はじめての方はご登録ください(無料)会員登録
search

2018年11月9日(金)更新

FLコスト

FLコストとは飲食店経営で費用の多くを占める、食材費と人件費の合計を示す重要な指標です。本記事では飲食店でFLコストが売上や利益にどのように関係するのかを解説し、FLコストの活用方法やマネジメント方法、そしてFLコストから見る経営課題の発見方法まで紹介します。

FLコスト に関するビジネス事例や製品の情報を受取る

FLコストとは

FLコストとは飲食店経営で食材費と人件費の合計を表す重要な指標です。飲食店では費用の多くを食材費と人件費が占めるため、FLコストを適正な範囲に抑えられるかどうかが飲食店経営の儲けに直結します。

FLコストは「店舗が儲かっているかどうか」という現状把握だけでなく、「儲かる体質になるにはあとどの程度の改善が必要なのか?」という適切な目標を知るためにも活用できます。ここではFLコストの計算方法や、FL比率を把握する目的、そして営業利益率との関係を紹介します。

FLコスト・FL比率の計算式

FLコストとは飲食店の食材費と人件費の合計で、FはFood(食材費)で、LはLabor(人件費)の頭文字です。

FLコスト=食材費+人件費

そして、売上高に対するFLコストの割合を計算する指標が、FL比率です。

FL比率=売上/(食材費+人件費) (%)

FL比率が低ければ利益が出やすい店舗だと言えますが、高すぎると利益を圧迫して赤字になる危険があります。FLコストの目安は、売上の50%~60%程度が望ましいとされています。内訳ではF(食材費)は30%程度、L(人件費)は20%程度が目安です。

FLコスト・FL比率を把握する目的

飲食店経営でFLコスト・FL比率が重視される理由は、費用のうちの多くを食材費と人件費が占めるからです。店舗運営では集客や売上高に注目がいきがちですが、経営の両輪のもう一方であるコスト面の課題を探り続けることが欠かせません。

FLコスト・FL比率を把握する目的のひとつは、適正な利益を出すためです。FLコストのうち食材費は変動費ですが、人件費は固定費です。現状の固定費と変動費を分析しながら損益分岐点を計算し、コストに対してどれほどの売上が必要なのかを正確に把握することで利益を実現するための戦略が見えてきます。

もう一つの目的は店舗経営の課題を発見するためです。店舗の売上目標やコスト計画を設定したとしても想定通りにいかないケースがありますが、想定以上のコストがかかった際にFLコストを把握していれば「原因は食材費か人件費か、それとも他の原因があるのか?」などの分析ができ、経営課題の発見にも役立ちます。

営業利益率との関係性

このFLコストですが、営業利益を計算する方法とは異なります。

営業利益率とは、売上高から食材費などの売上原価を除き、人件費や地代・家賃、水道光熱費などの販売費及び一般管理費を除いた数字を、売上高で割って計算します。営業利益率も重要な指標ですが、よりシンプルに飲食店経営で多くを占める食材原価と人件費だけを計算したものがFLコストです。

営業利益率=(売上原価+販売費及び一般管理費)/売上高

飲食店経営ではFL比率を下げるだけでなく、その結果として営業利益率を高める努力が必要です。上場企業でも営業利益率10%が優秀なゾーンだと言われています。飲食店はFL比率の目安が50%ですから、営業利益率10%を確保するには、その他の費用を売上の40%以下に抑えなければなりません。

食材費と人件費を重視するのはもちろんですが、その他も含めたコスト全体の管理が重要です。

FLコストの活用方法

FLコスト・FL比率は売上の結果として付いてくるものではなく、店舗の業態や運営方針を反映する重要な指標です。FLコストを適切に扱うことで売上目標の設定、経営状況の見える化、そして課題発見にも役立ちます。ここでは具体的な活用方法を紹介します。

売上目標の決定要素に活用

FLコスト・比率は売上目標を決定する要素として活用できます。目標にすべき売上高はコストをカバーできる程度であるのはもちろんですが、いざという時の蓄えや次なる拡大のための原資を確保するなど適切な利益率も考慮する必要があります。

FLコストを材料に売上目標を決定する具体的な活用方法を紹介しましょう。儲けが持続的に出やすいFL比率は50%~60%程度です。FL比率が60%を超えてくると利益の余地が減ってくるため経営が厳しくなります。現在のFLコストが100万円なら、FL比率50%を目指して売上目標を200万円にするなどの方法が考えられます。

売上や利益の目標からコストを考えるのもひとつの方法ですが、実際の店舗運営は予想通りになるとは限りません。一方で、FLコストから逆算して売上目標を立てる方法は、すでに毎月計上されているリアルな数値に基づいて考えるため、より現実的だと言えます。

経営状況の数値化

FLコスト・FL比率は経営の実績を数値化するためにも活用できます。

売上、客数や客単価はセールスの部分ですが、食材費、人件費や地代賃料などはコストの部分です。どちらか一方の部分だけを見ても利益は出せませんし、また売上や人件費比率など特定の指標だけに偏って分析するのも誤った経営判断につながりかねません。バランス良く経営を分析するためにはFLコスト・FL比率が役立ちます。

飲食店経営者の悩みとして、経営状況を数値化する時にそもそも何を数値化すれば良いのかがわからないというものがありますが、総コストの50%以上を占めるFL比率は決して無視できない数値化すべき指標です。FL比率を過去や他店の数字と比較するだけでも、今の経営状況はどれほどうまくいっているのかが一目でわかります。

また、FLコスト・FL比率を他の経営指標と組み合わせることで、より活用しやすい数値になります。例えばメニュー一つあたりの平均価格に対してFL比率が何%なのかを分析すると、一つのメニューがどれほど利益に貢献しているのかがわかります。その数値から、食材費や人件費がかかりすぎているなどの課題が発見できます。

最適な仕入れコスト・人件費の把握

顧客満足度を高めながら、なおかつ持続可能な利益を出し続けるためには、メニューやサービスの品質を確保するために適切なコストはかけながらも、同時に、優先順位の低い箇所のコストは抑えるという舵取りが求められます。安すぎず、高すぎずという仕入れコストや人件費を把握するためにもFLコストは活用できます。

飲食店の業態は様々です。メニューを絞って食材原価率を下げながら少ない席数で高回転率を目指すラーメン店と、サービスが手厚くくつろげる高級店では、FL比率の目安は違います。前者はなるべく材料費も店舗スタッフも効率化したいのでFLコストを抑えたいですが、後者は原価率や人件費率を犠牲にすると質の確保が難しいのでFLコストはある程度保ちたいところです。

このように、業態によって食材や接客サービスなどにかけるべき適切なコストは違います。業態に見合った最適なコストを把握するためには、過去に最も店舗の業績と顧客満足度のバランスが良かった時期のコストや、類似の繁盛店の数字を活用するなどの手段が有効です。

FL比率ごとの飲食店の特徴

FL比率ごとに飲食店を分けると、コスト管理の考え方や方法に特徴が見られます。優良店はコストに対する方針やコスト上昇などのリスクに対処する方法がある程度定まっている一方、課題がある店舗は明確な方針がないケースが多いと言えます。一般的な水準である55%~60%を目安に、飲食店の経営状態の特徴と課題も紹介します。

FL比率50%以下の飲食店の特徴

コストのコントロールが最適化できている店舗です。店舗の企画段階から食材費と人件費ともに一定の範囲内に収める工夫がなされ、適切に実行するためのマネジメント体制が整っています。食材発注・在庫管理の最適化や天候要因などで仕入れ価格が高騰した時のリスクヘッジもできており、スタッフの稼働管理にも明確な方針があるなどの特徴が見られる店舗です。

一点だけ注意点をあげるとすれば、必要なコストまで抑えすぎていないかどうかでしょう。食材の質、スタッフの能力への投資も両立しながらこのFL比率50%以下を実現しているならば問題ありませんが、念のためメニューやサービスなどで思わぬ漏れがないかどうかもチェックすると良いかもしれません

FL比率51%~55%の飲食店の特徴

コストのコントロールが適切な店舗です。食材費や人件費の予算を立て、厳しく管理するための体制がとられています。

さらにコスト管理を最適化するためには、過去のデータ分析や類似の優良店の方法も取り入れ、天候や突発イベントなどによる売上・食材費の予測も立てながら、無駄な廃棄ロスや過剰なスタッフ人数を減らすなどの工夫が考えられます。

FL比率56%~60%の飲食店の特徴

コスト管理がおおむね適切ながら課題もある店舗です。この水準は食材費比率が30%台前半、人件費率が20%台後半であることが多いようです。

店舗全体としては利益もコストも一般的な水準ながら、食材費率30%、人件費率25%ほどを目安に、他の類似店舗と比べて高いものは削減する施策が求められます。

特に、近年高騰傾向である人件費が固定費として総コストを押し上げているケースが多いようです。その場合は従業員スタッフのシフトや時給の最適化、システム導入によるオペレーションの省力化が求められます。

FL比率61%~64%の飲食店の特徴

コスト管理に課題がある店舗です。FLコスト以外のコストを30%に抑えられたとしても、ほとんど利益の残る余地がなく厳しい経営状態です。食材費や人件費の高騰に対するバッファーがないため、外的要因に業績が直接左右されてしまう状態だといえるでしょう。

原材料費が35%程度、人件費が30%の目安を超える場合は早急に見直しましょう。業態に応じてコストをかけるべき点と、抑えても影響が少ない点を分け、優先順位が低いものは思い切って削るなどの施策が求められます。

FL比率65%以上の飲食店の特徴

コストのコントロールができておらず、存続のリスクがある店舗です。原材料費と人件費のどちらもコスト過剰の場合が多いため、早急にメニューや店舗運営を見直しましょう。

見直すポイントは、店舗計画は悪くないが運営段階でコントロールができなかったのか、元々業態のコンセプトや計画に無理があったのかを分け、それぞれに応じて適切な解決策を見つけることです。

FLコスト・FL比率の改善・マネジメント方法

飲食店経営ではFLコスト・FL比率の最適な目標を決定するだけでなく、目標を実行するための組織やマネジメント、そして現場のオペレーションが必要です。FLコストを活用して経営課題を発見し、適切に管理するための方法を紹介します。

家賃(R)を加味したFLRコストの把握

ここまでFLコストについて解説してきましたが、その他にFLRコストも飲食店経営で把握すべき重要な指標です。飲食店では食材費と人件費に加えて、もう一つコストの多くを占めるのが家賃です。Food(食材)の頭文字であるF、Labor(人件費)のLにRent(家賃)のRを加えてFLRコストと言われます。この「家賃」ですが、借りている店舗の共益費なども含めたトータルの場所代と考えます。

FLRコスト=食材費+人件費+家賃

そして、売上高に対するFLRコストの割合を示す指標が、FLR比率です。

FLR比率=売上/(食材費+人件費+家賃) (%)

売上に対するコストの目安は食材費率が30%、人件費率が20%程度、家賃率が10%程度です。よって、FLR比率の目安は60%から70%程度です。優良店はFLR比率を70%までに抑えていることが多く、60%程度だとかなり利益が出やすい体質だと言えます。

FLRコストを把握することは飲食店開業、チェーン店の新規出店や移転の検討の際に役立ちます。店舗経営では立地だけでなく家賃も検討材料になりますが、FLRコストを把握していれば、「この立地と家賃でFLR比率を70%に抑えるには、適切な売上目標はどれくらいか」と逆算できるので、儲けを残すための売上目標を設定する際にも役立ちます。

顧客サービス主体で考える

上記の「FL比率50%以下の飲食店の特徴」でも触れたように、FLコストは低いに越したことはありませんが、メニューやサービスの質を犠牲にしすぎるべきではありません。FL比率の目標は立てるべきですが、その数字自体を目的化するのは危険です。経営者は最適なFL比率を設定しながら、店長など現場担当者には正しく意図を理解してもらう必要があります。

理想は、あくまでも顧客に満足してもらえるサービスを提供することです。その上で、全てにコストをかけては経営が成り立たないため、FLコスト・FL比率はサービスを持続可能にするためのコスト管理の指標として活用すべきでしょう。

たとえば顧客に提供する価値を絞り、優先順位の高いサービスは省かず、重要でない部分は積極的に節約していくなどのコスト戦略が有効です。最近では、メニューの質に一点集中して食材費率を高めつつも、無駄なサービスを省いて高回転率を実現することでペイする業態も人気を集めています。顧客サービスとコストの「選択と集中」がうまくいった好例と言えるでしょう。

マネジメント力・スタッフ教育の強化

飲食店経営者がFLコストやFL比率にもとづいて、せっかく経営計画を立てたとしても、それを実行する店長や従業員スタッフがその意図を理解していなければ効果は半減してしまいます。

まず責任者が適切なコスト計画や売上目標などの戦略を設定するのは大前提ですが、現場レベルで決定事項が実行されているかどうかもマネジメントしつづけることが欠かせません。

また、スタッフ教育も重要です。スタッフ教育を強化することで在庫管理改善、廃棄ロス削減、オーバーポーション削減による食材費の減少や、オペレーションの効率化による人件費の最適化が見込めます。

定期的な仕入れ値・人件費の見直し

FLコストやFL比率を低く抑えるには定期的な見直しが欠かせません。コスト管理が徹底されている優良店舗の特徴は、定期的にコストを見直す作業をしており「いつ、誰が、何の」コストを測るのか決まっていることが多いです。

食材価格は毎日のように市場で変わるだけでなく、季節要因や天候・災害などの突発要因によっても影響を受けます。人件費も人手不足のため高騰傾向です。飲食店経営では、コストの大部分を占める仕入れ値と人件費ともに変動が多いという課題があります。

仕入れ値や人件費が上がっているのに、従来と同じ仕入れ方法やスタッフの配置を続ければどこかで経営が行き詰まる危険があります。環境が変化しても利益を確保するためにはFL比率の目安を意識し続けることが欠かせません。早めに手を打つためにも、仕入れ値や人件費は定期的に見直すようにしましょう。

ITシステムの活用

FLコストやFL比率を管理するためには、ITシステムの導入も有効な手段です。初期投資こそ必要ですが、仕入れ値を含めて店舗の売上やコストを数値化できるだけでなく、発注や接客業務など店舗のオペレーションが効率化され、結果として人件費の削減も期待できます。

現在では、売上、配席、回転率、在庫発注、買掛金などの飲食店に特化した総合的な経営情報を管理するシステムもあります。活用することで店舗の経営数値を効率的に分析できることが期待されます。

店舗オペレーションに関わるITシステムの例では、予約のWEB受付、専用タブレットや顧客のスマートフォンのアプリによる注文、会計のスマホ決済などがあります。人手による業務が多いのが飲食業界の課題でしたが、スマートフォンやWiFi(ワイファイ)などITインフラの普及によって、中小企業でもITシステムの導入が容易になっています。

まとめ

  • FLコストとは飲食店経営でコストの大半を占める食材費と人件費の合計を表す重要な指標
  • FLコストは売上目標の設定、経営状況の見える化や課題発見にも活用できる
  • 適切なFLコスト・比率の達成には組織作りや定期的なコスト見直しなどマネジメントが必要

注目のビジネス事例トピックを、逃さずチェック。

大手やベンチャー含め計170,000人以上の会員が利用しています。

BizHint の会員になるとできること

  • 事業運営のキーワードが把握できる
  • 課題解決の事例や資料が読める
  • 厳選されたニュースが毎日届く
  • アプリで効率的に情報収集できる
いますぐ無料会員登録

FLコストの関連キーワードをフォロー

をクリックすると、キーワードをフォローすることができます。

キーワードフォローの使い方

戦略・経営の記事を読む

ビジネス事例や製品の情報を受取る

フォローしたキーワードの最新トピックをトップページに表示します。 フォローはでいつでも変更することができます。
フォローを管理する

目次