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2018年9月18日(火)更新

ティール組織

ティール組織とは『セルフマネジメント(自主経営)』や『ホールネス(全体性)』、『組織の存在目的』など、従来のものとは大きく異なる独自の組織構造や慣例、文化を持つ次世代型組織モデルです。当記事ではティール組織への理解を正しく深めるため、組織モデルや意識の発達段階(パラダイム)の種類、ティール組織実現のための3つのブレークスルー(突破口)、ティール組織に関する誤解と事実といった項目に整理して、分かりやすく解説いたします。

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ティール組織とは?

ティール組織とは、従来の組織とは大きく異なる組織構造や慣例、文化を持つ新たな組織モデルです。

組織内における階層的な上下関係や細かな規則(ルール)、定期的なミーティング、売上目標や予算の設定など、多くの組織で当然のように扱われている組織構造や慣例、文化の多くを撤廃し、意思決定に関する権限や責任のほぼ全てを経営者や管理者から個々の従業員に譲渡することによって、組織や人材に革新的変化を起こすことができる《次世代型組織モデル》として、世界中から期待が寄せられています。

ティール組織の提唱者

ティール組織という言葉の提唱者は、エグゼクティブ・アドバイザーやコーチ、ファシリテーターとして世界各国で活動を行っているフレデリック・ラルー(Frederic Laloux)氏です。

フレデリック・ラルー氏が2014年2月に著書『Reinventing Organizations: A Guide to Creating Organizations Inspired by the Next Stage of Human Consciousness』の中で、ティール組織と呼ぶことができる新たな組織モデルをすでに構築している12の組織が生み出した驚くべき成果の数々を紹介したことがきっかけとなり、世界中から多くの注目を集めるようになりました。

なお、当記事は『Reinventing Organizations: A Guide to Creating Organizations Inspired by the Next Stage of Human Consciousness』の日本語版である『ティール組織:マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』を主な情報源として執筆しています。

組織モデルや意識の発達段階(パラダイム)の種類と変化

フレデリック・ラルー氏は、アメリカの現代思想家であるケン・ウィルバー氏がインテグラル理論の中で様々な段階を色で分別したように、組織モデルや意識の発達段階を色で分別しました。

人は多くの場合、それまでの認識や価値観を大きく覆すような革命的変化に出会うことでパラダイムシフトを起こし、意識の発達段階を次のステージへと進めます。
そして、経営者やトップマネジメント層の意識の発達段階が進化することにより、組織も更なる進化を遂げることができます。

組織モデルの進化の過程を正しく理解するため、各色における組織モデルと人間の思考パターンを合わせて紹介致します。

レッド(衝動型)組織

今から約一万年前、最古の組織モデルとして生まれたのがこの《レッド組織》です。
現代においてもギャングやマフィア、一部のスラム街などで、このレッド組織を確認することができます。

レッドの思考パターンは非常にシンプルで、『自分が全ての自己中心的思考』となっています。
そのため、この発達段階にいる人間は自分以外の全ての存在を脅威と捉え、その脅威を取り除くために力による支配を選びます。

レッド組織のリーダーは、常にメンバーに対して高圧的な態度を取り、恐怖を与え、服従させることによって、組織の崩壊を防ぎます。
一方、力による支配に失敗した人間は、自分よりも強いリーダーに従い、依存することで、自身にとって安全な環境を確保しようとします。

レッドの思考パターンにおいて最も重要なのは『今』であるため、戦略性は低く短期的行動が多く見られます。
戦略を組むとしても数日あるいは数週間が限界で、それ以上長期的な視野に立って取り組むことは難しいとされています。

アンバー(順応型)組織

権力や階級(役職)、官僚制、制度、秩序、統制などの概念を組織モデルに組み込むことによって生まれたのが《アンバー組織》です。
大半の政府機関や公立学校、宗教団体、軍隊がこのアンバー組織に該当します。

意識の発達段階がレッドからアンバーに進化することで、興味や思いやりの対象は個人から集団へと拡大しました。
しかし、組織外までその対象が広がることはないため、組織外部の人間に対して強い敵対意識を抱くことがあります。

アンバー組織のリーダーは、家父長的な権威主義として組織の中に存在します。
また、承認欲求が芽生えたメンバーたちは、集団からはじき出されないようにするため、組織の設けた基準やルールを守り、秩序ある行動を取るように心掛けます。

また、世紀をまたぐほどの長期戦略を立てられるようになったことも大きな変化といえます。
ただし、この長期戦略は世界が不変であることを大前提としたものであるため、世の中の大きな変化に対して柔軟に対応することはできません。

オレンジ(達成型)組織

社会的な成功を最終目標に掲げ、プロセスやプロジェクト、研究開発、マーケティング、製品管理などの概念を組織モデルに組み込むことによって生まれたのが《オレンジ組織》です。
オレンジ組織は、グローバル企業など世界的視野を持つリーダーが率いる企業に数多く見られます。

意識がオレンジの発達段階に達することにより、興味や思いやりの対象は世界にまで拡大しました。
そしてその結果、組織や自身が社会的成功を収めるためにどのような行動を取るべきかを考え、実行に移せるようになりました。

オレンジ組織のリーダーは経営を工学的な視点から眺め、組織目標の達成と株主の利益を何よりも重視します。
そのため、将来ビジョンの実現に向けてあらゆる可能性を否定することなく向き合える柔軟性を持つ一方で、人材を『組織という名の機械を最も効率よく動かすために、綿密な計画を練って配置するパーツ(経営資源)』として捉えるなど、個々の従業員の想いや組織内の人間関係を軽視してしまう一面もあります。

組織を取り巻く周辺環境が時代とともに変化し続けていることを正しく理解しているオレンジ組織は、特定の課題に対する成功パターンがすでに組織内に存在している状態であっても、より効果的な方法がないかを必ず検討します。
失敗やリスクを恐れずに挑戦し続けるからこそ、消費者やユーザーに感動や衝撃を与えるイノベーションを生み出すことができるのです。

グリーン(多元型)組織

オレンジ組織のような実力主義に基づくピラミッド型の階層構造に、ダイバーシティ(多様性)インクルージョンステークホルダーマネジメントなどの概念を加えたものが《グリーン組織》です。
書籍『ティール組織』ではグリーン組織の一例として、格安航空会社のサウスウエスト航空やアイスクリームブランドのベン&ジェリーズなど、独自の文化を重視している企業があげられています。

意識がグリーンの発達段階に達すると、人生には成功や失敗以上に重要なものがあると考えるようになります。
そして、性別や人種、宗教、思想などに対するあらゆる制限を撤廃し、全ての人間が平等に機会を得られるように努めます。

グリーン組織のリーダーは、従業員や社員のことを家族のように大切に扱い、互いに支え合うことが自然な姿であると考えます。
そのため、オレンジ組織でよく見られる牽引型のリーダーシップではではなく、縁の下の力持ちとして従業員や社員をサポートするサーバント・リーダーシップを発揮するよう心掛けます。

意思決定に関する多くの権限を全従業員に分け与え、あらゆることをコンセンサス(合意)によって決めようとするグリーン組織のやり方は、多くのビジネスマンにとって理想的であるといえます。
しかし、関係者全員の合意を得ている間に貴重なビジネスチャンスを失う危険性が高まったり、オレンジ以前の発達段階に属する人材から理解や協力を得られにくいなど、健全な組織運営を行う上でいくつかの問題点も存在します。

ティール(進化型)組織

集団的知性を心から信頼し、個々のメンバーが自己実現を目指す過程で生み出される大きな力を、組織が社会的使命を果たすための原動力として活用しようという考えから生み出されたのが、《ティール組織》です。
ティール組織では従来の組織構造や慣例、文化の多くを撤廃し、『セルフマネジメント(自主経営)』、『ホールネス(全体性)』、『組織の存在目的』という3つのポイントを重視することによって組織や人間の持つ未知なる可能性に挑戦しています。

ティール組織には管理者(マネジャー)やリーダーなどの役職が存在せず、上司や部下といった概念もありません。
また、組織構成員のことを労働者や従業員と表現するのではなく、メンバーや同僚と表現します。
全メンバーに対して平等に権限と責任が与えられるティール組織では、たとえ創設者が相手であったとしても対等な立場で向き合い、話し合いながら共に自己成長や組織の成長を目指すことができます。

メンバーたちは組織に与えられた社会的使命を常に意識しながら、『自分にできる最善の行動は何か』や『それは本当に自分がしたいことなのか』といったことを考えます。
そして、やるべきこととやりたいことが一致した時、その仕事に対して責任を持って全力で向き合います。

ティール組織では全ての決議にコンセンサス(合意)を求めることはしません。
なぜなら、コンセンサスを得ることが目的ではなく目の前の課題を解決させることが本当の目的だとメンバー全員が正しく理解しているからです。
これにより、ティール組織におけるミーティングは驚くほど短時間で終了することができます。

これだけ多くの自由が認められているティール組織ですが、出世競争や派閥争いの原因となるヒエラルキーが存在せず、権限と責任がセットになっているため、オレンジ以前の発達段階に属するメンバーによる暴走や権利の乱用といった問題はほとんど発生しません。
それどころか、共に働くメンバーの思考や行動がパラダイムシフトを起こすきっかけとなることで、更なる意識の進化を期待することができるのです。

ティール組織のメタファー

オレンジ組織の経営者たちが組織を機械に例え、グリーン組織の経営者たちが組織を家族に例えたように、ティール組織の経営者たちは組織のことを生命体や生物に例えています。

命を宿した組織は創業者の想いを正しく理解し、社会的使命を果たすために何をするべきかについて自ら考えるようになります。
また、必要に応じて柔軟に方向性やプロセスを切り替えるなど、時代や環境の変化に対応するため進化し続けることができます。

ティール組織実現のための3つのブレークスルー(突破口)

フレデリック・ラルー氏は12のパイオニア組織に対する調査を通じて、『セルフマネジメント(自主経営)』、『ホールネス(全体性)』、『組織の存在目的』という3つの共通点が存在することを発見しました。

フレデリック・ラルー氏は著書の中で、この3つの共通点を従来の組織がティール組織へと進化を遂げるためのブレークスルー(突破口)と表現しています。
この3つのブレークスルーを概念的に理解することで、自組織をティール組織へと進化させるための数多くのヒントを得ることができるでしょう。

セルフマネジメント(自主経営)

ティール組織におけるセルフマネジメント(自主経営)とは、意思決定に関する権限と責任を全メンバーに対して与え、個々のメンバーが第三者からの指示を仰ぐことなく、自ら目標設定や動機付けを行うことによって生まれる力を、組織運営に活用することです。

セルフマネジメントに力を入れて取り組んでいる組織では、従来の組織において部門化されていた人事、経理、営業、企画、品質管理などのあらゆる業務の執行や決断を個人やチームに任せています。

誤解されることが少なくありませんが、これらは単なる権限の委譲や組織構造の撤廃ではありません。
なぜなら、ティールという意識の発達段階において権限は意図的に委譲するような要素ではなく、全メンバーが等しく持っていることが自然な状態であるからです。

また、ティール組織には固定化された役職や部署、規律などの代わりに、その時の状況に合わせて流動的に生まれる担当や階層、チーム、ルールが数多く存在します。
ティール組織のメンバーたちは、活動を円滑にすすめるための道具としてこれらを生み出し、適切に活用しているのです。

セルフマネジメントに移行するためのポイント

セルフマネジメントを行うことで、メンバーたちは手続きや確認作業といった余計な時間を奪われることなく、多くの時間を有意義に使えるようになります。
また、人事や経理、営業などのあらゆる業務を個人やチームが担当することによって、自分たちの仕事が組織や他チームに与える影響や関係性を理解し、会社経営者と同じような視点で自分たちの仕事内容や実施方法を評価できるようになります。

このように多くの刺激と変化を与えてくれるセルフマネジメントですが、従来の組織形態で活動している企業や会社がセルフマネジメントに移行することは、決して容易なことではありません。
じっくりと時間をかけながら以下の点に取り組むことによって、メンバーたちは相互理解と相互信頼を深め、次第に自発的かつ自律的なセルフマネジメントを実施できるようになるでしょう。

  • セルフマネジメントは仕事に対する誇りとやりがいをメンバーに取り戻させてくれる施策であるということへの理解を深める
  • 互いの保有している知識や技術、得意分野、現在行っている仕事などの情報をリアルタイムで共有できる環境を構築する
  • 個人やチームで解決できない問題が発生した際、すぐに最適解を提示するのではなく自分たちの力で解決策を見つけ出せるようにサポートする
  • 従来のようなスタッフ機能を担う人材がどうしても必要になった場合には、役割を担う期間を設定し、メンバーたちの活動に対する影響力も最小限にとどめる

ホールネス(全体性)

ホールネス(全体性)とは、組織内の心理的安全性を高め、全てのメンバーが自分の個性や長所を全面に出して活動できる環境を整えることによって、集団的知性が生み出す力を最大化させることができるという考え方です。
ありのままの自分で居られる環境の構築を目的として、オフィス内の備品選びや飾り付けをチームメンバーに任せている組織や、一定のルールのもとにペットや子供と一緒に働くことを許可している組織も存在します。

ホールネスを実現させるためのポイント

ホールネスを実現させるためには、人の持つ大きな力に対する組織側の理解が欠かせません。
人は本質的に善良であり、数多くの可能性を秘めていることを組織が認め、心から信じた上で以下の点に取り組むことによって、ホールネスが生み出す大きな力を組織のために活用することができるでしょう。

  • 組織の目的や価値観、基本ルールなどを確認し、共有するきっかけとなるような機会を設ける
  • 全てのメンバーは互いの活動を支援し合うサポーターのような存在であり、批判者でも監督官でもないことを正しく理解してもらう
  • 傾聴力や伝える力、NVC(非暴力コミュニケーション)、コーチングなどのスキルを身につけられる研修を実施する
  • 心理的駆け引きを行うことなく素直な思いを発言することが許される、心理的安全性を確保する
  • 仕事や人間関係、日常生活について不安を感じている個人やチームに対して、組織として寄り添う

組織の存在目的

生命体や生物のように生きているティール組織は、日々新たな目的を求めながら進化し続けています。
そのため、従来の組織のように存在目的や将来ビジョンを固定化して脇目も振らずその方向に向かって突き進むのではなく、組織の声にしっかりと耳を傾け、組織の存在目的が変化していないかを常に意識しておかなければなりません。

「組織が成し遂げたいことはなにか」、「組織はどのような速度で成長したいのか」、「組織はメンバーにどのような活動を求めているのか」など、組織から感じ取らなければならない想いは多岐に渡ります。
このような数々の問いに対して常日頃から意識を向けることができるよう、ミーティングの際に参加メンバーのものとは別に『組織』用の椅子を用意し、組織目線でミーティングに参加したい時には誰でもその席に自由に座れるように工夫している組織も存在します。

組織の存在目的を活動内容に反映させるためのポイント

多くの組織において人材は、経営者や管理者の設定した予算内で与えられたノルマを達成することだけに意識と時間を集中させています。
このような状況では、組織の存在目的を活動内容に反映させることはおろか、組織の想いが日々変化していることに気付くことさえままなりません。
どれだけ素晴らしいミッション・ステートメントを掲げていたとしても、それが形だけのものとなり、組織や人材の活力に変換されていないのであれば何の意味もないのです。

日々変化し続ける組織の想いを正しく把握し、活動内容に反映していくためには、精神的余裕や感受性、協調性、柔軟性など数多くの要素が必要となります。
以下の点に取り組むことによって、組織や人材の持つ力や可能性を最大化し、組織の存在目的を活動内容に反映させることが可能となるでしょう。

  • トップダウンによる目標設定や予算設定は、人の行動や判断を制限し、情熱や集中力を奪ってしまう恐れがあるため行ってはいけない
  • 自社の存在目的を達成させるために協力的なのであれば、たとえ競合他社であっても味方であり仲間であるということを理解する
  • 利益とは組織の存在目的を達成する過程で自然に発生する副産物であり、利益を生み出すために仕事内容を変化させるべきではないことを理解する
  • セルフマネジメントに移行することで、全ての人が生まれながらに保有している感覚的センサー機能を開放する
  • 新規顧客の開拓や新規人材の雇用をはじめ、全ての意思決定は「組織が存在目的に寄与しているか」を基準にして行う
  • 組織の存在目的や将来の方向性について話し合い、自分たちの活動が組織や社会に対してどのような好影響を与えたのかを振り返る機会を定期的に設ける

ティール組織に関する誤解と事実

ティール組織はまだ生まれたばかりの新しい組織モデルです。
そのため、ティール組織には数多くの誤解が存在しています。

誤った先入観やイメージを持ったままではティール組織を実現させることはできません。
正しい認識を持つことによって、ティール組織という組織モデルが多くの可能性を秘めていることを本質的に理解することができるでしょう。

事実1:ティール組織は業種や規模を問わず実現させることができる

ティール組織に関して最も多い誤解が「小規模かつ一部の業種にしか適用できないのではないか」というものです。
提唱者であるフレデリック・ラルー氏自身も、ティール組織への調査を行うまでは「サービス業が中心なのではないか」という予測を立てていました。

しかし実際に調査を行ってみると、医療や教育などのサービス業に限らず、小売業や金属メーカー、エネルギー、食品加工など、多種多様な業種でティール組織が構築されていることが明らかとなりました。
また、調査対象となった各組織の従業員数が90人から4万人と幅広いものであったことから、業種だけでなく規模についてもティール組織を構築する上での問題にはならないことが判明しました。

事実2:ティール組織に明確なビジネスモデルは存在しない

書籍『ティール組織』の中で事例として取り上げられた12の組織はいずれも、調査の際にフレデリック・ラルー氏から他組織の話を聞くまで、互いの存在や組織モデルについて認識していませんでした。
これはつまり、予め用意されたビジネスモデルを自組織に当てはめたものではなく、個々の組織が自分たちなりに考えながら進めていった結果、似たような組織モデルに辿りついたということです。

今現在もなお、「ティール組織とはこうあるべきだ」という明確なビジネスモデルは確立されていません。
しかし、ティール組織として活動している全ての組織が、試行錯誤の末に『セルフマネジメント(自主経営)』、『ホールネス(全体性)』、『組織の存在目的』の3つのブレークスルーのうち1つ、または複数を自組織に取り入れていたという事実は、ティール組織構築を目指す上で大きなヒントとなります。

自組織が進化し続けるために何を必要としているのか考えることによって、導入するべきブレークスルーを適切に選択することが可能となるでしょう。

事実3:ティール組織は以前までの組織モデルを全否定するものではない

ティール組織はこれまでのマネジメントの常識を大きく覆す組織モデルですが、だからといってグリーン以前の組織モデルを全否定するものではありません。

ティール組織とは組織イメージを決定付ける組織構造や慣例、文化の多くがティールに属している組織を指す言葉であり、いずれのティール組織にもオレンジやグリーンの一面は残っています。
また同じように、どのような組織にもオレンジやグリーンの発達段階に属するメンバーは存在します。

ティールは非常に優れたものではありますが、全ての状況に対してベストな選択肢というわけではありません。
それぞれのカラーが持つ強さと弱さを理解し、適切に組み合わせることによって、柔軟性と力強さを兼ね備えた独自のティール組織を構築することが可能となるでしょう。

事実4:ティール組織=ホラクラシー型組織ではない

ホラクラシーとはヒエラルキーに相対する概念であり、Holacracy Constitution(ホラクラシー憲法)という形で公的に文書化された組織モデルです。
ホラクラシーがセルフマネジメントを実現させるための手法であることから、ティールとホラクラシーが完全に同一のものであると勘違いしている人が少なくありませんが、決して『ティール組織=ホラクラシー型組織』ではありません。

フレデリック・ラルー氏は著書の中でティール組織の組織構造を『パラレル構造』、『ウェブ構造』、『入れ子構造』という3つに大別し、この中の『入れ子構造』をホラクラシー的構造であると述べています。
このように、全てのティール組織がホラクラシー型組織なのではなく、ティール組織の組織構造の1つとしてホラクラシー的構造が存在していることを正しく理解しておきましょう。

事実5:組織はリーダーの意識の発達段階を超えて自ら進化することはできない

どれだけ現場の従業員たちが組織の存在目的を意識していても、利益を優先する実力主義の経営者や上司の下では言動に心理的制限がかけられてしまいます。
また、セルフマネジメントへ移行する意欲や覚悟を持っていたとしても、経営者が従業員を心から信頼し、自ら権力を手放そうとしない限り実現することはありません。

このように、組織はリーダーの意識の発達段階を超えて自ら進化することができません。
しかし、ティール組織への進化を心から願うリーダーが、組織やメンバーたちに進化のきっかけを与えることはできます。

ティール組織を実現させるためには、まずはリーダー自身がティールという意識の発達段階へ到達できるように意識改革を行う必要があるでしょう。

参考書籍

【出典】ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現/amazon.co.jp

当記事の主な情報源である『ティール組織:マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』には、ティール組織の構築と運営に関する数多くのエッセンスが詰まっています。

本書には従来の組織構造や慣例、文化の撤廃によって発生したトラブルや課題に対して、ティール組織のリーダーやメンバーたちが取った対応が丁寧にまとめられているため、良質な成功事例集として活用することもできるでしょう。

【書籍情報】
書籍名:ティール組織:マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現
原題:Reinventing Organizations: A Guide to Creating Organizations Inspired by the Next Stage of Human Consciousness
著者:Frederic Laloux
翻訳:鈴木立哉
解説:嘉村賢州
出版社:英治出版
発行年月:2018年1月

まとめ

  • ティール組織とは『セルフマネジメント(自主経営)』や『ホールネス(全体性)』、『組織の存在目的』など従来のものと大きく異なる独自の組織構造や慣例、文化を持つ次世代型組織モデルである
  • ティール組織では固定化された階層や役職、規則など健全に組織を運営する上で必要不可欠だと考えられていた多くのものが撤廃されている
  • ティール組織に至るまでの組織モデルや意識の発達段階の種類と変化を知ることによって、ティール組織をより正しく、より深く理解することができる
  • ティールという段階において、組織は生命体や生物のように自ら考え、進化するものだと考えられている
  • ティール組織に対する正しい認識を持ち、リーダー自身がティールという意識の発達段階へ達することによって、ティール組織の実現へと大きく近付くことができる

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