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2018年10月9日(火)更新

インポスター症候群

インポスター症候群の「インポスター」とは〝impostor〟(英:詐欺師)を表すもので、「自分が評価されることで誰かをだましているように感じる」というのが共通の心理的特徴です。インポスター症候群とはどんな症状がでるものなのか、またその改善方法や対策について紹介していきます。

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インポスター症候群の意味とは?

インポスター症候群とは「自分が思う自分」よりも「他人が思う自分」のほうが大きいと感じ、仕事で評価されても「ただ運がよかっただけ」と感じる(または意図的に振る舞う)状態を指します。

すなわち「自己評価のレベルが異常に低くなっている(低くしている)状態」がこの原因となり、一般的に男性よりも女性の発症率の方が高く、また社長や経営者・管理職・技術開発者といった高キャリアの人が陥りやすいやすい傾向があります。

インポスター症候群が注目される背景

〝インポスター症候群〟が名前として知られるようになり、それを自覚する人が増えている背景には次のようなことがあります。

著名人の告白

インポスター症候群が注目されるきっかけになったのが海外の著名人による告白です。

Facebook社のCOO(最高執行責任者)を務めるシェリル・サンドバーグ氏もその一人で、彼が自身の著書〝LEAN-IN〟の中で記している内容によると「学校で自分で発言したときに変な事を言ってしまったと感じた」「いつか自分の中身がバレる」といった不安に苛まれたこと、またそれが「インポスター症候群」(インポスターシンドロームImpostor Syndrome)という症状にあてはまるもので、自分だけでなく多くの人に共通するものであったということを告白しています。

また、女優のエマ・ワトソンは、彼女が症状を告白したイギリスの日刊紙〝THE SU〟の記事の中で、自分がインポスター症候群であるとしたう上で「自分が活躍するたびに、自分がそんな評価される人間ではないと感じた」と告白しています。

【参考】インポスター症候群
【参考】詐欺師症候群とは?エマワトソンが患う病気の症状・原因は
【参考】ImposterSyndorme

女性が活躍する社会への移行

近年インポスター症候群が増加する原因の1つと考えられているのが、女性が活躍する社会への移行を推進する職場環境の変化があります。従来の産休・育児休暇に加え、「クオータ制※1」や「スポンサーシップ制度※2」といった女性の活躍を推進する制度などが増え、これらが一種の「女性の過大評価」(自分自身の価値とのギャップ)に捉えられることが背景に挙げられます。

※1クオータ制:quota=割り当てを意味し、男女平等の職場環境を推進する政策のひとつ。
※2スポンサーシップ制度:女性の昇進を後押しすることを目的として推奨される社内制度のひとつ。

【関連】【社労士監修】女性活躍推進法にどう取り組む?法令の詳細と事例 / BizHint HR

業務内容の複雑化・増加と責任の所在

多くの企業において業務がグローバル化・複雑化するシステムの中で、「評価され昇進すること」=「業務や責任の増大」に結びつくと考える社員が多く、出世が期待される若い世代の社員にとっては「チャンスや昇進は重荷になる」と捉えられ、責任が増える仕事よりも安定を求める人が多いことも、インポスター症候群の増加に関係しています。

インポスター症候群の症状とは?

インポスター症候群の程度には軽度~深刻なレベルに達するものまでありますが、簡単なセルフチェック方法としてはインポスター症候群の研究で有名な〝Pauline Rose Clance医師〟のHP上に公開されているチェックリストがあります。20項目の簡単な質問(英語)でそれぞれ5つの選択肢から選び、最後にその点数を集計することでインポスター症候群の程度を知ることができるというものです。インポスター症候群に見られる心理的症状としては次のようなものがあります。

Pauline Rose Clance
Clance IP Scale

自覚症状

  • いつか自分の中身(貧弱さ)が周囲にバレてしまうと感じる。
  • いつか失敗するという不安がつきまとう、失敗すると「やっぱり」と感じる。
  • 自分の役職が自分にはもったいないと感じる。
  • 他人や上司に評価されるほど重荷に感じたり、不安を感じたりする。

他覚症状

  • 仕事で功績や成果を挙げてもそれを否定する。(自分の功績ではないと主張する)
  • 仕事を評価をすると不安感を示す。

インポスター症候群の原因とは?

インポスター症候群の原因は大きく分けて二つに分類されます。

心理的要因

インポスター症候群の原因のうち、「心理的要因」になる具体的なものとしては次のようなものがあります。

  • 自分が活躍する・評価されることで周りの人たち(仲間)から疎まれたくない。
  • 自分が良い業績を挙げることで評価され、さらに大きな仕事をまかされるのが重荷である。
  • 失敗した時に目立つことをき避けられるよう、あえて目立たないように行動している。

文化的要因

「心理的要因」の基になる根源的な要因としては次のような「文化的要因」もあげられます。

  • 〝過程〟よりも〝評価〟を重視する学校教育が浸透している。
  • 女性の活躍を認めない風潮や職場環境がある。

インポスター症候群の克服法

インポスター症候群の克服法・対処方法としては、当事者が実行できるもの・周囲の人が実行できることの2種類があります。

自分に対する対処方法

インポスター症候群の根本的原因になるのは「自分が思う自分」と「周囲が思う自分」(または「自分が理想とする自分」)の大きさのギャップです。自分自身で症状を改善しようとする場合には、そのギャップを埋める努力をすることや、ギャップを広げないようにすることが症状の改善につながります。

未来に対する不安ではなく、今するべきことに気持ちを集中する

現時点で〝存在しないこと〟に対して不安をめぐらせる事は、現在の問題を解決する助けにはなりません。今しなければならないこと、知るべきことに集中することで、自分自身の評価を気にしたり根拠のない不安に悩まされたりすることを少なくできます。

全てを知っている必要はないと言い聞かせる

仕事の場に出てから〝自分の知らない事〟に出会うことが悪いことであると考える必要はありません。自分が知らないと思っていることをリストアップし、早急に学ぶ必要があることを理解できれば、不安に気を悩ませる時間はなくなります。「知らないものがある」というネガティブな思考ではなく、「学ぶ余地がある」と捉えることも大切です。

自分より優れたメンバーのなかに自分を配置する

自分の仕事に対する過度な責任や期待はインポスター症候群の症状を悪化する要素となりますが、これを軽減する方法として「自分より優れたメンバーの中に自分を配置すること」も1つの解決方法です。自分が周りに劣っているという意識よりも、分からない事に対して快く助言してくれる人がいる環境が、自分に対する心理的負担を軽減することもあるからです。

失敗する自分を責めないようにする

成功や失敗の判断基準を他人の尺度に依存している人の場合、他人の基準によって自分を評価し、成功の基準を満たしていないと〝失敗〟と判断する機会が多くなります。この場合には、評価手段を自分の価値観や尺度に切り替えると結果や過程に対して納得できるようになり、他人の尺度によって生まれる〝失敗〟を減らすことができます。

過小評価する言葉をやめ、良い評価を受け入れる

特に日本人に多いのが「謙遜」によって口から出る自分を過小評価する言葉です。「自分なんて・・・」「ただ・・・だけ」というように自分を過小評価し相手を立てる方法には、日本独自の文化的慣習が影響していますが、言葉によって自分を過小評価することで自分の可能性を自ら狭めるいうことは往々にしてあります。褒められたときや評価されたときにそういった言葉で謙遜せず、素直に受け入れるという姿勢によって、自分の生き方をプラスに変えられる可能性も生まれます。

自分自身の成功・失敗を同等に扱う

インポスター症候群の人の場合、自分の成功よりも失敗によりフォーカスするという傾向があります。これが過小評価の直接原因になるため、これを防ぐには「日記などで成功・失敗を同じように書き出す」という方法が役立ちます。

転職市場で自分のスキルなどを分析してもらい、自分のキャリア・価値を認識する

転職市場では、自分のスキルを可視化するために第三者によって分析してもらうというシステムがあります。自分の価値をみずから曖昧に評価する傾向のあるインポスター症候群の人にとっては、このシステムが自分のスキルを客観的に認識できる機会にもなります。

部下や同僚に対する対処方法

周りにインポスター症候群の人やその兆候がある人がいる場合には、症状が悪化する状況を避けることで、その人の可能性やパフォーマンス、能力が下がることを防ぐことができます。

評価の理由を具体的に説明する

インポスター症候群の人の場合、自分の評価は特別な制度や優遇などによるものだという発想に陥りがちです。そのため、評価をする場合には具体的に〝どんな理由によってその人が評価されるのか〟を説明することによって評価される人が自分の価値を正しく認識することにつながります。

評価の対象を〝結果〟でなく〝過程〟にする

評価の対象を何かしらの〝結果〟にむけて行った場合、評価された人はその〝結果に伴う副作用〟を反射的に警戒するといった傾向が多く見られます。副作用になりうる項目としては「仕事が増える」「仲間から妬まれる」「責任が大きくなる」といった例があり、これは人によって様々ですが、評価する側の対策として評価の対象を〝過程〟にすることで、そういった不安を煽ることなく相手を評価することができます。

評価するときは1対1で行う

インポスター症候群の人のうち、特に多いのが大勢の人の中で自分が評価されることに対して抵抗を持つ女性です。男性社会の中で女性が目立つべきではないという意識や、他の女性メンバーの妬みを買いたくないといった心理から生まれますが、〝評価の代償〟として自分を過小評価してバランスを保とうとする人が多くいるため、これを避けるにはなるべく大勢の前での評価をさけ、1対1で個人的に評価するという方法が望ましいとされます。

【関連】1on1の意味とは?話す内容や注意事項、効果を最大化するポイントをご紹介/ BizHint HR

まとめ

  • インポスター症候群は自分を過剰に過小評価する心理状態である。
  • 過小評価が自己防衛反応として現れることがある。
  • 期待が課せられる人や優秀な人にもインポスター症候群の人は多い。
  • インポスター症候群であると自覚し行動することで症状を軽減することができる。

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