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2018年8月5日(日)更新

センスメイキング

センスメイキングとは、想定外な出来事や不確実性の高い事象に対して意味付けを行うことで状況を好転させる循環プロセスです。組織やチームのリーダーがセンスメイキングを最大限に活用することで、複雑で先行きが不透明な現代社会を勝ち抜くために欠かすことのできない、大きな推進力を得ることができます。当記事では、センスメイキングを正しく理解し、様々なビジネスシーンで活用するために必要となる情報やノウハウを、言葉の意味、重要性と必要性、実施プロセス、学ぶ上で参考になる本などの項目に整理して分かりやすく解説いたします。

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センスメイキングとは

センスメイキングとは『意味付け』であり、『納得』を生み出すために行う循環プロセスです。想定外な出来事や不確実性の高い事象に対してもっともらしい解釈や補足を付け加えることにより、組織やチームにとって最も望ましい結果を手に入れることが可能となります。

ビジネスの現場では、組織内人材やステークホルダーの理解や協力を得るため、このセンスメイキングが様々な場面で活用されています。

センスメイキングとOODAループ

OODAループとは、『Observe(観察)』、『Orient(情勢判断)』、『Decide(意思決定)』、『Act(実行)』という4つのプロセスを正しく踏むことで、様々な環境変化に対して臨機応変かつ柔軟な対応を可能にするフレームワークです。

組織やチームが置かれている現状に対するベストな選択肢を検討、選択し、従業員(社員)やチームメンバー、株主、取引先企業などの理解や協力を得られるように働きかけを行うセンスメイキングは、OODAループにおける『Orient(情勢判断)』と『Decide(意思決定)』に該当すると考えられています。

センスメイキングの重要性と必要性

多くのリーダーは、組織やチームにとって想定外な出来事や不確実性の高い事象が発生した場合、その原因や今後の見通しについて正確に把握しようと努め、情報収集や分析の結果をもとに、従業員をはじめとしたステークホルダーに対して説明を行います。
しかし、データや数字を用いた理論的な説明が、常に最善の結果をもたらしてくれるとは限りません。なぜなら、事実を淡々と伝えるだけでは人の心を強く揺さ振ることはできないからです。

目の前の障害を乗り越えて組織が更なる高みを目指すためには、従業員をはじめとしたステークホルダーの自発的かつ積極的な協力が欠かせません。
そして、それを実現させるには魅力的で希望に満ち溢れたストーリーが必要となります。

近年、プレゼンテーションや営業などの場面において、自身の想いや考えを印象深く相手に伝えるストーリーテリングが注目されていますが、センスメイキングの『意味付け』や『行動』というプロセスにも、ストーリーテリングが概念的に組み込まれています。
ストーリーテリングによってもたらされる共感や納得などのポジティブな感情が、ビジョン実現の鍵を握る重要人物たちに当事者としての自覚と使命感を与えるのです。

センスメイキングは、事実かどうか現時点では判断することが難しい不確定要素であっても、もっともらしい解釈や補足を付け加えることによって壮大なストーリーの一部に加えることができるため、情報の収集や分析に多くの時間を取られることなく素早い次の一手を打ち出すことができます。
瞬発力、柔軟性、影響力の3つを併せ持つセンスメイキングは、あらゆるビジネスシーンで活用することのできる応用度の高いスキルです。リーダーやトップマネジメント層など組織やチームに対して強い影響力を持つ人物がセンスメイキングを最大限に活用することによって、複雑で先行きが不透明な現代社会を勝ち抜くための大きな推進力を手に入れることが可能となるでしょう。

【関連】ストーリーテリングの意味とは?プレゼンで活用するコツや例をご紹介 / BizHint

センスメイキングの実施プロセス

センスメイキングは『感知』、『意味付け』、『行動』という3つのプロセスで構成されています。また、これらのプロセスを循環させることによって、重複的に効果を高めていくことができます。

現状を俯瞰的に捉え、いち早く情報を感知する

センスメイキングの活用において土台となるのが「情報を感知する」というプロセスです。センスメイキングは一般的に以下のようなシーンで高い効果を発揮すると言われています。

  • 危機的な状況 … 市場低迷、マーケットシェア低下、天変地異、技術革新など
  • アイデンティティの喪失 … 経営理念、 ビジョン、 方向性、強みへの疑念
  • 意図的な変化 … イノベーション創出、多角化戦略、M&Aなど

ここで注目すべきは、危機的な状況やアイデンティティの喪失に対するセンスメイキングが受動的であるのに対し、意図的な変化を起こすためのセンスメイキングが能動的であることです。
組織やチームの更なる成長を目指し、センスメイキングを攻めの姿勢で扱うように心掛けることで、その活用シーンは何倍にも広がります。

多くの場合、新たな発見や想定外な出来事、不確実性の高い事象は思いもよらない場所から見つかるものです。
組織やチームの現状を俯瞰的に捉え、これらの情報をいち早く感知することで、組織やチームをより望ましい形へと導くことが容易になるでしょう。

情報に意味付けを行い、ストーリーを構築する

特定の事象に対して生まれる感情や経験から学び取る内容は人によって千差万別です。
一般的に個性と呼ばれているこのような個体差は、組織やチームに新たな発見や閃きをもたらしてくれる素晴らしい要素ですが、急激な変化を繰り返すビジネスの転換期においては足並みを乱してしまう一因になりかねません。

意味付けのプロセスでは、感知した情報に対して誰もが共通の認識やイメージを持つことができるような解釈や補足を加えます。
ここで重要なことは、センスメイキングを行う人物が先入観や固定概念に縛られないことです。
あらゆる可能性を否定することなく前向きに検討しなければ、組織やチームを最善へと導く一手を見つけることはできません。

センスメイキングを行う人物の中で情報に対する答えを見つけることができたら、受け手側が同一のイメージを思い浮かべ、尚且つその結末が実現することを心から信じることができるようなストーリーを構築します。
センスメイキングでは、データや数字による裏付けよりもセンスメイキングを行う人物の人間性や実績、組織やチームの雰囲気、特性、強みなどを重視します。
「なぜそのタイミングなのか」や「なぜその方法なのか」などの疑問や、「本当に大丈夫なのか」という不安を払拭するだけではなく、「自分たちだからこそ実現可能なんだ」という自信を与えられるようなストーリーを構築するよう心掛けましょう。

他者の心を揺さ振り、自発的な行動へと導く

センスメイキングは意味付けした情報により従業員やステークホルダーを自発的な行動へと導くことで初めて効果を発揮します。
このプロセスで意識するべきは他者の多様性です。
個々に対して定型文のようにストーリーを伝えるのではなく、受け手の立場や自身との関係性、組織やチームへの印象など様々な要素を踏まえた上で口調やテンポ、話す順序などを変える必要があります。

人は心を強く揺さ振られることによって「自分がやるべきことは何か」や「自分にできることは何か」を自発的に考え、実行するようになります。
全ての従業員やステークホルダーが同じ認識を持って組織が置かれている現状に向き合い、各自に与えられた役割をしっかりと果たすことで、新たな環境変化を意図的に生み出すことが可能となるでしょう。

センスメイキングを循環させる

多くの場合、たった一度のセンスメイキングで状況を一変させることはできません。しかし、センスメイキングを通じて従業員やステークホルダーが一丸となり行動を起こすことで、環境に対して何らかの変化は必ず生じます。
この変化を見逃さず、新たな情報として感知することによってセンスメイキングを循環させることができるのです。

ここで行われるセンスメイキングは新規ではなく上書きです。
従業員とステークホルダーによる行動とそれによって生まれた変化、そして組織やチームが目指すべきゴールを結びつけるようにストーリーを進化させることで、過去のセンスメイキングにも意味を与えることができます。

一つ一つの行動に意味があることを自覚することで人は更に強くなります。
センスメイキングを循環プロセスとして認識し、正しく扱うことによって、組織やチームの未知なる力を引き出すことが可能となるでしょう。

センスメイキングを学ぶ上で参考になる本

センスメイキング理論発展の中心人物であり、レンシス・リッカート特別大学の組織行動と心理学の名誉教授でもあるカール・E. ワイク(Karl E. Weick)氏は、著書『Sensemaking in Organizations(1995)』の中でセンスメイキングの特性として次の7つをあげています。

  1. Grounded in Identity Construction(アイデンティティ構築に基づいた)
  2. Retrospective(回顧的)
  3. Enactive of Sensible Environments(道理にかなった環境をイナクトする)
  4. Social(社会的)
  5. Ongoing(進行中の)
  6. Focused on and by Extracted Cues(抽出された手掛りに焦点を合わせる)
  7. Driven by Plausibility Rather Than Accuracy(正確さよりももっともらしさによって推進する)

これら7つの特性にはセンスメイキングの実施プロセスや意識するべきポイントなどセンスメイキングに関するありとあらゆるノウハウが数多く詰まっています。
カール・E. ワイク氏の記したセンスメイキング理論に関する書籍を読み解き、個々の特性や他の特性との関連性について学ぶことによって、センスメイキングの本質を理解することが可能となるでしょう。

【参考書籍】

  • 書籍名:センスメーキング イン オーガニゼーションズ
  • 原題:Sensemaking in Organizations
  • 著者:Karl E. Weick
  • 翻訳:遠田 雄志、西本 直人
  • 出版社:文眞堂
  • 発行年月:2001年4月

まとめ

  • センスメイキングとは『意味付け』であり、『納得』を生み出すために行う循環プロセスである
  • センスメイキングを実施することで、戦略や施策に対する組織内人材やステークホルダーの理解や協力を得ることができる
  • リーダーやトップマネジメント層など組織やチームに対して強い影響力を持つ人物が活用することで、複雑で先行きが不透明な現代社会を勝ち抜くために欠かすことのできない大きな推進力を得ることができる
  • 『感知』、『意味付け』、『行動』という3つのプロセスを循環させることで、重複的に効果を高めていくことができる
  • カール・E. ワイク氏が提唱する7つの特性には、センスメイキングの本質に迫るために必要となる数多くのヒントやノウハウが凝縮されている

※本記事は、ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー 2016年10月号/入山章栄先生の連載「世界標準の経営理論[第25回] センスメイキング理論」を参考に執筆させていただきました。

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