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2017年7月5日(水)更新

連結ピン

経済のグローバル化により意思決定の速さが求められ、従業員一人ひとりが当事者意識を持って、業務に取り組むことが求められるようになりました。組織内の意思疎通の活性化や生産性向上のためにも、重複小集団モデル型の組織経営を取り入れる企業が増えています。今回は重複小集団モデル型組織に必要不可欠な凍結ピンの役割をご紹介いたします。

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連結ピンとは?

連結ピンとは、企業や組織において、複数の人や組織をつなげ、相互のコミュニケーションを促進にする役割を指す人事用語の一つです。米国ミシガン大学の心理教授・ミシガン大学社会調査研究所長であるR.リッカート氏によって、定義づけられました。リーダーシップ論や組織行動を論じる際に度々使用され、上位マネジメント職(管理職)の重要な役割として位置づけられています。元々、電子部品の一つである連結ピンソケットや、足場の建枠やローリングタワー関連部材などの土木資材を連結させる部品の名称であり、人と組織を結びつける役目と似ていることから人事の関連用語として使用されています。

この連結ピンの役目を担う上位マネジメント職は2つ以上の組織や集団に属する重複小集団モデルによく見られます。取締役や執行役員の職につき、経営に関わる一方で、部長職を兼任し、現場の指揮やマネジメントを担当するマネジメント職が連結ピンといえます。日本企業の中でも大企業は、役職や等級制度が数多く存在し、企業内組織が多岐に渡っており、経営者と現場、部署間での意思疎通が取りにくい傾向があります。経済のグローバル化や新興企業の台頭により、現場から経営層、経営層から現場への意思疎通の速さがより求められるようになりました。そのため、人や組織をつなげる役割の人材の獲得や育成が急務となっています。

マネジメントにおいて必要不可欠な連結ピン

企業や組織で働く管理職にとって、R.リッカートが提唱する「連結ピン」としての役割が必要不可欠とされています。その主な理由として、「業績の高い組織に必要な存在」、「若い労働者の意識変化」が挙げられます。

業績の高い組織に必要な存在

R.リッカートが提唱する管理システム論では、高いパフォーマンスと業績を出す組織は管理者と部下との間に強い信頼関係が構築されているとしています。双方で十分なコミュニケーションを取り合い、意思決定においても組織全般で行なわれる集団的意思決定が導入されているのが特徴です。組織に属する労働者全員が積極的に目標や業務を遂行できるように、組織の潤滑油とも言える「連結ピン」の役割を持つリーダーが必要となります。

若い労働者の意識変化

しばしば表面化する長時間労働やハラスメントの問題は、昔ながらの独善的な管理システムが原因といわれています。部下の意見を取り上げない「アメとムチ」を使い分けるマネジメント、トップが全て意思決定を行なうトップダウン型経営では、生き残りが難しい時代となりました。これには労働者、特に若い世代の労働者の意識の変化が要因とされています。

厚生労働省が発表した「第2章 働く人の意識と就業行動」では、若い世代の離職理由として、「人間関係がよくない」という理由が「仕事が合わない」に次いで多い傾向にあります。この「人間関係が良くない」という理由は男女共に多く、組織内のコミュニケーション不足や不適切なマネジメントが原因と考えられています。また、仕事上の悩みにおいても「職場や人間関係(セクハラ・パワハラ等を含む)」を上げる女性が40%となっています。このように従業員のパフォーマンス低下を防ぐためにも、組織内のコミュニケーションを円滑にする連結ピンを担うマネジメントが必要とされています。

【参考】厚生労働省 第2章 働く人の意識と就業行動 求められる職場定着に向けた取り組みの強化

リッカートが提唱したシステム4理論とは?

リッカートが定義づける連結ピンを理解するには、リッカートが提唱する4つのシステムを理解する必要があります。

独善的専制型システム

独善的専制型システムとは、上司と部下との間に信頼関係が構築されておらず、「アメとムチ」を使ったマネジメントが特徴的なシステムです。部下の意見を汲み取ることはせず、経営層をはじめとした上層部が意思決定を行なうトップダウン方式のシステムです。管理者が一方的に部下を支配するため、相互のコミュニケーションや判断調整が活性化しないため、従業員の労働意欲の低下をもたらします。

マニュアルを使用する、機械的な作業を管理するには一定の効果がありますが、個人の創造性や能力を活かす場合は適切な管理ができないシステムでもあります。また、成果主義思考に偏りやすい特徴も持っています。

温情的専制型システム

温情的専制型システムとは、管理者が部下に対して、温情的に接することで主従関係を構築するシステムを指します。親子関係に似た人間関係を構築し、独善的専制型システムで採用されている「アメとムチ」の要素も兼ね備えているため、成果主義を理想とする組織管理に向いているとされています。人間関係を前提にした管理システムのため、一定の範囲内での意思決定や意見の汲み取りが成されます。

しかし、基本的には親子関係に似た上下関係、つまり部下を格下として捉える心情心理があるため、建前上のコミュニケーションが主体となります。その結果、上司・部下だけでなく、部門間の枠組み以外での意思疎通が難しく、部下のモチベーション低下の要因にもなり得ます。

参画協調型システム

参画協調型システムとは、管理者と部下との間に「尊敬」と「信頼」という相互関係が構築されており、双方向的なコミュニケーションが積極的に行なわれる組織に導入されているシステムです。部下の意見を尊重し、能力のある部下に対しては個別の職務や作業プロセスへの権限を委譲する特徴を持ちます。従業員一人ひとりの当事者意識を確立し、自発的に考え、行動する生産性の高い人材の育成にも役に立ちます。部下のモチベーションは個人の業績に対する賞与や参画(当事者意識)で維持されています。

しかし、組織経営に影響をもたらす重要な意思決定までは関わることができません。

民主主義型システム

民主主義型システムとは、強い人間関係と当事者意識を前提にしており、経営を含むさまざまな意思決定をメンバー全員が行なえる(集団参加)システムです。リーダーや管理者は部下に対して、強い信頼を寄せており、権限委譲も幅広く行なわれています。

民主主義型システムに属するリーダーは、部下に対して、「自分は組織に支持されている」という実感を持たせる支持的関係を築く能力が必要とされます。企業が掲げる理念や価値観を共有した組織運営を前提にしています。上司や部下だけでなく、同僚同士の間でもコミュニケーションが積極的に行なわれ、意見交換や業務改善が活発になる傾向があります。また、個人の能力を最大限に活かしやすく、ひとり一人が責任感を持つため、組織全体を活性化することができます。

しかし、組織全般で経営に影響を与える意思決定がなされるため、各組織(小集団)をつなぐ「連結ピン」としての機能が欠かせません。連結ピンの役割を果たす人材が各組織に在籍することで、組織間の相乗効果を生みやすく、経営組織の連携や経営と現場のバランスが保ちやすくなります。

まとめ

  • 日本社会において労働人口の減少が進んでいるため、若手社員の早期戦力化が課題とされています。そのためにも部下の意見を積極的に汲み取り、能力のある部下には幅広い権限を委譲する必要があります。
  • 柔軟性が高く、意思決定の速いプロ組織を作り上げるためにも「連結ピン」の存在は必要不可欠です。人事担当者としても「連結ピン」の能力を持つ人材育成は優先順位が高いものといえるでしょう。

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