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2018年11月16日(金)更新

健康経営

「健康経営」とは、健康管理を重要な経営課題の1つとして経営的な視点で向き合うことを言います。従業員の健康づくりは、もはや個人の問題ではなく、今後企業が生き残るためにも必須課題といえるでしょう。本記事では健康経営の意味をはじめ、注目されている背景やメリット、国が行う様々な取組のご紹介、企業事例、導入ステップまで、徹底的に解説いたします。

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目次[表示]

健康経営とは

健康経営とは、 健康管理を重要な経営課題の1つとして経営的な視点で向き合うこと です。これは、「従業員の健康保持や健康増進を目的とした企業側の積極的な取り組みは、コストではなく将来への投資である」という考え方に基づいています。
アメリカでは1990年代から、日本では2009年頃から大企業を中心に健康経営に向けた取り組みが広がりました。

健康経営の意味

健康経営の語源は、アメリカの臨床心理学者であるロバート・ローゼン(Robert H. Rosen)氏が著書『ヘルシー・カンパニー―人的資源の活用とストレス管理』の中で使用した「ヘルシー・カンパニー(Healthy Company)」です。

この本が発表される以前にも「従業員の健康が組織に与える影響は多大なものだ」という意見は数多く存在しました。しかし、そのいずれも裏付けるようなデータが存在しなかったため信憑性に掛けており、多くの関心を集めるまでには至りませんでした。

それに対し、ローゼン氏は著書の中で主要米国企業200社の事例を取り上げ、 心身ともに健康な従業員ほど仕事に対するモチベーションが高く、さらに健康な従業員が多い企業はそうでない企業に比べて生産性が高く、離職率や企業による医療費負担が低い という分析結果をまとめました。

従業員の健康を管理することが組織全体のパフォーマンス向上に繋がることを事例研究で示したローゼン氏の本は、すぐに経営者や人事担当者の間で大きな話題となりました。
このような背景から、従業員の健康に配慮することで企業の継続的な成長の実現を目指す経営手法を指す言葉として、健康経営が用いられているのです。

健康経営の目的

健康経営の最大の目的は、不健康経営による 負のスパイラル を断ち切り、 正のスパイラル へと転換させることです。

人は不健康になるとモチベーションや集中力が大幅に低下するため、ヒューマンエラーが増加します。
また、体調不良による遅刻や早退、欠勤、退職が増加するため、医療費負担や採用コスト、育成コストが増加します。
このような状態が慢性化することによって、業績は大幅に悪化し、企業イメージは低下。
企業収益が減少し、健康投資を行う余裕がないまま負のスパイラルが続いていくのです。

多くのヘルスケア関連製品を取り扱う世界的企業のジョンソン・エンド・ジョンソン社は、グループ会社250社で働く約11万4000人の従業員たちに対して健康維持促進プログラムやワークライフバランス支援などを実施した結果、1ドルの健康投資に対して約3ドルの投資リターン(成果)を得ることができたといいます。

従業員には心身ともに健康な状態で働くことのできる環境を、そして企業には健康投資に対する大きなリターンを。
ジョンソン・エンド・ジョンソン社のように、企業と従業員のWin-Win(ウィンウィン)な関係を構築し、健康経営による正のスパイラルを生み出すことが健康経営における1つのゴールといえるでしょう。

【参考】2018年2月21日プレスリリース | ジョンソン・エンド・ジョンソン

健康経営に取り組むべき企業の特徴

健康経営に今すぐ取り組むべき企業とは、不健康経営による負のスパイラルに陥っている企業です。
これらの企業には以下のような特徴がみられます。

  • ヒューマンエラーが多発している
  • ストレスチェックの結果が悪い
  • 体調不良による遅刻や早退、欠勤が多い
  • 離職率が高く、慢性的な人材不足が起きている
  • 残業や休日出勤が多い
  • 有給取得率が低い
  • 従業員エンゲージメントが低い

健康経営が注目されている社会的背景

健康経営が注目されている社会的背景には以下のようなものがあります。

労働力人口とGCP(社内総生産)の減少

昨今、労働者不足問題が深刻化するなか、官民を挙げて働き方改革が推進されています。
しかし、労働生産性の向上を実現するためには働き方を変えるだけでなく、全ての従業員が心身ともに健康な状態で活き活きと働くことのできる土台作りにも、力を入れなければなりません。

従業員一人ひとりの労働生産性を高めることができなければ、労働力人口の減少とともにGCP(社内総生産)も減少していくばかりです。健康経営を通じて個々のパフォーマンスを高い状態で維持し、魅力的な企業を作り上げることによって、多くの求職者が希望する強い企業を作り上げることができるでしょう。

【関連】労働力人口とは?労働力人口の減少に企業はどう立ち向かうべきか? / BizHint

機会損失に対するリスク回避

「組織は人なり」という言葉があるように、組織は従業員がいなければ何の活動も行うことができません。
また、多くの従業員を抱えていたとしても、常習的に遅刻や早退、欠勤を行うアブセンティズム(absenteeism) **と呼ばれる従業員や、出勤はするものの心身の不調によって十分なパフォーマンスを発揮することができないプレゼンティズム(Presenteeism) **と呼ばれる従業員の割合が多ければ生産性や業績を高めることはできません。

変化の激しい現代社会を生き抜くためには瞬発力やアグレッシブさが必要不可欠ですが、このような状況下では周辺環境の変化に対応することができず、ライバル企業たちの成長をただただ見守ることしかできなくなってしまいます。
健康経営は、 足踏み状態による機会損失を未然に防ぐリスクマネジメント の観点からも大きな期待が寄せられているのです。

医療費の増大と健康保険組合の解散

近年、メンタルヘルスの不調を訴える社会人が増加しており、企業が負担する医療費は年々増加の一途をたどっています。
また、その影響を受けて大企業の社員とその家族が加入する1,394の健康保険組合のうち、4割以上もの組合が経営赤字に陥っています。

医療費の企業負担が増加すれば利益が減少し、戦略的投資に使用できる資産が少なくなってしまいます。
そして、健康保険組合が解散すれば協会けんぽ(全国健康保険協会)に加入することになるため、組合独自の給付が受けられなくなる上、自社が加入している健康保険組合の保険料が協会けんぽよりも低く設定されている場合には支払う保険料が増加することになってしまいます。

健康保険組合連合会の試算によると、団塊世代が後期高齢者となる2025年には、全体の4分の1を超える健康保険組合が解散の危機を迎えるといいます。
従業員やその家族の健康に配慮して医療費の削減を図ることは、企業が率先的に取り組むべき重要課題 になっているのです。

【参考】健康保険組合が解散したらどうなるの? - 保険市場TIMES
【参考】健康保険組合 7年後には4分の1が解散危機を迎える│NEWSポストセブン

健康経営のメリット

ここでは、経営戦略として健康経営に取り組むメリットについてご紹介します。

業務効率化や生産性向上

企業として従業員の健康増進の取り組みを行うことで、将来的な疾病リスクに対する予防や、健康の回復による欠勤率低下や心身の充実を図ることができます。従業員の健康増進によって活力がアップすることは、 モチベーション向上による業務効率化や生産性向上 に繋がります。

【関連】日本経済の課題「生産性向上」の意味や改善方法、取り組み事例をご紹介 / BizHint HR

企業価値やイメージの向上

経営戦略の一環として健康経営に取り組むことによって、健康経営銘柄や健康経営優良法人に選出されるかもしれません。また、健康経営の取り組みを社外に情報発信することで、従業員の健康に配慮している企業として認知、あるいは評価されます。こうした健康経営への取り組みは、 企業価値向上や優秀な人材の獲得 に繋がります。

【関連】「企業価値」とは?企業価値の意味や評価方法、メリット、向上施策までご紹介 / BizHint HR

社員定着化による離職率の改善

人材不足が深刻化するなか、従業員の健康維持・増進に投資する健康経営は、企業にとっても重要な経営課題となっています。そのための施策として、がんなどの疾患やメンタルヘルスの不調による離職を防ぐため、仕事と治療の両立支援を行う企業もあります。

こうした一人ひとりの健康への配慮は従業員に安心感を与え、企業に対する貢献意欲を高めます。社員の健康づくりと仕事の両立を可能にする働き方や職場環境が整備されることは、 社員満足度の向上や社員定着化による離職率の改善 に繋がります。

【関連】離職率を改善するための対策とは?新卒社員の離職率・退職理由なども併せて解説 / BizHint HR

健康経営のデメリット

これまで、労働安全衛生法で義務付けられている事業者健診(定期健康診断)以外の取り組みを行っていなかった企業では、 その他の健康情報を収集し、分析、管理するために新たなコストが発生 してしまいます。
また、組織内の労働生産性向上と健康経営の実現に向けた取り組みとの因果関係を証明することが難しいため、 対費用効果を感じにくいという問題点 もあります。

このような健康経営によるデメリットは、企業側だけではなく従業員側にも存在します。

健康経営に向けた取り組みを通じ、従業員は自身のプライバシーに関する様々なセンシティブ情報(機微情報)を企業に提供することになりますが、これらの情報を第三者に提示することに強い抵抗感を感じる人も多く存在します。
また、禁煙成功者や減量成功者に対するインセンティブ制度など一部の従業員だけが対象となる制度への不公平感や、通常業務とは異なる形で貴重な時間が消費されてしまうことへの不満など、 モチベーションを低下させる要因になってしまうことがあります

健康経営は数多くのメリットを実施企業とその従業員にもたらしてくれる素晴らしい施策です。しかし、準備段階において健康経営を実施する目的を明確にし、従業員から十分な理解をえておかなければ、メリットを得られないだけではなくデメリットを顕在化させてしまう恐れがあります。

上記のようなデメリットが存在することを正しく理解し、丁寧かつ戦略的に健康経営を推進していくように心掛けましょう。

健康経営普及に向けた経済産業省の取組

現在、日本では経済産業省による「健康経営銘柄」や「健康経営優良法人認定制度」など、健康経営の普及に向けて様々な取り組みを行っています。

健康経営銘柄

経済産業省と東京証券取引所が共同で行う健康経営銘柄は、TOKYO PRO Market上場企業を除く、東京証券取引所上場企業を対象として、健康経営度調査の結果を基に健康経営の優れた企業を1業種から1企業ずつ選定するものです。

健康経営銘柄を取得するメリットとしては、株価の上昇 があります。
これは、選定された企業の株価が東証株価指数より高いまま推移していることからも分かります。
健康経営の実践によって投資家から信頼性や将来性のある企業として評価されることは、 社会的信用の獲得や企業イメージの向上 にも繋がるのです。

【参考】経済産業省/「健康経営銘柄」

健康経営優良法人認定制度

健康経営優良法人認定制度とは、優良な健康経営を実施している企業を「見える化」するために設けられた認定制度です。
経済産業省が制度の設計を行い、日本健康会議が認定作業を行っています。

健康経営優良法人認定制度には、対象となる法人規模や認定基準の異なる「 大規模法人部門(ホワイト500) 」と「 中小規模法人部門 」という2つの部門があります。
このように規模別の部門を設けることで、中小規模の法人であっても大規模法人の活動成果に埋もれてしまうことなく、金融企業や求職者などから自社の健康経営を正しく認識し、社会的に評価してもらうことができるようになっています。

【参考】経済産業省/健康経営優良法人認定制度

大規模法人部門(ホワイト500)

大規模法人部門(ホワイト500)は、 優良な健康経営を実施している大規模法人企業を認定 する制度です。
「健康経営優良法人2017」では235法人、「健康経営優良法人2018」では541法人が大規模法人部門(ホワイト500)における健康経営優良法人として認定を受けました。

大規模法人部門(ホワイト500)では、「経営理念」、「組織体制」、「制度・施策実行」、「評価・改善」、「法令遵守・リスクマネジメント」の5つの項目ごとに認定要件として満たすべき基準が設けられており、これらの基準を全て満たした上で健康経営度調査の結果が回答企業法人全体の上位50%以内であることが認定要件として定められています。

【参考】経済産業省/健康経営優良法人2018(大規模法人部門)認定法人一覧
【参考】経済産業省/健康経営優良法人(大規模法人部門)2018認定基準

中小規模法人部門

中小規模法人部門は、 優良な健康経営を実施している中小規模の法人企業を認定 する制度です。
「健康経営優良法人2017」では318法人、「健康経営優良法人2018」では776法人が中小規模法人部門における健康経営優良法人として認定を受けました。

中小規模法人部門においても大規模法人部門(ホワイト500)と同様に「経営理念」、「組織体制」、「制度・施策実行」、「評価・改善」、「法令遵守・リスクマネジメント」という5つの項目を用いて調査を行います。
ただし、「制度・施策実行」の評価項目のうち認定要件として求められる項目数が大規模法人部門(ホワイト500)では「12項目以上」であるのに対し、中小規模法人部門では「6項目以上」と少ない数値に設定されているなど、 一部の項目において認定要件が緩和 されています。

【参考】経済産業省/健康経営優良法人2018(中小規模法人部門)認定法人一覧
【参考】経済産業省/健康経営優良法人(中小規模法人部門)2018認定基準

助成金制度

健康経営に関わる助成金制度を2つご紹介します。

キャリアアップ助成金(健康診断制度コース)

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者に対する処遇改善など取り組みを実施した企業に対して行われる助成制度です。健康診断制度コースは、助成の対象となる労働者に対して一定の健康診断制度を規定し、実施した事業主に対して要件を満たす場合に助成されます。

【参考】厚生労働省/キャリアアップ助成金

【関連】キャリアアップ助成金とは?各コースの助成額・流れ、ポイントなど総まとめ / BizHint HR

職場定着支援助成金(雇用管理制度助成コース)

職場定着支援助成金のうち雇用管理制度助成コースでは、健康づくり制度などの雇用管理制度の導入や実施を通して離職率低下に取組む事業主に対し、要件を満たす場合に助成されます。

【参考】厚生労働省/職場定着支援助成金

健康経営ガイドブック

経済産業省が作成、公開している「企業の「健康経営」ガイドブック」には以下のような内容が分かりやすく丁寧にまとめられています。

  • 健康経営についての根本的な考え方とメリット
  • 組織体制の整備や取り組みの進め方
  • 健康保険組合等との適切な連携(コラボヘルス)について
  • 評価の必要性と健康経営評価指標
  • 社外に対する有効な情報発信の方法

この「企業の「健康経営」ガイドブック」を活用することで、より深く健康経営への理解を深め、効果的に取り組むことが可能となるでしょう。

【参考】企業の「健康経営」ガイドブック ~連携・協働による健康づくりのススメ~ (改訂第1版)

中小企業向けの健康経営指標・取組事例集

中小企業がどのように健康経営進めていけばよいかの支援策として、国などによる健康経営指標や中小企業取り組み事例集があります。

健康経営研究会が提示する 健康経営指標 は、各項目の必要性と効果が解説されているため、取り組みの計画や実施の要となる健康経営の方針や目標設定をサポートしてくれるでしょう。

【参考】健康経営研究会/健康経営宣言

経済産業省の「 中小企業における健康経営のススメ 」では、中小企業の取り組み事例が多数紹介されており、健康経営の実践に役立ちます。

【参考】経済産業省 近畿経済産業局/中小企業における健康経営のススメ~健康経営の実践に役立つ事例集~

また、東京商工会議所が発行している「 健康経営ハンドブック 」では、健康経営に取り組む企業へのインタビューなど取り組みの参考になる情報が複数掲載されています。

【参考】東京商工会議所/健康経営ハンドブック2017

厚生労働省の取り組み:データヘルスガイドライン

厚生労働省は、健康保険加入者の健康データに基づいて加入者一人ひとりに応じた疾病予防や健康づくりを行う「データヘルス」という取り組みによって、健康経営推進活動を支援しています。

データヘルスガイドラインは、各企業が実施する健康経営と連携してデータヘルスを実施することの意義や実践方法、コラボヘルスの企業事例など、詳しく紹介されています。

これにより、経済産業省が推進する健康経営優良法人や健康経営銘柄の取り組みと共に各企業が実施することで、健康経営の効果をより高めることができるでしょう。

【参考】厚生労働省/データヘルス・健康経営を推進するためのコラボヘルスガイドライン

健康経営を推進する企業の取組事例

健康経営に取り組む企業事例の中から、実際に成果を上げている企業5社をご紹介します。

「健康マイレージ」制で従業員の健康意識を向上 / 花王株式会社

花王が健康経営に本格的に乗り出したのは2000年代に入ってからのことです。従業員の健康状況を数字で表し、可視化する試みを実施しました。従業員の健康診断結果などをデータベース化し、喫煙率・血圧・長期疾病休業日数など、2003年度に計測した数値を2010年までに半減させるという具体的な目標数値を設定します。

目標達成はならなかったものの、 数値に大幅な改善が見られました 。また健康的な行動をするたびにポイントが貯まるという「健康マイレージ」制などを実施するなど、従業員の健康意識を高めるための様々な施策がとられています。こうした取り組みが認められ、花王は2012年に日本政策投資銀行による 最高ランクの健康経営格付けを獲得 しています。

【関連】日本の人事部/花王株式会社:ヘルスリテラシーの高い組織を目指す「健康経営」の取り組みとは

会長自らも参加した「健康増進100日プロジェクト」 / ロート製薬株式会社

ロート製薬による健康経営の取り組みも高い評価を得ています。「健康産業に従事する者は心身ともに健康でなければならない」という社訓のもと、社内に「 オールウェル計画推進室 」を設置しました。薬膳の食事を提供する福利厚生施設「 スマートキャンプ 」などを運営し、従業員に対して食生活改善やストレスをコントロールすることの重要性を呼びかけています。

さらに、従業員の健康意識を高めるための活動として、会長を含むすべての社員を対象に、BMI値の目標数値を設定する「健康増進100日プロジェクト」を実施。 多くの従業員が目標の達成に成功しています

【関連】ロート製薬株式会社/健康経営優良法人2017(ホワイト500)

健康経営に関する取り組みを積極的にWeb上で公開 / 株式会社ローソン

ローソンでは、お客様の健康生活をサポートする企業として早くから健康経営に取り組み、健康経営銘柄に3年連続選定されています。2012年、 健康診断を受診しない場合は賞与の一部をカットするディスインセンティブを導入 して受診率が100%になったことで、社員の健康状態の悪さが明るみになりました。その結果を踏まえて「ローソンヘルスケアポイント」や、リスクが高い社員向けに食事改善や行動改革を行う「ロカボチャレンジ!」など健康増進の取り組みを実施しています。

2012年からは、健康経営指標とする数値の実績と目標を自社サイトで公開し、年を追うごとに改善と効果がみられます。2016年からは、すべての取り組みとその結果を健康白書として取りまと、Web上で公表しています。

【参考】日経 xTECH/ローソン、健康増進プログラム参加率を0.38%から95%に引き上げた「秘策」
【参考】ローソン/健康経営

人事部、健保組合、医務室が三位一体となって活動 / 株式会社大和証券グループ本社

大和証券グループ本社は、2008年にメタボ検診が義務付けられたことをきっかけに、健康増進の取り組みを開始しました。社員の健康分析の結果から人事部と健保組合、医務室が連携する必要性があったため、三位一体で活動したことにより発言力が強まり、取り組みの実行力も強化されました。また、効果を高めるために産業保健スタッフによる週1回の健康情報発信やイベントの事前告知により社員の意識を高め、イン センティブの活用でモチベーションを高める工夫をし ました。

さらに、自己研鑽に対してポイントを付与し、獲得ポイントが一定水準以上の社員には給与に反映するインセンティブ制度を設けました。そのポイントの対象となる自己研鑽の中には、介護や健康増進プログラムを加えるなど、 新たな取り組みの実施によって健康経営を進めています

【参考】株式会社大和証券グループ本社/健康増進の取り組み
【参考】大和証券グループ本社/健康経営
【参考】あしたの健保プロジェクト株式会社/大和証券グループ本社 企業・健保訪問シリーズ

残業時間の半減と有給休暇取得率95%を実現 / SCSK株式会社

IT企業のSCSKは、2009年に社長に就任した中井戸氏が現場社員の働き方の実態から会社の将来を憂慮したことをきっかけに、健康経営に踏み切りました。平均残業時間35時間を半減、有給休暇100%取得を目標に取り組みを開始し、多くの施策により 2015年には残業時間の半減、有給休暇95%を実現 しています。

取り組みの例としては、有給消化を促進するために、消化後に病気にかかっても減給対象の欠勤にならないバックアップ休暇制度を設けました。また、残業時間削減の目標達成を促進するために、達成インセンティブを賞与で社員に還元する施策を一時的に行いました。施策の効果を社員に還元する仕組みや全社の取り組みとして実行することで効果を上げています。

【参考】SCSK株式会社/CSR情報:健康経営
【参考】日経 xTECH/「残業半減・有休取得95%」、SCSKはいかにして実現したか


紹介した企業事例の他に、経団連が調査結果として発表している94社の健康経営の企業事例集には取り組み内容や効果、活動ポイントなどが紹介されており、健康経営の参考として役立ちます。

【参考】日本経済団体連合会/「健康経営」への取り組み状況


健康経営を実現させる6つのステップ

組織の統率力が高い日本の企業の場合、次のようなトップダウン型で健康経営に取り組むことが効果的であると考えられています。

ステップ1:経営陣が健康経営の重要性を正しく認識する

健康経営を実現させる上で最も重要なのが、経営陣の健康経営や健康投資に対する認識です。
どんなに大きな声で健康経営の重要性を訴えたとしても、経営陣が健康経営の目的や必要性を正しく認識していなければ従業員や株主の心を動かすことはできません。

「 なぜ健康経営に取り組まなければいけないのか 」や「 従業員の健康を保持、増進するために投資することで、将来的にどれだけのリターンを得ることができるのか 」など、自社における健康経営の意味や効果を明確にすることが健康経営実現の第一歩となるのです。

ステップ2:健康経営に取り組むことを社内外に向けて発信する

健康経営に対する正しい認識を持つことができたら、健康経営を実施する目的や健康経営による企業の成長ビジョンを社内広報や株主総会などを通じて全従業員や株主に対して通知します。また同時に、投資家など社外に対してもプレスリリースなどを通じて発表します。

ここで重要なのは、 従業員の健康保持や健康増進に企業全体で取り組む姿勢を正しく伝えること です。
全国健康保険協会や健康保険組合、商工会議所などが実施している「健康企業宣言」を行うことも、企業全体での取り組みであることを認識してもらうために有効な方法だといえるでしょう。

ステップ3:組織内の体制を整備する

社内外に向けて健康経営に取り組むことを発信したら、組織内の体制整備を行います。
人事部や総務部が中心となるのも良いですが、最近では健康経営の推進や強化を図るためにCHO(Chief Health Officer、チーフヘルスオフィサー)などの専任者を任命したり、健康チームや健康支援室といった 専任部署を設置 している企業も多くみられます。

従業員たちの身近な場所に専門の窓口を設けることによって、健康経営の実現に向けた取り組みに興味関心を持たせ、自発的な参加を促すことができるでしょう。

ステップ4:従業員の健康状態を把握・分析する

健康経営を推進する上で従業員の健康状態の把握や分析は欠かせません。

大規模企業であれば、 産業医に健康診断の結果分析を依頼 し、健康保持や健康増進に向けて必要な取り組みについて指導を求めることができます。
また、産業医がいない中小規模の企業であっても、 地域産業保健センターなどの外部医師の指導を受ける ことで同様の効果を得ることができます。

昨今、検診データ分析サービスや検診データ保管サービス、健康経営支援コンサルタントなど数多くの健康経営ソリューションが次々と誕生しているため、必要に応じてこれらを活用することでより戦略的に健康経営を推進することができるでしょう。

ステップ5:具体的な取り組みを検討・実施する

従業員の健康状態が把握できたら、浮かび上がった課題に応じて、企業の方針に基づき、その改善・維持・増進に役立つ取り組みを検討し、中長期的な計画を策定・実施します。

最初から職場環境を大きく変化させるような施策を実施するのではなく、社員食堂のメニューの見直しやノー残業デーの設定、ダイエットや禁煙成功者に対する特別手当の支給、セルフケアに関する情報提供など、 小さな施策を積み重ねることから始める ことで無理なく継続的に取り組むことが可能となるでしょう。

ステップ6:定期的に取り組みの効果を測定し、改善する

健康経営の実現に向けた取り組みを開始したら、定期的にアンケート調査などを行い効果の測定を行います。
この際、事前に設定していた数値目標に対する達成度や計画とのズレについても評価し、改善に向けた検討材料として活用します。

PDCAサイクルを回すことは健康経営においても重要 なことです。
幾度もの効果測定と評価、改善を繰り返すことによって、企業と従業員の双方にとって最適な健康施策を作り上げることができるでしょう。

まとめ

  • 健康経営とは、従業員の健康管理について経営的な視点から戦略的に施策を実施することです。認知度が高まるなか重要性も認識されるようになり、取り組む企業が増えています。
  • 健康経営に取り組むことは、生産性向上や企業イメージ向上、優秀な人材の確保など企業にとっても大きなメリットがあります。
  • 政府等は、健康経営を普及させるために様々な取り組みや制度を設けるなど社会的な評価も受けられるよう、環境の整備を進めています。

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