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2019年1月15日(火)更新

エンゲージメント

近年、従業員と企業との関係や、企業と顧客の関係性を示す言葉として、「エンゲージメント」という言葉がよく使われるようになっています。また、企業のSNSページの運用においても、投稿に対するリアクション率を示す「エンゲージメント率」という指標が使われています。ビジネス用語としても市民権を得ている「エンゲージメント」について、言葉の意味や使われ方、向上させる方法などを解説します。

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エンゲージメントとは

そもそもエンゲージメントとはどのような意味があるのでしょうか。概要を解説します。

エンゲージメントの意味

エンゲージメント(engagement)とは、直訳すると「従事」「婚約」「契約」といった意味を持つ言葉です。ビジネス用語としては、 企業や商品、ブランドに対する、消費者やユーザーの愛着度 を意味します。

さまざまな分野で活用されるエンゲージメント

企業と人との関係性が重視される中、このエンゲージメントという考え方は、マーケティングの領域のみならず、人事関連やSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)など幅広い分野でも活用されています。

本記事では、「人事や組織開発の分野で使われる『 従業員エンゲージメント 』」、「SNSマーケティングで活用される『 エンゲージメント率 』」、「 エンゲージメントマーケティング 」の3点について、章を分けて解説していきます。

1.人事や組織開発の分野で使われる「従業員エンゲージメント」

従業員エンゲージメントとは、 企業と従業員の間に構築される信頼関係、愛着心を指す人事関連用語 です。人材採用や離職防止だけでなく、商品(製品)のサービスクオリティ・生産性向上にも効果があるといわれています。

【関連】従業員エンゲージメントの意味とは?影響する要素、高めるポイントをご紹介/BizHint

従業員エンゲージメントが注目される背景

「従業員エンゲージメント」という考え方が注目されている背景には、日本型雇用システムの崩壊、および従業員の就労に対する意識変化があります。

日本型雇用システムの崩壊

経営の不確実性が増す昨今、日本型雇用システムは崩壊し、企業は終身雇用や年功序列を前提とした役職を従業員に約束できない状況に陥っています。その結果、企業と従業員の間に、新たな関係構築の必要性が高まっています。

「従業員エンゲージメント」では、身分の約束ではなく、信頼と愛着により企業と従業員の関係を保つ、という考え方をとります。この考え方が、企業と従業員間の新たな関係をつくる上で、大きな可能性を秘めた概念として注目されているのです。

【関連】日本型雇用システムの特徴とメリット・デメリット/BizHint

従業員の就労に対する意識変化

厚生労働省が発表している『平成25年版厚生労働白書 -若者の意識を探る- 第2章 多様化するライフコース 第4節 仕事に関する意識』では、会社の選択理由として「企業の将来性」を重視する新入社員数は減少傾向にあります。逆に「自分の能力・個性が活かせる」、「技術が覚えられる」という理由を重視する新入社員数は増加傾向となっています。

つまり、1つの企業にずっと所属し将来を保障してもらうことよりも、個人としてのスキルやキャリアアップを重視するようになってきているのです。

そのため、企業は組織と個人の成長を連動させ、相互に貢献し合うような、「従業員エンゲージメント」を念頭においたパートナーシップが重要視されるようになったと考えられます。

【参考】平成25年版厚生労働白書 -若者の意識を探る- 第2章  多様化するライフコース 第4節 仕事に関する意識

日本の従業員エンゲージメントは低い

ここで、日本における従業員エンゲージメントの現状について確認しておきましょう。

世界的な世論調査やコンサルティング事業を手がけるギャラップ社が実施した従業員のエンゲージメント(仕事への熱意度)の調査によると、日本は「熱意あふれる社員」の割合が6%ほどで、調査した139カ国中132位と最下位クラスという結果となりました。

また、企業内に悪影響を及ぼす「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」の割合は24%、「やる気のない社員」は70%に達し、世界的に見ても「日本の従業員エンゲージメントは低い」と断言せざるを得ない結果となっています。

ギャラップのジム・クリフトン会長兼CEOは、従業員エンゲージメントに関する日本の課題としては、自己の成長を重視するミレニアル世代のニーズに応えられていないことであり、上司が部下の強みを理解し、強みが活きるような仕事に変えるなど、マネジメントスタイルを変容させることが必要だと述べています。

【参考】「熱意ある社員」6%のみ 日本132位、米ギャラップ調査/日本経済新聞

従業員エンゲージメントを高めるメリット

では、なぜ従業員エンゲージメントを高めていく必要があるのでしょうか。

従業員エンゲージメントの向上は、「 従業員の企業に対する愛着心を強める 」ことを指します。企業への愛着心は、従業員が能動的かつ献身的に業務に取り組むことにつながり、製品(商品)・サービスの品質や顧客満足度、安全衛生面の向上が期待できます。その結果として、 業績や生産性の向上や、人材の維持・獲得といった組織力の強化、離職率の低下 にもつながっていきます。

従業員満足度との違い

ところで、従業員エンゲージメントと似た指標には、「従業員満足度」というものがあります。この違いはどこにあるのでしょうか。

従業員エンゲージメントと従業員満足度の違いとしては、「指標としての着目ポイントの違い」および「企業の業績向上につながりうるか」にあります。

従業員エンゲージメントは従業員の「所属する企業への愛着心」に着目します。一方、従業員満足度は、従業員の「所属する企業への満足度」に着目する指標となっています。

従業員エンゲージメントを向上させると、従業員が熱意を持って日々の業務に取り組むことができるようになります。個人の成長はもちろん、組織力の強化や業績の向上にもつながります。一方、従業員満足度はいわば「会社の居心地の良さ」ともいえます。居心地の良さや満足度が高くても、業績の向上につながる、という科学的な検証結果はないようです。

【関連】従業員満足度とは?上げる方法と、向上事例・施策をご紹介/BizHint

従業員エンゲージメントを高める方法

ここまでは主に従業員エンゲージメントの意味や向上させるメリットについて解説してきました。では、従業員エンゲージメントを高めるにはどうすればよいのでしょうか。

企業と個人のビジョンや目標のすり合わせ

従業員エンゲージメントを高めるには、企業の目標達成が従業員の自己実現にもつながる状態をつくることが効果的です。そのためには、企業と個人のビジョンおよび目標のすり合わせが必要となります。具体的な手法としては、代表陣からのメッセージ発信や企業研修の開催、上司と部下の間における面談の充実などが挙げられます。

納得感のある人事評価制度の構築

透明性の高く、納得感のある人事評価制度の構築も、従業員エンゲージメントの向上には重要です。努力や成果が正当に評価され、報われる会社であれば、従業員はより長く、精力的に働きたいと思うはずです。

【関連】人事評価制度とは?評価対象や評価手法、企業事例などもご紹介 / BizHint

社内公募制度やフリーエージェント制度の導入

前述の米ギャラップ社、ジム・クリフトン会長兼CEOは「無気力な社員の半数は自分に合っていない仕事に就いている。合った仕事に変えるだけで無気力な社員を半分に減らせる」と語っています。

【出典】「熱意ある社員」6%のみ 日本132位、米ギャラップ調査/日本経済新聞

従業員一人一人ができるだけ希望する仕事に従事できるように、社内フリーエージェント制度や公募制度を導入することも、従業員エンゲージメントの向上には有効です。

【関連】社内FA制度とは?メリット・デメリットや導入企業・事例をご紹介/BizHint
【関連】社内公募制度とは?メリット・デメリットや注意点を一挙ご紹介/BizHint

社内のコミュニケーションの活性化

社内のコミュニケーションの活性化も、従業員エンゲージメントの向上には有効です。社員間のコミュニケーションが活発で、風通しの良い職場だと、人は組織に対して愛着がわくものです。

【関連】社内コミュニケーションを活性化するためには?《成功事例5選》/BizHint

従業員サーベイ

従業員エンゲージメントの向上には、これまで上げたような施策が効果的です。しかし、これまで挙げた方法は、どの組織にも通用する特効薬のようなものではありません。その時の企業や従業員の状況を観察しながら、PDCAを回し改善していくことが必要となります。

すなわち、従業員サーベイを通じ、従業員エンゲージメントを測定し、打った施策の評価を行い、次の施策の検討に活かすことが重要なのです。

【関連】従業員サーベイとは?企業と従業員の関係性の改善し、エンゲージメント向上を目指す/BizHint

ワーク・エンゲージメントという概念も

また、「ワーク・エンゲージメント」という言葉もあります。ワーク・エンゲージメントとは、従業員の心の健康度を表す概念、または仕事に対するポジティブな就業態度を指すビジネス用語です。

ワーク・エンゲージメントを高めることは、従業員のストレス耐性の向上や、組織の活性化に効果があるといわれ、組織のメンタルヘルス対策に活用できる新たな概念として注目されています。

【関連】ワークエンゲージメントの意味とは?高める方法や尺度、書籍をご紹介 / BizHint

2.SNSマーケティングで活用される「エンゲージメント率」

ここからは、SNSマーケティングで活用される「エンゲージメント率」について解説します。

エンゲージメント率とは

エンゲージメント率とは、FacebookやTwitter、Instagram(インスタグラム)などのSNSにおいて投稿した内容に対し、ユーザーがどのくらいリアクションを示したか(エンゲージメントを獲得したか)を表す割合のことです。

現在SNSは、その拡大に伴い、BtoCのビジネスを営む企業を中心に、商品・ブランドに対する消費者(ユーザー)の獲得を目的に活用されています。また、芸能人だけでなく、一般人のインフルエンサーも登場しており、新たな販売戦略のツールとしても注目されています。

SNSには、投稿者が投稿した内容(FacebookではFacebook投稿、Twitterではツイート)に対し、その内容を閲覧したユーザーが評価(「いいね!」など)やコメント、シェアなどを行う機能が備わっています。これらのリアクションの件数や割合は、企業と顧客との結びつきやブランドへの思い入れの情報として、参考にすることができます。

ある投稿を見たユーザーが、どれくらいリアクションをとるか、その割合が「エンゲージメント率」です。この指標は、「新製品(商品)やサービスが、どの程度、消費者(ユーザー)に受け入れられているか」といった企業と消費者(ユーザー)の絆を数値化することができ、従来のマーケティングとは違った情報としても注目されています。

エンゲージメント率を高めることのメリット

エンゲージメント率を高めることには、どのようなメリットがあるのでしょうか。

エンゲージメント率は、獲得したページの閲覧者や登録者の中で、どれくらい企業活動に好意的なアクティブユーザーがいるか、その割合を意味します。

そのページの登録者数や閲覧数がどれほど多かったとしても、エンゲージメント率が低ければ、その企業や商品について好意的なファンが効果的に獲得できているとは言い切れません。反対に、エンゲージメント率が高ければ、その企業や商品に対して好意的なファンが獲得できていることを意味します。好意的なファンには、積極的な情報拡散や購買活動などが期待できます。

各SNSにおけるエンゲージメント率

エンゲージメント率の算出方法は各 SNS によって異なります。その算出方法を把握しておきましょう。

Twitterにおけるエンゲージメント率

Twitterでは、エンゲージメント(クリック、リツイート、返信、フォロー、いいね)の数を、インプレッション(ユーザーがTwitterでツイートを見た回数)の合計数で割って算出しています。

【参考】Twitterアナリティクス

Facebookにおけるエンゲージメント率

Facebookでは、投稿に関して「いいね!」、コメント、シェア、またはクリックした人数を、投稿がリーチした人の数で割って算出しています。

ポイントは、「人の数」でカウントしていることです。Twitterはエンゲージメント数をカウントしているため、ユーザー1人につき複数件カウントされることがあります。しかし、Facebookの場合は「人数」が指標となるため、ユーザー1人が1つの投稿に複数のリアクションを行ったとしても、カウントは1件となります。

【参考】Facebookインサイト

Instagramにおけるエンゲージメント率

Instagramの機能では、「エンゲージメント率」を直接算出する機能はありません。投稿にいいね!やコメントをしたInstagramアカウントの総数を示す「エンゲージメント」という指標はありますので、この数値をもとに、自身でエンゲージメント率を計算する必要があります。この際に分母とするのは、Instagramでは「フォロワー数」が一般的です。

SNSにおけるエンゲージメント率を高める方法

エンゲージメント率を高めるには、どのような方法があるのでしょうか。

ペルソナの設定

エンゲージメント率の向上には、ペルソナの設定が重要です。漫然とSNSを運用するのではなく、ペルソナを設定した上で、対象に対して響くコンテンツを配信するようにしましょう。

SNSと他のウェブメディアでは、運用上に大きな違いがあります。それは、コンテンツが流れていくフロー型であることです。従って、コンテンツを届けたいユーザーにきちんと届くように、投稿する時間やクリックしたくなる見せ方に工夫が必要となります。きちんとターゲットにリーチするためには、ペルソナを設定し、 仮説を立てて投稿することが求められます。

クリエイティブへの投資

刻々と流れていくタイムラインの中から企業や自社の商品に興味を持ってもらうためには、ユーザーを引きつけ、拡散してもらえるような魅力的な投稿が重要です。思わずユーザーが反応してしまうような、美しい写真や動画、面白いキャンペーンの企画など、クリエイティブへの投資が求められます。

ハッシュタグの活用

ハッシュタグの活用も、エンゲージメント率の向上に有効な手段といえます。昨今はGoogleやYahoo!などの検索エンジンではなく、SNSにおいてハッシュタグで検索をかけ、情報収集をすることも一般的です。ハッシュタグを活用することで、積極的に情報を探しているユーザーにコンテンツを見つけてもらいやすくすることができます。また、ハッシュタグでうまく話題をつくることができれば、ユーザー間でのコミュニケーションを促進することも可能です。

3.エンゲージメントマーケティングとその事例

ここからは、SNSのみならず、さまざまなメディアやツールを利用したマーケティング手法である「エンゲージメントマーケティング」について、事例も含めて解説します。

エンゲージメントマーケティングとは

エンゲージメントマーケティングとは、顧客と企業やブランド、商品とのつながりを強めていくことで購買へとつなげるマーケティング手法のことです。オンラインとオフラインを組み合わせたブランディングと、良好なカスタマーエクスペリエンスの提供、顧客とのコミュニケーションが根幹となります。

エンゲージメントマーケティングの重要性

エンゲージメントマーケティングの重要性について解説します。

インターネットが普及する前までは、AIDMA(『Attention(注意)』、『Interest(関心)』、『Desire(欲求)』、『Memory(記憶)』、『Action(行動)』)モデルで表せるように、マスメディアを通じ商品や企業を印象づけて購買につなげるようなマーケティング手法が一般的でした。

【関連】AIDMAの法則とは?5つの要素と関連フレームワークをご紹介/BizHint

しかし、 インターネットが爆発的に普及した今では、AISAS(『Attention(注意・認知)』、『Interest(興味・関心)』、『Search(検索)』、『Action(行動)』、『Share(共有)』)モデルや、その他購買モデルに表せるように、消費者が触れる情報量も膨大となり、商品の認知から購入までのプロセスも複雑化しています。

【関連】AISASモデルとは?理論の特徴と購買行動プロセス、関連モデルをご紹介/BizHint

このため、従来のテレビや新聞などのメディアによる認知度の向上だけでなく、消費者(ユーザー)の購入につながる好感や潜在的な要求を、総合的に高める重要性が増してきました。結果として、「エンゲージメント」という新たな概念が重視されるようになってきたのです。

エンゲージメントマーケティングの成功事例

エンゲージメントマーケティングの成功事例について紹介します。

スターバックス

スターバックスは、エンゲージメントマーケティングの領域において、世界有数の企業であるといえるでしょう。居心地の良さを追求した店舗設計や、マニュアルではなく顧客のことを従業員自身で考えて行動する接客スタイルなど、ユーザーに良好な体験を提供できるような仕組みを構築しています。それにより、ユーザーがスターバックスを第三の居場所のように思え、エンゲージメントの向上につながるのです。

顧客からの提案を積極的に受け入れることも、エンゲージメントの向上に寄与しています。コミュニティサイト「My Starbucks Idea」では、ユーザーが商品やサービスに関するアイデアを自由に投稿することができ、その投稿の中から、新しいフレーバーやケーキ、フリーWi-Fiやハッピーアワー制度まで、さまざまなアイデアを実現してきました。

【参考】エンゲージメント・マーケティング事例:Starbacks 震災復興支援プログラム:エンゲージメント・ファースト!/オルタナティブ・ブログ

ザッポス

靴のインターネット通販会社「Zappos(ザッポス)」は、その独特のカスタマーサービスで有名な企業です。カスタマーサービスにはマニュアルも時間制限もありません。顧客へ驚きの体験を届けるためにオペレーターが自己裁量で行動します。個別のユーザーに対する感動的な顧客対応のエピソードは、枚挙にいとまがありません。この常識はずれともいえるサービスにより、ザッポスは高いエンゲージメントを獲得しています。

【参考】アマゾンも高く買ったザッポスの“伝説的”顧客サービスはどこがすごいのか?/ダイヤモンド・オンライン

まとめ

  • エンゲージメントとは「企業と人との信頼関係や愛着度」を示す言葉。マーケティング用語のほかにも、SNS活用、人事領域などで使われている
  • 従業員エンゲージメントは、従業員と企業の間の信頼関係を意味する。従業員エンゲージメントを高めることで、離職率の低下、業績や生産性の向上が期待できる
  • SNSの運用におけるエンゲージメントとは、投稿に対するユーザーのリアクションのこと。エンゲージメント率を測定することで、どのくらい商品やブランド、企業に対し積極的なファンがいるかを把握することができる
  • マーケティングの領域においては、顧客と企業との関係性を育む考え方として、「エンゲージメントマーケティング」という考え方が注目されている

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