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2017年9月18日(月)更新

行動科学

労働人口が減少する日本社会では、生産性の高い優秀な従業員の育成が急務となっています。そこで注目されているのが、科学的に実証された行動科学です。今回は行動科学が応用できる場面をご紹介するとともに、行動科学を学べる教育機関や書籍を併せて、ご紹介いたします。

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行動科学とは?

行動科学の元々の意味は、人間の行動を学問的に研究し、体系化する学問を指します。ビジネス界においては、目標設定や部下のマネジメントに、「行動科学マネジメント」という形で応用されています。人口が減少する日本社会では、管理職を含む一人当たりの仕事量は増加傾向にあります。

自発的に行動する、生産性の高い社員の育成は企業の将来を左右すると言っても過言ではありません。そこで注目されているのが行動科学です。「人間の行動」を徹底的に理解する行動科学は、組織運営や従業員のマネジメント、目標管理、マーケティングなど幅広い分野で応用が可能です。

また、個人の習慣や普段の行動を継続的なものにすることにも効果的とされており、大学や大学院では科目としても採用され、行動科学に関連した書籍も多数販売されています。

行動科学で使える場面

行動科学を応用できる場面は大きく分けて、企業と個人の2つがあります。企業では「自ら考え業務を遂行する」能動的な従業員の育成やマネジメント、目標管理などの組織運営にも役に立ちます。

また、どんな属性の消費者が、どんな商品・サービスを利用するのかというマーケティング調査にも採用され、企業の商品・サービス開発にも役立てられています。

個人においては、勉強や運動など日々取り組もうとしても、なかなか習慣化しにくい行動を習慣化させる手法として、その逆である減らすべき行動(喫煙や飲酒、過食など)を改善する手法としても注目されています。

個人の行動を改善することは、仕事やプライベートに良い結果をもたらしてくれるため、さまざまな視点や角度から注目した行動科学メソッドが多数生まれています。

行動科学は企業のどんな場面で使えるか

行動科学を活かしたマネジメントは「行動科学マネジメント」と呼ばれ、組織運営やチームメンバーのマネジメント、メンバーの目標管理、さらには商品・サービスに欠かせないマーケティングや人材育成にも応用されています。

組織や人のマネジメント

行動科学を組織や人のマネジメントとして応用した手法は「行動科学マネジメント」と呼ばれています。

この行動科学マネジメントを導入することで2つのメリットが生まれます。

  1. 結果だけでなく、プロセスに対する評価・効果測定ができる
  2. 企業文化や社風、従来のマネジメントに融合して使用できる
    (今まで育成した人材や取り組みが無駄にならない)

これらのメリットが生まれる理由は、行動(プロセス)に焦点を当てるという行動科学マネジメント独特のアプローチにあります。

行動科学マネジメントは改善したい目標に対する行動(プロセス)を分解して、取り組むことから始まります。

例えば、営業成績の振るわない部下に対して、クロージングの方法やその前の手順(営業の事前準備、顧客へのヒアリング、プレゼンテーション)に原因を探り、指導する上司がほとんどかと思います。しかし、行動科学マネジメントはこれらのプロセスをさらに分解し、行動のレパートリーを洗い出します。顧客へのヒアリングを行う際は、話を聞く際は相手の目を見る、適度に相槌を打つ、ヒアリングの間に適切な質問をする、話しやすい環境を整えるなど細かく行動を分解することができます。

このように行動(プロセス)をひとつ一つ分解し、結果に直結する行動に迫るのが行動科学マネジメントです。行動のレパートリーを洗い出すことによって、部下の行動規範を示すことができるだけでなく、行動それぞれに評価・振り返りが可能になるため、従来の結果だけのフィードバックよりも結果に直結するフィードバックができます。

また、行動科学マネジメントは従来の取り組みやマネジメントに融合して使用することができます。例えば、「電話アポ強化週間」という既に実施されている取り組みがあるとします。この取り組みに行動科学マネジメントを融合させる場合は、電話をかける際も姿勢を正す、普段よりも大きな声で話す、普段よりも電話の回数を増やすなど行動のレパートリーに分解するという作業を加えるだけで実施が可能です。

【関連】行動科学マネジメントとは?意味や詳細、具体的な方法をご紹介 / BizHint HR

マーケティング

商品やサービスを購入する消費者の行動や心理は、経済学において、長らく無視されてきました。

しかし、自社の商品・サービスの売上を上げるためには消費者の行動や心理を細かく分析し、消費者の購入モチベーション(購入心理)を把握する必要があります。行動科学は消費者の行動を細かく掘り下げ、購買行動や消費行動はもちろん、思考や感情、それらがどのように市場に影響を与えるかまでの理由付けに成功しました。

そのため、現在ではマーケティング部門において、欠かせない調査方法となっています。

【参考】DIRECT 社長のためのビジネス洋書 ダイレクト出版 行動科学マーケティング

目標管理

目標管理と行動科学には共通点があります。目標管理とは、自立したナレッジワーカー(知識労働者)が目標を達成するために自己管理していく手法を指します。この目標管理は、企業と個人双方の満足を調和し、同時に達成することができる手法でもあります。

また、目標が課せられる対象は、経営陣から作業員一人ひとりに対して設定されており、個人の主体性を重んじています。一方の行動科学は人間の主体性を重視します。この人間の主体性を重視するという点では、自己管理を重んじる目標管理と共通しているといえます。

また、行動科学では分解された行動レパートリーを定量的に評価することができます。管理職は行動科学マネジメントを用いることで、部下の行動が結果に結びつくものかどうかを評価・助言できるため、目標管理との相性がとても良いとされています。

【関連】MBO(目標管理)とは?メリット・デメリットから実施方法まで / BizHint HR

人材育成

先の「目標管理」でもご説明したとおり、行動科学は自立した優秀な人材を育成するのに最適な手法です。

どの会社にも「できない社員」とレッテルを貼られている社員が存在します。しかし、部下を「できない社員」と決め付けてしまうことは管理職としては失格といえるでしょう。また、本来、人材育成においては人格と行動は明確に分けて考えるべきです。そこで活用したい手法が行動科学です。行動科学は目標に対する行動(プロセス)を分解することができます。

「できない社員」に対して、行動レパートリーを提示し、つまずきやすい行動を把握させることが大切です。つまずきやすい行動を、適切に把握・指導し、反復練習させることで「自ら考え、行動する」自発的な人材の育成することができます。

このように自分の基準で部下へあれこれ指示を出すのではなく、部下の行動を分解し、結果に結びつく行動レパートリーを示してあげることが大切です。

しかし、行動レパートリーを提示したが、継続できないという事態が発生してしまいます。この場合は提示した行動レパートリーを繰り返し実践できるように「強化」する必要があります。この「強化」の代表的な施策がインセンティブです。

人は何か行動を起こした後に賞賛・評価されることで、その行動を習慣化し、定着させていくので効果的です。しかし、このインセンティブ付与の期間が長ければ長くなるほど、持続性が低下してしまいます。そのため、半期に一度与えられる賞与(ボーナス)とは別に短期的なインセンティブを付与することが望ましいでしょう。

【関連】人材育成とは?目的と実施方法について / BizHint HR

行動科学は個人でどんな時に使えるか

行動科学は企業だけでなく、個人の行動にも応用することができます。

その代表的なものが「習慣化」です。この「習慣化」を自分のものにするには行動が鍵となります。この行動をコントロールするのに最適な手法が行動科学です。

不足行動を増やしたいとき

不足行動とは、今の自分に足りていない部分を補う行動を指します。社会人であれば、業務時間とは別に確保すべき勉強時間や運動時間を指すことが多いでしょう。この不足行動を得るためには、3つのコツが存在します。それが以下の3つです。

  • 行動を継続させる工夫
    不足行動は自分に足りていないものを補う行動のため、精神的・肉体的にもつらく、挫折しやすい傾向にあります。挫折せずに不足行動を持続させるためには、行動を継続できる工夫が必要です。例えば、運動時は好きな音楽を聞く、勉強する時は快適な場所を確保するなどが挙げられます。
  • ご褒美をつける
    不足行動は、元々自分に足りていないものを補う行動のため、結果が出るのに時間がかかってしまいがちです。

しかし、目標が遠ければ遠いほど、不足行動を持続させることが難しくなります。そこでおすすめなのが、不足行動の後にご褒美を設定することです。目に見えるご褒美を設置することで、気乗りしない行動でもこなすことができます。日々の勉強や運動の後に何かしらのご褒美(お酒を嗜む、好きなテレビを見る等)をつけるようにしましょう。

  • 不足行動を行いやすい環境を整える
    強靭な精神やモチベーションがない限り、ほとんどの人が不足行動をする前に躊躇し、諦めてしまいます。

これらの躊躇いを防ぐには、身の周りの環境を整えることがおすすめです。環境を整えるといってもやることはとても簡単です。勉強であれば、通勤時間やお昼休憩などにすぐ勉強できるように参考書を持ち歩く、運動であれば、常にスポーツウェアを持ち歩くなどが挙げられます。不足行動を行いやすいように環境を整えるときは、取り掛かりやすい簡単な方法を取りいれるのが効果的です。

過剰行動を減らしたいとき

過剰行動とは、自分のある行動が過剰であると認識し、それを減らしてく行動を指します。わかりやすい例を挙げると、ダイエットや禁煙や禁酒がそれに当たります。これら、過剰行動を減らすためには、先にご紹介した不足行動を成し遂げる3つのコツを逆に行うのが効果的です。

  • 誘惑を徹底的に排除する
  • ペナルティの付与(第三者を巻き込むのもよし)
  • 達成困難な環境を整える

禁酒でそれぞれのコツを見てみましょう。

家にお酒を置かない、通勤路を変える(歓楽街を避ける)、飲み仲間と夕食を共にしない(ランチで留める)ことが誘惑の排除にあたります。奥さんなどの家族に協力してもらい、禁酒を破れば、「一ヶ月お小遣いなし」という罰則をつける行為がペナルティの付与にあたります。そして、お財布にはランチ代など最低限のお金しか入れない行為が達成困難な環境の整備にあたります。

行動科学を学ぶには

企業においても、個人においても素晴らしい効力を発揮する行動科学。そして、この行動科学は誰でも実践ができ、自分のものにできるというメリットがあります。この章では行動科学を学ぶためのおすすめの方法をご紹介いたします。

教育機関で学ぶ

行動科学は大学や大学院が提供するコースや通信教育で学ぶことができ、中には心理学会認定心理士という資格を取得できるコースも用意されています。

千葉大学文学部行動科学コース

千葉大学の文学部行動科学コースでは、人間の意識や動き、知性、社会的・文化的特性をはじめ、人間特有の言語や生物としての特性に焦点をあて、行動科学を学ぶことができます。また、5つの専修(哲学専修、認知情報科学専修、心理学専修、社会学専修、文化人類学専修)が用意されており、学生が関心を持つ専修から好きな専修を選択できます。

【出典】【千葉大学文学部】行動科学コース【2017年度3月時点(執筆日時点)】

東京未来大学モチベーション行動科学部

ポジティブな人間関係作りやチーム作りを目的に行動科学を学ぶことができます。行動科学の理論とアクティブ・ラーニングなどの実践のサイクルを通して、モチベーションマネジメントを学ぶことができます。また、日本心理学会認定心理士や社会調査士、公認モチベーション・マネージャなど取得できる資格が豊富に用意されています。通信教育も実施されており、社会人でも自由に学ぶことができる環境が魅力的です。 【2017年度3月時点(執筆日時点)】

【出典】【東京未来大学】モチベーション行動科学部

東北大学大学院文学研究科/文学部

行動科学研究室 東北大学大学院の行動科学研究室では、社会階層と階層意識、社会的ジレンマ、信頼の形成と社会的ネットワーク、合理的選択理論、社会調査法とデータ分析法のカテゴリーで行動科学を学ぶことができます。社会調査を含む数理・計量的方法を学ぶことができるので、修了後は即戦力として活躍することができます。 【2017年度3月時点(執筆日時点)】

【出典】【東北大学大学院文学研究科/文学部】行動科学研究室

セミナー・本で学ぶ

大学や大学院に通うには多額の費用と時間が必要となります。もっと手軽に行動科学を学ぶにはセミナーや書籍を利用するのがおすすめです。

「行動科学で人生を変える」

個人の行動を改善する行動科学が学べる著書です。目標を達成できる人とそうでない人の違いを説明した上で、科学的に正しい行動の変え方(行動科学)を紹介しています。著者の石田淳氏は、アメリカのビジネス界で実践されている行動科学マネジメントを、日本人向けにアレンジした第一人者としても知られています。

【出典】【amazon.co.jp】行動科学で人生を変える (Forest 2545 Shinsyo)

行動科学で人生がみるみる変わる!「結果」が出る習慣術

同じく、日本の行動科学マネジメントの第一人者である石田淳氏が、行動を変える簡単な方法を紹介している著書です。習慣の重要性や行動をコントロールするコツ、チェックシートの作り方などの具体的な手法を紹介してくれます。その他、「仕事」、「人間関係」、「日常」それぞれに活かせる習慣を具体的な実例を基に紹介してくれています。

【出典】【amazon.co.jp】行動科学で人生がみるみる変わる! 「結果」が出る習慣術 (単行本)

まとめ

バブル崩壊以降に取り入れられた欧米の成果主義は、従業員の業務に対するモチベーションに極端な差を生じさせてしまいました。

行動科学に基づいたマネジメントや目標管理、個人の行動の習慣化は、仕事を喜んで取り組む、自立した人材を育成するのに最適の手法といえます。

また、行動科学は既存の取り組みや企業文化との融合が可能なので、少しでも興味を持たれた方は導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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