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連載:第2回 店舗経営者のためのDX

コロナ禍で変わった店舗の生き残り戦略

BizHint 編集部 2021年2月10日(水)掲載
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店舗経営者のためのDX入門。2回目はコロナ禍での店舗の生き残り戦略についてです。緊急事態宣言が発令された結果、多くの飲食店が時短営業を余儀なくされるなどひときわ変化が激しい業界である飲食ビジネス。「オンラインもオフラインも統合活用したおもてなしに活路がある」とショップフォース株式会社の網永穣さんはいいます。店舗経営者は今何を考えて戦略を立てるべきなのでしょうか。

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ショップフォース株式会社
代表取締役 網永 穣さん

慶応義塾大学卒業。NTTデータに入社、新規事業開発の部隊に配属、10年近く、テキスト解析SaaS事業のビジネスディベロップメントに従事。世界初のモバイル向けコンテンツ連動広告サービスでのオーバーチュアとの提携や、ライブドアとのブログマーケティング事業の責任者を務めた後、大手法人向けのシステム開発プロジェクトなどに従事。2012年 22Inc.を創業。2020年、社名をショップフォース株式会社に変更、店舗経営のDXを実現するサービス「SHOP FORCE」を展開


コロナ禍がもたらした店舗ビジネスの地殻変動

新型コロナウイルスの流行は人々の行動を大きく制限することとなった。そのため、これまでオンラインサービスを利用したことのなかった人たちがECやデリバリー、テイクアウトサービスを使い始めた。その結果、多くの人たちがオンラインサービスの利便性を実感することとなったが、同時に「実店舗でのサービス体験がオンラインサービスのそれと比べて利便性に欠ける」ことも明らかになった。

例えば、オンラインサービスでは購買履歴から瞬時に再購入できたり、性別や年齢、閲覧履歴などに応じておすすめの品がピックアップされたり、購入時も財布を取り出す必要もなく、少しの操作で翌日にも自宅に商品が届けられる。利便性に関しては、オンラインサービスが実店舗に完勝していると言っても言い過ぎではない。

一方、店舗ビジネスは長い年月を経て、経済合理性を追求しながら拡大してきた。人通りの多い立地に出店したり、TVや雑誌、ネットメディアに放映・掲載してもらうことで効率的に集客を行い、その上で、標準化(均一化)されたサービスを提供することで利益をあげてきた。 しかし、新型コロナウイルスの流行によって、都心にオフィスを構える大企業を中心にリモートワークという新しい働き方が瞬く間に広がり、今までの常套パターンが突如崩壊する。都心の駅近など、今までであれば人通りが多かった場所から人波が消え、高い家賃のみが残ることとなった。このままでは店舗ビジネスは衰退していく恐れがある。

そんな状況下で、人々が実店舗を利用する理由があるとすれば何か?――それこそが店舗経営のDXを考えるにあたって大切なカギとなる。

改めて実感した「常連客」の有難さ

例えば、外食業界ではコロナ禍の影響を受け、大手チェーンの売上が軒並み落ち込む中でも健闘している飲食店も少なくない。中でも常連客が多くいる飲食店では、営業自粛期間は「テイクアウト」で乗り切り、営業再開後は急速に売上を回復させた。それは常連客が真っ先に来店してくれたからだ。飲食店の予約サービス「トレタ」を展開している中村仁社長もブログで、コロナ発生以降の新規顧客と常連客の動きを比較しながら「コロナ禍に再評価されるべき、常連顧客の重要性」を指摘している。

世の中全体が自粛モードになって外食控えが広がったときでも、常連さんはお店を応援して利用してくれているのですね。(中略)絶対数で言えば常連顧客より新規顧客のほうがボリュームはあります。しかし新規顧客は環境の変化を敏感に受け、変動率が極めて高いのに対して、常連顧客はどんなときでも常に安定して来店してくれる、そういう顧客層なのです。
引用:コロナ禍に再評価されるべき、常連顧客の重要性

久しぶりの外食で初めてのお店を選ぶのではなく、やはり馴染みのお店に行きたいというのは一般的な感覚だろう。日本人の特性もあるかもしれないが、一度常連になったら、人はなかなか他のお店に切り替えるということはしない。こんな時代だからこそ、今まで以上に常連客をつくることの重要性が増してきているのである。

コロナ禍で広がった前売り券の販売

コロナ禍の営業自粛期間において、外食業界で頻繁に見られた動きがクラウドファウンディングやECでの前売り券の販売だ。その内容の大半が、今すぐ使用できない代わりに通常よりも割引が得られるというもので、購入された方も多いと思う。そんな中で、前売り券の販売を上手く活用していたのはやはり常連を多く抱え、かつオンラインでのコミュニケーション手段を持っていた店舗だった。

弊社のSHOP FORCEを導入している「焼きあご塩らー麺 たかはし」もその一つだ。「焼きあご塩らー麺 たかはし」では、2020年4月の緊急事態宣言時にSHOP FORCEを導入すると同時に、ECで前売り券の販売を実施した。運営元のヒカリッチ アソシエイツ社の髙橋夕佳社長は、割引価格での前売り券販売と同時に、すぐに使用できない食券を購入してくれるお客様との繋がりを持つために、購入者のアプリへの誘導と合わせてポイントを付与する施策を行ったのである。結果、導入後1か月で5000人近くのアプリ会員を獲得、コロナ禍でも堅調に利用者を伸ばし、今では月間アプリ利用者数が1万人近くに上る。(2020年12月時点)

「利便性より情緒性」withコロナ時代に求められる店舗

常連客がお店に足繁く通う理由は必ずしも経済合理性・利便性の高さとは限らない。「お店の雰囲気が好き」「店員さんとのやり取りが心地よい」「自分の居場所が感じられる」といったいわゆる情緒性による部分も大きい。では、店舗運営者は具体的にはどうしたら情緒性を感じてもらえるようになるのか――お客様にコミュニケーションを積極的に行うよう指導を行う、一つの手段ではあるが、それだと属人化すぎる。「以前は、馴染みの店員さんがいてよく通っていた。だけど、その店員さんが他の店舗に異動してしまい、行かなくなってしまった」こういったことが起きないよう、現場任せではなく、しっかり仕組み化を意識すべきである。

属人化の欠点をテクノロジーで補う

実店舗に通う理由が、利便性ではなく情緒性になってくるとお客様とのコミュニケーションの取り方が大切になってくる。店内に限らず、いかにお客様に心地よいと感じてもらえるコミュニケーションを取ることができるか。例として、以下に2つのコミュニケーションパターンを挙げるので、居酒屋などを想像して考えてみてほしい。

A店)店内:来店時、教育された「いらっしゃいませ!」という威勢のいい挨拶で迎えてくれるが、いつ行っても同じ挨拶で変化はない。/ 店外=メールマガジンが時々配信されてくる。

B店)店内:挨拶は普通だが、来店時にいつもの注文内容を元に「いつものにされますか?」と尋ねてくる。/ 店外:来店翌日にお礼のアプリ通知が来る。誕生日に好きなお酒が割引になるクーポンが配信されてくる。

A店も決してわるいお店ではないが、どちらのお店に通いたいかと言われるとB店と回答する方が多いのではないだろうか。情緒性や居心地の良さと密接に関わってくるのが自分のことを認識してくれているという感覚である。でもそんな対応、現実的に不可能では?と思われる方も多いと思うが、いまはテクノロジーが進化に伴い、こういった過去の喫食履歴の取得がアプリを利用することでPOSデータと個人を紐付け、来店状況をベースにしたコミュニケーションも実現可能になっている。

SHOP FORCEを導入している店舗においても一斉送信によるアプリ通知と来店状況をベースにしたカスタマイズされたアプリ通知では、実に10倍以上の反応(クーポン利用率)の差が生じることはざらにある。

オンラインとオフラインを統合活用したおもてなしを

これまで、常連のお客様をつくることの大切さ、常連になってもらうために必要な要素、その取組みについて述べてきたが、つまるところ、今後、店舗が生き残っていくために必要なことは、お客様をマス(大衆)としてではなく、個々人として捉えることである。

過去、ECではそれぞれの購入履歴などに合わせたレコメンドなどは一般的に実現できていた。一方で、実店舗ではそういった対応は難しかったが、今はアプリの利用を介して、バラバラになっているオンラインサービスの利用情報と実店舗の利用情報を統合活用することができるようになった。お客様の情報(性別・年齢・誕生日など)や購入履歴などを踏まえた上で接客できれば、常連の人を「一見さん」扱いすることはなくなる。

例えば、飲食店であれば、自分の好みを伝えたことのある店があったとして、同じチェーンの異なるお店を利用する際に、既に自分の好みを分かってくれた上で、オススメのメニューを提示されるだけでもチェーン店全体への印象・信頼は違ってくるだろう。アパレルショップであれば、ECで買ったジャケットとの組み合わせでオススメのパンツを店頭で薦めてくれるだけでも嬉しい。ホテルのコンシェルジュサービスとまではいかなくとも、他の店とは大きく一線を画すことができるはずだ。

当然、これまで何もなかったわけではない。販売データを管理していたり、ポイントカードを発行していたり、登録会員向けにメールマガジンを配信していたり、店舗のアプリを開発している企業もある。ただ、その多くで課題となっているのは、これらの管理がバラバラで、有機的につながっていないことである。お客に常連になってもらうためにも、まずは、オンラインとオフライン(実店舗)でバラバラになっている顧客管理の仕組みを統合し、お客様それぞれに最適なコミュニケーションを取ることが最も優先すべき事項である。

(構成:瀬川明秀 編集:上野智)

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