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2018年11月27日(火)更新

コーポレートアンデンティティ

社会に価値を創出して社会的責任を果たすことは、企業の責務であり存在意義でもあります。一方で多様な価値観が広まり、顧客や従業員、ステークホルダーに企業価値をしっかりと理解してもらう重要性が高まっています。この記事では、企業価値や企業ブランディングに役立つコーポレートアイデンティティの意味や目的、メリット、さらに作り方や企業事例までご紹介します。

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コーポレートアイデンティティ(CI)とは

顧客だけでなく、あらゆるステークホルダーに対して、自社の考え方やあり方、経営理念を理解・浸透してもらう上で、重要な企業戦略であるコーポレートアイデンティティ。意味や4つの指針、コーポレートアイデンティティの重要性を知ることで、その理解を深めることができます。

コーポレートアイデンティティの意味

コーポレートアイデンティティとは、企業の経済活動や経営理念、特徴、CSRなどを再認識し、言葉やデザインを中心としたシンボルを通して、世間一般に浸透させる企業戦略、またはその計画を指します。

コーポレートアイデンティティは、ロゴマークやシンボルマークの使用が一般的とされていますが、スローガンやコーポレートステートメント、ブランドカラー、コーポレイトフィロソフィー(企業哲学)、経営理念、企業キャラクター、書体などの要素を使って構成されます。企業の特性そのものをイメージ化して独自性・差別化を重視しているため、長期的な企業価値の向上や自社のブランディング化に有効です。コーポレートアイデンティティを示す成果物は長期的な使用が一般的ですが、M&Aによる企業統合や事業再編のタイミングで刷新されることも珍しくありません。

コーポレートアイデンティティの重要性

コーポレートアイデンティティは1930年代のアメリカから始まったといわれており、日本においては、1970年代に東洋工業(現 マツダ株式会社)の導入が初めてといわれています。

コーポレートアイデンティティは企業の独自性を強調し、競合会社との差別化を担うシンボルでもあるため、世間一般への認知向上に重要な役割を果たします。

中でも企業の考え方やあり方の影響を受けやすいBtoC企業にとって、コーポレートアイデンティティは消費者へのイメージの向上に大きく寄与します。また、企業の企業活動の考え方やあり方、行動指針を見直して企業ブランディングの再認識をさせてくれるものでもあります。

多様な価値観が広がり、SNS・インターネットの普及による情報の拡散スピードが高まる時代だからこそ、企業の姿勢、考え方をいち早く伝える手段として、コーポレートアイデンティの重要性が増していると考えられます。

コーポレートアイデンティティ(CI)の目的

コーポレートアイデンティティの確立する主な目的は、以下の内容が挙げられます。

企業のブランディング化と差別化

コーポレートアイデンティティの重要なツールとなるロゴマークやシンボルマークは、企業名(社名)や商品ブランド、企業イメージカラー、コンセプトやスローガンなど企業の独自性を打ち出すための要素を多分に必要とします。

一方で、企業ロゴやシンボルマークに個性を打ち出しやすくなるため、企業そのものをブランディング化でき、競合企業との差別化にもつながります。企業ブランディングは、消費者にその企業が販売する商品(製品)・サービスや、具体的な経済活動をいち早く想起させ、企業の社会的責任と存在意義を迅速に浸透させることが可能です。

企業価値・企業活動の質向上

コーポレートアイデンティティは消費者をはじめ、あらゆるステークホルダーに大きな影響を与えます。コーポレートアイデンティティによって、生み出された企業イメージは投資家の資金投下の判断材料にも活用され、企業価値の向上にも期待できます。

また、コーポレートアイデンティティはその企業に所属する従業員が持つべき考え方や行動の指針として機能します。経営陣を含む全ての従業員に、「企業は社会に対して、どうあるべきか」を常に考えさせ、さまざまな意思決定の場での基準となり、従業員エンゲージメントの向上にも寄与します。

その結果、従業員の業務や顧客に対する意識改革が促され、業務品質の向上やモラルの醸成につながり、企業内の不正防止にも役立ちます。

【関連】「企業価値」とは?企業価値の意味や評価方法、メリット、向上施策までご紹介/BizHint

社会・対外コミュニケーションの強化

消費者個人が必要とする情報を自ら取りに行く情報化社会において、一方的に企業から消費者に情報を発信するマーケティング手法は終わりつつあります。そのため、企業は情報を取得する消費者に対して、迅速でわかりやすい企業情報を発信しなければいけません。

企業ロゴやシンボルマークは、企業独自の考え方や活動内容を伝達する優れたツールです。企業活動への世間一般の視線が厳しくなっている現代だからこそ、コーポレートアイデンティティを明確に打ち出し、企業イメージを社会に発信していくことが、顧客やステークホルダーを含めた社会との繋がりの強化に繋がります。

コーポレートアイデンティティは、自社の企業イメージを広く発信し、定着させる優れた企業戦略でもあります。

コーポレートアイデンティティの作り方

コーポレートアイデンティティの確立には、以下のプロセスを辿ることが一般的です。また、コーポレートアイデンティティは作って終わりではなく、継続的な運用に不可欠なルールを策定し、周知することが必要になります。自社の強みや特徴をしっかりと分析した上で構築しなければいけません。

コーポレートアイデンティティの4つの指針

コーポレートアイデンティティを確立する上で重要となる指針が4つ挙げられます。それは、「企業の考え方」「企業の行動」「企業の可視化」「企業の戦略」の4つです。

これらの指針を基にコーポレートアイデンティティを具現化して、あらゆる企業活動に役立てます。これらの指針は経営理念や行動指針に深く関わるため、それぞれ明確に定義することが大切です。「挑戦を大事にする企業風土」や「顧客とのコミュニケーションのあり方」などの根底となる指針のため、十分な見直しと整理が求められます。

これらの4つの指針を明確に打ち出すことは、あらゆるステークホルダーの理解を促し、企業としてのイメージアップや企業価値の向上につながります。

コーポレートアイデンティティ計画書(CI計画)作成

コーポレートアイデンティティは長期的な企業戦略のひとつのため、「自社がどのような形で社会に存在し続けるか」という視点で考えなければいけません。

そして企業が持つ経営理念や考え方、活動内容、企業文化などを考慮した上で「どのように社会に訴えていくか」を考えて計画書に落とし込んでいきます。

また、経済活動を行っている業界内でのポジショングもコーポレートアイデンティティを考える上では重要となります。「業界のリーディングカンパニー」や「細かいサービスが行き届いた企業」など、企業によって、自社が強みをもつ分野が異なります。

そのため、コーポレートアイデンティティを作成するためには5年、10年先を見据えた中長期経営計画として計画書を作成することが、その後の企業イメージや企業ブランディングの成功に大きく関わってきます。

自社の現状調査と分析

コーポレートアイデンティティは、自社の考え方や行動を見直し、整理することから始まります。

そのためには、自社の強みや社会に対する考え方など、自社の現状を調査・分析しなければいけません。会社の歴史や業界内の変化、既にもっているコーポレートアイデンティティへの理解、企業文化や従業員が持つ自社のイメージや価値観を中心に調査していきます。

また、一般社会や市場が自社に対して、どのようなイメージを持っているかも重要な要素となるため、自社の現状調査を行う上では、人事部門や広報、経営企画室の担当者など複数の部門からメンバーを集い、コーポレートアイデンティティ策定専用の開発プロジェクトの立ち上げる必要があります。

コンセプトの設計

コーポレートアイデンティティを具現化するにあたり、調査した内容を基にコンセプトを決定していきます。

企業が社内外に伝えたい印象や届けたい顧客・ステークホルダーの属性などを考慮し、企業の考え方や行動に合致するカラーやスローガン、ロゴデザインを選択していきます。業界やサービス内容によっては、キャラクターの起用も効果的です。

また、コーポレートアイデンティティの具現化は企業ロゴやシンボルマークだけに留まりません。自社オリジナルの封筒や紙袋、名刺などの備品、企業案内・パンフレット、さらにはオフィスのレイアウトなども関係していきます。

そのため、コンセプトを設定する際は、コーポレートアイデンティティの影響範囲を把握しなければいけません。

経営トップによる決定

コーポレートアイデンティティは「企業のあり方」を明確にする手法です。

そのため、計画書作成からコンセプト設計まで、企業経営を責務とする経営トップが直接関わり、トップダウン形式で進められることも珍しくありません。

一方で、創業が若い会社や中小企業、最先端の技術や商品(製品)・サービスを扱う企業の場合、現場の若手社員を中心にコーポレートアイデンティティを決定していくことも効果的です。

コーポレートアイデンティティは会社の歴史や創業者の経営理念を基に作られることが多いため、作成したコーポレートアイデンティティが時代に沿わない場合も考えられます。

最終的な決定は経営トップが行うにしても、企業活動の最前線に立つ現場の若手社員の意見を基に作成していくことも大切です。

運用ルールの整備と周知

コーポレートアイデンティティは、時代の流れに応じて、アップデートしていくことも珍しくありません。

そのため、新しく作成したコーポレートアイデンティティやデザイン変更されたロゴマークに違和感を持つ従業員や顧客も一定数存在します。これらの課題を解決するためにも、コーポレートアイデンティティの浸透は、長期的に発信して続けていくことが重要です。

コーポレートアイデンティティは、経営陣を含む全従業員が自社の社会的責任や存在価値を見直すきっかけとなります。そのため、コーポレートアイデンティティの浸透における施策や発信方法の運用ルールを整備し、周知に粘り強く取り組んでいく姿勢と覚悟が求められます。

有名企業のコーポレートアイデンティティ例をご紹介

コーポレートアイデンティティの確立は、社内外で大きな影響を与え、企業活動そのものにも大きなメリットをもたらしてくれます。今回はコーポレートアイデンティティを確立し、企業イメージ・業績向上に成功した、日本企業をご紹介いたします。

「量的」から「質的」な豊かさの実現を目指す、伊藤忠商事株式会社

【参考】伊藤忠商事株式会社 ホームページ

巨大総合商社である伊藤忠商事株式会社は、コーポレート・ガバナンスの強化とCSRの実現に向けて、従来の量的で経済的な価値を意味する「プロフィット」から、質的で精神的な意味をも含む「ベネフィット」へ、コーポレートアイデンティティを変更しています。

経済的、社会的、そして人間的なベネフィットを提供することで、さまざまなステークホルダーの期待に応え、企業価値の向上を図った優良事例といえます。

【参考】伊藤忠商事株式会社 伊藤忠商事株式会社

「ビールを核とした豊かな社会の実現」を目指す、麒麟麦酒(キリンビール)株式会社

【参考】麒麟麦酒株式会社 ホームページ

日本の酒造会社である麒麟麦酒株式会社では、「ビールを核として生活の質的向上を目指す」という企業目標を掲げ、医薬などのライフサイエンス分野の事業に参入し、多角化経営を行っています。

1983年には、コーポレートアイデンティティの導入を決定し、経営理念、企業ステートメントの作成とともに、経営資源を多角化・国際化に重点を置くことで、世界に通用する一大酒造会社へと成長を遂げました。

現在においても、コーポレートアイデンティティを基に柔軟な組織改革を行い、社会に貢献し続ける日本の優良企業として認識されています。

【参考】麒麟麦酒株式会社 キリングループの歴史

「未来創発」という会社の姿勢を明確にする、株式会社野村総合研究所

【参考】株式会社野村総合研究所 ホームページ

日本最大手のシンクタンクとして知られる株式会社野村総合研究所では、「使命」、「事業ドメイン」、「経営の目標」、「行動指針」という4つの経営理念を掲げ、「未来創発 Dream up the future.」というコンセプトを通じて、自社の姿勢を具現化しています。

「大胆なひらめきと考案で、不確実性の高い未来を作り上げていく」という考え方を基に、社会のさまざまな分野を研究し、日本経済の活性化に努めています。

【参考】株式会社野村総合研究所 企業理念

まとめ

  • コーポレートアイデンティティとは、企業の考え方やあり方を見直し、整理・具現化する企業戦略のひとつです。
  • ソーシャル社会(SNSの普及)において、コーポレートアイデンティティは企業と消費者などのステークホルダーや、社会とのつながりを強化し、企業価値の向上や社内外のコミュニケーションの促進を促します。また、従業員エンゲージメントを高める効果も期待できます。
  • コーポレートアイデンティティの確立は、CI計画書の策定、自社の現状調査などの事前準備を徹底し、経営トップを中心とした企業イメージを構築し、長期的な運用・周知を行うCI戦略が求められます。

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