連載:第5回 ニュースが(ゼロから)わかる法律知識
もし貴社が行政処分を受けたら?経営への影響・過去事例の把握・不服がある場合の対応
先日、消費者庁が回転ずしチェーンを運営する企業に対し、景品表示法違反(おとり広告)で再発防止を求める措置命令を出しました。企業経営のなかで、行政との関係を強く意識する場面は多くはないかもしれません。しかし、「行政処分」を受けた時、事業にもたらされる影響は決して小さいものではありません。今回は、行政処分とは何か?また行政処分が企業にどのような影響をもたらすか?などについて解説をします。
行政処分とは何か
そもそも行政処分とは何か、ということについて解説します。身近な行政処分としては、交通法規に違反した場合に都道府県公安委員会が行う運転免許の停止処分、税金を滞納した際に税務署長により行われる滞納処分、保健所長が飲食店などに対して行う営業停止処分などをあげることができます。
判例は、行政処分とは「公権力の主体たる国または地方公共団体が行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているもの」をいうとしています(最判昭和39年10月29日民集18巻8号1809頁)。
この判例の定義を踏まえると行政処分の本質は、おおむね以下の点にあるということができます。
- 国や都道府県・市町村などによるものであること。
- 相手方の意向の有無にかかわらず一方的に法的な権利・義務が生じること。
- 法律に基づくものであること。
すなわち、何らかの法律の要件に基づき、企業や個人が望むか否かにかかわらず、行政により一方的に権利・義務を生じさせるものが行政処分であるということができるでしょう。
そして、事業再構築補助金の交付決定など、利益をもたらす行政処分もありますが、 企業にとって留意すべき行政処分の多くは不利益をもたらす行政処分である といえます。
特に、 許認可を必要とする事業を運営する企業にとっては、許認可の停止・取消などの行政処分が行われることは致命傷になりかねない といっても過言ではありません。
実際にどのような行政処分が行われているかを把握する
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