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戦略・経営

2019年6月4日(火)更新

6億円の借金を継いだ「職人」による会社再建。「二度と元に戻さない」決意で敢行した、異例の待遇改善

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鉄道工事において特殊技術を要する「杭打ち」を専門とする小さな会社、恵比寿機工。2代目社長の髙橋健一さんは現場の職長だった頃、血縁関係のない創業者が作った借金6億円の連帯保証を背負い、会社の立て直しに奮闘します。突然の事業承継や資金繰りに四苦八苦しつつも経営をV字回復させ、社員数も2倍にした経営手法と、多額の借金を背負っている中でも職人の待遇改善を最優先した背景をお伺いしました。

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恵比寿機工株式会社

代表取締役社長 髙橋 健一さん

1965年生まれ。東京都北区出身。東京都立工業高等専門学校卒業後、真空装置の製造メーカーおよびデザイン住宅販売会社の営業勤務を経て、1994年7月、恵比寿機工(株)へ入社。1997年、職長就任。2011年3月より事務所勤務。同年10月、取締役・統括部長就任。翌2012年8月、代表取締役就任。3人の子供は全て独立し、現在は妻と二人暮らし。3人の孫がいる。趣味:ゴルフ、車、バイク、ラグビー観戦、温泉旅行


経営破綻寸前、役員は高齢、借金は6億円

――髙橋さんが社長になる前、御社はどのような状態でしたか。

髙橋健一さん(以下、髙橋):現在の恵比寿機工は鉄道のインフラ工事において、重機を使って太い鉄の杭を打つといった特殊な建設基礎工事を行う建設会社です。創業者の平野が50年前(1969年)に、クレーンのリース事業を始めたところから事業がスタートしました。彼は建設・土木関連の協同組合の立ち上げも手がける、業界では名の知られた経営者でした。会社は順調に業績を伸ばし、やがて事業の付加価値を向上させるために、クレーンを使った「杭打ち」にも進出していきました。

そんな中「鉄道工事の需要が増える」という社会的背景もあり、 積極的に鉄道関連に特化した杭打ちにシフト。 これが大きな転機になりました。鉄道工事は参入障壁が高いのですが、その理由は終電から始発の間で作業を終わらせるという時間的制約に加え、狭い場所でも作業できる特殊な重機が必要になる点にもあります。一般的な重機であれば1500万円で購入できるのに、特注品だと7000万円に跳ね上がる。先代はそうした特注品を毎年のように購入し続けた結果、 借り入れが6億円にまで膨らんでしまいました。

鉄道軌道内での杭打ち施工の様子

2007年には 9億6000万円あった売上も、2010年には5億5000万円まで下がりました。もう、大幅な赤字 です。当時のメインバンクから中小企業再生支援協議会(支援協)への応募を進言され、応募。結果、ウチの杭打ち工事は、その参入障壁の高さも踏まえ「特殊かつ将来性がある」として承認されました。

ここから、支援協も交えた再生計画がスタートします。2011年のことです。先代はやる気満々でしたが、当時78歳。専務も70歳を超えていて、経営陣は揃って高齢。自然と話は事業承継に及びました。その際、後継者候補に私の名が挙がったようですが、当時は総合職長として現場で杭を打っていた身。そんな話が繰り広げられているとは、夢にも思いませんでした。

「職人の私が社長に?」若い職人のために、腹をくくって6億を背負う

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