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【サッカー×経営論】「強いチーム・組織には”型”がある」【入山章栄教授×SAP佐宗龍氏】

BizHint 編集部 2018年4月20日(金)掲載
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HR領域でのデータアナリティクスが注目を集めています。しかし組織としての「アイデンティティ」や「めざす姿」が共有されていてこそデータは力を発揮し、チームは強くなると、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授とSAPジャパンのスポーツイノベーション推進担当、佐宗龍氏は語ります。 共に大の欧州サッカー好きでもある2人の対談から、企業が人事データを活用し、変化の激しい時代に勝ち抜くための手がかりを探ります。[sponsored by SAP ジャパン]

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佐宗龍氏

外資系ITベンダーでのDWHプロジェクトマネージャー等を経て、2010年にSAPに入社。入社後はHANAビジネスの立ち上げから、事業開発、営業、プリセールスと幅広く活動。2014年からSAPジャパンでのスポーツビジネスの立ち上げを担当し、サッカーやバレーボールチームの強化やマーケティング活動の支援も。

入山章栄教授

早稲田大学ビジネススクール教授。三菱総合研究所で主に自動車メーカー・国内外政府機関への調査・コンサルティング業務に従事した後、2008年に米ピッツバーグ大学経営大学院よりPh.D.を取得。Strategic Management Journalなど国際的な主要経営学術誌に論文を発表している。著書に『世界の経営学者はいま何を考えているのか』(英治出版)、『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』(日経BP)

アナリティクスが、サッカードイツ代表を強くした 「ボールの保持時間」をKPIにブラジル代表に圧勝

佐宗さん(以下、佐宗): 2019年に日本で開催されるラグビーW杯や2020年の東京オリンピックを控えて、スポーツ分野でのデータ活用に注目が集まっています。

2014年のサッカーW杯ブラジル大会でドイツ代表が優勝。それ以前からSAPではスポーツ分野のデータ分析に力を入れていたのですが、 ドイツ代表をSAPが支援していたことで、一気に注目を集めました。

入山さん(以下、入山): 確かに2014年W杯でのドイツ代表はブラジル代表を7ー0で粉砕するくらいめちゃくちゃ強かった(笑)。

僕もサッカーが好きで色々と見に行きます。でも、2002年の日韓W杯のドイツ代表はつまらなかったなぁ……。わざわざ韓国まで行ってドイツ対アメリカ戦を観戦しましたけど、蹴って走って、あとはオリバー・カーンが止めてるだけ(笑)。

佐宗: 私も札幌ドームでドイツ対サウジアラビアを見ましたけど、本当に酷かったですね(笑)。その後の2006年からSAPとドイツ代表との取り組みが始まったんです。

もともと、運営資金やチケット販売システムなどドイツサッカー連盟の基幹業務には携わっていましたが、現在もドイツ代表監督であるヨアヒム・レーヴさんから「サッカーチームの強化のためにデータを活用できないか」と依頼をいただきました。当初、 レーヴさんから「ボールを早く動かすサッカーをしたい から、選手1人あたりのボールの保持時間を見てほしい」というオーダーが来たんです。

初めてデータを取ったときの保持時間は、約2.8〜3秒ほど。この時間をさらに短くして「高速パスサッカーをしたい」とおっしゃっていました。その後、 チームはダイレクトかワンタッチでパスを出すトレーニングを重ね、ブラジルW杯では保持時間は1秒を切る までになりました。

入山: サッカー雑誌でも昔から「誰が何秒ボールを保持していた」なんて特集が組まれてきましたが……。でも、ここまで本気でデータ収集と活用に取り組んだのは初めてのケースなんじゃないですか?

「ゲルマン魂」の根性論から、選手のパーソナリティもデータ化するアプローチへ

佐宗: レーヴ監督はクリンスマン前監督時代からコーチをやっていましたから、ドイツ代表に対する問題意識はあったんでしょう。実際、 2000年代前半までのドイツ代表はゲルマン魂を体現したような「気合と根性」のサッカー でした。しかし、クリンスマン前監督はアメリカに長く住んでいたので、スポーツ心理学も含めメンタル的なコンディションを整えるアメリカ式を取り入れ始めていました。

そこに対し、さらにITを駆使していくのが2006年以降にSAPがはじめた取り組みです。

入山: ITを使って、どうやってチームを強化していくんですか? 例えば、ひとり一人のプレイ状況を全部データ化するとか?

佐宗:身体能力に加え、選手のパーソナリティもデータ化 しています。サッカーは野球と比べたら、各クラブが選手の育成にかける時間が長い。U-9(9歳以下)からトップチームまでありますよね。なので、中長期スパンで、選手をあらゆる角度から分析できる共通のKPIを提示しています。でも、どこを見るかはチームの哲学によって異なりますね。

SAP創業者の「古巣」は、8部からブンデスリーガ1部へ大躍進したTSG1899ホッフェンハイム

佐宗: ドイツ代表と同様にSAPが関わったチームに、現在ブンデスリーガ1部のTSG1899ホッフェンハイムがあります。実はSAP創業者の一人ディートマー・ホップが過去にユースに属していまして。そのホップが買収してオーナーになったのが1990年です。

入山: TSG1899ホッフェンハイムって、ガンバ大阪にもいた宇佐美貴史選手が移籍していたこともあるチームですよね。買収当時はブンデスリーガの2部くらいだったんですか?

佐宗: いやいや、もっと弱くて8部とかです(笑)。日本で言えば、J3やJFLはおろか、地域リーグに属しているアマチュアの中のアマチュアですね。 でも、TSG1899ホッフェンハイムは20年足らずでブンデスリーガ1部に上り詰めました。

2006年頃にはブンデスリーガ3部にTSG1899ホッフェンハイムは属していて、ホップも「下部リーグでいいや」と思っていたようなのですが。若い選手を1部に送れる体制ができて、「スタジアム作ろう!」としたら、ドイツサッカー連盟から反発を受けたようで……。そこで、一念発起。「じゃあ、1部で戦えるクラブを作ってやろう!」となったのです。2006年にラルフ・ラングニックを新監督として迎えて、チームのIT化を推し進めます。

入山: 強くするのに、手っ取り早いのはスター選手をたくさん集めて……。金満クラブによくみられる手法ですけど。それをやらずにIT化をしたんですか?

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