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戦略・経営

2019年6月4日(火)更新

大阪・生野の下町企業が「82年目のスタートアップ」として、上場を目指す理由

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プロ・リクルーターの河合聡一郎さんによる事業承継の成功のヒントを探る連載。今回お話をうかがうのは株式会社大都の代表取締役、山田岳人さんです。跡継ぎとして問屋業を営む義父の会社に入ったものの赤字続きで社員を解雇。その後、業績を急激に回復し、資金調達をして上場を目指しています。ゼロベースで組織づくりをもう一度始めた山田さんに、上場に向けてあるべき組織の形と目指している世界観を聞きました。

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株式会社大都 

代表取締役 山田岳人さん

学生時代からリクルートで働き、人材採用の営業を担当。結婚を機に1937年創業の金物工具の総合商社である株式会社大都に入社。2011年、代表取締役に就任。EC事業を立ち上げ楽天のDIY部門で販売日本一を達成。DIY体験ができるリアル店舗「DIY FACTORY OSAKA」をオープンするなど、DIYブームの牽引役となり、2015年、グロービス・キャピタル・パートナーズからの第三者割当増資を実現。


EC事業で右肩上がりに業績は伸びたが……

河合聡一郎さん(以下、河合): それまでいた社員を全員解雇し、業界の反発を受けながらも、EC事業にシフトしていくのは大変だったと思います。代表を交代された時には何をどう変えようと思っていたのでしょうか?

山田岳人さん(以下、山田): ECを始めた 2002年から2009年まではすごく順調に事業が伸び、昨年対比増率を割ったことが一度もありませんでした。 2009年2月に初めて、昨対増率を下回ったとき、「おかしいな?」と思って調べてみると周りが競合だらけになっていた。「ちゃんと戦略を立てないとマズい」と、2009年から中国でのECを広げていきました。「DIY業界で日本一になろう!」と頑張って、代表交代した2011年頃には昨対がもう倍々に伸びていく感じでした。

その反面、すごく忙しくなって、退社時間も遅くなり、社員も疲弊してきました。ある朝、パソコンを開いた受注担当の女の子が、「あ〜あ……」って言うんですよ。どうしたのかと尋ねると、「注文が多過ぎて今日は帰れない」って。そこで、「これはおかしなことになっている」と気づいたんです。日本一を目指してやってきて、初めて楽天で売り上げ日本一を達成して表彰してもらったのが2012年。でも、 いくら日本一になっても、社員がこんなにしんどい思いをしているなら、一体何のためにやっているのかわからない。 それで会社のビジョンを決めようということになったのが、ちょうど代表を交代したタイミングでした。

河合: なるほど。それをきっかけに改めて今の事業や社内の環境に合わせた組織づくりについて考えるようになったわけですね。

山田: そうです。先代が社長だった頃は部長、課長、係長といたんです。そもそも、課も係も何もないのに役職だけある。僕は跡継ぎだと分かりやすくするために専務だったんですけど、すごく違和感があった。だから役職をなくしました。今は70人の社員がいますが、会社法上の役員以外の役職はありません。

ただ、それだけでは組織はまとまらないので、ビジョン・ミッション・コアバリューを決め、それを軸に社員の共有価値観を決めるという組織づくりを行いました。目指したい未来があって、それを実現するために戦略がある。そしてその戦略を実現するための組織がある。前に失敗しているから、ここでしっかりやらなければいけないと思って。

みんなにイングリッシュネームをつけたのもこの頃からです。当時はホラクラシー(社内に役職や階級のないフラットな組織形態)という概念もありませんでしたが、ヒエラルキー型ではないサークル型の組織にしたかったので。

社長の仕事は未来を描くこと

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