はじめての方はご登録ください(無料)会員登録
search

2017年10月14日(土)更新

2020年問題

2020年問題という言葉を聞いたことがありますか。マンションや地価下落における影響で取り上げられることが多い問題ですが、雇用や人材にも影響を与える可能性があることで最近取り上げられています。ここでは「2020年問題とは?」や「今後ビジネス面や人事採用に与える可能性がある影響とは?」についてご説明させていただきます。

2020年問題 に関するニュースやイベントの情報を受取る

2020年問題とは?

2020年問題では、オリンピックの前後で都内を中心に起こっている不動産バブルが弾けるのではないかということが心配されています。現在、東京オリンピック開催に向けて都心部を中心に大規模な開発が多く進められています。同時にマンション開発も活性化しており、それに伴って購入者や住居者数も増加しています。そのため、都心部における地価や市場価値は上がる一方です。

さらに2020年前後にはITの発展やAIの導入により、仕事のあり方や雇用にも変化が起こる可能性が高いとされています。教育現場では、大学入試のシステムが2020年度を機に変わることから、指導面でも学力向上の面でも大きな転換期を迎えようとしています。こうした変化によって、世の中に出てくる人材の質や能力に変化があるかもしれないと考えられているのです。

企業の経営者や人事担当者が、幅広い意味で2020年問題を把握しているかにより、今後の採用や経営方針の選択に影響が出てくる可能性があります。2020年問題にどのように向き合うのかによって、時代や社会変化に着いていけるのかどうかが左右されるかもしれないからです。

マンションの価値が下がる?

2020年問題で最初に取り上げられる話題といえば、マンションをはじめとする都心部の不動産管理やバブルの問題です。ここではその問題について簡単に説明していきます。

高齢化の波を受けて、都心の集合集宅の管理が難しくなる

現在都内のマンションで問題となっているのは、少子高齢化が進むことによって住居者の高齢化が進んでいる点です。それによってマンションの管理において重要な役割を担う、組合員の成り手減少や管理の空洞化が危惧されています。

国土交通省も「分譲マンションストック500万戸時代に対応したマンション政策のあり方について」答申案で、この問題について見解を述べています。こちらでは、老朽化が進むマンションでは特に高齢化が進んでいることについて触れており、それによってコミュニティーの運営が困難に陥ったり、機能しなくなったりすることに強い懸念を示していることが分かるかと思います。

【参考】 国土交通省:「分譲マンションストック500万戸時代に対応したマンション政策の あり方について」答申案

東京オリンピックによって引き起こされる不動産バブル

東京オリンピック開催の前後で、マンションをはじめとする不動産バブルがはじける可能性や、相場価格が一気に下落する可能性が危惧されています。

さらに現在は、五輪で使用する競技場開発や関連業務で、地方から上京している人や出稼ぎに来ている人が増加しています。こうした人たちがオリンピック閉会後に一気に都心部から出て行くことで、関連地域の人口減少が進む可能性が大いにあるのです。地域経済にも少なからず影響を与えるのは言うまでもありません。

また、会社単位で借り上げられていたマンションやアパートが一気に空き家になる可能性もあります。こうした現象が地域の地価を下げ、不動産の資産価値を下げる要因となる可能性もあるのです。そのため、企業として不動産を資産として管理していたり、投資していたりする場合には、特に注意を払わなくてはなりません。

2020年問題の各業種の仕事への影響は?

ここからは、2020年問題が各業種やその仕事内容、雇用にどのような影響を与えていく可能性があるのかについて考えていきます。

IT業界の発展により、様々な業種に変化が出てくる可能性がある

IT業界の進展は目覚ましく、2020年の東京オリンピックに向けて各社が競うように開発を進めています。人工知能(AI)を用いた様々な試みを進められており、その様子は日々ニュースとして取り上げられるぐらいです。こうした開発を進めていくため、多くの人材が日々求められています。

IT業界の発展は、私たちの生活を豊かにする一方で、接客業や通訳など様々な職種がITに取って代わられる危険も秘めているのです。こうした業務には会計士やプログラマといった専門職も含まれています。

企業や経営者は、IT業界の発展を受け入れて人件費やコストを抑える一方で、これまでの人材を新しく活用する方法を見出して行く必要が今後出てくるのではないでしょうか。

離職者が増加の一途の介護業界

介護業界は仕事の大変さやそれに見合わない賃金などから、年々離職率が増加している業界の一つです。今後深刻な人手不足になる可能性を危惧し、自治体によっては介護士の資格を取るための受験料を補助するなど、業界に人材が定着しやすいような取り組みが行われています。

2025年問題に向けて対策が問われる医療業界

団塊世代が後期高齢者(75歳以上)となる2025年までに、医療費や介護費をはじめとする社会保障費を抑えるための対策が、国をはじめとする各所で検討されています。

その一環として2025年に向けたマイルストーンの一つとして、2020年までに医療業界が出来る対策が話し合われています。その中でも現在発展がめざましい「AIやIoTなどの技術と連携を進めていく必要がある」時代の先端技術を、医療にも積極的に導入するべきではないかといった意見が見受けられます。

自動車

国内の自動車業界では、2020年に向けて自動運転をはじめとする「自動化」がキーワードとなって開発が進められています。工場もどんどん自動化が進み、人材のあり方や配置について見直されているケースが出てきました。

欧州では2020年からCO2の排出量制限の義務化が実施されます。それに伴って、海外に輸出する自動車やその開発には変化が求められます。

建築

国の政策として、2020年までに全ての新築住宅・建築物を対象に省エネルギー基準への適合を義務付ける基準が方針として打ち出されています。これにより建築業界はもちろん、住宅に関わる全ての人が国の政策を意識した販売戦略や連携を図る必要性が出てきました。

業種問わず業界全体が抱える問題点

どの業種でも2020年には団塊ジュニア世代社員が40代後半から50代後半を迎えます。そのため、管理職をはじめとするポスト不足がどの業界でも懸念されています。 企業によっては、ポストを増やすことで対応しているケースもあるのではないでしょうか。

こうした対策はもちろん必要ですが、本質的な問題解決を目指すことが必要です。企業や経営者側には、これまでと異なる人材の動かし方や新しい雇用形態の受け入れが求められてきます。

従来の正規社員雇用だけでなく、非正規社員雇用も積極的に取り入れることで、働き方や雇用に柔軟性を持たしてみるのはいかがでしょうか。ただし、これを実現させるには「積極的に企業の外へ出てもらわなくてはならない時代になった」と社員に認識してもらう必要があります。

人事領域における2020年問題について

前章の「業種問わず業界全体が抱える問題点」でも少し触れた、人事領域に関わる問題を見ていきましょう。

ボリュームゾーンの高齢化

多くの企業にとって、2020年問題とは、人事領域に関する課題のことを指しています。バブル大量入社組・団塊ジュニア世代の社員が2020年代には40代後半から50代前半に差し掛かりますが、相対的に人口が多い「ボリュームゾーン」と呼ばれる彼らが高齢化することで、ポスト不足・人件費高騰といった諸問題が、企業にとって早急に対応すべき経営課題として浮かび上がってきています。

少子高齢化にともなういびつな企業構造

企業における2020年問題の背景にあるのはやはり少子高齢化です。2016年現在、42歳から51歳のバブル入社・団塊ジュニア世代は、多くの大企業の雇用者全体の中でも最大層を占めており、年齢構成のバランスを欠いたいびつな企業構造をつくる原因となっています。2020年にはこれらのいわゆるボリュームゾーンの高齢化がさらに進み、雇用者の4人に1人が45歳から54歳になると言われています。

企業内のポスト不足と人件費負担が深刻化

ところが、1990年代にバブルが崩壊して以降、ほとんどの企業ではフラット組織化や徹底したダウンサイジングが進められてきました。管理職ポストはかつてに比べ大幅に減少しており、もはや昇進の適齢期を迎えるボリュームゾーンをそのままの形で社内にとどめるための受け皿を持ち合わせていません。

また、人件費という観点から考えても、彼らが賃金水準のピークとなる50代前半に差し掛かることで、企業の人件費負担が大幅に増加します。何らかの処遇がない限り経営を著しく圧迫することになり、企業の存続にさえ影響しかねない事態を招くことになります。

社員のモラルとモチベーションの維持が課題に

賃金減少や職場環境の変化に伴って生じるであろう、バブル入社・団塊ジュニア世代社員の意欲低下も問題視されています。

ただでさえ、2013年に施行された「改正高年齢者雇用安定法」による雇用延長で、企業は大きな負担を抱えています。組織全体のモチベーションやパフォーマンスを維持するためにも、すべての社員が高い意識を持って職務を全うできるような、長期的な視点に立った人材活用の仕組みづくりが求められているのです。

企業に求められるシニア化するボリュームゾーン対策

では実際にどのような対策を行っていけばよいのでしょうか。詳しく考えていきましょう。

労働に対する姿勢・キャリア志向の転換を促進

2020年問題で対象となるバブル入社・団塊ジュニア世代社員の人材マネジメントに欠かせないのが、健全な雇用・賃金体系の確立です。

そのためには、まず当該世代に対して雇用されることの意味の再認識を求めることが必要となるでしょう。職場環境・賃金体型が変わってもなお高い意欲をもって仕事に従事してもらうためには、雇用を社員と企業それぞれのニーズを擦り合わせたところに成り立つものであるという考えのもと、「希望する仕事」ではなく「必要とされる仕事」に就くという意識の芽生えが欠かせません。

また、これまで責任ある立場として保持してきた「上向型キャリア」志向から、一人の担当者として仕事に従事する「水平型キャリア」へとシフトするなど、労働に対する姿勢の転換を促すことも必要になるでしょう。その過程では、企業に仕事を用意してもらうという意識から脱却し、自ら意欲をもって会社・職場に貢献できる仕事を自ら率先して見つけることが求められます。

【関連】役職定年制とは?給与、年齢、メリット・デメリット、事例までご紹介 / BizHint HR
【関連】複線型人事制度とは?メリット・デメリット、事例をご紹介 / BizHint HR

新たなキャリアビジョンの構築支援

そのためには、さまざまな形でのキャリアビジョンの構築支援を行っていく必要があります。ボリュームゾーンを形成するバブル入社・団塊ジュニア世代社員を対象としたキャリア研修を実施するなど、モチベーションの強化やキャリア意識の開発を後押しすることが企業側に求められています。

例えば、ライフヒストリーの作成を促すのは有効な方法と考えられています。記憶に残る仕事や事象を回顧することで、自らの専門力・長所を再認識でき、職場環境が大きく変わっても現役世代であるという意識や将来的な生き方・働き方の展望をポジティブに捉えることができるはずです。

また社内に講師を招いてセミナーを実施し、合わせて定期的な面談も行うなどして、これまでとは違ったアプローチでキャリアをデザインする意識の養成し、モラルやモチベーションを維持しながら活躍していくための方法を考えるさまざまな機会が提供されなくてはなりません。

【関連】「キャリアデザイン」とは?その重要性とデザイン方法をご紹介 / BizHint HR

教育の2020年問題

最後に、教育分野が抱える2020年問題についても触れておきます。2020年に向けた大学入試や学校教育の変化を知ることは、今後の新卒採用や企業運営においても大変重要です。

大学センター試験の変化

これまで行われていた大学センター試験は2019年度に廃止され、2020年度 (2021年1月)からは大学入学希望者学力評価テストという新システムに変わります。スケジュール通りに準備が進むと、現在の中学校3年生(2017年4月時点)が最初に新制度を体験する子どもたちになります。

大学入学希望者学力評価テストでは、国語と数学で記述式が導入され、英語は民間の試験が活用される予定です。他の教科についても順次導入が検討されています。

【参考】河合塾:こう変わる!大学入試 ~2020年度からセンター試験に代わる試験を実施~

人材の変化

大学入試センター試験のシステムが変わることを受け、進学校の私立小学校や中学校の中には新入試システムに適応するための授業や教育が既に開始されています。入試形式が変わることで、学校教育も変化しようとしているのです。それは、これまで今までの応募者とは特色や強みが異なる人材が市場に多く出てくる可能性があることを意味しています。

企業採用や人事制度のあり方の変革

学校教育やそれにより育てられた人材が変化していく以上、企業も採用や人事制度・評価という観点で従来制度の見直しや変化が必要となってきます。従来通りのスタンスを貫いていては時代に取り残されてしまう「人材から選ばれない企業」となってしまう可能性があるからです。

より良い社員を獲得するためにも、新しい入試制度をパスした学生が世の中に出てきてから企業が変化していては遅いのです。時代の波に置いて行かれないためにも、どんなに遅くても2020年から企業や組織が変化していかなければ、間に合わなくなってしまうのではないでしょうか。

まとめ

  • 2020年前後にはITの発展やAIの導入により、仕事のあり方や雇用にも変化が起こる可能性が高いとされている。
  • どの業種でも2020年には団塊ジュニア世代社員が40代後半から50代後半を迎えるため、管理職をはじめとするポスト不足が懸念されている。
  • 企業や経営者側にはこれまでとは異なる人材の動かし方や新しい雇用形態の受け入れが求められてくる。

注目の人事トピックを、逃さずチェック。

大手やベンチャー含め計20,000人以上の会員が利用しています。

BizHint HRの会員になるとできること

  • 厳選されたニュースが毎日届く
  • BizHint HR限定公開の記事を読める
  • 実務に役立つイベントに申し込める
  • アプリで効率的に情報収集できる
いますぐ無料会員登録

この記事の関連キーワード

フォローボタンをクリックすると、キーワードをフォローすることができます。

キーワードについて

チーム・組織開発の記事を読む

ニュースやイベントの情報を受取る

フォローしたキーワードの最新トピックをトップページに表示します。 フォローはでいつでも変更することができます。
フォローを管理する

目次