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女性リーダー

2020年2月3日(月)更新

女性活躍推進法の施行によって女性社員の活躍を推進する機運が高まっていますが、それを実現するには女性リーダーの存在が必要不可欠であり、育成するにはいくつかの壁が存在します。今回は、この女性リーダーについて、「理想の女性リーダー」の特徴や、女性活躍推進の現実、そして活躍を阻害する壁の存在や、育成ポイントまで幅広くご紹介します。

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企業成長の鍵となる女性活躍推進

それではまず、女性活躍推進が企業にどのような効果をもたらすのか見ていきましょう。

日本における女性活躍推進の取り組み

2015年8月、国会で「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)」が成立し、働きたいという希望を持つすべての女性が、その能力を発揮できる社会の実現を国が後押しすることになりました。

それを受けて、従業員数301人以上の場合は女性の活躍に対しての数値目標や取り組みを公表することが義務付けられました。
※従業員300人以下の中小企業は努力義務

【参考】法律、基本方針等/内閣府男女共同参画局

【関連】女性活躍推進法とは?企業に求められる義務と進め方、女性活躍推進の企業事例もご紹介/BizHint
【関連】女性の活躍を推進するには?課題や企業が行うべきことなど解説/ BizHint

女性活躍推進と営業利益率の関係

社会環境の変化によって、市場も大きく変化してきました。特に女性の社会進出が盛んになることで女性の経済力が高まり、購買の決定権は女性が握るようになってきました。企業はそうした市場に合わせていくため、女性消費者のニーズを掴むことが求められます。

そのため、女性社員の活躍によって、女性消費者の声を代弁し、女性リーダーによって女性社員の企画やアイディアをサービスに活かすことで、企業が成長しているケースが増えています。

経済産業省では、女性活躍推進に優れた上場企業を「なでしこ銘柄」をして認定しています。平成30年度には、カルビー株式会社やキリンホールディングス株式会社など42の企業が認定されました。

みずほ情報総研株式会社が「女性活躍推進と企業パフォーマンス」の関係について調査するため、この「なでしこ銘柄」と売上高営業利益率の関係を分析したところ、東証一部銘柄の平均値と比較して、なでしこ銘柄の売上高営業利益率が2.1%も高いことがわかりました。

【出典】企業における女性活躍推進支援のあり方に関する実態調査(平成29年3月)/みずほ情報総研株式会社

【参考】女性活躍に優れた上場企業を選定「なでしこ銘柄」/METI 経済産業省

女性リーダー活躍推進の現実

それでは、女性リーダーの活躍推進に関する現実について見ていきましょう。

日本における女性リーダーの現実

日本企業は先進国の中でも女性の活躍度が著しく低い状態にあります。

その根拠として、ILO(国際労働機関)が2018年に調査した「世界の管理職に占める女性の割合」では主要7カ国(G7)中、日本が最下位となりました。世界の平均が21.7%であったのに対し、日本の平均は12%と、約半分程度の数値にとどまっています。

【参考】世界の女性管理職比率は27%、ILO 日本はG7最低/日本経済新聞

女性リーダーが少ない理由

厚生労働省の資料によると、企業は女性リーダーが少ない理由として以下のような理由を挙げています。

  • 現時点では、必要な知識や経験、判断力等を有する女性がいない(54.2%)
  • 将来管理職に就く可能性のある女性はいるが、現在、管理職に就くための在職年数等を満たしている者はいない(22.2%)
  • 勤続年数が短く、管理職になるまでに退職する(19.6%)

【出典】(政策会議)平成26年3月14日産業競争力会議分科会「第7回 産業競争力会議雇用・人材分科会/首相官邸」配布資料厚生労働省提出参考資料

一つは女性に管理職になるための能力が足りないことを理由にし、一つは能力を評価しつつも、在職年数の浅さを理由にしており、矛盾が生じています。これらの回答から、女性社員の育成が十分に行われていないこと、また重要な仕事を任せるといった経験を積むチャンスを与えてこなかったなどが推測でき、潜在的なジェンダーギャップが伺えます。

女性が管理職を希望しない理由

平成24年の独立行政法人 労働政策研究・研修機構の調査「男女正社員のキャリアと両立支援に関する調査結果」によると、女性の一般従業員での昇進希望者は10.9%と、男性の59.8%に比べてかなり少なくなっています。その理由を見てみると、

  • 仕事と家庭の両立が困難になる(40%)
  • 周りに同性の管理職がいない(24%)
  • 自分の雇用管理区分では昇進可能性がない(23.1%) ※従業員300人以上の企業/一般従業員の場合

図表3

【出典】(政策会議)平成26年3月14日産業競争力会議分科会「第7回 産業競争力会議雇用・人材分科会/首相官邸」配布資料厚生労働省提出参考資料

という結果となりました。 女性が働き易い環境が無い、女性の登用に希望が無いなど、企業側の環境整備不足に起因しているものが少なくなくありません。

企業が出産や育児といったライフイベントに対応し、家庭と仕事との両立できる、すなわち女性が働き易い環境を整備し、その中から活躍する女性リーダーのモデルが生まれてくれば、こうした調査の回答も変わってくるはずです。

【関連】ウーマノミクスとは?意味や効果、メリット、課題や問題点をご紹介 / BizHint

理想の女性リーダーの特徴とは

それでは、活躍している理想の女性リーダーの特徴はどのようなことがあるでしょうか。実際に活躍している女性リーダーの特徴をピックアップしました。

柔軟なコミュニケーション

男性は、縦社会の中で上下関係が比較的しっかりしているため、上司と考えが違う場合は部下が自らの意見を控えてしまうことが少なくありません。

しかし、女性は縦社会の中でも横の連携を取ることに長けているため、目的達成のために必要であれば様々な立場の人たちと率直に意見を交換できるなど、柔軟にコミュニケーションを取ることができます。

誰に対しても公正である

以上のように、女性は縦社会の中でも柔軟な対応ができることにより、その視野も広くなります。多くの男性が縦の見方、つまり上下の関係にとらわれた見方に陥り、本来の目的がおざなりになってしまうことも少なくありません。

対して、女性は上下関係などにとらわれず、目的達成のために誰がどうすべきか、何が問題になっているのかなどを広い視野から判断することができ、その判断は誰に対しても公平で公正なものとなります。

感情をコントロールできる

一般的に「女性は感情的」と言われます。性別を問わず感情的になることは冷静さを失い、業務に支障に繋がることから、残念ながら女性の弱点としてイメージされがちです。

しかし、「女性は感情的」であること、すなわち自身の弱点を認識していることは、それに対する対処が必要であることを認識しているとも言えます。

実際、人材大手パソナ の2015年「女性リーダーに関する調査」(主任クラス以上の女性(20歳〜49歳)1,000 名を対象)によると、図表4のとおり、女性リーダーに必要なスキルとして「感情をコントロールできること」と女性自身が考えており、すでに成功している女性リーダーは意識的に感情をコントロールしていると考えられます。

図表4

【出典】「女性リーダーに関する調査2015~主任クラス以上の女性1,000名の仕事・キャリア意識を調査~/転職エージェントのパソナキャリア」

女性の活躍を阻害する壁

以上のように、今や企業に女性リーダーの活躍は必要不可欠となりつつあるのですが、その一方で、従来の固定観念などに起因する女性の活躍を阻害する壁が存在しています。

未だに残る女性に対する偏見

「男女不平等は、基本的人権の侵害である」という国際的な認識は、日本においても十分認識されています。昔に比べ女性の進学率も高まり、男性との知識差はありません。「男性脳」「女性脳」といった性差による思考の違いについても、2015年にイスラエル・テルアビブ大学のダフナ・ジョエル氏らが発表した研究報告では「男性脳」「女性脳」を持つ人はほとんどいないという結果が出ています。このように、男女に明確な思考の差はありません。

しかし、依然として、一部の企業には「女性の能力が男性に劣る」「女性は男性のサポート」「リーダーは任せられない」といった偏見が存在することも否定できません

【参考】本当はなかった?行動の性差を裏付ける「男性脳」と「女性脳/エイジングスタイル」

単一的なリーダー像

企業の多くには、その企業に貢献したリーダー像があります。そしてその姿が「偶像化」し、同じようなリーダーを育成しようとする企業も少なくありません。確かに先人の例に学ぶことは大変重要である一方、働き方や価値観が急激に多様化する現代においては、社会環境の変化に対応する仕事の在り方が求められ、そのためには、リーダーの在り方も変わっていかなければなりません。

偶像化した単一的なリーダーの育成は、女性はもちろん、若手男性社員も時代に合わない間違ったリーダーを生んでしまう、時代感覚に富む社員の意欲を削いでしまうことから、企業の衰退につながりかねません。

ライフイベントと文化的な差別

人生には、結婚や出産といったライフイベントが発生します。例えば、出産に対して法的産休期間に限る、自社規定された期間の産休に色々理屈をつけて実質的に認めないなど、ライフイベントに対する理解の希薄な企業も未だに存在します。

この根底には「育児は女性がするもの」という文化的な差別があることから、企業が男性社員の育児休暇を認めない、更には、女性社員のパートナーや家族が育児を理由に就業に反対するなど女性の就業を制限する大きな要因となっています。

女性リーダー育成のポイント

女性リーダーの育成には、女性社員に対してだけではなく全社的に取り組む必要があります。具体的な育成についてポイントをご紹介します。

女性リーダー向けの研修

女性リーダーには、能力がありながらも、既存の単一的なリーダー像と自身とのギャップから自己評価が低く、自信が持てていないケースが多く見られます。研修では、リーダー像は一つではなく、自分らしいリーダー像を築き、また、自分がリーダーとなることで果たせる役割などを認識することで、リーダーとしての期待に応えられるようにします。

また、マネジメントや問題解決のスキルなど、リーダーとしての必要な知識を得ることで、的確な思考や判断ができるようにします。例えば、感情をマネジメントし、安定したコミュニケーションが維持できるスキル等について学びます。

さらに、自身の年代ごとのキャリアビジョンを考え、成長イメージを構築することで、今後の不安を減らし、自分が思い描くリーダーとして活躍できるように誘導します。

男性管理職の意識改革

女性リーダーの育成には上司の理解が重要なため、管理職研修などで経営者の女性活用に関する方針をしっかりと伝えます。女性の活用が企業にとって必要であること、男女間に能力や資質に違いがないこと(あるのは個人差)を徹底して教え、十分に理解を深めることで意識を改革します。

また、女性に配慮し、ワーク・ライフ・バランスのとれたビジネスの進め方をする必要があることや、それは男性社員にとっても働きやすい環境となることも合わせて伝えます。

ワーク・ライフ・バランスの実現

女性が重視する「仕事と家庭の両立」を実現するため、産休だけではなく、育児や介護による休業制度の充実させ、女性の就業環境を整備することが大事です。また、休業制度だけではなく、長時間労働を減らし、適切な労働時間によりワーク・ライフ・バランスのとれた働き方を促進する必要があります。

これらは男性にとっても適切な労働環境であり、プライベートが充実することで、仕事でのパフォーマンスを実現していきます。

【関連】ワーク・ライフ・バランスとは?正しい意味や取り組み、企業事例などご紹介/ BizHint

求められるロールモデル化

女性リーダーを育成するには、女性社員のお手本・目標となるロールモデルが必要です。ロールモデルは一人ではなく、複数人いる方が理想的で、その方が多様なリーダー像を存在させることになります。

女性社員が自分に近しいタイプの人、自分にないものを得意とする人など、自由にロールモデルを参考にし、時には直接アドバイスをもらうことで、自分の将来のビジョンや目指すキャリアを描きやすくなります。またその結果としてチャレンジ意欲が向上します。

【関連】ロールモデルとは?必要性と選定方法、活用ステップもご紹介/ BizHint

リーダーイメージを成熟させるメンター制度

メンター制度とは人材育成の指導方法のひとつで、指導者はメンター、指導される側はメンティと呼ばれ、メンターが、メンティのキャリア形成上の課題・悩みをサポートする制度です。両者の間に指示や命令があるわけではなく、対話の中でメンティーが自発的に気づきを得て成長していく方法です。

ロールモデルの存在により自分がなりたいキャリアイメージを描くだけでなく、それを実現していくことが大事です。メンター制度を実施することで、メンターの経験に裏打ちされた意見やアドバイスにより、より現実的で、実現可能なイメージに成熟させることができ、女性リーダーへの意欲向上が期待できます。

これらの方法は、厚生労働省でも推進しており、「メンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル」を公開しています。

【参考】メンター制度とは?目的やメリット&デメリット、導入方法など徹底解説/ BizHint
【参考】メンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル/厚生労働省

研修会社一例

女性リーダーに関する研修を行っている会社をいくつかご紹介します。

GLOBIS(グロービス)

「経営に関するヒト・カネ・チエの生態系を創り、社会に創造と変革を行う」というビジョンを掲げるグロービス。「ヒト」の面では、「グロービス経営大学院(MBA)」をはじめ、ビジネスリーダーの育成・輩出などの人材育成サービスを提供しています。

リーダーとしての基礎的なスキルとマインドを学べる、女性リーダー候補のためのリーダーシップ獲得プログラム「女性リーダー育成プログラム」を開催しています。また、女性リーダーの上長となる方々に向けた研修も提供しています。

【参考】女性リーダー育成/グロービス

insource(インソース)

管理職向け~中堅・若手向けまで、幅広い層に対して研修を手掛けるインソース。講座内容もマネジメント・ビジネスマインド・業務改善などと豊富です。オリジナルのe-ラーニング導入と運用のサポートも行っています。

「女性管理職(女性リーダー)育成研修」は、WEBから申し込める公開講座のほかにも、講師派遣、eラーニングも選択可能です。数多くのプログラムが用意されているので、最適な研修を選べます。

【参考】女性管理職(女性リーダー)育成研修/インソース

JMAマネジメントスクール

経営革新を推進する一般社団法人日本能率協会が主催する「JMAマネジメントスクール」。スキルアップ・キャリアアップを目指す方に向けたビジネス関連セミナー・フォーラムを開催しています。

女性リーダー候補や管理者などを対象とした「女性リーダー養成コース」では、2日間で女性リーダーの役割や、部下育成のための指導方法、女性の特性と個性を活かしたリーダーシップを学べます。東京・大阪・名古屋の3箇所で開催予定です。

【参考】女性リーダー養成コース/JMAマネジメントスクール

野村マネジメント・スクール

業界を問わず、60社を超える一流企業の人材育成に活用されている公益財団法人「野村マネジメント・スクール」。企業の経営に関わる教育・研修、研究調査、情報の収集・提供などを行っています。

同スクールが提供している「女性リーダーのため経営戦略講座」は、受講者の思考力をアップする訓練がメインであり、多様なテーマでケース分析と討議を行うことで、短時間で判断する力を養います。

【参考】女性リーダーのため経営戦略講座/野村マネジメント・スクール

Communication Energy(コミュニケーションエナジー)

人材育成における課題解決のサポートを行っている「コミュニケーションエナジー」。業績アップ・社員育成など、企業が持つ課題に合わせた研修・セミナー・講演会などを提供しています。

同スクールが行っている「女性リーダー育成塾」は、期間が8日間と、他社の研修に比べて長めであることが特徴です。自分らしいリーダーシップをつかむため、いくつかのワークやメソッドを実施します。論理的思考の向上や、セルフコントロール、自立心の醸成なども研修内容に含まれます。

【参考】女性リーダー育成塾/コミュニケーションエナジー株式会社

まとめ

  • 女性の活躍を推進するには、目標となる女性リーダーの存在が必要であり、現状では女性リーダーの育成がまだまだ遅れている
  • 企業は女性リーダーを積極的に育成してこなかった背景があり、女性社員も家庭と仕事の両立への不安から昇進の意欲が少ない
  • 女性リーダー育成のポイントは、女性社員の育成だけではなく、男性管理職の意識改革やワーク・ライフ・バランスの推進が必要
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