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2018年10月6日(土)更新

ゼロベース思考

経済のグローバル化やプロダクトライフサイクルの短期化に伴い、企業には柔軟な発想を前提とした、商品・サービスの開発が必要不可欠です。その結果、経営者を含む社員には経験則に囚われないゼロベース思考の発想が求められるようになっています。今回はゼロベース思考の意味やメリット、習得方法、活用事例からおすすめの本をご紹介いたします。

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ゼロベース思考とは?

消費者の価値観の多様化やイノベーションによる技術革新により、新しい発想による経済活動の重要性が増しています。柔軟な発想を打ち出す方法として注目されているゼロベース思考の意味や注目される理由、さらにゼロベース思考の対となるトレンド思考を知ることで、ゼロベース思考への理解を深めることができます。

ゼロベース思考の意味とは?

ゼロベース思考とは、既存の経験則や枠組み、規則、考え方に囚われることなく、白紙の状態から物事を考える思考方法を指します。柔軟かつ新たな発想が打ち出せ、ビジネス課題の解決法や懸念の払拭につなげることができます。

また、ゼロベース思考は特別な訓練や講習を受けることなく、普段の仕事や生活上で、考え方や姿勢を少し変えるだけで培うことができる思考方法です。現場の社員から経営者まで幅広い人材に対して、意識改革や人材育成につなげられる画期的な思考として注目を集めています。

しかし一方で、今までの考え方や成功体験、前例を否定する思考でもあるため、組織内部での反発も生む可能性があります。ゼロベース思考を持ち、組織内をまとめる リーダーシップを有する、優秀な人材のニーズも同時に高まっています。

ゼロベース思考が注目される理由とは?

ゼロベース思考が注目される理由として、ビジネス環境の変化が挙げられます。

経済のグローバル化やプロダクトライフサイクルの短期化、消費者のニーズ・価値観の多様化など、日本企業を取り巻く経営環境は厳しさを増しています。そのため、高度経済成長期やバブル崩壊以前の成功体験や考え方のみでは、企業が生き残ることは難しく、継続的にイノベーションを打ち出す必要性に迫られています。ゼロベース思考は新たな価値観や創造的な発想を打ち出すことができ、現場レベルから経営者まで幅広い人材が習得可能な思考方法のため、全社的に取り組むことができます。

また、日本企業の多くは組織内に暗黙の制約や前提条件、ルールなどが存在しており、縦割り組織による利害関係が如実に表れやすいといえます。その結果、市場環境の変化に反応することができずに、後手後手の対応になることも珍しくありません。こうした日本の悪しき慣習を持つ日本企業の多くが「ゼロベース思考が足りていない」といわれており、「日本の常識は非常識である」という認識を持つべきという意見や指摘が広がっていると考えられています。

今後も画期的なイノベーションが求められ、多用な価値観を尊重するダイバーシティも広がっていくことから、ますますゼロベース思考が求められると考えられます。

トレンド思考とは?

ゼロベース思考の対となる思考方法に、トレンド思考という考え方があります。

トレンド思考とは、主に目標設定を行なう際に用いられ、過去の延長線上から未来の推移を推論する思考方法です。ビジネスの世界では一般的な問題解決方法の考え方として広く採用されています。主に数値化しやすい金融業会やマーケティングの分野で多く活用されていました。しかし、トレンド思考は過去の経験則に基づいて、改善策や解決法を打ち出す思考方法であり、規則や常識、バイアス(先入観)の中で物事が考えられるため、有効な経営戦略が打ち出せないともいわれています。

自助努力だけでは解決策を打ち出すことが難しい時代となっており、経営統合やM&A、組織・意識改革など柔軟な経営戦略を、いかに迅速に選択・実行できるかが日本企業の成長の鍵といわれています。

ゼロベース思考のメリットとは?

ビジネスの現場にゼロベース思考を採用することで、社員の成長や組織力の強化につながるさまざまなメリットを得ることができます。

高度化・複雑化した課題への解決法の発見

どんなビジネスにおいても、イレギュラーといわれる事態や課題が発生してしまいます。通常の業務におけるトラブルや課題は経験則や規則によって解決できる場合がほとんどですが、企業の存続や不確実性の高い経営に関わる問題は、既存の戦略やトレンド思考では解決が難しいといえます。

ゼロベース思考は業界や組織の常識や枠組み、バイアス(先入観)に囚われない発想を打ち出せるため、高度化・複雑化した課題に対する、迅速かつ最適な解決法を打ち出すことができます。

柔軟かつ創造的な発想が可能

イノベーションの創出は過去の経験則の延長線上ではく、新たな価値観や独創的な発想によって、生み出されます。また、常識や既存の枠組みを超えたところに、消費者の新たなニーズが生まれ、経済的恩恵を受けることができます。

日本企業の多くがイノベーションという言葉を使い、経営戦略の重要な柱としていますが、同時に白紙の状態から物事を判断できるゼロベース思考のもつ人材が必要です。ゼロベース思考を持つ人材を育成することで、事業に必要な柔軟かつ創造的な発想が可能となります。

そのため、企業にはゼロベース思考を促進し、受容できる労働環境の構築も求められており、トレンド思考からゼロベース思考を促す意識改革を実施しなければいけません。

顧客視点での思考の習得

ゼロ思考ベースは、主観的な視点や経験則からではなく、顧客や消費者などの相手の立場になって考えることを前提とした思考方法です。そのため、別の視点からの発想や解決策を打ち出しやすく、ビジネスで重要視される顧客視点での思考を習得できます。

しかし、現在の日本企業の組織内にはさまざまな利害関係が密接に絡み合い、暗黙の条件や制約が設けられることが珍しくありません。顧客・消費者ニーズに応えていくことこそが、企業の果たすべき社会的責任であり、顧客や消費者の視点で物事を考えなければいけません。

経営の不確実性が増す中で、物事を白紙の状態から考えられるゼロベース思考を持つ企業こそが、今後も生き抜いていけると考えられています。

ゼロベース思考の身につけ方とは?

ゼロベース思考は、誰もが実践でき、いつでも始めることができる思考です。以下に紹介する習慣を取り入れ、コツを知ることで、ゼロベース思考に近づくことができます。

クリティカル・シンキングを持つ

クリティカル・シンキングとは、「批判的思考」という意味を持つ思考方法の一つですが、ビジネスの世界では、目の前の情報や事象を鵜呑みにせず、疑問を投げかけながら、考察を繰り返し、結論を出す思考を指します。

ゼロベース思考は、これまでの常識や規則、枠組みを常に疑い、本当に正しいかどうかを考察し、白紙の状態から結論を打ち出していくため、クリティカル・シンキングはゼロベース思考の下地となる考え方です。クリティカル・シンキングは単なる批判ではなく、客観的な視点から物事を考えることができ、他人だけでなく、自分に対しても疑問を投げかけることができます。

常に疑問を持ち、じっくりと考察を行なうクリティカル・シンキングを行なうことで、自然とゼロベース思考に近づけると考えられています。

【関連】クリティカル・シンキングとは?基本姿勢や他思考法との違い・研修会社や書籍までご紹介/BizHint HR

違う環境に身を置く

ゼロベース思考は、外部環境の常識や規則だけでなく、自分の中にある経験則や考え方をゼロベースにしなければいけません。そのためにも、ビジネスや私生活の中で、自分と関わりのない環境に敢えて身を置くことが大切です。

別の課題を取り組む、家事・育児をする、職業・趣味の異なる友人と会うなど、新たな価値観や発想と出会える環境に身を置くことで、自分の中の考えや価値観を変えることができます。仕事とは関係のない、別の事象や物事に意識を向けることも、ゼロベース思考を育成する上では大切な要素といえます。

ゼロベース思考の注意点とは?

ゼロベース思考のメリットは、目の前にある目標と状況を冷静に分析し、新たな発想や打開策を打ち出せるという点にあります。しかし、過去の成功体験への執着が強い方にはなかなか受け入れられない考え方でもあります。

裁量を持っている管理職が活躍していた時代(業界自体が好況であった時期)や洞察力(市場環境の変化を把握する能力など)によって、事業戦略が決まってしまうことが珍しくなく、大きな組織ほどその傾向が顕著といえます。そのため、比較的新しい現場の最前線を経験している若手管理職やリーダーこそが、ゼロベース思考を実践し、状況を冷静に分析した内容を上層部に提案することが大切です。

また、経営者を始めとする上層部を担う管理職は、ゼロベース思考の提案を冷静に受け止める姿勢(ゼロベース思考)も求められます。

ゼロベース思考の活用例とは?

ゼロベース思考はさまざまなビジネスシーンでの活用が可能です。今回はゼロベース思考を活用できる、主な活用例をご紹介いたします。

営業におけるゼロベース思考の活用例

企業の経済活動において、新規・既存顧客にアプローチを行なう営業部門は、企業の生命線といえます。営業の場合、アプローチする顧客層や営業手法、間接部門や企画部門とのやりとりなど、考えるべき事柄が多数あります。そのため、他の部門よりもゼロベース思考を採用しやすい現場といえます。

ゼロベース思考を採用する場合は、現在取り組んでいる内容を一旦ないものと仮定して、考えることが最適といわれています。既存の顧客、営業手法、ミーティング、企画、人材育成方法が「ない」と仮定することで、既存の枠組みや常識、バイアス(先入観)を超えた発想を打ち出しやすくなります。

また、行動量が多い営業職だからこそ気付ける点も多く、新たな施策を打ち出しやすいといえます。

目標設定におけるゼロベース思考の活用例

近年、過去に焦点をあてるアプローチ方法が見直され、将来に向けた生産性の高い取り組み(フィードフォワードタレントプールなど)を採用する企業が増えています。また、全ての従業員が課せられる目標設定は、一般的に、過去に焦点を当てるフィードバックが採用されています。しかし、高い目標を達成する上では、未来志向の視点で目標設定を行なうべきであり、その過程でもゼロベース思考を役立てることができます。

ゼロベース思考は「何のために?」、「どうすればよいか?」という未来志向の視点で、課題への解決策を白紙の状態から考えることができます。一方で過去に焦点を当てたトレンド思考は、過去の成功体験や経験に則り、現状をポジティブなものに考えてしまいがちです。過去から解決策を見出すため、改善はできても新たな解決策を見出す思考としては適切ではないと考えられます。ゼロベース思考は過去の状況に縛られることなく、現状を冷静に分析し、打ち手を打ち出せるため、目標像に近づき、目標達成の確率を向上させることができます。

ゼロベース思考を学べる本をご紹介

ゼロベース思考は普段の考え方や習慣を少し変えることで、徐々にコツを身につけることができます。また、ゼロベース思考に焦点を当てた書籍も多数販売されており、実践前の学習には最適といえます。

今回はゼロベース思考の理解をさらに深めたい方におすすめの書籍をご紹介いたします。

0ベース思考

『やばい経済学』の著者であるスティーヴン・レヴィット氏とスティーヴン・ダブナー氏の次回作『0ベース思考』では、身近な題材を基に、社会にありふれた常識や思い込みなどを紹介し、経済学の本質である「完全合理性」に基づいたゼロベース思考を紹介しています。

内容も読みやすく、ゼロベース思考を一から学びたい新人社員や若手管理職におすすめの本といえいます。

【参考】amazon 0ベース思考

知らないからできる 既成概念を覆す「0(ゼロ)ベース思考」

実際に起きた組織内での出来事をフィクションとして紹介しながら、ゼロベース思考の重要性を説いている書籍です。物語を楽しみながら、常識を超えるための「ゼロベース思考」を身につけることができ、TOC(制約理論)やCCPM(クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント)を、読者にわかりやすい形で紹介しているところに定評があります。

ストーリー形式でゼロベース思考を学べるため、実用書が苦手な方におすすめしたい本といえます。

【参考】amazon 知らないからできる 既成概念を覆す「0(ゼロ)ベース思考」

ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング

世界的に有名なコンサルティング会社「マッキンゼー・アンド・カンパニー」で14年間活躍した赤羽雄二氏が著者を務め、自らの二十数年間にわたって、改良されたシンプルなゼロベース思考のトレーニング方法を紹介している本です。

「書く」、「考える」という二つのシンプルな行動のみで、ゼロベース思考を実践できるため、ゼロベース思考を実践してみたい方や新入社員におすすめしたい書籍でもあります。

【参考】amazon ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング

コラボレーション・プロフェッショナル―ゼロベース思考の状況マネジメント

ロジック(論理)だけでは攻略できないビジネス世界において、ゼロベース思考をはじめ、協働で新たなモノを創出するためのプロセスに必要な思考と技術を紹介してくれている本です。共感を得て目的を達成する方法を、事例を通して、わかりやすく解説されています。

ゼロベース思考の具体的な考え方はもちろん、状況マネジメントの指南書としても評価が高い書籍のため、営業や企画などの最前線で活躍するビジネスパーソンに読んでもらいたい本といえます。

【参考】amazon コラボレーション・プロフェッショナル―ゼロベース思考の状況マネジメント

まとめ

  • 今後、ビジネス課題が高度化・複雑化していく中において、柔軟かつ新たな発想できる能力は職業、業界、役職、担当部署に関係なく、あらゆる人材に求められます。
  • ゼロベース思考は従来の常識や枠組み、規則に囚われない、未来志向の思考方法です。イノベーションをはじめ、あらゆるビジネスシーンの問題解決方法に効果を発揮し、実践しやすい思考でもあります。
  • 意識改革や組織力強化、生産性向上を目指したいと考えている方は、ゼロベース思考を実践してみてはいかがでしょうか。

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