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2018年10月23日(火)更新

イノベーション

技術革新が進み、ビジネス課題や顧客ニーズが多様化する中で、企業にとって、イノベーションを興せるか否かは企業の生き残りをかけた重要な経営課題です。今回は巷でよく聞く「イノベーション」の意味や種類、その必要性、課題・事例を中心にご紹介いたします。

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イノベーションの意味とは?

イノベーションとは、技術革新を意味し、世の中や市場に大きなインパクトを与える画期的な技術革新を指します。また、イノベーションに関する理論やその種類も多岐に渡ります。

イノベーションの起源とは?

イノベーションとは、オーストリアの経済学者であるシュンベーター氏が提唱した経済理論の一つで、企業が活力を生み出し、発展していくために必要な技術革新を指す用語です。

従来、国や地域が経済発展を遂げるためには、人口の増加や気候変動という外的要因が必要とされていました。しかし、それらの外的要因に依存せずともに経済発展を遂げる手法が存在しており、その一つがイノベーションといわれています。イノベーションは、従来の製品(商品)に付加価値を付け、経済的恩恵を享受する、全く新たな消費者市場を開拓し、新たな収益源を作る、新たな生産方式の導入で効率化を図ることが可能です。

また、技術革新に依存せず、画期的なアイデアや組織変革をはじめとする経営革新もイノベーションの一つとされます。歴史を遡ると機械やIT技術の登場による産業革命もイノベーションによってもたらされたという説もあります。近年では、単純労働だけでなく、高度な専門知識を有する業務さえもAIやロボットが代替するだろうとも予想されています。

このように、長い人類の歴史を紐解いてみても人類が発展する過程において、イノベーションは度々興っており、今後も欠かせない存在となると考えられます。

イノベーションの5つの特徴

「経済発展の理論」の著者でもあるシュンベーター氏によると、イノベーションが果たす役割は5つに分けられると定義しています。それが、「新製品の開発」、「新たな生産方式の導入」、「新たな市場または消費者の開拓」、「新たな資源の獲得」、「組織改革」の5つです。

「新製品の開発」は、技術革新による小型化・利便性の実現により、もたらされることが多く、さらなる技術革新により、既存製品の性能や機能に追いつくことが可能です。

「新たな生産方式の導入」は、コスト削減や効率化という視点で、従来の生産体系を破壊し、より安価で高品質の製品(商品)・サービスの提供が可能となります。これは工作ロボットやシステムによる業務・品質管理の導入が該当します。今後はAIや優れたロボット技術がさらに発展していき、より高度な生産方式が導入されると考えられます。

「新たな市場または消費者上の開拓」は、既存企業が気付けなかった市場に対して、新たな価値を見出し、新しい消費者を獲得することを指します。

「新たな資源の獲得」は、従来の技術では難しかった資源発掘(海底資源など)を可能とし、さらなる供給を目指すことが可能です。

そして、最後の「組織改革」には人手不足が叫ばれる中で、より効率的で生産性の高い組織改革が求められています。これはイノベーションによる高い技術により、組織を最適化することで可能となります。

これら5つの特徴には、既存価値を破壊し、新たな価値を創造する(創造的破壊)という点が共通しています。シュンベーター氏は「イノベーションによる創造的破壊は経済成長の源泉でもある」と定義付けており、企業の競争優位性を確立し、社会的な課題解決に寄与すると結論付けています。

イノベーションの5つの原則

イノベーションは、企業が持続的に経済活動を行なえる画期的なビジネスモデルを確立できます。また、イノベーションには5つの原則が存在し、その5つの原則を押えることで、イノベーションを興しやすい社内環境を構築できると考えられます。

顧客ニーズの発掘

持続的イノベーション(継続的技術)は顧客のニーズを発掘し、高い技術力によって、付加価値を高め、高機能・高価格の製品(商品)を実現することができます。持続的イノベーションは企業の売上・利益を向上させる上で、経済合理性に適した企業戦略ともいえます。成熟事業において、潤沢な資本金を背景に、顧客のニーズを発掘し続けることは企業の生命維持装置と考えられます。

新たな顧客価値の創造

破壊的イノベーションリバース・イノベーションにおいては、顧客の隠れたニーズや新たな価値を創造することができます。破壊的イノベーションはイノベーションの技術革新により生み出された製品(商品)・サービスは、低機能ではあるが、高い利便性と製品の小型化が実現できます。

主に創業者が中心となったベンチャー企業やスタートアップ企業が得意とするイノベーションでもあり、米国サンフランシスコには、規模に関わらず、破壊的イノベーションを興せる可能性が高い企業が集まっています。

イノベーション専門の事業の立ち上げ

大企業や優良企業はイノベーションのジレンマに陥りやすく、イノベーションが興せないと度々指摘されています。原因として、既存企業がバリューネットワーク(顧客、サプライヤ、メーカー、流通業者など共通の価値観を共有する企業群)を重視し、既存の価値観やルール、保身など経済合理性を優先する経営判断によるものと考えられます。

そのため、イノベーションを興すためには、これらの原因を排除し、新たな研究開発環境を構築する必要があります。

強いリーダーシップを発揮できる人材の登用

イノベーションを興すためには、既存の価値やルールに囚われず、隠れた顧客のニーズやプロジェクトのビジョンを見出す強いリーダーシップが求められます。プロジェクトの中心となって、クライアントやパートナーを巻き込みながら、プロジェクト進行ができる人材を登用しなければいけません。

特に破壊的イノベーションは、従来の研究者中心の体制ではなく、顧客ニーズをヒアリングできる営業職やマーケティング部門といった、顧客に近い人材を中心にすることが大切です。

組織の意識改革

持続的イノベーションにおいては、自社の既存技術を向上させ、経済合理性を優先する最適化された組織が得意とする分野です。一方で、破壊的イノベーションは、既存の価値観やルールに縛られず、隠れた顧客ニーズや新たな市場を開拓する特徴があります。

経済合理性に縛られがちの組織においては、売上・利益が上がりにくいプロジェクトは承認されにくく、イノベーションを興せる労働環境が構築されていない傾向にあります。そのため、経済合理性とかけ離れたビジネスアイデアや意思決定ができるように、経営者を含む社員全員の意識改革を行なわなければいけません。

イノベーションの種類とは?

イノベーションには、複数種類があり、その特徴も異なります。今回は注目されているイノベーションを中心にご紹介いたします。

オープン・イノベーション

オープン・イノベーションとは、自社の技術だけでなく、業種や分野を超えた他社の知識・技術を集約させ、新たな製品開発や事業開発を行なうイノベーションの一つです。オープン・イノベーションの成功事例としては、食用インクジェット印刷技術を応用し、ポテトチップス1枚1枚にデザインを印刷することに成功した、米P&G社のプリングルズポテトチップスが挙げられます。

このオープン・イノベーションは、製品ライフサイクルのスピード化や顧客ニーズの多様化に応えられるメリットがあります。一方で、瞬間的に多大な人材コストがかかり、機密保持といったセキュリティー関連の懸念、自社開発力の低下などのデメリットも存在します。

【関連】オープンイノベーションとは?メリット・デメリット、日本における現状や推進のポイントまでご紹介 / BizHint HR

リバース・イノベーション

リバース・イノベーションとは、新興国・途上国に先進企業の研究開発拠点を移し、現地のニーズを基に新たな価値や技術を、先進国市場に流通・展開させるイノベーションの一つです。リバース・イノベーションの成功事例としては、ベトナムの農村のニーズから生み出された循環型無水トイレシステム「エコ・サニテーション」を開発した株式会社LIXILが挙げられます。

このリバース・イノベーションは、従来のグローカリゼーション(世界と地域を同時に考え、ローカライズされた先進国の製品・サービスを流通させる手法の造語)では新たな消費者市場の開拓が難しくなっている激変する世界経済において、現在、注目されているイノベーションの一つでもあります。新たな発想や技術を生み出しやすい一方で、グローバル人事の構築や組織の意識改革など長期的な経営改革を行なわなければいけません。

【関連】「リバース・イノベーション」とは?注目理由、導入方法や課題、企業事例を紹介 / BizHint HR

持続的イノベーション

持続的イノベーションとは、自社の高い技術力により、製品(商品)・サービスに高付加価値をつけることで、既存市場で求められている価値を向上させるイノベーションの一つです。潤沢な資本金を持つ大企業や優良企業が得意とするイノベーションでもあり、経済合理性に適った企業経営がしやすい特徴があります。

成熟市場の優良顧客を獲得・維持することに長けている一方で、新たな価値や消費者の獲得へのイノベーションに気付きにくく、破壊的イノベーションが起きた際に、既存市場からの撤退やターンオーバーリスク(売上・シェアが逆転するリスク)による経営悪化のきっかけにもなると指摘されています。

破壊的イノベーション

破壊的イノベーションとは、新たな技術革新より生み出された製品(商品)・サービスが新たな消費者市場の開拓を可能とするイノベーションの一つです。一方で既存事業の秩序を破壊し、業界構造を劇的に変化させる性質も持っています。そのため、既存企業が持つ成熟事業を脅かし、主力市場からの撤退など経営悪化を招くきっかけにもつながります。

破壊的イノベーションによりもたらされた製品(商品)は、低機能であるものの、利便性に優れた小型化や低価格を実現しているものが多く、後の技術向上によりシェアを拡大させる特徴があります。

この破壊的イノベーションには、ローエンド層から市場を開拓し、後の技術革新によってミドル・ハイエンド層のシェアを奪っていく「ローエンド型破壊的イノベーション」と、全く新たな市場を開拓する「新市場型破壊的イノベーション」の2つがあります。

【関連】「破壊的イノベーション」とは?意味や課題、企業事例を合わせてご紹介 / BizHint HR

イノベーションが必要とされる理由とは?

今、イノベーションが必要とされる理由には、莫大な経済効果の可能性や生産性向上など複数あります。今回はイノベーションが必要とされる主要理由をご紹介いたします。

莫大な経済的成果を生み出す

イノベーションの多くは、莫大な経済的成果(経済的価値)を生み出すものが多い傾向にあります。そのため、企業を維持・成長させていく上では、顧客や市場のニーズを把握し新たな価値を創り出すためにも、企業者(企業家)であればイノベーションを求めることは至極当然といえます。

また、一度イノベーションを興し、新たな消費者市場を開拓できれば、持続的イノベーション(持続的技術)による売上・利益の拡大・維持につながります。

一定期間の市場独占が可能

イノベーションによって、生み出された製品(商品)は、新たな価値の創出や消費者市場を開拓することができます。一方で、成熟市場や既存市場では競争が激化し、価格競争を前提とした消耗戦が展開されます。

しかし、イノベーションを興せば、競合他社が参入していない市場を一定期間独占することが可能です。この一定期間の市場独占は、資本力の乏しい中小企業や個人が大企業に打ち勝つ機会にも恵まれます。

生産性向上と課題解決

日本を始め先進国の多くは、人口減少による人手不足が企業の経済活動に悪影響を与えています。その結果、長時間労働の慢性化や過労死が社会問題化し、企業・労働者ともに不幸な結末を迎えています。そのため、技術革新により新たな生産方式を確立できるイノベーションを使って、社員の生産性向上を促し、企業が抱える労働課題を解決しようと試みる企業が増えています。

自動車業界で開発されている自動運転技術は、高齢者ドライバーなどの交通弱者が起こしがちな急発進事故の防止や、渋滞の解消などの社会インフラの課題解決に役立てることができます。

国内外での競争優位性の確立

企業にとって、市場における競争優位性の確立は事業戦略における要となります。イノベーションは、その革新的な技術により、顧客に新たな価値と感動を生み出します。また、新たな技術を独占できる特許申請は、企業の強みにもつながります。企業が持つ革新的な技術は顧客獲得における重要な要因となるため、競争優位性を確立しやすい傾向にあります。

イノベーションを興すためには?

イノベーションを興せる企業とそうでない企業には、共通した特徴が見られます。

経営陣の意識改革

企業にはさまざまな価値観を持つ人材が多く在籍しています。そのため、どの企業においてもイノベーションを興すことができる可能性があります。しかし、イノベーションが興せない企業には、社員の能力とは別に「経営者を含む経営陣の意識」に問題があると度々指摘されています。

イノベーションは未開拓の消費者市場や顧客ニーズを生み出す可能性がありますが、不確実性・リスクも高い事業でもあります。そのため、不確実性・リスクがともに高い事業は経営資源の投資が優先されにくく、経済合理性に適った経営判断が優先されがちです。これを《イノベーションのジレンマ》と呼びます。経営者を含む経営陣には、企業を継続させる成熟事業と次世代の成長事業両方とも促進させる「両利きの経営」を担うべく、意識改革を行なわなければいけません。

イノベーションに対する誤解の払拭

イノベーションは、常に不確実性とリスクが隣り合わせとなっています。中でもリスクは企業の既存事業にも大きな影響を与える可能性があるため、大企業や優良企業の経営者は判断に慎重にならざるを得ません。

しかし、このリスクに対して、大きな誤解をしている経営陣や管理職が多いのも事実です。イノベーションを興すには経営資源の先行投資が欠かせません。財務分析により不確実性やリスクが高いと判断した場合、「何もしない」という選択肢を選ぶこともあります。しかし、「何もしない」という選択は、いざイノベーションが起きた際に競合他社に出遅れ、売上・利益を獲得できないだけでなく、既存事業からの撤退を招くリスクがあります。

リスクを正しく理解し、「適切なアクションを取る」ことこそがイノベーションの第一歩といえるでしょう。

変化に対して敏感になる

イノベーションは、天才的なアイディアや閃きによって生み出される、または技術革新のみがイノベーションであると誤解されがちです。イノベーションには自社技術の向上による持続的イノベーションや自社以外の他社との業務提携により新たな価値を生み出すオープン・イノベーションなども存在します。

一方で 破壊的イノベーションを興せれば、一定期間市場を独占し、莫大な利益を得ることもできます。また、新たな顧客のニーズは身近なところにも多数存在しています。企業が取り巻く市場環境の変化や時代の流れに敏感になり、自社としてどのようなイノベーションを興せるかを模索することが大切です。

コミュニケーション基盤の構築

イノベーションを興すためには、イノベーションを興しやすい労働環境の構築が大切です。そのため、イノベーションを担う人材を適切に支援する企業側の協力が必要不可欠です。

中でもイノベーションを興すための必要条件として挙げられるのが、コミュニケーション基盤です。イノベーションは隠れた顧客ニーズを見つけ出し、それらを実現できる革新的な技術がマッチングした瞬間、生まれるとされています。そのため、イノベーションを担う人材には、積極的に顧客と触れ合える自由度を与え、プロトタイピングやテストマーケティングが行なえるコミュニケーション環境を用意しなければいけません。

また、日本企業は最適化された会社が多く、各事業部が閉鎖的であると指摘されています。科学技術を中心とする研究開発事業部に注力するだけでなく、営業部、販売部など活動領域が全く異なる事業部同士のコミュニケーションも活性化させることが大切です。

日本企業によるイノベーションの課題とは

グローバル化する世界経済を背景に、新興企業の台頭や技術革新が次々と打ち出され、日本企業はかつての競争優位性を失いつつあります。世界でも日本企業の高い技術力は評価されていますが、新たな消費者市場を開拓できるだけのイノベーションの事例はまだまだ少ないといえます。これには日本企業が抱える独特の課題があると考えられます。  

社内に流れる制約と企業文化の問題

今でこそ年功序列終身雇用を前提とした人事・評価制度が廃止され、成果主義を前提とした企業文化が醸成されつつありますが、日本の大企業や優良企業にはまだまだ日本的慣習が根強く残っている傾向にあります。また、大手企業でもいとも簡単に経営不振に陥る時代にもなり、「大企業に入社すれば、一生安泰」という身分が保証されなくなっています。

そのため、積極的にチャレンジをするよりも、失敗せずに会社に言われたことをこなしながら、昇進を目指す社員も増えています。さらに最適化された組織内においては、制約が多く、衝突やカニバリズム(ビジネス上に起きる売上の奪い合い)を避ける傾向もあります。これら、閉鎖的な企業文化と厳しい制約の存在が、イノベーションを阻害している要因としてしばしば指摘されています。

イノベーションのジレンマ

イノベーションのジレンマとは、クレイトン・クリステンセン教授が提唱したイノベーション理論の一つです。大企業や優良企業が陥りやすいジレンマであり、基礎研究を前提とした既存技術の向上することで、優良顧客を獲得・維持しようとするあまり、逆にイノベーションを興せないという現象を指します。

ステークホルダー(株主やバリューネットワークなどの利害関係者)を抱える経営陣は、経済合理性に適った経営判断を行いやすく、不確実性やリスクを伴いやすい新規事業は懸遠しやすいために起こるといわれています。日本の大企業や優良企業の経営陣はイノベーションのジレンマを理解し、成熟事業と次世代の成長事業両方を担う「両利きの経営」を行なう器用さが求められています。

【関連】「イノベーションのジレンマ」とは?意味や発生する原因、対策と事例をご紹介 / BizHint HR

リスク対策の不備

企業が安定的な経済活動を行なう上では、組織を最適化し、既存技術を高め、安定的に運用することが大切です。しかし、既にご紹介している通り、これらの取り組みはイノベーションのジレンマに陥りやすく、破壊的イノベーションが起きた際のリスクヘッジが甘くなりがちです。

破壊的イノベーションは、既存企業に既存市場からの撤退やターンオーバーリスク(市場シェアにおける売上比率の逆転)をもたらします。しかし、富士フィルムのように、デジタルカメラや携帯電話がもたらす破壊的イノベーションを予想し、インフォメーション事業(メディカルシステムを中心とした事業)に注力することで、売上・利益を確保することに成功しました。

このように、来たる技術革新を予想し、適切なリスク対策として、新たな主力事業を構築することも大切です。

【参考】富士フィルムホールディングス株式会社 2016年度決算説明会

イノベーションの短命化への対応

日々技術革新が起こり、市場環境が急速に変化する中で、かつてのように「1回イノベーションを興せば、安泰」という時代は終焉し、イノベーションの短命化が指摘されています。そのため、企業が成長を維持していくためには継続的にイノベーションを興し、新たな消費者市場を開拓する必要があります。

現在、日本企業が苦境に立たされる原因の一つとして、既存製品への高機能化を前提とした持続的イノベーションが挙げられます。しかし、持続的イノベーションでは、次々と登場するイノベーションへの対応に追いつけなく、徐々に企業の競争力を低下させてしまいます。

自社が持つ製品ライフサイクルの寿命をきちんと理解し、自社に適したイノベーションを実施しなければいけません。

イノベーション・マネジメント導入の遅れ

日本企業がなかなかイノベーションを興せない理由として、イノベーション・マネジメントの導入の遅れが挙げられます。イノベーションを興すためには、不確実性が前提となった実験と学習を反復するマネジメント体制が必要です。このように既存事業とは全く異なるマネジメント体制を構築するには、既存企業が抱えがちな組織の暗黙知と数値を重視する定量予測を捨て去らなければいけません。特にイノベーション・マネジメントにおける意思決定は、スピード感が求められ、アイディア創出、ビジネスモデル化、事業化までのプロセスを迅速に行ないます。

そのため、定量的な意思決定が前提となる既存事業のままの意思決定ではイノベーションを興すことが難しいといえます。このように、イノベーションを興すための特化したイノベーション・マネジメントをいち早く導入し、労働環境を変えていくことが大切です。

イノベーションの事例をご紹介

世界には「会社の存在自体がイノベーション」といわれる企業もあれば、技術革新以外にも画期的なアイディアを基にイノベーションを興した事例も存在します。

Apple

アメリカを代表する世界的IT企業であるApple Inc.は、携帯電話市場のみならず、IT業界全体に劇的な変革をもたらした存在です。タッチパネルを主流とした利便性と、高いデザイン性、高機能を次々と実現し、世界のスマートフォン市場を瞬く間に制覇した歴史を持ちます。新製品の発表会は、世界中から注目されるだけでなく、次世代を担う最先端技術をいち早く顧客に届けるという強力な競争優位性を保有しています。

【参考】Apple Inc

AKB48

作詞家の秋元康氏が総合プロデューサーを務めるアイドルグループAKB48は、従来のアイドルに対する概念や制約を破壊し、「会いに行けるアイドル」という新たな価値をもたらした日本を代表する国民的アイドルグループです。ファンによる人気投票によって、楽曲を歌うメンバーを選抜する「ユーザー参加型のエンターテイメント」をアイドル市場にもたらした点でも、技術革新を伴わない画期的なイノベーションの良き事例といえます。

【参考】キングレコード 公式AKBオフィシャルサイト

Facebook

デイリーアクティブ利用者数が13億2,000万人(2017年6月時点)を突破しているソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下、SNS)のFacebookは、世界中の人たちに新たなコミュニケーションの価値を提供したイノベーションの一つといえます。「誰かに認められたい」という個人の承認欲求を満たす新たな価値を見出し、それを実現することに成功しています。場所や時間に囚われず、自らの情報を世界中に発信することが可能なため、世界中の人々とつながれる点においても、従来のコミュニケーションの概念や制約を打ち破った良いイノベーション事例です。

【参考】Facebook Japan

メルカリ

個人間売買の仲介市場を提供する株式メルカリ会社は、身近にある不用品を売却したい出品者と、お得に商品が欲しいという購入者の顧客ニーズを捉え、スマートフォンで手軽に取引が完結できる利便性は、日本経済にも大きな影響を与えました。従来のリサイクルショップや中古ショップを介した売買が主流でしたが、手軽にスマートフォンで、商品を売買できるという点は、従来のリサイクル事業にはない価値を創出したイノベーション事例といえます。

【参考】株式会社メルカリ

まとめ

  • 経済がグローバル化していく中で、顧客のニーズも多様化し、ビジネス課題や社会問題も高度化・複雑化しています。そのため、企業は継続的にイノベーションを興す必要性が高まり、積極的にイノベーションに取り組まなければいけません。
  • 技術革新に頼らないイノベーションも次々と興っているため、事業規模に関係なく、中小企業や個人にもイノベーションが起こせるチャンスも増えています。
  • 日本経済を活性化させるためにも、経営者や管理職はイノベーションに対する知識や経験をしっかりと培わなければいけません。

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