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エバンジェリスト

2020年7月3日(金)更新

エバンジェリストとは、自社製品の特徴からITのトレンドや最新テクノロジーまで、分かりやすく伝える職種のこと。昨今のIT技術の飛躍的な進化により、個人で全てを理解し、自社に最適な製品を判断する事が困難になってきた事から、近年注目を集めています。今回は、このエバンジェリストについて、その意味や営業との違い、仕事内容、役割、求められる資質から、様々な企業事例まで幅広くご紹介します。

エバンジェリストとは

「エバンジェリスト」とは、自社の製品の特徴からITのトレンドやテクノロジーに関する技術的話題まで、分かりやすく広く伝える職種を指します。

そもそも「エバンジェリスト」という言葉には、キリスト教において「伝道師(伝道者)」つまり、「物事の良さを人に伝えて広める人」という意味があります。

近年、専門的なポジションとしてこのポジションを新設する企業も増えてきています。中には、担当技術毎に「テクニカルエバンジェリスト」「クラウドエバンジェリスト」「セキュリティエバンジェリスト」など、それぞれの専門分野に特化したエバンジェリストも。

日本では、日本マイクロソフト社の業務執行役員でもある西脇資哲氏が「エバンジェリスト」として活躍しており、マイクロソフト製品に関してだけでなく、全国のエバンジェリストを養成する講座の開講、書籍の出版、またプレゼンメソッドに関するセミナーなどで「エバンジェリスト」という名を普及させています。

また「エバンジェリストマーケティング」として、自社のメンバー以外で自社製品についてSNS等で広く発信してくれる人を、エバンジェリストとして「公認」する制度も広がっています。

【参考】西脇資哲 著者ページ/ダイヤモンド・オンライン

営業や広報との違い

エバンジェリストは、企業に属して製品の啓蒙活動を行うという立ち位置から、しばしば「営業」や「広報」と混同される事があります。

しかし、エバンジェリストは当然自社製品についての啓蒙活動も行いますが、基本的な立ち位置としては常に中立で、顧客(ユーザー)の視点を持っているという点に違いがあります。

また、企業の中での体面にとらわれず、独立した立場にあるとされています。その上で、専門家として正しく、偏らない情報を提供します。必要であれば自社製品の短所についても説明したり、競合他社製品との組み合わせ等も提案する場合もあります。

エバンジェリストが注目される背景

この「エバンジェリスト」という職種が注目されるようになった背景には、昨今のIT技術の飛躍的な進化があります。

IT技術は高度で複雑なものになってきた上に、様々な企業から次々に新しい製品やサービスが開発されています。それにより、その全てを個人で理解し、自社に最適な物を判断する事が困難になってきました

そこで、その最新のITの技術情報を常に把握し、自社製品についても知り尽くした「エバンジェリスト」が求められているのです。

エバンジェリストの業務内容

エバンジェリストの活躍の場として、以下の場面が挙げられます。

イベントでのプレゼンテーション

自社の新製品発表会、IT関連のエンジニア等を集めたイベント、IT 技術者やシステム開発者などを集めた業界全体での会議など様々な場でプレゼンテーションを実施し、製品やサービスについて広く啓蒙します。

分かりやすい例では、世界的に有名な米アップル社の故スティーブ・ジョブズCEOによる「iPhone」のプレゼンテーションがあります。スティーブ・ジョブズCEOは、アップル社のエバンジェリストであったと言えるでしょう。

個別セミナー

主に、顧客企業の担当者に向けた個別のセミナーやレクチャーを実施。顧客目線で、課題を解決したり、効果的な活用法を提案します。

社内向けプレゼン

新製品が発売された時などに、社内の営業や広報、カスタマーサービスなど製品についての知識が必要なメンバーに向けて、「インナーマーケティング」を実施します。

製品についてのスペック的な事から、ブランドイメージなどについて幅広く周知することが目的です。

エバンジェリストの役割

それでは、エバンジェリストに求められる役割を詳しくご紹介します。

情報を正しく啓蒙する︎

先ほども触れたように、エバンジェリストとは「自社製品の特徴からITのトレンドや最新テクノロジーまで、分かりやすく広く伝える職種」を指します。

エバンジェリストは常に顧客目線に立ち、自身の持っている情報を正しく、そして偏りのないよう相手に伝える必要があります。自社製品やサービスについての情報はもちろん、IT環境についての最新の技術情報発信や、それを踏まえたプレゼンテーションを行います。

課題解決方法を提供する

エバンジェリストは、ただ情報を伝えるだけではありません。プロのエンジニアという視点でまず顧客の課題を見つけ出し、あるいはこの製品に興味のある顧客はどのような課題を抱えているのかを洗い出し、その解決方法を模索します。

この製品やサービスを利用し、どのようにその課題を解決するのかという新しいパラダイムを広めるのもエバンジェリストの仕事の一つです。

新しい価値を創造する

製品・サービスのスペックについての情報だけを提供するのではなく、その製品・サービスを利用する事によって実現できる「未来」を提示する事も重要です。

つまり、その製品にとってのスペックだけではない「新しい価値」を見い出し、正しく伝える事が求められます。

エバンジェリストに求められる資質

それでは、エバンジェリストにはどのような資質が求められるのでしょうか。

IT業界やシステム開発等の専門的な知識を有していること

まず、エバンジェリストにはIT業界やシステム開発等についての専門的な知識が必要です。また、常に最新のITテクノロジーについて理解しておく必要があるため、学び続ける意欲も重要になります。

エバンジェリストはエンジニア出身者が多いと言われており、近年ではエンジニアの将来の選択肢の一つともされています。

プロのプレゼンテーターであること

エバンジェリストの役割を達成するために最も重要な手段は「プレゼンテーション」です。 そしてプロのプレゼンターは、プレゼン成功のために徹底して準備を行います。

年間200件以上のプレゼンテーションをこなし、日本を代表するエバンジェリストである西脇資哲氏でも、1時間のプレゼンテーションに対し、資料作りに1日〜1週間かけるケースもあるのだとか。そして資料が完成すれば、何度もプレゼンテーションの練習を繰り返しているそうです。

エバンジェリストには、知識だけではなく地道な努力も必要なのです。

製品の︎熱心なユーザーであること

最後に、まずは自分自身が自社製品の「熱心なユーザーである事」が必要です。西脇氏をはじめ、世界で活躍するエバンジェリストは自腹で製品を購入し、とことん使い込んで消費者目線での利点や短所を研究する努力を怠りません。

これにより、顧客目線の獲得と、製品への愛着、そして自身の知識への自信が生まれます。

【参考】ITエンジニアの新たなキャリア、『エバンジェリスト』という生き方/Career Supli

エバンジェリストを活用している企業事例

それでは、エバンジェリストに関する企業事例についてご紹介します。

日本ユニシス株式会社

クラウドサービスやシステム開発を行う日本ユニシス株式会社では、自社の最前線で活躍しているエンジニアを「エバンジェリスト」として育成する取り組みを進めています。これにより、自社の技術力を啓蒙するだけではなく、今まで裏方であった「エンジニア」への注目を集め、モチベーションをアップさせるという相乗効果も期待しています。

具体的には「先端領域に精通しており、技術や知識も持っている事」「技術の特徴を分かりやすく伝えるスキルがある事」「情報の発進力を持っている事」、この3つを兼ね備えた若手や中堅社員を選抜し、社内外でのプレゼンテーションなどの活動を行っています。

【参考】最前線で活躍するエンジニアをエバンジェリストとして育成し、先進技術の魅力や可能性を社内外に訴求/日本ユニシス

日本ヒューレット・パッカード株式会社

日本ヒューレット・パッカード株式会社では、新入社員に向けた「人財育成プログラム」として「エバンジェリスト・プログラム」が運用されています。自社の技術の「顔」となるエバンジェリストを養成するため、自社の最先端のテクノロジーをプレゼンテーションできるエバンジェリストの育成に力を入れています。

プログラムでは、プレゼン手法や資料作成のためのキャッチコピーのトレーニング、課題解決のスキルなどについて学ぶとともに、エバンジェリスト自身を輝かせるための服装や自身のイメージ作り、色選びなどについても習得します。

【参考】エバンジェリスト・プログラム/日本ヒューレット・パッカード

サイボウズ株式会社

グループウェア「サイボウズOffice10」等のソフトウェア開発を行うサイボウズ株式会社では、「エバンジェリストマーケティング」の取り組みを進めています。

これは、自社のエバンジェリストではなく、社外において製品・サービス等について周囲に熱心に広める個人を「エバンジェリスト」として認定し、そのエバンジェリストを企業側も支援するという取り組みです。近年ではIT企業を中心に、各地で「認定エバンジェリスト」を選定し、製品やサービスについて積極的に広める活動が盛んになっています。

同社ではビジネスアプリ作成クラウド「kintone」について、自社の社員以外で広く周囲に勧め、広めようとする個人について「kintoneエバンジェリスト」を任命しています。

2014年4月の発足以降、これまで30名以上が認定されており、主な活動としては、自身のSNS等でkintoneについてのカスタマイズやプラグイン、連携についての情報を配信することです。その他にも、サイボウズ主催のイベントに登壇したり、kintoneのユーザーコミュニティサイトに参加するといった活動の場も。サイボウズ側は、エバンジェリストがkintoneについての最新のコアな情報を知る機会を提供しています。

【参考】全国各地で活躍するkintoneエバンジェリスト/kintone hive online

エバンジェリストについて学ぶ方法

まだ情報の少ないエバンジェリストですが、それについて学ぶ機会や書籍についてご紹介します。

セミナー

出版社「翔泳社」の主催で、「新エバンジェリスト養成講座」が開催されています。

日本マイクロソフト株式会社のエバンジェリストである西脇資哲氏が、視点誘導・資料作成・話術やプレゼンテーションについて語るセミナー。対象は主にIT関連の営業マン、プレゼンテーションを行うエンジニア、コンサルタント等とされています。現在までに延べ3万人が受講しています。

【参考】新エバンジェリスト養成講座/企業のIT、経営、ビジネスをつなぐ情報サイト EnterpriseZine

書籍

次に、書籍をご紹介します。

新エバンジェリスト養成講座

翔泳社より出版されている「新エバンジェリスト養成講座」は、先ほどご紹介したセミナーと同じ西脇資哲氏の書籍。大人数を対象としたプレゼンテーション手法や、資料作成、話術、プレゼンテーションのテクニックなどについて記載されています。エバンジェリストのみならず、企画提案や営業などの現場でも活用できるスキルが満載です。

【参考】新エバンジェリスト養成講座(西脇資哲)/翔泳社の本

エバンジェリストの仕事術

日本実業出版社より出版されている「エバンジェリストの仕事術」も、西脇資哲氏が著者です。エバンジェリストについての仕事の全貌、プレゼンテーションやデモンストレーションのテクニック、資料やスライドの作成方法などを解説した書籍です。

【参考】エバンジェリストの仕事術/日本実業出版社

まとめ

  • エバンジェリストは、ただ情報を伝えるのではなく、その製品やサービスを使った先にある課題解決方法や新しい価値も提供する
  • エバンジェリストには、まずエンジニアとしての幅広い知識や技術、プレゼンテーション能力、そして何より製品やサービスの熱心なファンである事が求められる
  • 近年では、自社のみならず社外において自社製品を啓蒙する個人を「認定エバンジェリスト」として選定する動きも始まっている

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