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2018年11月21日(水)更新

エンゲージメント

経営環境の不確実性が増す中、企業にとって、優秀な人材を獲得・維持することは至上命題です。そのため、企業と従業員の間には、従来よりも強固な信頼関係を構築しなければいけません。近年、あらゆる分野において、エンゲージメントが注目されています。今回はエンゲージメントの意味やメリット、エンゲージメントの向上方法などをご紹介します。

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エンゲージメントとは

元々、エンゲージメントは「企業と顧客との信頼関係」を分析し、購買につなげるマーケティング用語でしたが、現在では人事関連やSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)など幅広い分野でも活用されています。エンゲージメントの意味や注目される背景、似た概念である顧客満足度との違いを知ることで、理解を深めることができます。

エンゲージメントの意味

エンゲージメントとは、企業と従業員が信頼し合い、互いに貢献しあう概念、または企業と従業員との愛着心を指す用語です。

ビジネスの世界では、「従業員」と「顧客」を分けて、考えられることが一般的であり、両者をバランスよく高めることで、企業価値を高められるといわれています。販売戦略においては、自社が提供するブランドに対して、積極的に消費者(ユーザー)を関与させ、販売実績を向上させるマーケティング手法として活用されています。

また近年では、製品(商品)の広告に、SNSや動画投稿サイトで活躍するインフルエンサーを起用する日本企業も増えており、Facebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)などのSNS上で消費者(ユーザー)に強い影響を与えているという指標で、エンゲージメント(投稿に対する消費者(ユーザー)の反応の割合やフォロワー数、シェアなど)が使用されています。

さらに、従業員エンゲージメント(信頼関係を前提とした組織への帰属意識の強化)を向上させることで、優秀な人材を集め、離職を防ぎ、組織力の強化と業績向上の効果が期待できる、人事戦略のひとつとしても活用されています。

エンゲージメントが注目される背景

エンゲージメントが注目される背景には、企業と従業員との間の関係性に変化が起きていることが考えられます。また、この変化の要因として、「雇用環境の変化」と「就労者の意識変化」が挙げられます。

経済のグローバル化やイノベーションによる技術革新、労働人口の減少などにより、経営の不確実性が増し、企業は終身雇用年功序列を前提とした役職を従業員に約束できない状況に陥っています。その結果、従来のような企業と従業員の主従関係を結ぶことが難しくなってしまいました。

また、バブル崩壊以降に取り入れた成果主義を前提とした昇進・評価制度は一定の効果は得られたものの、完全な成功を果たせなかったこともあり、企業と従業員の新たな関係性を構築する必要性が生じました。そのため、エンゲージメントという考え方が人事部門に浸透していったと考えられます。

また、従業員の就労に対する意識も変化したことも関係していると考えられます。

厚生労働省が発表している『平成25年版厚生労働白書 -若者の意識を探る- 第2章 多様化するライフコース 第4節 仕事に関する意識』では、2000年以降は「会社の選択理由」として、「会社の将来性を考えて」、「仕事がおもしろいから」が減少傾向となっています。

一方で「自分の能力・個性が活かせるから」、「技術が覚えられるから」は増加傾向となっています。特に「自分の能力・個性が活かせるから」は全体の35%を超えていることから、将来を担う若年就労者は「長期雇用の下でキャリア形成を目指したい」という傾向が強いといえます。

そのため、従業員は企業による手厚い支援の下、キャリアアップやスキル向上を目指せる労働環境を求めており、企業は組織と個人の成長を連動させ、相互に貢献し合うパートナーシップが重要視されるようになったと考えられます。

このように、「企業(組織)と従業員(個人)が一体的な関係になり、お互いが相手の成長に貢献できる関係」を重視する日本企業が増えており、従業員エンゲージメントを前提とした労働環境を構築しなければいけません。

【参考】平成25年版厚生労働白書 -若者の意識を探る- 第2章  多様化するライフコース 第4節 仕事に関する意識

従業員満足度との違い

エンゲージメントと似た指標に従業員満足度というものがあります。しかし、従業員満足度とエンゲージメントには明確な違いがみられます。

エンゲージメントは業績向上に貢献

従業員満足度は、あくまで「従業員が所属する企業に満足しているかどうか」を測る指標であり、従業員満足度を高めたとしても、必ずしも企業の業績アップにはつながりません。しかし、エンゲージメントの向上は、企業と従業員の間に信頼関係を構築できるだけでなく、従業員のモチベーションが高く保たれるため、企業の業績アップにつながりやすいといわれています。

着目ポイントの違い

従業員満足度とエンゲージメントには、それぞれ着目するポイントが異なります。従業員満足度は、従業員の「所属する企業への満足度」に着目します。一方で、エンゲージメントは従業員の「所属する企業への愛着心」に着目します。

愛着心の強い従業員は、熱意をもって日々の業務に取り組むことができるため、個人の成長はもちろん、組織力の強化にもつながります。

【関連】従業員満足度とは?上げる方法と、向上事例・施策をご紹介/BizHint HR

さまざまな分野で活用されるエンゲージメント

元々、マーケティング分野で活用されていたエンゲージメントは、人事部門だけでなく、さまざまな分野での活用が始まっています。今回はエンゲージメントを活用している分野について、ご紹介いたします。

従業員エンゲージメントとは

従業員エンゲージメントとは、企業と従業員の間に構築される信頼関係、愛着心を指す人事関連用語です。人材採用や離職防止だけでなく、商品(製品)のサービスクオリティ・生産性向上にも効果があるといわれています。

従業員エンゲージメントは企業理念ビジョン、役割の明確化、ワークライフバランスの推進、適切な人事評価制度の導入、社内コミュニケーションの活性化、タレントマネジメントの活用などを実施することで向上できるといわれています。

【関連】従業員エンゲージメントの意味とは?影響する要素、高めるポイントをご紹介/BizHint HR

SNSマーケティングで活用される「エンゲージメント率」とは

現在、FacebookやTwitter、Instagram(インスタグラム)などのSNSの拡大により、商品・ブランドに対する消費者(ユーザー)の積極的な関与を測ることを目的に活用されています。また、芸能人だけでなく、一般人出身のインフルエンサーも登場しており、新たな販売戦略の指標としても注目されています。

SNSには、投稿者が投稿した内容(FacebookではFacebook投稿、Twitterではツイート)に評価(「いいね!」など)やコメント、シェアなどの機能が備わっており、これらの数値を企業と顧客との結びつきやブランドへの思い入れの情報として、参考にすることができます。

これらの情報を「エンゲージメント率」と定義し、「新製品(商品)やサービスが、どの程度、消費者(ユーザー)に受け入れられているか」といった企業と消費者(ユーザー)の絆を数値化する、従来のマーケティングとは違った情報としても注目されています。

効果指標としてのエンゲージメントとは

従来のデジタルマーケティングでは、「到達数×頻度」(インプレッションやクリック数など)といった計算方法を基に販売戦略を打ち出してきましたが、主要SNSやインフルエンサーの登場により、「製品情報だけではない、消費者(ユーザー)の積極的な関与や行動が購買意欲に強く影響を与えている」といわれています。

これは従来のテレビや新聞などのメディアによる認知度の向上だけでなく、消費者(ユーザー)の購入につながる好感や潜在的な要求を植えつける重要性が増し、エンゲージメントという新たな表現が使われるようになりました。

現在では、従来の媒体はもちろん、Webサービス、SNSなど多方面から消費者(ユーザー)に有益なコンテンツ(情報)を届け、消費者(ユーザー)の購買意欲を喚起するコンテンツマーケティングが一般的となっています。企業が自社専用のFacebookページを作成し、企業イメージや企業ブランドの向上に努めるケースも増えています。

ワーク・エンゲージメントとは

ワーク・エンゲージメントとは、従業員の心の健康度を表す概念、または仕事に対するポジティブな就業態度を指すビジネス用語です。ワーク・エンゲージメントは「熱中」、「没頭」、「活力」の三つの要素が充実しているかどうかで心理状態を測る、新たな組織のメンタルヘルス対策として注目されています。

ワーク・エンゲージメントを高めることで、従業員のストレスを減少させ、仕事に対する満足度や生産性の向上に効果があるといわれています。ワーク・エンゲージメントの向上は従業員ひとり一人の自己効力感レジリエンスを高め、「なぜ働くのか?」、「何を目指して、働くのか」を明確にした目標設定や面談の実施が効果的といわれています。

【関連】ワークエンゲージメントの意味とは?高める方法や尺度、書籍をご紹介 / BizHint HR

エンゲージメント向上のメリット

エンゲージメントを高めることで、企業はさまざまなメリットを得ることができます。今回はエンゲージメントの向上で得られる主なメリットをご紹介いたします。

業績・生産性の向上

エンゲージメントの向上は、「従業員の企業に対する愛着心を強める」ことを指します。企業への愛着心は、従業員が能動的かつ献身的に業務に取り組むことにつながり、製品(商品)・サービスの品質や顧客満足度、安全衛生面の向上が期待できます。

その結果、企業全体の業績(売上・利益率)の向上につなげることが可能です。同時に社員同士の信頼関係や絆も強まり、社員同士の繋がりが強化されたことによる相乗効果も生み出せます。

離職率の低下

エンゲージメントの向上は、従業員と企業の間に一体感を生みます。仕事や日々の業務にやりがいを感じやすくなり、従業員にとって、居心地の良い職場環境が構築されます。その結果、従業員の離職率が下がり、優秀な人材が定着しやすくなるといわれています。

組織力の強化(人材の維持・獲得)

エンゲージメントは、企業と従業員が相互に信頼し合い、企業・個人がともに成長していくための重要な要素といえます。また、企業理念ビジョンミッションを従業員に浸透させやすく、個人は「仕事や業務を通して、成長しよう」とする能動的な成長意欲を向上できるメリットがあります。

このように、企業へのエンゲージメントを向上することは、将来性の高い新入社員や即戦力となる人材の獲得にも有利に働きます。また、年収とは異なる非金銭的報酬の魅力が高まることで、優秀な人材の流出を防ぐこともできます。

エンゲージメントを高める方法(プロセス)

エンゲージメントを高めることは、企業、従業員にさまざまなメリットが生まれます。しかし、綿密な導入計画を立て、適切に運用していかなければ、せっかくの取り組みや制度が形骸化してしまいます。今回はエンゲージメントを高める方法(プロセス)をご紹介いたします。

エンゲージメントの測定

企業経営において、財務や販売戦略への綿密な分析が欠かせません。それはエンゲージメントにおいても同じことがいえます。そのため、エンゲージメントの向上には、最初に自社のエンゲージメントの実態を把握・分析します。

また、エンゲージメントは会社の居心地の良さを表す従業員満足度とは明確に異なるため、社員が会社に関わる項目それぞれに「どのような感情を抱いているか」を分析しなければいけません。代表的な主項目には「仕事(達成感や業務プロセスなど)」、「対人関係(経営者、上司、顧客など)」、「キャリア形成(自己開発機会など)」、「慣行・企業文化(人事評価制度、ダイバーシティ制度の有無など)」が挙げられます。

これらの項目毎に、社員がどのような感情を持っているかを収集し、分析を行ないます。エンゲージメントを測定することに長けた人事コンサルティング会社を利用することもおすすめです。

ガイドラインの作成

エンゲージメントを高める上で、企業と従業員がともに納得できるガイドラインを作成することが最適です。企業は従業員に対して、自社の価値観や企業理念を共有し、求める能力や行動(コンピテンシー)を示さなければいけません。

同時に、社員が自己の成長を実感できる、どのようにキャリア形成を行なえるかをイメージできる労働環境や制度を模索します。

制度・施策などの労働環境の整備

エンゲージメント向上のためのガイドラインを作成した後は、「従業員が主体的に会社組織に働きかける」、「自分たちが会社組織を改善できる」、「問題・懸念を解決できる」制度・施策を策定し、浸透させていきます。これにより、社員自身が望ましい働き方や職場をイメージしながら、自ら挑戦し、理想の方向へと職場環境を変えていくことができます。

また、従業員同士が、相互に目標や価値観の違いを理解して、尊重し合えるような関係性を築けるマネジメントの強化も必要です。そのため、マネージャーをはじめとした管理職は適切なリーダーシップを発揮し、面談を通して、会社が求める結果と個人が思い描くキャリアプラン、組織の目標を考慮した上で、チームマネジメントを実施しなければいけません。

その際、上司と部下は、定期的にキャリアアッププランについて話し合い、従業員が自らを成長させる機会を提供することも大事です。同時に経営者や人事担当者は、社員が自ら挑戦できる、社内公募制度社内FA制度など、従業員の将来に役立つ環境の構築支援に努めます。

さらに、従業員のモチベーションを高める意味では、表彰や褒賞制度の導入も検討することもおすすめです。従業員自身が積極的に努力できる環境と、正当に評価される制度を構築することが、企業へのエンゲージメント向上への鍵といえます。社員は仕事や業務にやりがいを感じることができるからこそ、「会社に貢献している」と感じることを知っておきましょう。

PDCAによる検証

ガイドラインに沿って、制度の策定や労働環境の整備などの人事業務を進めていく中で、エンゲージメントの指標毎に問題点や懸念点が浮き彫りになります。これらの原因を明らかにし、改善することも経営者や人事担当者の重要な役割といえます。

また、実施結果を適性に検証するためには、人事部門を中心に、実行計画や達成期日、プロジェクト責任者など役割を明確化しておくことも大切です。エンゲージメントの向上は、営業戦略と同じく、企業の重要戦略のひとつであり、他の戦略と同様に、適切なPDCAを回していかなければいけません。

まとめ

  • 従業員(顧客)満足度と異なるエンゲージメントは、今後もさまざまな分野で重要な役割を果たしていくことが予想されます。
  • 人事関連においては、企業の競争力、組織力の強化が見込め、マーケティング分野においては、消費者(ユーザー)動向の指標や計算式として活用できます。
  • エンゲージメントの導入は、企業経営にさまざまなメリットをもたらしてくれます。エンゲージメントは今後の企業経営においても、重要な役割を果たすため、積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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