職能資格制度
日本独自の等級制度で知られる職能資格制度。長らく日本独自の等級制度として活用されてきましたが、時代の流れとともに職能資格制度を廃止にする企業も増えています。今回は職能資格制度のメリット・デメリット、職能資格制度や役割等級制度との違い、さらには職能資格制度を導入していた事例をご紹介いたします。
職能資格制度とは?
職能資格制度とは、従業員が有する職務遂行能力を基準に区分・序列化する日本独自の(人を基準にした)等級制度を指します。1960~70年代の高度経済成長期はもちろん、1990年代初頭のバブル景気までは右肩上がりの経済動向だったため、多くの日本企業に浸透していった等級制度でもあります。
職能資格制度の評価対象となる職務遂行能力は、勤務する企業が社員に期待する能力であり、職務等級制度で求められる職務(仕事)とは異なります。そのため、勤務している会社では役に立つ能力ですが、他の会社では通用しない可能性があります。また、勤続年数が長くなれば、それだけ職務を遂行する能力が高いと定義付けられているため、 年功序列や終身雇用を前提にした等級制度でもあります。
しかし、経営の不確実性の増加や役職・ポスト不足により、職能資格制度を維持することが難しくなってきました。また、人を基準にした曖昧な評価基準のため、不公平な人事評価になりやすく、若手社員のモチベーション低下の原因とも指摘されています。
2015年1月に一般社団法人 日本経済団体連合会が発表した「2014年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果」によると、基本給の賃金項目の構成要素として「職能」を採用している割合は※管理職で52.2%、非管理職で66.6%と未だ高い水準に至ります。日本の労働市場は労働人口が減少していくことが確実視されており、「若手社員の即戦力化」が急務となっています。そのため、勤続年数を考慮しない仕事を基準とした職務等級制度や、役割や会社への貢献度(成果主義)を前提にした役割等級制度(ミッショングレード制)を段階的に取り入れる企業が増えています。
日本を代表する電機メーカーである日立製作所では、2014年10月以降、管理職を対象に職能資格制度を廃止し、職務等級制度や 役割等級制度がベースになった、新たな人財マネジメント体系を発表しています。今後も職能資格制度を廃止する企業が増えるとされています。
【参考】一般社団法人 日本経済団体連合会 2014年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果 10P
※調査対象会社数は管理職が250社、非管理職が450社
【参考】首相官邸 2014 年 10 月 22 日 政労使会議配布資料
職能資格制度のメリットとは?
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