連載:第6回 経営者が読むべき労務解説
部下からハラスメントの相談を受けたらどうする? 経営者が知っておきたい、ハラスメント対策
労使トラブルの相談数が非常に多い「ハラスメント」。組織運営を行うなかで、ときにハラスメントの問題に直面する可能性もありえます。経営者は部下からハラスメントの相談を受けたらどうすればよいのでしょうか。社会保険労務士法人シグナル代表の有馬美帆さんが「経営者が知っておきたいハラスメント対策」について、詳しく解説していきます。
3大ハラスメント、「セクハラ」「パワハラ」「マタハラ」を防ぐべし
「ハラスメント」とは最も広い意味では人権を侵害する行為を意味し、職場においては通常「いじめ」「嫌がらせ」を意味する言葉です。
そもそも、労使トラブルの相談件数は「解雇」よりも「ハラスメント」のほうが多いことをご存知でしょうか? 2021年(令和3年)6月30日に公表された「令和2年度個別労働紛争解決制度の施行状況」(厚生労働省)では、「いじめ・嫌がらせ」が9年連続で最多の相談件数となっています。その理由は「ハラスメントがさまざまな法律等で禁止され、その認知度も向上した」というのが大きな要因でしょう。
企業におけるハラスメントとして特に目立つのは、 (1)セクシャルハラスメント(セクハラ)、(2)パワーハラスメント(パワハラ)、(3)マタニティハラスメント(マタハラ) です。
それぞれ法令によって企業に防止措置が義務付けられています。セクハラ防止措置を義務付けるのは、「男女雇用機会均等法」。1989年(平成元年)の福岡で起きたセクハラ訴訟をきっかけに、セクハラに対しての認知度が上がり、これまでのハラスメント対策の中心となってきました。
通称「パワハラ防止法」と呼ばれるのは改正「労働施策総合推進法」。こちらはいじめや嫌がらせなどパワハラへの対策法です。2021年6月に大企業を対象に施行されていますが、2022年4月からは中小企業にも施行されるので、多くの企業では各種対応が求められていきます。
マタハラは妊娠・出産という女性の「性」を理由にしたいじめや嫌がらせが行われればセクハラとしての性格を持ちますし、妊娠・出産、さらには育児を理由にした降格などの就労上の不利益処分はパワハラとしての性格を持ちます。こちらは、「男女雇用機会均等法」と「育児介護休業法」が2017年(平成29年)に改正されて、マタハラの禁止と防止措置が企業に義務付けられています。「育児」については男性もハラスメントの被害者となり得るので注意をしましょう。
経営者はどうハラスメント対策と向き合えばよいのか?
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