はじめての方はご登録ください(無料)会員登録
search

2018年8月27日(月)更新

集団凝集性

集団凝集性とは社会心理学用語や経営学用語の一つであり、集団構成員を集団内に留まらせるために働く力の総量を示す科学的概念です。強い組織やチームに欠かすことのできない集団凝集性を高め、効果的に活用するために必要なノウハウを分かりやすくまとめて解説致します。

集団凝集性 に関するビジネス事例や製品の情報を受取る

集団凝集性とは

集団凝集性とは集団の持つ様々な要素を活用することによって構成員を引き付け、集団の一員として長期に渡り活躍してもらうための動機付けを行う力であり、一般的に集団凝集性の高い集団は『まとまりの良い集団』と評されます。

英語でGroup cohesivenessと呼ばれている集団凝集性ですが、構成員となる個人がその集団に属することで得られるメリットや魅力の度合い(程度)と考えると分かりやすいでしょう。

集団凝集性の定義

アメリカの心理学者であるレオン・フェスティンガー、スタンレー・シャクター、クルツ・バックの三名は、集団凝集性について『成員(構成メンバー)が集団にとどまるように作用する心理的力の総量』と定義しています。

集団とは『目的と目標を共有し、協力し合う複数名の集合体』ですが、集団凝集性はその集団作りや集団崩壊予防に欠かせない重要な要素と考えられているのです。

集団凝集性と組織コミットメント

集団凝集性と関連性が高く、集団と構成員の結び付けという共通点を持つ言葉に組織コミットメント(Organizational Commitment)があります。

しかし、集団凝集性が集団側の意思によって関係性を維持するために行われる心理的アプローチであることに対し、組織コミットメントは従業員(組織成員)などの構成員側が組織や集団に対して愛社精神や忠誠心といった感情を抱くことによって縮まる心理的距離を表す概念であるなど、その意味は大きく異なっています。

集団凝集性のメリットや特徴

組織や部門(部署)、グループ、プロジェクトチームが集団凝集性を高めることによって得られるメリットや、集団凝集性が十分に高められた集団に見られる特長には、次のようなものがあります。

  • 構成員の団結力や協調性が高まる
  • 大きな目標を達成しやすくなる
  • 知識や技術、スキルの種類や総量が増加する
  • 目標や課題などの情報共有が容易になる
  • 検討内容の正当性や受容可能性が高まる
  • 相互作用によりパフォーマンスを最大化できる
  • 集団規範の影響が強まる
  • 社会的アイデンティティが得られる
  • モチベーションを維持しやすい
  • 心理的ストレスが生まれにくい環境が構築される
  • 組織や会社に対する帰属意識や満足感、安心感が高まる
  • 組織コミットメントやエンゲージメントが高まる
  • 入社希望者が増加する
  • 平均勤続年数が増加する(短期離職者や離職率が減少する)

メリットが拡大し続ける

集団凝集性が生み出すメリットは、人間関係へ影響するものと集団環境に影響するものに大別できますが、全ての効果は互いにプラス効果を与え合うものばかりとなっているため、一度生まれたメリットは相乗効果により際限なく拡大し続けていくことになります。

そのため、集団凝集性を高めることに成功した集団は、目標達成に全意識を集中させることができるのです。

安定性の高い集団を構築できる

集団凝集性を高めることができた集団は、比較的短期間でもたらされる効果と中長期にかけて恩恵を受ける効果を得ることができます。そしてこれらの効果を魅力的に感じて集団へと引き付けられた人材は、短期効果によって構成員として集団へ留まることを決意し、中長期効果によって自分の決断が間違っていなかったことを確信するのです。

経営者や人事担当者が戦略的かつ意識的に集団凝集性を高めることで、人材(社員、メンバー)の入れ替わりの少ない安定した集団を構築することができるでしょう。

強い集団へと成長できる

人は同じ時間を共有するほど相互理解を深め、更なる連携を行うことができる生き物です。そのため、入れ替わりの少ない集団の構成員は卓越したチームワークを身に付けることでより高いハードルを越えられるようになります。

安定性とパフォーマンスを両立させることによって、集団は更に強さを増していくでしょう。

集団凝集性のデメリットや注意点

高めることで多くのメリットを得られる集団凝集性ですが、その特性を正しく理解しておかなければ思わぬトラブルや損失へと発展してしまうことがあります。

構成員の心理状況や組織としてのあり方、リーダーシップなど、集団凝集性に大きな影響を及ぼす組織行動学や組織行動論についての理解を深めることで、リスク回避を行いましょう。

集団規範意識が低い状態では作業効率が低下する恐れがある

集団が生み出す力は個々が生み出すものに比べて強固で大きなものとなります。そのため、集団凝集性を高めるだけで、無条件に全ての作業効率が向上するという勘違いをしてしまっている方も見受けられます。しかし、集団規範意識の低い集団の場合、集団凝集性が高まることによって逆に作業効率を低下させてしまうこともあるため、注意しなくてはなりません。

集団規範とは集団内で共有して扱われている価値判断の基準や思考様式であり、社訓や規則といった明文化されたものや慣例などの不文律などがあります。この集団規範により作業の核(コア)となる部分がしっかりと整理されている集団は作業効率を最大化させることができますが、集団規範が存在せず、存在していたとしても、徹底して扱われていない集団では集団凝集性が馴れ合い感情を生み出してしまうことによって、作業効率を大きく低下させてしまうのです。

経営者や人事担当者が意識的に集団凝集性を高める際には、集団規範意識も十分に高めるよう心がけましょう。

集団浅慮(グループシンク)

集団浅慮とは会議など集団で意思決定を行う場において物事を決定しなければいけないということに意識が集中し過ぎた結果、考えうる限りの最善策ではなく悪手を選択してしまう心理状況のことであり、アメリカの心理学者アーヴィング・ジャニス(Irving Janis)氏によって提唱されました。

一人で検討する場合であれば絶対に採用することのない不合理で危険な選択肢であっても、集団内で生まれる様々な心理的圧力(プレッシャー)により否定的な意見や評価を押し殺してしまうことで、反対意見や改善策があがることなく通過してしまうことがあります。 以下のものが集団浅慮に陥りやすくする要因であるといわれています。

時間的圧力

時間的圧力は会議の参加者から分析力と判断力を奪います。そのため、短時間で行われる会議では決定することにばかり意識が向き、集団浅慮に陥りやすくなってしまいます。

先駆者や専門家、経験者の存在

自分自身よりも知識や経験が豊富な参加者が同席している場合、自分の発言内容に対する自信が弱まり、発言しにくい心理状態に陥ってしまいます。また、経験豊富な参加者の意見こそが最善だろうという決め付けや思い込みも、集団浅慮に陥る原因となってしまいます。

利害関係

会議で扱われるテーマが自身に大きな影響を及ぼすものであった場合、自分にとって有利となる結果を導くために最善策から意図的に目を逸らしてしまう場合があります。逆に、自己利益を追求していると誤解されないようにするため、あえて最善策を回避する選択肢を選ぶこともあるでしょう。

【関連】グループシンク(集団浅慮)とは?ジャニスが提唱する8つの症状や対策方法もご紹介 / BizHint HR

同調圧力(仲間集団圧力)

同調圧力とは企業組織や職場、プロジェクトチームなどの特定の集団内で意思決定を行う際、マジョリティ(多数者、多数派)がマイノリティ(社会的少数者、社会的少数集団、少数派)に対して同調を迫るためにかける圧力です。『和を乱すな』、『空気を読め』などのように露骨に指摘することもあれば、『無言の圧力』や『暗黙の了解』などのように暗に訴えかけることもあります。

日本人は和を重んじる国民性のため、同調圧力によって集団判断を誤ることが多いといわれています。

柔軟性や独創性の低下

集団の団結力が強めることは大切なことですが、外部情報や外部の意見を遮断してしまうようなことがあってはいけません。隔離された環境により多様性が失われた集団は、単一的な発想やステレオタイプ(先入観、決め付け、思い込み、固定観念)な考え方に偏りがちとなり、環境変化や不測の事態に柔軟に対応することが困難となってしまいます。

また、安定を求めすぎるあまりに独創性が低下した集団からは、イノベーションと呼ばれる革新的なアイディアやサービス、商品が生まれにくくなってしまうでしょう。

集団凝集性の影響要因

集団凝集性には、対人的凝集性と課題達成的凝集性が存在します。

  • 対人的凝集性…集団内においてメンバー同士が好意的な繋がりを持つことで生じる魅力
  • 課題達成的凝集性…権利や特典、自己実現の達成など個人が集団に所属することによって得られる魅力

集団凝集性を意識的に高めるためには、人と集団の両面から影響要因に対してアプローチを行わなければなりません。

時間の共有

従業員間のエンゲージメントが共有した時間の長さと比例して高まることは経験則として広く認知されており、ビジネスシーンでは新入社員研修やグループワークなどの形で積極的に活用されています。育成初期段階において高められたエンゲージメントは就業意欲の向上や早期離職防止という効果を生み出し、集団の持つ集団凝集性を高めてくれます。

集団凝集性が高まることによって人材の入れ替わりが最少化され、入れ替わりの少ない集団内で長い時間を共有することにより集団凝集性が更に高められる。時間の共有は最もシンプルでありながら好循環サイクルのコアとなる重要な影響要因であるといえるでしょう。

集団参加の困難度

集団への参加条件の困難度は集団凝集性の高まりに大きな影響を及ぼします。

グローバルに活躍している企業やネームバリューの強い有名企業、特殊なスキルや人並み外れた発想力を持つ人材のみが採用される革新的企業など、入社するだけで役割や社会的地位を得られる企業への雇用によって得られるプレミアム感や優越感は、構成員を集団内にとどめる力として高い効果を発揮するでしょう。

集団の規模

集団の規模が小規模であるほど集団凝集性は高まりやすく、大規模になるほど高まりにくい傾向があります。しかし、大規模集団でしか実現させることのできない壮大な目標や達成感といった、課題達成的凝集性からのアプローチを行うことにより、小規模集団にも負けることの無い高い集団凝縮性を得ることが可能となるのです。

構成員の性別

一般的に女性の方が男性よりも集団凝集性を高めやすいといわれていますが、同姓のみの集団では単一的な発想に陥りやすくなるため、集団凝集性を高める際に性別は重視するべきではないと考える学者も多くいます。

実際には性別そのものではなく、個々の性格や価値観が集団凝集性の高まりに影響を及ぼすため、影響要因としての性別は意識的ではなく補足程度に扱う方が良いでしょう。

外的脅威

外的脅威とはライバルの存在や集団の存亡に関わるような危機的状況のことです。この外的脅威が大きければ大きいほど、集団構成員の団結力や集団凝集性は高まります。

しかし、あまりにも大き過ぎる脅威は自信喪失や絶望、自暴自棄などのマイナス感情を引き起こすリスクを含んでいいます。経営者や人事担当者、責任者など集団を管理する側が意識的に外的脅威を発生させる場合には、集団や構成員の現状を正確に把握した上で適切に設定する必要があるでしょう。

成功体験

一致団結することで困難課題を達成した成功体験は、より困難な課題を達成するための自信やチームワークを生み出します。集団の強さに見合った難易度の課題を設定することにより、一定の大きさの外的脅威を与え続けることで、構成員たちは適度な緊張感とモチベーションを保ち続けることが可能となります。

共通の課題や目標を達成する過程で生み出される信頼関係や相互理解と自己実現を達成できる組織への成長。成功体験を上手く活用することにより、対人的凝集性と課題達成的凝集性の両方にアプローチすることが可能となるでしょう。

集団凝集性の尺度

集団凝集性の尺度にはカナダのキャロン博士らによって作成された集団環境アンケート(Group Environmental Questionnaire:GEQ)が多く用いられています。

このGEQは『個人的に感じる集団の魅力-社会凝集力(ATG-S)』、『個人的に感じる集団の魅力-課題凝集力(ATG-T)』、『集団の統合-社会凝集力(GI-S)』、『集団の統合-課題凝集力(GI-T)』という4因子で構成されており、日本人研究者によって翻訳も行われています。

まとめ

  • 集団凝集性は集団に人材を引き寄せ、とどまるように作用する心理的効果の総量である
  • 集団凝集性は優れた集団を構築し、維持するために必要不可欠である
  • 集団凝集性によって引き付けられた人材の持つ魅力を新たな対人的凝集性として活用することにより、相乗効果的に集団凝集性を高め続けることができる
  • 集団凝集性は数多くのメリットを生み出してくれるが、その特性を正しく理解しないまま扱ってしまうと思わぬ損失を発生させてしまうこともある
  • 集団凝集性は対人的凝集性と課題達成的凝集性から構成されており、人材と集団の両方に適切なアプローチを実施することにより効果的に高めることができる

注目のビジネス事例トピックを、逃さずチェック。

大手やベンチャー含め計60,000人以上の会員が利用しています。

BizHint の会員になるとできること

  • 厳選されたビジネス事例が毎日届く
  • BizHint 限定公開の記事を読める
  • 実務に役立つイベントに申し込める
  • アプリで効率的に情報収集できる
いますぐ無料会員登録

この記事の関連キーワード

フォローボタンをクリックすると、キーワードをフォローすることができます。

キーワードについて

チーム・組織開発の記事を読む

ビジネス事例や製品の情報を受取る

フォローしたキーワードの最新トピックをトップページに表示します。 フォローはでいつでも変更することができます。
フォローを管理する

目次