はじめての方はご登録ください(無料)会員登録
search

2018年6月19日(火)更新

コンピテンシー評価

成果につながる行動特性を人事考課に取り入れるのがコンピテンシー評価です。その評価の方法とはどのようなものなのか解説します。また、制度を導入するまでの手順や事例、うまく運用していくためのポイントなども考えてみましょう。

コンピテンシー評価 に関するニュースやイベントの情報を受取る

コンピテンシー評価とは?

まずコンピテンシーとは何かというと、業務を遂行する能力が高い人に共通する行動特性ということになります。コンピテンシー評価とは、これを評価項目や評価基準として設定し、人事制度の中に組み込んで利用するものです。理想とされる状態をコンピテンシーモデルとして定め、それに向かって社員一人ひとりが目標設定をします。そして、上司や自己による評価、場合によっては同僚などの周囲からの評価も受け、その結果を査定に使ったり、行動改善に使ったりします。

日本企業でもしだいに導入するところが増えており、大学などの教育現場や研究機関でも人材開発のために採用されるようになってきました。

【関連】コンピテンシーとは?人材育成・組織開発への活用法をご紹介 / BizHint HR
【関連】コンピテンシーの意味、ご存知ですか?組織を劇的に変える考え方/ BizHint HR

コンピテンシーが生まれた背景

労働者の賃金を決定する要素は3つあります。それは、人物評価と職務能力評価、それに業績評価です。それぞれのバランスは経営理念や人事戦略によって組織ごとに異なります。一昔前より成果主義を掲げて業績評価を重視する企業が増えましたが、能力があるのにたまたまの縁で業績が上がらなかったり、逆に運が良かっただけで業績を上げて高賃金を得たりするケースも発生していました。

バランスを欠いた評価は社内人事のアンマッチを生み出す結果にもなり、より成果につながりやすい評価手法が求められました。そこで、人物評価の一環として、成果を上げている働き手の、成果に直結する行動パターンを元に、コンピテンシーというものが考え出されたのです。

コンピテンシー評価のメリットと目的

コンピテンシー評価を導入するとどのようなメリットがあるのでしょうか。メリットは導入の目的にもなりますから、しっかり確認しておきましょう。

業績や成果につながりやすい

コンピテンシー評価の中でモデルとして設定されるのは具体的な行動の内容です。思考特性ではなく、あくまでも行動特性を基準とします。なおかつそれは業績や成果に直接つながるものでなくてはいけません。したがって、その行動特性を個人の目標として定めて達成することが、求められる業績や成果に直結します。

また、評価項目として明文化しておくことで、成功法則が社内で共有しやすくなるというメリットもあります。コンピテンシー評価の効果が企業組織全体のものとなります。従業員の教育や能力開発、目標管理がしやすくなるとともに、会社の業績アップも実現しやすくなるのです。

社員の納得感が得られる

運も影響してしまう業績評価や、あいまいになりがちな人物評価などと違って、コンピテンシー評価では本人の努力による行動そのものを具体的に目標として設定します。したがって、評価の違いが評価者と被評価者の認識の間で生まれにくい制度といえます。さらに、多面的に社員の人事考課を実施することになることもあって、納得感が得られます。

能力開発がしやすくなる

コンピテンシー評価の基準は具体的な行動特性や行動の内容ですから、実際の行動目標として設定しやすいです。したがって、その目標を使っての能力開発がしやすいというメリットもあります。自分の努力が何に向かっているのか分からないようなものではないので、従業員にとってもモチベーションを維持しやすくなります。

コンピテンシー評価制度導入までの手順

大きなメリットのあるコンピテンシー評価ですが、正しい手順で導入しないと好ましくない結果につながる可能性があります。理想的な手順を説明します。

ヒアリング

どのような基準項目を評価のために設定するのかを考えるには、まずヒアリングが必要です。中でも最初に行うのが、高い成果を上げている人を理想のモデルとするために、各部門の管理職層にハイパフォーマーの情報を提供してもらうことです。そして、その優秀なスタッフが良い業績を残している要因となる普段の行動特性や発揮頻度を特定します。

部門管理の仕方や管理職の能力によっては、普段の行動特性まで目が届いていない可能性もあります。そのため、ヒアリングは一般社員に対しても行うことが必要です。また、部門によっては理想的な社員が残念ながら居ないことも考えられ、その場合には後述する「理想モデル型」の考え方で、部門内であるべき優秀な社員像を設定します。

基準項目の作成

成果につながる普段の行動がヒアリングによって特定できたら、次に、その行動の内容を基準項目としてまとめます。その内容は具体的でなければならず、成否が曖昧になるような表現ではいけません。また、「顧客への接触をこまめに行う」などのように、行動頻度や行動レベルがパフォーマンスに影響するような内容であれば回数などの数値設定も必要です。実際に成果につながっていること、具体的であること、そして、出来ているかどうかの評価が明確にできることに注意しましょう。

社員の自律的な目標設定

評価項目や基準が定まったら、対象となる社員が自分で目標を決めるようにします。社員教育の一環として、上司や会社が期待行動を目標として与えることも一般論としてはありますが、それではメリットの1つである納得感を得られるという効果が減ってしまいます。会社や上司からの要望や要求を完全に無くすわけではありませんが、社員自ら目標管理を行うことも必須であると考えましょう。

評価と行動改善

適切な評価内容と目標が決まったら、評価するタイミングを設定します。業種や職種によっても異なりますが、長すぎず短すぎず適切な時期になるようにしましょう。最低でも自己評価と上司からの評価を行います。同僚などを入れた360度評価も有効です。

評価によってその項目の充足が確認できた場合はさらに少し高い目標を設定し、出来なかった項目については原因を考察し、何かしらの行動改善を考えます。そしてまた次の期間を迎えて業務を行い、これを継続的に循環するサイクルとして制度を運用していきます。

コンピテンシーモデルのタイプ

コンピテンシー評価を行う際に、社員の具体的な目標像となるものを人物像として設定します。これをコンピテンシーモデルと呼びますが、大きく分けて2つのタイプが考えられます。

理想モデル型

規模がそれほど大きくない企業では、業績につながる行動特性をとる社員が実在しない場合があります。その場合のコンピテンシーモデルは、会社の事業に必要な事柄から考えます。企業理念や事業内容に沿って理想の期待行動を考えればよいので、この手法は比較的に簡単ではあります。

しかし一方で、社員一人ひとりの個性にマッチさせるのが難しいという側面もあるので注意が必要です。どちらかというと中小企業が選択すべきタイプです。

実在モデル型

大企業であれば実際に業績を上げている特定の社員が存在する可能性が高く、その情報を元にモデルを考えられます。その人がどのような行動特性を持っていて、どの行動がパフォーマンスにつながっているのかを検討しましょう。また、特定の行動の発揮頻度も確認できるとなお良いです。

組織そのものに所属人数が多いこともあって手間や労力が必要ですが、厳密で適正なモデルになりやすいという大きなメリットがあります。

評価項目としてのコンピテンシーモデル具体例

ここでいくつかの例を挙げて、コンピテンシーモデルの具体例を考えてみましょう。これからコンピテンシー評価の制度を考えていく人にとって参考になるのではないでしょうか。実際には組織の実情に合わせて行動頻度や行動レベルについてもっと具体的な内容となり、項目数も多くなります。

組織を引っ張るリーダーシップが求められる職務

リーダーシップが求められる職務においては、メンバーを統率して組織目標に向かわせるような行動特性が求められます。

  • 人物評価
    部下の強みや弱みを把握して、それに合わせた対応をする。
  • マンパワーの結集
    知恵や力を集めてまとめ上げる。
  • 政治力
    自らの働きかけによって組織や集団を動かす手段を持ち、それを行使している。
  • 指導・育成
    部下や後輩に気づきを与え、計画的に成長を促している。
  • 冷静さ
    トラブルがあっても感情に流されず、落ち着いた対応をしている。あたふたしない。
  • タイムリーな決断
    適切な時期に必要な判断や決断をしている。時勢を逃さない。

業務を円滑に遂行しなければならない職務

管理部門スタッフなどのようにある程度決まった業務を担当する場合、その業務を円滑に進めるための行動特性が必要です。

  • 誠実さ
    仕事や他人に対して真面目である。いいかげんな仕事をしない。
  • 几帳面さ
    すみずみまで物事をきちんとしておく。
  • 文章力
    真意が相手にしっかり伝わる文章を書いている。
  • 安定運用
    業務の流れを把握して、正しい運用を行っている。
  • トラブル処理
    トラブルやクレームに対して適切な対応が出来ている。
  • 計画性
    計画にしたがって段取り良く物事を進めている。行き当たりばったりにならない。

数値目標の達成が重視される職務

販売や営業などのように数値目標が明確である職種には、数字に対してこだわってチャレンジするような行動が求められます。

  • 徹底性
    いちど決めたことは諦めずに達成するまで挑戦している。
  • リスクテイク
    成功の可能性があれば、失敗のリスクがあっても挑戦している。
  • 目標達成への執着
    最後の瞬間まで目標を諦めずに、打ち手を尽くしている。
  • 対顧客
    顧客への良好な対応を通して、売上に貢献できる行動をとっている。
  • ストレス耐性
    落ち込むような出来事があっても立ち直ることが出来る。
  • 係数処理力
    計算が速く、数値が表している意味を理解している。

コミュニケーションとチームワークが重要な職務

チーム一丸となって職務に当たらなければいけない職種や、人とのコミュニケーションが重要な職種には、対人関係を円滑にするような行動が必要です。

  • 思いやり
    相手の立場に立って物事を考え、理解して対処している。
  • 親密性
    他者から見て印象よく、感じの良さを持っている。
  • チーム精神
    自ら苦労を買って出て、組織が効率よく職務を遂行するように行動している。
  • 上司・先輩との関係
    上役とのコミュニケーションを適切に行い、補佐している。
  • 傾聴力
    相手の立場に立って丁寧に話を聴く。決めつけない。
  • 素直さ
    相手の意見や指導に対して、反発せず、まず受け入れている。

【参考】ビジネス+I:コンピテンシーとは何か?

コンピテンシー評価の注意点から考える成功のためのポイント

コンピテンシー評価を導入するにあたって、注意すべきことがあります。これを理解して制度設計をしていけば、より成功する可能性が高まるものです。

手間ヒマがかかり評価者に慣れが必要

コンピテンシーモデルや評価項目は具体的でなければいけません。なおかつ、必ず成果や業績につながるものであるべきです。したがって、漏れなく重複もないようにそれを定めていくにはどうしても手間がかかります。けれども、この手間ヒマは絶対に必要です。部門ごとに、あるいは個人の目標設定に応じてそれぞれに、目指すべき姿を明確にするために手間と時間をかけることを意識しましょう。

また、評価基準が細かく具体的であればあるほど、評価者には一定の慣れが要求されます。これは、組織内の縦方向にも横方向にも評価項目が異なってくるためです。場合によっては導入後すぐには円滑な運用ができないかもしれませんが、ここでもやはり時間をかけることを意識したほうが良いでしょう。

人事だけで設計せずに長期的な運用を考える

この制度の導入を成功させるためにもう1つ大切なことは、人事部門だけで設計を行わないことです。全社的な取り組みとして経営層から末端の社員まで巻き込まなくてはいけません。評価項目やコンピテンシーモデルを設定するにも経営層や現場の管理職、社員の一人ひとりが考えていく必要があります。そして、いちど定めた基準を適宜に見直して改善するために長期的な運用ができるようにしなければいけません。これらのことは、たとえ仕切りを人事部門が行うとしても単独で出来るものではないため、必ず組織全体での意識共有と運用を目指しましょう。

まとめ

  • 実際に成果につながっている行動特性を評価基準とするコンピテンシー評価は、個人個人を評価することが組織全体の業績アップにもつながっていくことになる制度です。
  • 導入までの手順に注意が必要で、会社全体としての大きな労力も必要です。しかし、組織にも、またそこで働く従業員にもメリットが大きい人事考課の手法と言えます。

注目の人事トピックを、逃さずチェック。

大手やベンチャー含め計20,000人以上の会員が利用しています。

BizHint HRの会員になるとできること

  • 厳選されたニュースが毎日届く
  • BizHint HR限定公開の記事を読める
  • 実務に役立つイベントに申し込める
  • アプリで効率的に情報収集できる
いますぐ無料会員登録

この記事の関連キーワード

フォローボタンをクリックすると、キーワードをフォローすることができます。

キーワードについて

チーム・組織開発の記事を読む

ニュースやイベントの情報を受取る

フォローしたキーワードの最新トピックをトップページに表示します。 フォローはでいつでも変更することができます。
フォローを管理する

目次