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2018年8月14日(火)更新

チェンジ・マネジメント

「チェンジ・マネジメント」とは、ビジネスにおいて企業や組織が変革をするときに用いられるマネジメント手法です。変革と聞くとシステム・制度や体制の変革を思い浮かべがちですが、チェンジ・マネジメントでは心理的要素に着目をして変革を促進・定着させることを目的とします。本記事では、チェンジ・マネジメントの概要から心理的要素に着目した変革のステップを徹底解説していきます。

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チェンジ・マネジメント

「チェンジ・マネジメント」とは、ビジネスにおいて企業が組織や業務を変革しなければならないときに、より効率的に成功に導くためのマネジメント手法です。

1990年代始め、アメリカの長引く不況を打開するために、「BPR」ビジネスプロセス・リエンジニアリング(Business Process Re-engineering)という概念が生まれました。元マサチューセッツ工科大学教授のマイケル・ハマー博士と、経営コンサルタントのジェイムス・チャンピー氏の共著『リエンジニアリング革命』により、「BPR」は、従来の方法論にとらわれない抜本的な革新経営理論として、世界中に普及します。

(著書:『リエンジニアリング革命―企業を根本から変える業務革新』マイケル ハマー ・ジェイムズ チャンピー 著 日経ビジネス人文庫)

日本企業でも、バブル崩壊後「BPR」は経済再生を担う経営改革の手法として歓迎され、企業はもとより国政や地方自字体でも取り組まれてきました。しかしながら、既存の組織構造を解体することに比重が置かれ、社員のリストラや人員整理といった従業員にとってマイナス面の印象が強く、変革、再生の成功率は低い結果に終わります。

そこで失敗の原因を分析した結果、システムやハード面だけではなく変革を行う従業員、経営者など人為的要因にも着目し、タレントマネジメントを含めた手法が重要と解析されています。

現在でいう「チェンジ・マネジメント」とは、このような経営改革を行う従業員の心理的サポートなど人的要素も含めたマネジメント手法であり、人為的要素は組織変革の成否を分ける要因であると言えます。

【関連】マネジメントとは?ドラッカー理論・成功のポイント・様々な手法までご紹介/ BizHint HR

チェンジ・マネジメントの必要性

社会情勢の変化や、競争環境の変動などに対峙するための、組織変革や業務改革は、企業において必要不可欠な事項となっています。これら改革を成功に導くためにも、従業員に環境の変化を容認させる「チェンジ・マネジメント」の手法が重要になります。

近年、日本企業は企業買収や合併、IT化やグローバル化に伴う組織変革が求められており、トップダウンの一方的な号令下のもと、変革をシステム化するだけではなく、組織の人的心理を考慮した戦略が必要となっています。生産性の向上やコスト削減といった目的を果たすためにも、働きやすさや働きがいなどで社員の満足度を向上させることが、変革を受け入れる組織風土の整備となります。

従業員の集合体が持つ文化、規範などの組織風土を変革するためには、集合体の一人一人の意識を変える必要があり、個人の意識改革が「チェンジ・マネジメント」の重要な要素です。

企業変革のステップ

企業変革の世界的権威であるジョン・コッターにより、1988年に発表された「コッターのリーダーシップ論」は、代表的な変革的リーダーシップ理論の1つで、変革の時代に必要なものはリーダーシップであるとしています。

本書の中で、組織を変革させる為には手順が必要であり、80年代以降、アメリカ企業の多くが失敗した変革事例を分析した結果、変革は8段階の手順によって推進する事が望ましいとしています。企業の変革のステップとして、この「ジョン・コッターの8段階のプロセス」を解説します。

(著書:『第2版 リーダーシップ論』ジョン・P・コッター 著 ダイヤモンド社 黒田 由貴子,有賀 裕子 翻訳)

1.危機意識を高める

コッターはこれまでの変革の失敗例から、約50%以上の企業がこの第1段階で失敗をするとしています。全組織に変革をしなければならないという十分な危機意識を生み出すことが、企業の変革の成否を分けることに直結します。

危機意識を生み出すために、市場と競合の状況を分析し自社にとっての危機や絶好の成長機会を見つけ、変革の必要性を検討していくことにより、緊急課題であることを認識させることが重要です。

2.変革推進のための連帯チームを築く

十分な危機意識を全組織に浸透させたなら、次のステップは企業変革のコアになるチーム作りです。

人脈、信頼、評判、権限など、必要なスキルをもった適切な人材をピックアップし、チームとして機能する意識を高める必要があります。経営幹部の対立や、既得権益のしがらみなどを排除し、純粋に力を持った変革チームを編成しなければなりません。

3.ビジョンと戦略を生み出す

企業変革に成功する企業は、優れたビジョンと、そのビジョンに伴って出来た優れた戦略があるとされます。

コッターは、優れたビジョンの特徴として、6つの特徴を挙げています。

  1. 目に見えやすい(将来がどのようになるのかがはっきりとしたかたちで示されている)
  2. 実現が待望される(従業員や顧客、株主などステークホルダーが期待する長期的利益に訴えている)
  3. 実現可能である(現実的で達成可能な目標から生み出されている)
  4. 方向を示す(意思決定の方向をガイドするために、明確な方向が示されている)
  5. 柔軟である(変化の激しい状況において個々人の自主的行動とさまざまな選択を許容する柔軟性を備えている)
  6. コミュニケートしやすい(5分以内で説明することが可能である)

財務中心に分析を行い、コスト削減を柱に据えたビジョンは、社員のモチベーションを下げることになりますので、実現可能であり将来に期待が広がる魅力的なビジョンを掲げることが大切です。

4.変革のためのビジョンを周知徹底する

出来上がったビジョン・戦略は、全従業員に明確に提示され、十分に理解される必要があります。そのため、伝える前には、従業員の感情を理解するためのコミュニケーションを十分にとり、不安や混乱、誤解を生まないように心がける必要があります。情報を発信する時は、複雑で事務的なものではなく、わかりやすく、従業員の心に響くものにしなければなりません。

また、変革を推進するチームのメンバーが、その行動の手本となり新しい行動様式を伝えていくことも重要なポイントです。

5.従業員の自発を促す

変革へのビジョンや戦略が認知されることで、社員が自発的に行動できるように、サポートしていく必要があります。ビジョンの根本を揺るがすような制度や組織を変更することで、リスクを恐れず伝統にとらわれない考え方や行動が、生まれやすい環境ができます。

また、変革へのモチベーションを上げるために評価制度や報酬制度などを制定することにより、変革に望ましい考え方の社員を奨励し自信を高めさせることも重要です。

6.短期的成果を実現する

いくら魅力的な企業変革のビジョンであっても、遠い未来だけでは、モチベーションを継続することは出来ません。「改革に取り組んで良かった」と、多くの人に思わせるために短期的な成果は必要課題です。そのためには、早期に成果を生む計画を立案し、最優先でこれに着手することが重要です。

短期的成果は、できるだけ多くの人々の目にふれ、明確な成果が表れることにより、変革のプロセスが正解であることを認知させることができます。また、この改善の成果に貢献した社員を評価し、報酬を与えることも重要です。

7.成果を生かして、さらなる変革を推進する

短期的成果により勝ち得た信頼を利用して、変革のビジョンに馴染まないシステム、構造、制度を改定します。また、ビジョンを実現できる社員を採用し、昇進、育成することで、当初の変革を定着させ、かつ、新しい変革プロジェクトやチームの新メンバーにより、改革プロセスを再活性化することも必要です。

8.新しい方法を企業文化に定着させる

変革の終了は、変革を企業文化として定着させることです。変革を企業文化として根付かせるためには、変革のビジョンに基づいた戦略と企業変革の成功の因果関係を明確化し、絶えず変化に対応できるリーダー・後継者の育成が重要になります。

チェンジ・マネジメントが失敗するパターン

企業において変革が失敗する要因は、変革そのもののハード面ではなく、それに関わる人々の意識や感情といった心理的側面の影響が大きいと考えられます。 特に日本では保守的な傾向が強く、「チェンジ・マネジメント」の成否を左右しているといえます。

チェンジモンスター

変革を推進していく過程で、組織の誰もがその変化に適応できるわけではなく、伝統的な慣習や慣れ親しんだ仕事の進め方を捨てることのできない人々がいます。 敗への不安や反発、嫉妬など様々な心情が、改革への抵抗勢力となり、プロジェクトを妨げる要因となっています。

これらの人間的・心理的な阻害要因の総称を、アメリカ、ボストンのコンサルタントであるジーニー・ダック氏は「チェンジモンスター」と呼び、「チェンジ・マネジメント」の大きな課題であると述べています。

(著書:『チェンジモンスター なぜ改革は挫折してしまうのか? 』ジーニー ダック著 東洋経済新報社監訳)

協力者がいない

改革を推し進めるうえで、社内での協力者の存在は不可欠です。いくら優れたプロジェクトを立案しようとも、経営陣を始め各セクションの協力がないと、必要なプロセスへも進めません。

イノベーション普及研究の権威であるアメリカのエベレット・ロジャーズ教授は、著書の『イノベーションの普及』において、改革の連鎖反応を持続するためには、一定の数が必要であると説明しています。その数を確保できない場合、改革のプロジェクトは、打ち上げ花火のように一過性のものとして終わってしまい「チェンジ・マネジメント」の失敗へと導かれてしまいます。

ロジャーズ教授によれば、強いチェンジマインドを持つイノベーター(改革人)は、一般的な組織において、およそ2%。それに協力してくれるアーリーアダプター(初期採用者)が16%確保できると、改革の連鎖反応が始まるとしています。この理論に基づけば、企業変革の協力者は、組織全体の約2割が必要となり、この数値を確保できなければ、そのプロジェクトは失敗する確率が高いと言えます。

(著書『イノベーションの普及』 Everett M. Rogers 著 三藤利雄 訳 翔泳社)

まとめ

  • 「チェンジ・マネジメント」は、リーダーシップ、コミュニケーション、戦略理論が総合的に関連している、いわばビジネスにおけるマネジメントの総合力です。
  • 日本の多くの企業が、組織改革に迫られている今日、その理由は、単に業績改善以外にも、合併や新規株式公開の計画、新しい技術やコンプライアンス要件への対応と多岐にわたります。
  • 組織の変革を促すためには、リーダー自らの意識変革も必要となり、大きな変化に直面する社員の心情や、モチベーション維持などに適切に予測、対峙することが、組織改革を成功させるカギとなります。

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