自己申告制度
従業員のキャリア開発や職務・職場環境の満足度は、企業を経営するにあたり、重要な情報となります。従業員の率直な意見や意向を汲み取る優れた情報収集ツールとして、自己申告制度があります。今回は自己申告制度の役割や目的、導入するメリット・デメリット、既に導入している企業の事例をご紹介いたします。
自己申告制度とは?
自己申告制度とは、従業員自身が関わった業績への自己評価やキャリア形成の意向、異動・転籍の希望などを企業側に申告する制度を指します。人事異動やキャリア開発(能力開発)などの制度を構築するための情報収集として活用される人事管理の一つです。
また、人事考課制度(評価制度)に必要な業務プロセスの事実調査や職場の風土調査、従業員満足度調査にも活用され、企業側と従業員側の認識の差を測ることもできます。自己申告制度を利用することで、従業員の主観的・客観的な情報を収集できるほか、不正癒着や職場のサイロ化(企業の部門が他の部門と連携をせず、独自に業務を遂行し、孤立・自己中心化する状態)の抑制にもつながります。人事評価や人事配置の際に使用する人事情報としての性質が強いため、主に人事部(人事担当課)や人事担当者が取り扱います。
自己申告制度で収集したデータは、目的が明確となっている制度の設計や運用には有効ですが、目的が曖昧なまま、自己申告制度を導入した場合、制度自体が形骸化してしまう問題点もあります。
自己申告制度の目的
自己申告制度は、主となる制度の情報収集ツールとしての性質が強く、「従業員の意向を汲み取る」、「事実調査」、「人材育成・キャリア開発(能力開発)」に活用することができます。
主となる制度の情報収集ツール
自己申告制度の主たる目的は、従業員に関する情報の収集です。業務を遂行する中で、従業員が感じている考えや仕事の状況を従業員の主観的かつ客観的な情報を汲み取れます。そのため、企業に対する満足度、社内風土の調査に活用することができます。また、現場の状況や従業員の自己評価を吸い上げることができ、上司の評価が適正かどうかの判断材料の取得も可能です。その他、企業が定める等級制度や賃金制度の設計や改善に必要な情報収集手段としても活用されます。
日本企業の多くはメンバーシップ型雇用(総合職)を採用しており、さまざまな職務を経験させるために、定期的な人事異動(ジョブローテーション)を行います。適材適所に配置転換を行う際に、従業員の異動希望を聴取する場合にも活用されます。社員本人がどのようなキャリア形成を想定しているかを調査し、 キャリア開発(能力開発)施策など人材育成にも役立てることができます。
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