは、社内規則と同様に共有ネットワーク内に保存して、全社員に周知徹底を図ります。

また、行動規範を実践していくにあたっては、経営トップが社内にメッセージを発するなど、主導的な姿勢を示すことが重要です。

行動規範の管理

行動規範の策定後も、実践状況の確認や、必要に応じて、行動規範自体の見直しが必要になります。

具体的には、以下のような対応を行います。

  • 行動規範の実践状況の確認
    コンプライアンス委員会の定期的な開催や、社内アンケートなどにより実践状況を確認し、何か問題があれば、適宜、行動規範を見直します。
  • 行動規範の最新化
    自社の状況や法改正、社会情勢の変化などにより、行動規範も見直しが必要になることもあります。経営者、コンプライアンス担当者は、自社の状況はもちろん、法令や社会情勢の動向を確認し、行動規範を最新化しなければなりません。

【参考】企業行動規範・第3版/東京商工会議所

まとめ

  • 企業コンプライアンスは、法令だけではなく、社会的に求められる倫理規範や道徳規範なども遵守するものであり、企業が事業を継続していくうえでは必須のものになっている。
  • 企業コンプライアンスは、法令違反によるリスクを回避、損失を軽減させるとともに、企業価値を向上させる役割を持っている。
  • 企業コンプライアンスの行動規範を実践するにあたっては、経営トップが率先して発言、行動していくことが重要である。
  • 企業コンプライアンス違反が発覚した場合には、経営トップへの報告が迅速になされる体制でなければならない。

<執筆者>本田勝志 社会保険労務士

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