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2018年6月3日(日)更新

ラインマネージャー

ビジネス課題が複雑化・高度化していく中で、現場を中心とした、迅速かつ柔軟な意思決定や行動(活動)は必要不可欠といえます。中でも部下の育成や組織構築を担うラインマネージャーは重要な役割を持っています。今回はラインマネージャーの意味や役割、ラインマネージャーとプロジェクトマネージャーとの違い、ラインマネージャーに必要な能力・育成方法を合わせて、ご紹介いたします。

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ラインマネージャーとは?

個人や組織におけるマネジメントや現場の意思決定を担うラインマネージャーは、企業に必要不可欠な存在です。その意味やラインマネージャーが重視される理由、プロジェクトマネージャーとの違いを知ることで、ラインマネージャーに対する理解を深めることができます。

ラインマネージャーの意味

ラインマネージャーとは、多くの日本企業が採用しているライン組織(指示系統が明確に分けられている組織形態のひとつ)において、意思決定権を持つ管理職を指すビジネス用語です(製薬会社において、新薬の開発・研究を担う臨床開発ラインマネージャーとしても知られています)。

ラインマネージャーはファーストラインマネージャーとセカンドラインマネージャーの2つに分けられ、それぞれ求められる役割や能力が異なります。

ファーストラインマネージャーは現場のスタッフやチームメンバー一人ひとりに対するマネジメントや現場に近い管理業務を行い、一般的には係長や課長などの役職が該当します。

一方で、セカンドラインマネージャーはファーストラインマネージャーの上位管理者にあたり、組織全体のマネジメントを行い、部長職以上の役職が該当します。セカンドラインマネージャーには、社員(従業員)が快適に働ける労働環境の構築や、企業が定める組織としての目標を達成する責任を担っており、より難しいマネジメントが求められます。

イノベーションや経済のグローバル化の影響によりビジネス課題が高度化・複雑化する環境の中で、ラインマネージャーには柔軟で迅速な意思決定が求められると同時に、社員一人ひとりが「自ら考え、行動(活動)できる」自律型組織の構築を目指さなければいけません。そのため、今後もラインマネージャーに求められる役割や能力は拡大、重視されると考えられます。

ラインマネージャーが重視される理由

組織の意思決定権を担うラインマネージャーは、企業が定めた事業戦略や人事制度の執行者としての役割を担っており、規則やルールに基づいた、個人・組織のパフォーマンスの最大化が求められます。

そのため、調整力や育成能力、業務の選択・判断能力といった複数の高度なマネジメント能力が求められ、企業や営利組織にとって、必要不可欠な存在と認識されています。

相反する取り組みへの中心的な存在

ビジネス課題や将来の収益軸となる新たなビジネスの立ち上げでは、さまざまな分野において、経済合理性と相反する考え方や取り組みが必要となるため、これらの相違を融合し、確立させる役割が必要です。ラインマネージャーは、この相反する事象や事柄を融合させる中心的な役割として認識されており、新規事業の創出や事業の運営・運用において欠かせない存在と考えられます。

ラインマネージャーを取り巻く環境の変化

高度化・複雑化したビジネス課題に対応するために、企業はスピード経営や成果主義の徹底、組織のフラット化に舵を切っており、ラインマネージャーを取り巻く環境が大きく変化しています。さらにはグローバル目線での事業展開に伴うグローバル人事の導入やチームマネジメントの強化、ダイバーシティへの理解などラインマネージャーの負担を増やす取り組みが増えており、企業の重視する人材育成が想定以上に進まない現状が指摘されています。

これらの現状を踏まえて人事部門では、ラインマネージャーが適切に業務の執行、部下・チームメンバーの評価を行えるよう、人事管理における権限移譲やラインマネージャーに対するサポート体制の構築が求められます。

ラインマネージャーの役割(職務内容)の変化

少子高齢化に伴う労働人口の減少により、ラインマネージャーの役割(職務内容)は従来の指示命令型から、部下をリードし、育成するコーチング型の役割(職務内容)を重視する企業が増えています。また、指令系統の階層数の削減に伴い、意思決定権の権限移譲が活発化してきており、「自ら考え、行動(活動)する」組織のニーズも高まっています。

そのため、組織をマネジメントするラインマネージャーの役割(職務内容)も変化し、注目が集まっていると考えられます。

プロジェクトマネージャー(PM)との違い

企業の中には、ラインマネージャーと似た役割を担う「プロジェクトマネージャー」という役職が存在します。

プロジェクトマネージャーとは、主に開発業務を行うプロジェクトにおいて、顧客や社内の他部門、部下・チームメンバーの調整、管理などのプロジェクト全体の管理業務を担う役職のひとつです。プロジェクトマネージャーには、顧客の要望をはじめとした、プロジェクト内で必要とされる「意思決定力」、プロジェクト全体の「管理・推進力」に加え、顧客や外部との交渉やプロジェクトメンバーとの意思疎通などの「対人関係促進力」などが求められます。

プロジェクトマネージャーは、ライン組織の中ではラインマネージャーの下位に位置付けられており、ラインマネージャーは上長に該当します。そのため、ラインマネージャーはプロジェクトマネージャーを統括するマネジメント能力が求められます。

一方で、プロジェクトマネージャーはプロジェクトの細部に至るまで調整・管理業務の役割を担うため、ラインマネージャーの業務とは明確に区別されることが望ましいとされています。プロジェクトマネージャーの経験を積んだ後に、ラインマネージャーへと昇進するケースも多く、プロジェクトマネージャーはラインマネージャーに昇進するための登竜門として位置付けることができます。

ファーストラインマネージャーの役割

ラインマネージャーは、ファーストラインマネージャーとセカンドラインマネージャーの2種類に分けられます。

それぞれの役割には明確な違いがあり、ファーストラインマネージャーは係長や課長など現場に近い管理職が該当します。以下の内容が、一般的にファーストラインマネージャーに求められている役割です。

現場での意思決定

顧客のニーズ・価値観が多様化する中で、企業は柔軟かつ迅速に対応しなければならず、従来のライン組織の指揮系統では太刀打ちできない状況が増えてきました。そのため、現場に近い管理職であるファーストラインマネージャーは、現場で発生した問題や課題への解決策や事業推進における判断を、柔軟かつ迅速に行なわなければいけません。

ファーストラインマネージャーのパフォーマンスを向上させる上でも、セカンドラインマネージャーや人事部門は意思決定の範囲拡大や権限移譲を行う必要があります。

部下への適切な指示

ファーストラインマネージャーには、所属する部下やチームメンバーに具体的な指示、指導を直接的に行う役割を担います。部下からの進捗や判断依頼を適切に処理すると同時に、部下のケアも欠かせません。

そのため、ファーストラインマネージャーはセカンドラインマネージャー以上の管理職からの成果に対する重圧を受けつつ、現場の人間を直接管理しなければならないため、管理職の中でも最も大変な役職といわれています。

部下の成長に対する責任

ファーストラインマネージャーは、所属する部下の育成やチームマネジメントを直接的に行う立場にあります。

そのため、ファーストラインマネージャーは部下の成長に対する責任を負い、部下の成長度合いによって、人事評価が下されることも珍しくありません。部下の育成は管理職の腕の見せ処としても認識されており、ビジネスパーソンとして伸び盛りである20代の若手社員の成長は、ファーストラインマネージャーの高い実績として認められます。

また、人材育成は企業イメージの強化にもつながり、ビジネスの交渉上でも優位に立てるといわれています。ファーストラインマネージャーを担うことは、企業や組織の中で存在感を増す優れた機会ともいえます。

セカンドラインマネージャーの役割

セカンドラインマネージャーは、ファーストラインマネージャーよりも上位のラインマネージャーに位置付けられており、ファーストラインマネージャーと比べて、担うべき役割や負うべき責任の範囲も拡大されます。以下の内容が、一般的にセカンドラインマネージャーに求められている役割です。

組織の構築と全体最適

セカンドラインマネージャーは、企業から組織としての目標達成を求められるため、組織全体を対象にしたマネジメントの実施を行います。そのため、組織として最大のパフォーマンスを発揮できる組織体制の構築と、業務全体を全体最適させ、優れた成果を出さなければいけません。

必要最低限の人員構成と情報システムなどを活用した組織構築だけでなく、利益確保を前提とした事業計画や売上予測、目標達成に向けたプランの作成も担います。個人よりも組織としての成果が人事評価の判断基準となるため、ファーストラインマネージャーとの密なコミュニケーションも欠かせません。

組織の雰囲気作り

セカンドラインマネージャーは、社員が高いモチベーションを保ちつつ、自らの能力を最大限に発揮できる組織の雰囲気作りを心掛けなければいけません。円滑なコミュニケーションの促進や多様な考え方・価値観を受け入れる組織の形成、社員の目標達成に向けた前向きな姿勢をサポートする労働環境の構築などが求められます。

ファーストラインマネージャーのように、部下やチームメンバー一人ひとりにかけるマネジメントの時間は減ります。しかし、ケアすべき対象がファーストラインマネージャーに移行するため、全体最適を意識しつつも、ファーストラインマネージャーが能力を発揮させやすくすることもセカンドラインマネージャーの重要な役割といえます。

コンプライアンスの遵守

セカンドラインマネージャーは、組織としての成果を求められる一方で、社会的責任を果たす役割も担います。コンプライアンス(知的財産権や法規制)の遵守はもちろん、ハラスメント長時間労働の防止など、部下の労働環境の改善・維持にも努めなければいけません。

これらの制約や負担を考慮した上で、企業から求められる組織としての成果を達成し、企業全体の成長を目指すこともセカンドラインマネージャーに求められる役割といえます。

ラインマネージャーに必要な能力

ラインマネージャーには、主に「リーダーシップ」、「仕事の選別能力」、「部下の育成能力」の3つが求められます。

ラインマネージャー特有のリーダーシップ

マネジメントを担うラインマネージャーは、その役割や能力の性質上、「リーダーシップとは分けて、考えるべき」と言われています。しかし、ラインマネージャーはマネジメントの対象が異なるものの、社員同士のコミュニケーションを円滑にする補完的な意味合いでリーダーシップが必要です。

また、ラインマネージャーは人事に関わる意思決定権(部下の評価や適材適所の人員配置を決める決定権)を有しており、それらの権限を適切に行使する技術が駆使して、成果を上げなければいけません。

特にファーストラインマネージャーは部下の育成を担い、部下の成長に対する責任を課せられています。部下に「どのように仕事を依頼するか」、「業務内容を正しく理解させるか」など、部下の能力を最大限に発揮させるための方向性(ミッションの具体化・共有化やビジョンの確立)を示さなければいけないため、マネジメントを補完する特殊なリーダーシップが必要です。

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自身の業務の選別能力

現場に近いラインマネージャーは、労働人口の減少に伴う人手不足に伴い、部下やチームのマネジメントとともに、自らも業務を担当するプレイングマネージャーとして活躍する人が増えています。

しかしラインマネージャーは、部下の育成や組織の全体最適など、会社の成長に貢献する重要度の高い業務を担わなければなりません。そのため、プレイングマネージャーに近いラインマネージャーほど、自らの業務に優先度をつけて、適切に処理する必要があります。

ラインマネージャーに限らず、多くのプレイングマネージャーが「重要度は低いが、緊急度の高い」業務に終始しがちとなり、業務に忙殺されてしまう傾向がみられます。しかし、ラインマネージャーの評価対象となる業務は「重要度が高いが、緊急度の低い」業務も多く、時間が要するものばかりです。そのため、プレイングマネージャーは「企業に求められている役割や成果は何か」を明確にし、自身の業務を適切に選別する能力が求められます。

【関連】プレイングマネージャーとは?求められる役割と陥りがちなこと/BizHint HR

部下の育成能力

ラインマネージャーの多くは、組織としての成果を求められ、自らが率いる組織に所属する部下やチームメンバーの能力を最大限に発揮できる組織作りが欠かせません。

そのため、人事制度(人材育成制度)や、部下のキャリアデザインのサポート、人材育成のマネジメントプロセスへの理解を深めるためにも、人事部門の協力とサポートが必要です。また、現場における人材育成を実践し、人材育成能力を向上させる上では、高度なコミュニケーション能力とコーチング能力、MBOの策定・1on1フィードバックといったマネジメント全般が求められます。

【関連】人材育成とは?育成手段や施策・対象別の目的や求められるスキル・育成方法までご紹介/BizHint HR

ラインマネージャーの育成方法

決断力・行動力ともに優れた優秀なラインマネージャーを育成することは、企業の至上命題であり、重要な経営戦略の一つとして位置付けられています。また、多忙を極めるラインマネージャーが適切なマネジメントを行うためには、人事部門のサポートが欠かせません。

本項では、人事部門担当者の視点で行えるラインマネージャーを育成する方法をご紹介いたします。

キャリア相談室の機能強化

組織のフラット化や労働人口の減少に伴い、プレイングマネージャーとして活躍するラインマネージャーが増えているため、ラインマネージャーのマネジメントをサポートする人事部門の存在が欠かせません。

ファーストラインマネージャーは所属する部下一人ひとりの育成と成長に責任を負います。しかし、多忙を極めるファーストラインマネージャーが、部下一人ひとりの描くキャリアパスや希望を吸い上げることは困難といえます。そのため、人事部門は全社員を対象としたキャリア相談室の機能を強化し、現場の悩みの抽出、キャリア相談の実施を行い、ラインマネージャーが部下のサポートをしやすい体制の構築支援をしなければいけません。

コーチング研修の実施

部下の育成において、最も効果的な手法として、コーチングが挙げられます。コーチングとは、指導者と指導を受ける者が密なコミュニケーションを取ることで、問題点を解決していく、人材育成手法のひとつです。

ファーストラインマネージャーは、部下一人ひとりの育成と成長に責任を課せられているため、コーチングは部下に関する情報の収集や課題・懸念点の解決策において、高い効果を得られます。そのため、人事部門では適切なタイミングでラインマネージャーを対象としたコーチング研修の実施が望ましいといえます。

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人事管理の権限委譲

法政大学イノベーション・マネジメント研究センターの佐野嘉秀教授の研究レビューによると、欧州の企業において、人事管理における権限移譲の動きが進展しているとされています。この中で、ラインマネージャーは部下の賃金・処遇、コーチング、チームの動機づけといった対人管理上の役割が期待されています。

また、ラインマネージャーを取り巻く環境が劇的に変化(多様な雇用形態に応じた人材の確保・指導)している中で、現場に近いラインマネージャーに勤怠管理(店舗スタッフやパート・アルバイトを含む)、人事評価懲戒・解雇などの権限移譲の重要性が増しており、柔軟かつ迅速な事業展開を行う上でも必要不可欠であると考えられます。

【参考】法政大学イノベーション・マネジメント研究センター ラインマネージャーの人事管理機能に関する研究レビュー 法政大学佐野嘉秀教授

まとめ

  • 経済のグローバル化や労働人口の減少により、個人・組織のマネジメントを担うラインマネージャーの役割や環境が劇的に変化しています。
  • 柔軟かつ迅速な事業展開を行う上でも、人事部音担当者はラインマネージャーの負担を軽減し、適切なマネジメント行える環境の構築支援が求められます。

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