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2019年4月9日(火)更新

2020年問題

東京オリンピックが開催される2020年は、今後の日本企業にとって大きな転換点になることが予想されます。そのきっかけとなるのが、少子高齢化による人口構造の変化に伴って不動産や雇用をはじめ様々な分野に対して起こる2020年問題です。この記事では、2020年問題で影響を受ける不動産・雇用や人材・IT・教育など各分野について解説します。

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2020年問題とは?

2020年問題とは、あらゆる分野で2020年ごろに表出、深刻化するとされている諸問題あるいはリスクのことです。2020年問題が懸念される業界は不動産をはじめ教育、医療、企業の雇用など多岐に渡ります。

主な原因は、少子高齢化による人口構造の変化と東京オリンピック開催後に都心マンションをはじめ各地で起きると予測される不動産価格の暴落とされています。

2020年問題の影響を受ける業界・分野は?

2020年問題で特に大きな影響を受けるとされるのが、不動産・雇用や人材・教育分野です。

不動産は、東京オリンピックに向けてバブル期並みに高騰している不動産価格の暴落や少子高齢化による管理不足や空き家問題など、様々な問題が発生する可能性が取り沙汰されています。

雇用・人材では、少子高齢化の進行と労働者不足を補うITの発展やAIの導入によって、仕事内容が変化し、様々な雇用問題が起こると予想されます。

教育では、2020年度から新しい大学入試制度や学校における英語教育改革などが行われますが、この教育指導の転換は教育者や保護者など多くの人に影響がありそうです。

その他にも介護や医療分野への影響も問題視されています。

不動産領域における2020年問題

不動産領域における2020年問題として、不動産バブル崩壊と価格下落、空き家問題が予測されます。

東京オリンピックによって引き起こされる不動産バブルと崩壊

東京オリンピック開催の前後で、マンションをはじめとする不動産バブルがはじけたり、相場価格が一気に下落したりする可能性が危惧されています。

さらに現在は、五輪で使用する競技場開発や関連業務で、地方から上京する人や出稼ぎに来る人が増加しています。こうした人たちがオリンピック閉会後に一気に都心部から出て行くことで、関連地域の人口減少が進む可能性があるのです。地域経済にも少なからず影響を与えるでしょう。

高齢化の波を受けて、都心のマンション(集合集宅)の管理が難しくなる

現在都内のマンションで問題となっているのは、少子高齢化による住居者の高齢化です。マンション管理において重要な役割を担う組合員を担える人の減少や管理の空洞化が危惧されています。

国土交通省も「分譲マンションストック500万戸時代に対応したマンション政策のあり方について」答申案で、この問題について見解を述べています。こちらでは、老朽化が進むマンションでは特に高齢化が進んでいることに触れており、それによってコミュニティーの運営が困難に陥ったり、機能しなくなったりすることに強い懸念を示していることが分かります。

【参考】 国土交通省:「分譲マンションストック500万戸時代に対応したマンション政策の あり方について」答申案

人口減少による地方の過疎化・空き家問題の進行

日本の人口減少が進むなか、会社単位で借り上げられていたマンションやアパートが一気に空き家になる可能性があります。こうした現象が地域の地価を下げ、不動産の資産価値を下げる要因となる可能性もあり、不動産の資産管理や投資をしている企業は打ち手を考える必要があるでしょう。

すでに都市部でも空き家問題は進行していますが、特に過疎化が進む地方では、地域の存続にかかわる問題に発展するなど深刻化が予想されます。

省エネルギー基準適合の義務化による不動産価値の下落

国の政策として、2020年までに全ての新築住宅・建築物を対象に省エネルギー基準への適合を義務付ける方針が打ち出されています。これにより、建築をはじめ住宅市場に関わる全ての企業で国の政策を意識した販売戦略や連携を図る必要性が出てきました。

2020年より前に建築され、省エネ基準に満たない戸建てやマンションは、資産価値が低下する可能性があります。

【参考】国土交通省「住宅:建築物省エネ法のページ」

人事領域(雇用・人材)における2020年問題

人事業域における2020年問題としては、団塊ジュニア世代の高齢化によるポスト不足とそれに伴う処遇の変化によるモチベーション低下のほか、企業にとっては人件費の負担増が予測されます。ここでは、それぞれ企業に求められる対策と合わせてご説明します。

ボリュームゾーン(団塊ジュニア世代)の高齢化によるポスト不足と人件費負担の増加

多くの企業において社員全体に占める割合が大きいバブル大量入社組・団塊ジュニア世代と呼ばれる社員が、2020年には40代後半から50代前半に差し掛かります。1990年代のバブル崩壊以降、各企業で組織のフラット化や人件費削減が進められてきました。それによって管理職は大幅に減り、昇進の適齢期を迎える団塊ジュニア世代のポスト不足が起きています。また、賃金水準のピークとなる50代前半に差し掛かることで、企業の人件費負担が増加する可能性もあります。

企業に求められる対策

団塊ジュニア世代社員の人材マネジメントに欠かせないのが、健全な雇用・賃金体系の確立です。昇進ばかりに価値を置く人事制度やキャリアアップに対する考え方の転換を促すことが有効な対策のひとつとなるでしょう。

【関連】複線型人事制度とは?メリット・デメリット、事例をご紹介/BizHint HR

少子高齢化に伴ういびつな企業構造

企業における2020年問題の背景にあるのはやはり少子高齢化です。2016年現在、42歳から51歳のバブル入社・団塊ジュニア世代は、多くの大企業の雇用者全体の中でも最大層を占めており、年齢構成のバランスを欠いたいびつな企業構造をつくる原因となっています。2020年にはこれらのいわゆるボリュームゾーンの高齢化がさらに進み、雇用者の4人に1人が45歳から54歳になると言われています。

企業に求められる対策

再雇用や定年延長など今後も社員の雇用延長も進むなか、企業は役職定年制の導入など団塊ジュニア世代の後の世代である若手のモチベーションにも配慮した処遇や配置を実施していく必要があります。

【関連】役職定年制とは?給与、年齢、メリット・デメリット、事例までご紹介/BizHint HR

社員のモチベーションの維持が課題に

賃金減少や職場環境の変化に伴って生じるであろう、バブル入社・団塊ジュニア世代社員の意欲低下も問題視されています。

昇進の道が閉ざされたり、定年延長によって働く期間が伸びたりすることは、働く意欲の減退につながる可能性もあります。組織全体のモチベーションやパフォーマンスを維持するためにも、すべての社員が高い意識を持って職務を全うできるような、長期的な視点に立った人材活用の仕組みづくりが求められているのです。

企業に求められる対策

これを防ぐために、企業ではさまざまな形でキャリアビジョンの構築を支援していく必要があります。例えば、団塊ジュニア世代の社員を対象にキャリア研修を実施し、これと併せて定期的に面談をしてモチベーションの強化や新しいキャリアをデザインする意識を養成するといいでしょう。社員のモチベーションの維持・向上は企業利益にも繋がります。

【関連】モチベーションマネジメントとは?/BizHint

AIの発達などによる職種の喪失

2020年の東京オリンピックに向けて、AIなどの人工知能の開発や導入に向けた様々な試みが進められています。職場へのAIの導入は人材不足を補う一手である一方、これまで人の手で行われていた仕事がなくなることで職種を変える必要が出てくる可能性があります。

例えば接客・通訳・士業・プログラマーなど、これまで社内で必要とされていた様々な職種がロボットやAIに取って代わられることで仕事を失うリスクも秘めているのです。

企業に求められる対策

企業では、AIなどの導入で人件費を抑える一方、導入によって仕事を失くした人材の新しい活用方法を見出していく必要が出てくるでしょう。そのひとつの方法として、キャリアやそれ以前の原体験の振り返りが有効と考えられています。記憶に残る仕事や事象を回顧することで、自らの専門性・長所を再認識でき、職種が大きく変わっても根底にある強みを生かし、ポジティブに新たな仕事に臨むことができるでしょう。

【関連】人工知能(AI)とは何か?歴史や種類、メリット、仕事アプリをご紹介/BizHint

教育領域における2020年問題

教育分野が抱える2020年問題についても触れておきます。2020年に向けた大学入試や学校教育の変化を知ることは、今後の新卒採用や企業運営においても大変重要です。

大学センター試験の変化

これまでの大学センター試験は2019年度に廃止され、2020年度 (2021年1月)からは大学入学希望者学力評価テストという新システムに変わります。スケジュール通りに準備が進むと、現在の中学校3年生(2017年4月時点)が最初に新制度を体験する子どもたちになります。

大学入学希望者学力評価テストでは、国語と数学で記述式が導入され、英語は民間の試験が活用される予定です。ほかの教科についても順次導入が検討されています。

【参考】河合塾:こう変わる!大学入試 ~2020年度からセンター試験に代わる試験を実施~

排出される人材の強みや性質の変化

大学入試センター試験のシステムが変わることを受け、進学校の私立小学校や中学校の中では新入試システムに適応するための授業や教育がすでに開始されています。入試形式が変わることで、学校教育も変化しているのです。それは、今までの応募者とは特色や強みが異なる人材が市場に多く出てくる可能性があることを意味しています。

企業採用や人事制度のあり方の変革

人材が変化していく以上、企業も採用や人事、評価などの従来制度の見直しが必要となってきます。従来通りのスタンスを貫いていては時代に取り残され、「人材から選ばれない企業」となってしまう可能性があるからです。 より良い社員を獲得するために、新しい入試制度をパスした学生が世の中に出てくる前から準備しておきましょう。

IT領域における2020年問題

進展がめざましいIT分野でも、深刻な2020年問題が予測されます。ここでは、その主な原因であるエンジニアの高齢化と少子化などによる人材不足についてご説明します。

エンジニアなど、必要なスキルを持った人材が不足

IT領域ではロボットやAIをはじめ、IoT・ビッグデータ・VRなど様々な分野が存在し、それぞれが今後もさらなる開発の需要が高まっています。しかし、若い世代の人材育成が進んでいないため、開発を担うエンジニアなどのいわゆる「IT人材」不足が深刻な問題になると予想されています。

この問題に対し、文部科学省では2020年から小学校でプログラミング教育を実施するほか、産学連携の取り組みを進めるなど将来につながるエンジニアの教育・育成に本格的に取り組んでいます。

また、エンジニアは業務負荷が高く離職率が高いイメージがあり、若手のエンジニア離れの問題もあります。企業としては、テレワークなど柔軟な勤務形態の導入や外国人人材の積極的な活用など、従業員の負荷低減によってエンゲージメントを高める工夫が必要になるでしょう。

【参考】文部科学省/産学連携による高度人材育成等
【参考】文部科学省/プログラミング教育
【参考】経済産業省/第四次産業革命スキル習得講座認定制度
【関連】「エンゲージメント」とは?意味やメリット、向上させる方法をご紹介/BizHint

その他の領域における2020年問題

ここからは、2020年問題が各業種やその仕事内容、雇用にどのような影響を与えていく可能性があるのかについて考えていきます。

離職者が増加の一途の介護業界

介護業界は仕事の大変さやそれに見合わない賃金などから、離職率が高い業界の一つです。今後深刻な人手不足になる可能性を危惧し、自治体によっては介護士の資格を取るための受験料を補助するなど、業界に人材が定着しやすいような取り組みが行われています。

2025年問題に向けて対策が問われる医療業界

団塊世代が後期高齢者(75歳以上)となる2025年までに、医療費や介護費をはじめとする社会保障費を抑えるための対策が各所で検討されています。

その一環として、2020年までに医療業界が出来る対策が話し合われています。その中でも現在発展がめざましい「AIやIoTなどの技術と連携を進めていく必要がある」時代の先端技術を、医療にも積極的に導入するべきではないかといった意見が見受けられます。

自動化の進展と環境への対策が求められる自動車業界

2020年に向けて、国内の自動車業界では、自動運転をはじめとする「自動化」をキーワードとして開発が進められています。工場もどんどん自動化が進み、人材のあり方や配置について見直されているケースが出てきました。

欧州では2020年からCO2の排出量制限の義務化が実施されます。それに伴って、海外に輸出する自動車やその開発には変化が求められます。

まとめ

  • 2020年前後にはITの発展やAIの導入により、仕事のあり方や雇用にも変化が起こる可能性が高いとされている。
  • どの業種でも2020年には団塊ジュニア世代社員が40代後半から50代後半を迎えるため、管理職をはじめとするポスト不足が懸念されている。
  • 企業や経営者側にはこれまでとは異なる人材の動かし方や新しい雇用形態の受け入れが求められてくる。

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