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2018年7月22日(日)更新

等級制度

等級制度は、社員の持つ能力や与えられた職務の内容、期待される役割に応じて分類を行った上で序列化する制度で、人事管理の際に参考にすることが可能となり、非常に重要な存在となります。まずは等級制度の分類基準ごとに特徴やメリット・デメリットを説明し、実際に人事労務管理へ取り入れていくための方法もあわせて解説をしていきます。

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等級制度とは?

等級制度とは、企業に勤める社員を持ちうる能力や割り振られた職務、社内における立場などをもとに分類し、順序づける制度です。組織内の人材配置や賃金管理など、人事労務にまつわる業務の基本的支柱となります。

等級制度の分類基準

等級制度には、主に3種類の分類基準があります。具体的には、「職能」「職務」「役割」の3種類で、会社側はこの基準をもとに、社員を分類することになります。これらの基準を単独、もしくは組み合わせることで柔軟かつ公平に社員を序列化することが可能となります。

1. 職能(能力)資格制度

職能資格制度とは、社員がどれだけの仕事に対する能力を持っているかを見極める制度のことです。職能とは「職務遂行能力」の略称であり、分類の対象となるのは能力を持つ対象者である社員、つまり人です。

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2. 職務等級制度

職務等級資格とは、仕事を詳細にわたり分解し、それぞれが会社に与える効果や重みなどの価値別に分類した上で、支払う賃金額などの基準に用いる制度のことです。分類の対象となるのはあくまでも仕事であるため、社員の価値は加味されないことが特徴となります。

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3. 役割等級制度(ミッショングレード制度)

役割等級制度とは、前述の職能と職務をあわせもった「役割」という考え方をもとにランク付けを行う制度のことで、ミッショングレード制度ともいいます。職務等級制度のもととなる「仕事」の難易度に加え、職能資格制度のもととなる「人」の能力もあわせた内容、つまり会社が社員に期待したい「役割」の序列化を行います。

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等級制度が与える効果とは

等級制度は人事管理や労務管理の基準となる存在です。したがって、等級制度を整備することで、社員の分類基準が明確なものとなり、その人に最も適したポジションに配置をすることができます。適材適所な人材配置は、組織をより強固なものとする効果があるため、会社の発展へとつながります。

また、社員に対して等級制度を用いることで、社員自身が会社の理想とする社員像を理解することが可能となり、仕事への意欲が増すメリットも生じます。

職能(能力)資格制度とは

ここからは、「人」を基準としてランク付けを行う職能資格制度の内容について、詳しく見ていきましょう。

職能資格制度をとりまく背景

職能資格制度は、仕事にまつわる能力を序列化した制度です。そのため、特に年功序列が重んじられた高度成長期の日本の企業風潮にマッチし、機能し続けていました。

しかし、バブル期を経て不透明な経済情勢下となったことで、これまでのような「長く働き続けるほど給料がアップする」制度に無理が生じることとなり、職務等級制度や役割等級制度を取り入れる企業が増加しています。

職能資格制度の特徴

職能資格制度は、他の2種類の制度とは異なり、唯一「生身の人間」を基準とした制度であることが最大の特徴です。役職や配属先、雇用形態で判断されることはなく、あくまでも「会社がその人に対して求める能力」をもとにランク付けがなされています。

仕事にまつわる能力は、入社当時はどの社員もほとんど持ち合わせていないものの、徐々に経験を積むにつれ、効果的に仕事を進める技術が身についてくるものです。したがって、仕事にまつわる能力はこなした仕事の量に比例するという考え方に基づいて分類をしているケースが多くあります。

また、潜在的な能力を抱えた人に対して高い評価がされやすいという特徴も持ち合わせています。

活用に適した対象者とは

職能資格制度は、より多くの仕事をさせることができる環境に置かれた社員に適した制度です。たとえば、数多くの部署や支店などを抱えている大企業の場合、社員はジョブ・ローテーションの実施により異なる部署でさまざまな経験を積むことができます。また、他支店や子会社へ異動することで、異なる環境下で新たな刺激を受けることもできます。

このような社員は、幅広い経験を積むことでマネジメント能力を磨き、将来の経営陣候補に生まれ変わる可能性があります。

職能資格制度のメリット

職能資格制度には、人に基づく制度ならではのさまざまなメリットがあります。

柔軟性のある組織づくりができる

職能資格制度は、人にさまざまな経験をさせることでランクアップする制度であるため、導入し、社員の理解を得ることで、社員の部署異動やジョブ・ローテーションへの抵抗感が薄れる効果があります。

人材育成面の強化

人の能力をもとにした制度が存在することで、経営陣側にも社員を育てていこうという考え方が生まれるため、人材育成の強化へとつながります。

優秀な社員の確保

職能資格制度は、仕事の能力がアップするにつれ評価が上がるシステムとなっているため、長く働き続けることで、賃金面などの待遇が向上していきます。役職に関係なく能力のみで評価がされることで、社員を公平な目で判断することができるのです。

そのため、社員の勤続意欲が増し、早期の離職や転職を防ぐ効果があります。また、長期にわたり社員を育成する環境が整うため、優秀な社員が多く生まれるきっかけにもなります。

職能資格制度のデメリット

職能資格制度は、人を評価する制度であるため、評価基準の設定をすることが難しく、年齢に応じてランクがアップする「年功序列制度」と同様な内容になるケースが多くみられます。

そのため、勤続年数を重ねるごとに賃金の支払額が増し、人件費がふくらむリスクが生じます。また、入社して間もない若い社員がベテラン社員との待遇の差を感じやすく、モチベーションを保つのが難しい場合もあります。

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職務等級制度とは

次は、「仕事」を基準として序列化を行う職務等級制度の内容について、一つずつ整理をしていきましょう。

職務等級制度をとりまく背景

職能資格制度が日本で誕生し普及したのに対し、職務等級制度はもともと国外で誕生したもので、いわば輸入された制度となります。

この制度が広まったきっかけの一つは「同一労働同一賃金」という考え方です。この考え方は、契約社員やパートタイム労働者、アルバイト、派遣労働者などのいわゆる非正規雇用者と正規雇用者の間で生じた待遇の格差が問題視されたことで国が打ち出したものです。

「同一労働同一賃金」が普及したことで、同じ仕事をしているのなら同じ待遇を受けるべきだという考え方が広まり、職能資格制度から職務等級制度へ移行する企業が増加しました。

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職務等級制度の特徴

職務等級制度は、雇用形態やキャリアなどに関わらず、仕事のみで序列化を図ることに特徴があります。具体的には、序列法や分類法、点数法、要素非核法などが挙げられます。

序列法

細かく分類された仕事を、一つずつ重視する順番に応じて並べていく方法のことです。この方法を取ることで、分類された仕事の相対的な位置づけを把握することができます。

分類法

分類された仕事の内容ごとにあらかじめ基準を設けておき、その内容をもとにランク付を行う方法です。分類された仕事がどのランクに属するかを決定することで、評価をしていきます。

点数法

仕事全体に共通する要素を選択し、選んだ要素を等級別に分類していく方法です。要素には「スキル」「知識」などが挙げられます。

要素比較法

点数法と同じく、仕事全体に共通する要素を選択し、選んだ要素を営業職、専門職、事務職などの職務ごとに比較し、分類をしていく方法です。

活用に適した対象者とは

職務等級制度は、レベルの高い仕事をすることができる社員が評価される制度であるため、技術職や専門職など、その道のスペシャリストを多く輩出したいと考える職場に向いています。

職務等級制度のメリット

職務等級制度には、仕事の内容で評価を行うという特徴に基づいた、次のようなメリットがあります。

求人募集時のミスマッチを防ぐ

職務等級制度を導入することで、社内の仕事内容を明らかにすることが可能となります。また、明らかにされた仕事内容が社員のレベルに応じてランク付けされているため、ピンポイントで人材を募集することができるようになります。応募者に求めるスキルがはっきりしていることで、選考作業が容易になり、採用のミスマッチを防ぐことができるのです。

経費削減につながる

職務等級制度では、勤務する社員の待遇が仕事の内容でランク付されているため、会社で必要とされる仕事の内容に変動がなければ、給与や賞与などの賃金額が増加することはありません。そのため、年功序列制度などと比較し、経費の増加を抑える効果が生じます。

社員のスキルアップを促進できる

職務等級制度を用いると、社員に「より高いレベルの仕事をしたい」という意欲が生まれ、向上心から技術を磨くという環境が当たり前のものとなります。その結果、社員のスキルアップが促進され、スペシャリストを育成することができます。

職務等級制度のデメリット

職務等級制度を導入した場合、仕事の内容に応じてランク付を行う方法は分かりやすい方法とはいえるものの、仕事以外の評価を加えることが困難となるケースがあります。

たとえば、同一の業務に真面目に取り組み続けたことに対する評価などは、仕事の内容とは直接の関係がないため、評価に組み込むことが難しくなります。また、課長から部長へ昇進したことで、難易度の高い専門業務に携わらなくなった社員の場合、職務等級制度を当てはめると降給の可能性が生じるなどのミスマッチが生じるケースがあります。

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役割等級制度とは

職能資格制度・職務等級制度の解説をしたところで、次は最後の制度となる役割等級制度の内容を見ていきましょう。

役割等級制度をとりまく背景

役割等級制度は、前述の職能資格制度・職務等級制度のそれぞれ良い部分をあわせもった制度であるといえるでしょう。職能資格制度を活用した場合に生じる人件費問題や若手社員のモチベーション低下、職務等級制度を活用した場合に生じる仕事内容の洗い出し作業の煩わしさや賃金とのミスマッチなどのデメリットを受け、役割等級制度が誕生しました。

役割等級制度の特徴

役割等級制度は職務等級制度と同じく「仕事」をもとにした制度でありながら、ポジションに沿った臨機応変な行動や業務もランクに反映させることができるため、社員のモチベーションも保ちながら平等に人事評価をすることができます。

具体的には、仕事内容の分類に社員自身の持つ仕事推考能力の要素を加えることができるため、仕事の難易度にあわせた賃金支払いをすることができる上に、年齢や勤続年数にこだわらず、実力を持つ社員が評価を受けることができるのです。

なお、この制度の名称にもなっている「役割」とは、仕事をこなすために社員が取るべき行動のことで、会社が社員に求める理想的な行動を難易度別にランク分けしています。

活用に適した対象者とは

役割等級制度に適した対象者という括りは特にありません。なぜなら、正社員、非正規雇用者などの雇用形態に関わらず、どの社員に対しても平等に評価をすることが可能となるためです。

役割等級制度のメリット

役割等級制度は、職能資格制度や職務等級制度のデメリットを解消した制度であり、導入することでさまざまな効果が生じるものとされています。

ポジションに応じた評価ができる

役割等級制度は、ポジションごとに求められる役割、仕事の難しさ、期待される成果の内容など、さまざまな点から序列化を行い、社員に当てはめる作業を行います。そのため、特に役職が上位の社員に対し、貢献度に応じた人事評価をすることができるのです。

社員の向上心をアップさせる

役割等級制度はただ単に仕事の内容だけで評価を行う制度ではなく、リスクの高い仕事にチャレンジした社員に高い評価をすることが可能となります。そのため、社員の仕事に対する向上心を高めることができます。

人件費を抑えることができる

仕事をするにあたり求められる役割の大きさで評価を決定するため、役割等級制度を採用した場合、貢献度が高い社員に対して高い評価を与える仕組みを取ります。年功序列制度のように、勤続年数に比例して一律に賃金を増加させる必要がなく、人件費を抑えることが可能となります。

役割等級制度のデメリット

役割等級制度には多くのメリットがありますが、注意しなければならない点もあります。

たとえば、年齢や勤続年数を重ねた古株の社員は、実力のある若手の処遇に対して不満を持つケースが挙げられます。また、単に人件費を抑える目的で活用を検討する可能性もあり、社員の納得を得られない制度となり、経営陣と社員のいさかいの元となる場合があります。さらに、役割の設定作業は、仕事の洗い出しや等級とのリンクなど多くの作業が必要であるため、時間がかかる点にも気をつけなければなりません。

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等級制度を用いた人事労務管理方法

前述の職能資格制度・職務等級制度・役割等級制度という3種類の等級制度を用いることで、社内の人事労務管理をスムーズに行うことが可能となります。

ただし、同じ等級制度という括りとはいえ、それぞれの制度によって基準となる内容が異なるため、人事管理の方法にも差異があります。ここからは、制度別に人事管理の具体的方法について順を追って見ていきましょう。

職能資格制度を活用した人事管理

職能資格制度は、社員が個々で持ちうる能力をもとに序列化をしていく制度です。したがって、この制度を次に説明するような手順で活用すれば、社員の職能、つまり「職務遂行能力」に応じた賃金体系を組むことができます。

能力レベルの設定

初めに、仕事の能力の高さごとに一定のレベルを設定します。このレベルは、会社の規模や売上、今度の展望を加味した内容で決定することになります。レベルの数を多く設定した場合はレベルごとの内容を差別化することが難しくなり、少なく設定した場合は社員のレベルアップ回数が減り、モチベーションを保つのが困難な状況に陥りやすくなります。

能力ごとの要件

次は、先ほど設定したレベル、つまり能力に応じた要件を保つために求められる社員の能力を洗い出す作業に入ります。あまりに細かく設定しすぎてしまうと、後に年齢などを反映させる際に手直しの回数が増えることになるので、注意が必要です。

能力レベルと役職のリンク

次は、能力ごとの要件を係長や課長、部長などの役職に当てはめていきます。たとえば、部長職に必要とされる能力は何か、などを考え、リンクさせていきます。

年功序列への対応

職能資格制度は、一般的な能力を持つ社員が何事もなく勤続を重ねた場合の基本的水準を決めた上で、職能を反映させた賃金体系を組むことが可能となります。したがって、一般的な水準を検討し、設定した能力ごとの要件や役職とのリンクが適正かどうかを見極める必要性が生じます。

職務等級制度を活用した人事管理

職務等級制度は、仕事の内容に応じて序列化を行う制度です。したがって、この制度を次に説明するような手順で活用した場合、成果主義に応じた賃金体系を組むことが可能となります。

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職務記述書の活用

職務等級制度を活用する際に必要となるのが「職務記述書」です。この記述書へ仕事の難易度やルーチン・非ルーチン作業などの内容に応じて序列化した内容を記載し、仕事内容を分類していきます。

職務記述書とは

職務記述書とは、職務、つまり仕事について詳しく記述した書類のことです。細かく分類された仕事に名称をつけ、その内容や仕事をこなすために求められる能力を記していきます。

賃金体系の作成

次に、分類した仕事内容ごとに賃金を設定します。賃金額については、一般的に同業種や同水準の会社で採用されている相場を調べた上で行う方法が有効です。経済水準は時代背景に応じた変動がみられるため、一度設定をしたら将来にわたり活用し続けることはせず、臨機応変に変更することができるような体制を整えておかなければなりません。

社員の当てはめ

賃金体系を設定したところで、最後に自社の社員のレベルを把握した上で、どのランクに相当するかを決定し、当てはめていく作業に入ります。あくまでも、仕事遂行能力で判断する点に注意が必要です。

役割等級制度を活用した人事管理

役割等級制度は、ポジションごとに期待される役割ごとに等級を設定し、賃金を組んでいくことで人事管理に活用することができます。

役割等級レベルの設定

まず、役割等級のレベルを設定していきます。たとえば、管理職に3ランク、一般職で5ランクなど、具体的なランク数から決定していきます。社員数や仕事を割り振った場合のシミュレーションを行いながら設定をする方法が効果的となります。

役割等級の要件

次は、等級ごとの要件を決定します。どの社員にどの仕事を任せるかを具体的に考えながら作業を進めていきましょう。たとえば、部長職に対しては「経営者の意向に沿った内容で部署内での活動方針を定め、目標の達成へ向けて部下を配置する」、一般職に対しては「上司の指示を受け、自身で業務遂行計画を立て、実行に移す」などの内容が挙げられます。

職能資格・職務等級とのリンク

役割等級に要件を設定したところで、次はその人自身の持つ能力である「職能資格」や仕事の内容などの「職務等級」の要素を加え、総合的な観点から社員を評価することができるようにしていきます。

役割評価基準の定義づけ

ここまでの作業を行ったところで、役割等級ごとの総合的な要件が洗い出されました。次は、役割評価基準を具体的に定義づけていく作業に入ります。

社員の当てはめ

役職や雇用形態に関わらず、すべての社員の仕事内容や仕事を進める能力、現時点での仕事の進み具合などを見極め、一人ずつ等級を設定していきます。

昇格・降格の基準

次は、人事評価の際の昇格・降格の基準を定めます。具体的には、社員のデータをどの程度集めた上で役割等級による評価を行うか、などを決めていきます。

人事考課基準の完成

役割に応じた等級、そして社員の現状と求められる役割が明らかになったところで、人事考課に役立てることができる基準が完成し、適切に人事労務管理が行える状態となります。

まとめ

  • 等級制度は、社員の能力や職務、期待される立場などを分析し、序列化する制度。職能資格制度・職務等級制度・役割等級制度という3種類の基準がある。
  • 職能資格制度の基準は人、役割等級制度の基準は仕事内容で、2つの制度の利点をあわせもった制度として、役割等級制度が注目される流れとなった。
  • 特色の異なる3種類の等級制度を用いることで、社内における人事労務の管理をスムーズに行うことが可能となり、人事考課の作業に役立てることができる。

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