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2018年8月12日(日)更新

フィードフォワード

「失敗から学ぶ」ということは、人が成長するための欠かせない要素です。ビジネス上の経験が長けている上司からのフィードバックは、部下が成長する上で必要なアドバイスといえます。一方で、フィードフォワードという新たな人材育成方法が注目されています。今回はフィードフォワードの意味やメリット、活用方法をご紹介いたします。

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フィードフォワードとは?

新たな人材育成方法のひとつであるフィードフォワードは、その意味や注目されている背景、フィードバックとの違いを知ることで、理解を深めることができます。

フィードフォワードの意味とは

フィードフォワードとは、未来完了形の自己変革を目的としたアイデアを周囲の人間から集める、人材育成の手法を指す人事用語です。人は「知的学習において、フィードバックのような意見の収集を本能的に認めたがらない」とされており、フィードバックに代わる新たな人材育成方法としても注目されています。

フィードフォワードは、結果から軌道修正を行なうフィードバックと異なり、解決策に焦点を当てた未来を見据えたアドバイスを重視しています。そのため、部下やチームメンバーへの批判的なアドバイスの抑制、前向きな姿勢・自主性の育成および訓練に効果的といわれています。また、助け合いの精神で、チーム全体で取り組まれることから、組織のコミュニケーションの円滑化や結束力の強化、客観性の担保にも効果的です。

コーチングや業務のワークフローとも併用しやすく、現場の人材育成力の強化にも効果が期待できます。

フィードフォワードが注目されている理由

フィードフォワードが注目される理由には、「組織力強化に向けた自発性の高い社員の育成」が理由と考えられます。

経済のグローバル化に伴い、日本企業の多くが全体最適が進む中、現場のチームワークは組織力の向上に欠かせません。そのため、チームメンバーや部下自身が「自ら考え、行動する」自発性の高い人材育成が急務といわれています。しかし、自己の成長のために活用されていた フィードバック (360度評価)は、評価対象となる人の「負の感情」を生みやすく、自由裁量を阻害してしまうデメリットが生じます。

そのため、組織力を向上させる上では、社員の自発性を阻害してしまうフィードバックよりも、メンバーひとり一人の意識改革と自発性の向上が期待できるフィードフォワードに注目が集まっていると考えられます。

フィードバックとの違い

フィードバックとは、社員の自己成長を目的とし、過去や現状を見直し、原因を究明することで、更なる成長や課題の解決を目指す人材育成方法です。目標設定や動機付け、コーチングなどと併用されることが多く、評価対象者の上司、同僚、さらには取引先企業や定形企業などの第三者(協力者)の間で行なわれるのが一般的です。

フィードフォワードは過去や現在ではなく、「未来に目を向けて、自己成長を目指した建設的なアイデア出しをする」という特徴があります。そのため、将来の自己の変化を予測しながら、方法・軌道の修正が可能です。

また、着眼点にも違いがみられます。フィードバックでは、過去・現在の問題や欠点、誤りなどに注目し、ダメ出しや指摘を中心とした内容に偏りがちです。しかし、フィードフォワードは解決策自体に焦点が当てられるため、内容も解決を目的とした、前向きなアイデアが中心となります。

さらに、フィードバックは評価対象者よりも優位な立ち場にいる人間が行ない、主観的な評価が行なわれる傾向が強いとも指摘されています。一方で、フィードフォワードは、上下関係に関わらず、職場の仲間(協力者)として、助け合う(支え合う)ことを前提としているため、批判的なアドバイスになりにくい傾向がみられます。

このように、フィードバックとフィードフォワードではプロセスや着目点、評価に対する考え方に明確な違いがあると考えられます。

項目 フィードバック フィードフォワード
時間軸 過去・現在 未来
着眼点 問題、誤り、欠点 解決策
内容 ダメ出しや指摘 前向きなアイデア
評価の性質 主観的 客観的
考え方 上下関係など関係性を重視 助け合い

【関連】フィードバックの意味とは?ビジネスシーンにおける活用方法をご紹介/BizHint HR

フィードバックの問題点

長年、部下やチームメンバーの成長の糧とされていたフィードバックは、多種多様な価値観の尊重(ダイバーシティ の浸透) が広がる中で、見直しの動きが加速しています。

本章では、フィードバックの問題点についてご紹介いたします。

仲間意識の希薄

フィードバックにおいては、上司・部下・同僚の間で強い信頼関係を構築することを前提としています。そのため、信頼関係を欠いた状態でのフィードバックは個人間の親近感や仲間意識を希薄にする可能性が高まります。

組織の目標を達成するためには、信頼関係の構築はもちろん、未来志向で解決策を見つけ出し、目標に近づくことが大切です。そのため、組織での仲間意識の希薄や親近感の喪失を招くフィードバックは最適なマネジメントとはいえないと考えられます。

従業員のモチベーション低下

フィードバックは上司や同僚の主観的な評価を基に実施される可能性が高く、ダメ出しと認識される恐れがあります。時には好き嫌いや人間関係といった感情的な判断軸が加味されることも多く、評価される側は客観性に欠けていると感じてしまい、モチベーションや生産性の低下の要因となってしまいます。

そのため、フィードバックを行なう側は相手側に「負の感情」を芽生えさせない、言葉に配慮するなどの高度なコミュニケーション能力が求められます。しかし、労働人口の減少やプレイングマネージャーが増えている現状では、評価する側の管理職(管理者)の負担が増しており、事実上、難しいといえます。

また、フィードバックは上司などの優位的な立場からの評価という側面が強く、個人の自由裁量の阻害の原因にもつながりかねません。

公平性を欠く恐れがある

フィードバックは、直属の上司や管理職(管理者)といった自分より上位の立場にある人から1対1のミーティングの場で行なわれることが一般的です。一方で、客観性を担保できるといわれる360度評価も主観的なフィードバックになりやすく、最悪の場合、評価対象者同士の談合(不正)に発展する恐れも指摘されています。

これらのことから、過去や現在の問題に焦点を当てて、評価を下すフィードバックは評価される側に不利益を与える、心理的に悪影響を与えると考えられています。

フィードフォワードのメリット

フィードバックに変わる人材育成方法であるフィードフォワードは、以下のメリットを享受することができます。積極的に取り入れることで、個人・組織両方に良い流れを作り出してくれるため、導入を検討されている場合は参考にしてみてください。

批判的なアドバイスの抑制

フィードフォワードは、未来に目を向けた前向きなアイデアを貰えるため、評価される側は周囲からの意見を受け入れやすく、前向きな姿勢で自分自身の変革意識を向上できます。そのため、評価する側も評価される側も前向きな議論が行なえることから、批判的なアドバイスの抑制にもつながります。

フィードフォワードは社員一人ひとりの成長を促すだけでなく、仲間意識を高まる効果も期待でき、組織力の向上にもつながります。

幅広い意見を集約できる

過去や現在の誤りや欠点、問題に焦点を当てることに固執すると、視野が狭くなり、限定的な解決策に終始してしまいがちです。しかし、未来志向でさまざまな可能性を模索し、解決策を見出すフィードフォワードは幅広い意見やアイデアを集約できます。

多種多様な価値観を重視する風潮が広まる中で、新たな発想や視点はイノベーションを生み出すきっかけになるともいわれています。また、自分にはない考え方を取り入れられるため、従業員一人ひとりの生産性向上にもつながります。

前向きな思考と自主性の尊重

フィードフォワードは、周囲の人間から自分が成長するためのアイデアを収集する方式を採用しいています。そのため、自発的な意識改革に基づいた行動に移せるため、従業員一人ひとりの自主性を尊重することができます。また、未来志向の考えで自己変革を行なっていくフィードフォワードは、過去の失敗や問題に囚われずに物事を進めていけるため、前向きな思考の育成にもつながります。

現在、必要とされているリーダーシップには、前向きな思考と自主性が欠かせません。そのため、フィードフォワードは将来の貴重な戦力となる若手社員や幹部候補の育成にも効果的といえます。

フィードフォワードの活用方法(例)

フィードフォワードは、未来志向で物事を考え、従業員の自主性や自己変革能力を高めるだけでなく、チームワークや組織の結束などにも効果があります。また、フィードフォワードはフィードバックと同様、すぐに実践することができる人材育成方法のひとつです。

本章ではフィードフォワードの活用方法についてご紹介いたします。

メンバー同士の対話の場(機会)を作る

フィードフォワードは職場の上司・同僚から前向きなアイデアを貰える、画期的な人材育成方法です。そのため、上司を含むメンバー同士の「対話の場(機会)」が欠かせません。普段からメンバー同士が忌憚のない意見交換ができる対話の場を作ることは、管理職やマネージャーの重要な役割といえます。

近年では、自席を設定せずにフリーアドレスを導入したオフィスを構える企業も少なくありません。フリーアドレス制は、普段は距離が遠く感じる経営者との直接対話や他部門の人員との交流を促す人事施策の一つです。また、メッセンジャーや社内SNSなどのコミュニケーションツールの導入も対話を促すのに効果的といえます。

ピアコーチングとの併用

ピアコーチングとは、従来の上司・部下の間柄でのコーチングではなく、チームメンバー同士で行なうコーチングを指すビジネス用語です。ピアコーチングはチームメンバー同士の対話を促し、チームワークの高い組織作りの基礎となるコーチングといわれています。

また、チームを率いるリーダーを中心に、メンバー同士の学習能力や仲間意識の向上にも効果的であり、フィードフォワードを現場に浸透させる場合、一緒に運用することで、効率的にチームメンバーの能力を高めることが期待できます。

幹部社員候補・管理職の育成

フィードフォワードはチームメンバーや部下の育成だけでなく、幹部社員候補や管理職(管理者)といった上位の役職に就いている人材の育成にも効果的です。

部下から上司へのフィードバックは、評価する部下にとって、心理的負担が大きく、本心のフィードバックが受けられない可能性があります。また、悪いフィードバックを受けた場合、ハラスメントや冷遇といったトラブルを招く要因にもなりかねません。しかし、フィードフォワードは評価する側である部下の心理的負担を軽減でき、評価される側の上位役職者の感情を左右することもありません。

一方で、経営者を含む経営陣は、他人からフィードバックを受ける機会が一般の社員に比べて極端に少ないといえます。フィードフォワードは自己変革に必要な未来志向の前向きなアイデアを収集できるため、経営者といえども、フィードフォワードは無視できない絶好の機会と捉えることができます。

幹部社員候補をはじめ、管理職(管理者)は組織としての目標を課せられており、円滑に組織を動かせるかどうかが大きな評価軸とされています。組織の結束力や仲間意識を向上させる上でも、幹部社員候補や管理職(管理者)は部下やチームメンバーからの適切な評価を受けなければ、組織改革は実現できません。

このように、フィードフォワードは幹部社員候補や管理職の育成方法としても最適といえます。

ワークフローに取り入れる

フィードフォワードの導入には、チームメンバー同士の「対話の場(機会)」を設けることが大切ですが、社員の意識や方向性を変えるだけでも実行が可能です。そのため、意思決定や解決策の策定が発生する業務上のワークフローの中に取り入れて、実践することが最適といえます。

自己成長はOJTコーチングなどの育成方法が効果的と言われており、これらの人材育成に欠かせないアドバイスであるフィードフォワードも併用することが望ましいと考えられます。そのため、上司や部下、同僚を含むチームメンバー全員で助け合うという意識の下で、ワークフローに取り入れてみてはいかがでしょうか。

まとめ

  • 未来的志向であるフィードフォワードは、前向きな社員の成長を促すだけでなく、評価される側の負の感情の払拭や仲間意識・組織の結束力向上に効果が期待できます。
  • 多様な価値観を尊重し、対話を通して、相互理解を深め、個人・組織の能力を最大限に発揮することが、日本企業の持続的成長の秘訣といえます。
  • 幹部社員候補・管理職の育成や部下へのフィードバックで悩みを抱えている方は、フィードフォワードを活用して、アプローチしてみてはいかがでしょうか。

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