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2018年1月12日(金)更新

ナレッジマネジメント

「ナレッジマネジメント」とは、企業内で知識の集積を図り、データとして集積することを指すのではなく、知的情報を活用して組織力を向上させるために導入される経営手法です。詳細についてご説明します。

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ナレッジマネジメントとは?

ナレッジマネジメントとは、企業が蓄積した知識や経験(独自の営業ノウハウや技術情報、顧客情報など)を全社的に共有し、企業が持つ競争力を活性・向上させる経営手法をいいます。

アナログな手法であれば、朝礼や全社会もナレッジマネジメントの手法といえ、スケジュール管理や顧客情報などをデータベース化することで、全社員が閲覧できるようにする高度なマネジメントも存在します。

企業や事業を大きくなると情報共有が難しくなり、機会損失や業務上の障害が発生しやすくなるため、これら情報をいかに集約・共有するかが、企業価値を高めるチャンスにもなりえます。

【関連】マネジメントとは?ドラッカー理論・成功のポイント・様々な手法までご紹介/ BizHint HR

ナレッジマネジメントが注目される背景

このナレッジマネジメントは新しい経営手法ではなく、日本企業の多くが採用してきたものです。 しかし、時代の流れとともに従来のナレッジマネジメントが通用しなくなり、ナレッジマネジメントの手法自体をアップグレートする必要が生じました。

日本企業にマッチした「ピラミッド型経営」

戦後の高度経済成長期に、日本企業の多くが取り入れたナレッジマネジメントです。トップダウンというわかりやすい指示系統が構築されているため、チームワークを得意とする日本企業とも相性が良い経営手法です。トップが方針を打ち出すことで、下部組織(部署やプロジェクトチーム)が独自に動くため、効率の良い経営を可能にしました。

人材の流動化

年功序列の昇進・昇給制度、終身雇用といった日本独自の雇用システムが崩壊しつつある中で、ひとつの企業に勤め上げること自体が珍しくなくなりました。売上不振や財政難によるリストラはもちろん、企業はより優秀な人材を雇用するために人材の流動化を重視する傾向にあります。そのため、個人の知識や経験などの情報が企業に蓄積しづらくなり、従来のナレッジマネジメントが通用しなくなったという背景が、新たなナレッジマネジメントを必要とした要因となりました。

ビジネス社会のグローバル化とスピード化

インフラの発達と内需の減少により、海外に活路や販路を求め、ビジネス社会が急速にグローバル化しています。また、IT技術の発達により、スピードも求められ、より事業が複雑化しています。そのため、従来のナレッジマネジメントでは肥大化した企業において、情報共有が難しくなりました。これらの要因により、デジタル化されたナレッジマネジメントの再構築が注目されるようになりました。

ナレッジマネジメントに取り組むメリット

グローバル化・スピード化された世界経済に対応するため、最新のナレッジマネジメントに取り組むことは、以下のようなメリットがあります。

情報伝達と企業競争力の強化

社内イントラネットの導入によるナレッジマネジメントを導入するで、全社員が社内文書や重要事項といった情報にアクセスできます。従来の会議や口頭での共有よりも正確性、スピードともに優れており、企業の生命線といえる営業ノウハウや技術をデータベース化することで、専門的で価値ある情報を即座に共有・伝達することができます。

その結果、従業員の生産性の向上や企業の競争力を強化することができます。また、縦割りの組織構成では難しかった他部門との情報共有やノウハウに触れることができるため、イノベーションや新たなサービスの創造がしやすい環境が生まれます。

顧客対応力の強化

ITの発達により、顧客の満足度や意見などを集約し、企業経営に活用しやすくなりました。カスタマーサービスのナレッジマネジメントを強化することで、開発現場や営業部門へ顧客の意見を届けやすく、企業競争力の向上が期待できます。営業においては、新規クライアントへのアポや受注に欠かせない人脈・顧客情報をデータベース化することで、スピード感のある営業活動が行えます。

業務の効率化や統一化が可能

従来の紙による文書からデータ化した情報に移行し、管理・蓄積することで同じような文書作成の手間が省け、業務の効率化や人件費の削減の効果があります。また、業務フローを共有化することで新入社員や移転先社員に対しても迅速に業務を移行させることができます。

ナレッジマネジメントの種別

ナレッジマネジメントと言っても、その導入方法は業界や業態、またどのような情報(知識や経験)を管理・共有するかによって、その種別も異なります。ここでは、代表的なナレッジマネジメントの種別をご紹介いたします。

分析・戦略型ナレッジマネジメント

経営者は会社を左右する重要な決断に、成功例や失敗例、また業務プロセスを正確に分析・検証を行った上で経営判断を行います。そのため、業界の動向はもちろん、競合他社の類似の事例を多面的に分析することが必要で、高度なナレッジマネジメントシステムが求められます。このように経営支援的な位置付けでナレッジマネジメントを導入する企業も少なくありません。

業務改善型ナレッジマネジメント

主にカスタマーサポートなどの顧客向けのナレッジマネジメントです。顧客からの意見やクレームをいち早く上司や関係部署に伝達・応答することで、顧客満足度の向上が期待できます。さらに過去の顧客の問い合わせとその回答をデータベース化することで、迅速な対応を行えます。このカスタマーサポート向けのナレッジマネジメントは営業や開発に特化したナレッジマネジメントに応用する企業もあります。

社員教育型ナレッジマネジメント

優秀な成績や実績を残した社員の知識や経験を形式化し、その他の社員の教育に役立てるナレッジマネジメントです。思考・行動パターンや問題解決方法などデータベース化することで、社員のスキル・質の向上効果が期待できます。この社員教育型ナレッジマネジメントはどのようにシステムを構築するか、また分析や形式化する方法論をしっかりと議論する必要があります。

ヘルプデスク型(専門知型)ナレッジマネジメント

法務部や財務部、情報システムやセキュリティなど高度な専門知識が必要な情報や質問を文書ファイルやF&Qとしてデータベース化するナレッジマネジメントです。担当社員の負担の軽減や業務の効率化を図ることができます。主にコーポレート部門において、導入されるナレッジマネジメントです。

ナレッジマネジメントの導入プロセス

STEP1:課題や目的を精査する

ナレッジマネジメント促進ツールやコンサルティング会社を利用して、ナレッジマネジメントを導入したものの、社員が使用しない、欲しい情報が手に入らないなどの失敗例も少なくありません。

ナレッジマネジメントを導入することで、どのような課題を解決したいのか、どのような効果を期待しているのかを目的をはっきりさせるようにしましょう。単純に「迅速な情報共有」という曖昧な目的だと費用だけがかかり、期待した効果も得られないので注意が必要です。

STEP2:管理・共有したい情報の可視化

次に管理・共有したい情報を可視化する方法を考えます。そもそも共有化したい情報そのものが可視化できるかどうかも同時に検討する必要があります。

文書ファイルやF&Qなどにデータ化できるか、コミュニケーションを主体とした情報共有を目指すのかなど、目的や用途によって、可視化する方法を検討しましょう。

STEP3:業務に結びつける

管理・共有したい情報の目的や課題を明確にし、可視化の可否や整理、仕組みが完成したら、現場の状況や情報の流れを把握し、段階的に業務と結びつけていきます。

例えば、社内イントラネットの導入により、従来の朝会を廃止するなどが最初のアクションといえます。導入後の社員の利用率や情報共有のスピードを把握しながら、その他の情報も徐々にナレッジマネジメントの仕組みに結びつけていきましょう。

ナレッジマネジメントは仕組みを作ったら終わりではありません。現場の状況と確認しながら、その後の運用やメンテナンスも重要となります。

ナレッジマネジメントの導入におけるポイント

先にご紹介したとおり、ナレッジマネジメントを導入したものの、利用されない、欲しい情報が手入らないなどの新たな課題が発生する可能性があります。

そのため、導入する際には以下のポイントを重視しましょう。

現場を中心に導入を検討する

ナレッジ(知識や経験)を得るのは営業や開発、カスタマーサービスなどの現場です。そのため、ナレッジマネジメントを導入する際は、現場の利用者が使用しやすいインターフェースや欲しい情報、抱えている課題を中心に考える必要があります。

適したデバイスでアクセスできるようにする

インターネットやデバイスの発達により、ナレッジマネジメントもシステム化することが可能となりました。しかし、パソコンのみからしかアクセスできないようなナレッジマネジメントでは最適とはいえません。

営業部門の場合、営業マンが社内にいることは少なく、スマートフォンなどのデバイスを通じて、社外からアクセスする機会が圧倒的に多くなります。導入の対象や目的に応じて、適したデバイスでナレッジマネジメントを実施できるかが大切です。

また、スマートフォンであれば、最新の技術が苦手な高齢社員も簡単なマニュアルで使用しやすいというメリットがあります。

形式知・暗黙知で可視化する

管理・共有したい情報を可視化する際は、形式知と暗黙知の両方を使って、可視化します。少し聞きなれない言葉ではありますが、形式知とは知識や経験を文書ファイルやデータなどから読み取れる情報を指します。

そして、暗黙知とは「なぜ、そのような結果になったか」という背景や経過など背後に隠れた情報を指します。従業員は「なぜ」という部分を明確にしなければ、有益な情報と判断しません。情報を可視化する際は形式知・暗黙知ともに使用するようにしましょう。

徐々に実装・拡大していく

いくら優れた取り組みや促進ツールでも、組織に浸透させるにはそれなりの時間がかかります。また、大企業・中小企業に関わらず、新しい取り組みや変化には必ず抵抗が生じます。そのため、いきなり全社的に取り組むよりも段階的に少しずつ実装・拡大していく方が浸透しやすいということを知っておきましょう。

ナレッジマネジメントの導入における注意事項

ナレッジマネジメントは導入時にしっかりと要件定義を行わなければ、失敗となってしまいます。以下に、導入における注意事項を記載いたしますので、導入の際には繰り返し確認しておくことをおすすめいたします。

手段が目的にならないようにする

よくある失敗の要因が、ナレッジマネジメントの導入自体が目的となってしまうケースです。優れたインターフェースや対応デバイスの豊富さ、素早い情報検索やコミュニケーション機能など機能面にこだわるあまり、「現場社員の支援」や「経営戦略の判断支援」といった本来の目的にしていた効果が得られにくくなります。実装してみたら、口頭で上司にホウレンソウを行う方が正確で速いという事態にならないように、あくまでナレッジマネジメントは手段であることを認識しましょう。

自社の強みや特性を見極め、導入を決める

企業によって、ナレッジマネジメントを強化するべき情報は異なります。A社では効率化すべき作業でも、B社では効率化すべきでないものもあります。

例えば、顧客の要望に柔軟に応える配送員が売りである配送会社では、ミスのない配送方法や効率の良い配送経路は文書ファイルなどで管理・共有できますが、地域に密着した接客などは文書ファイルでは共有できません。

一方で、迅速な配達が売りの配送会社では接客対応よりもGPSを利用した過去の配送経路のデータを分析し、その日の渋滞状況と合わせて、配送員をサポートするナレッジマネジメントの方が良い場合があります。自社の強みや特性を見極めて、どのようなナレッジマネジメントを導入すべきかを検討しましょう。

ナレッジマネジメントの成功事例

経営陣や人事担当者にも徐々に認知度が上がってきたナレッジマネジメントですが、まだまだ成功している事例は少ないといえます。

しかし、ナレッジマネジメントを導入したことによって、以下の成功事例が報告されています。

  • ナレッジマネジメントによる情報活用による社員の意識変化(有益な情報は共有すべきという意識)
  • F&Mの導入により、専門知識を有する社員の負担が軽減した
  • 現場や顧客の新鮮な声を吸い上げ、製品開発やサービス向上に役に立った

ナレッジマネジメントの失敗事例

既にご紹介している通り、ナレッジマネジメントを導入する際はその目的や課題を正確に把握し、自社に適した仕組みを導入する必要があります。

しかし、それらが疎かになってしまったために失敗してしまった事例も多く報告されています。

  • 社員のITリテラシーに沿わない仕組みを使ったため、利用率が極めて低い
  • 実装だけで、その後の運用が疎かになる
  • 優秀な人材のノウハウを可視化できなかった(多忙により時間が割けない、共有を拒否されるなど)
  • 過度なマニュアルの導入により、現場社員の思考する機会を奪ってしまった

ナレッジマネジメントを促進するツールのご紹介(知的情報検索型)

このタイプのナレッジマネジメントツールは社内情報の共有を目的としたイントラネット、社外の企業と情報を共有するエクストラネット、膨大な蓄積データを検索できるエンタープライズサーチに分類されます。

Yammer

マイクロソフト社が提供しているエンタープライズサーチツールです。部署間の迅速なトラブル対応、大規模プロジェクトにおける効率的なコミュニケーション、社内ナレッジを活用した人材育成などイントラネット、エクストラネットの役割を備えたツールです。

https://www.microsoft.com/ja-jp/yammer/

Neuron

Apache Solrという最先端のOSS技術を採用しているため、継続的な追加機能の実装や運用改善に最適な企業向け検索エンジンです。

https://www.brains-tech.co.jp/neuron/

ナレッジマネジメントを促進するツールのご紹介(データマイニングツール型)

このタイプのナレッジマネジメントツールは業務に必要な情報を、単語及び文章に分解し、検索できるメリットがあります。

Domo

経営判断に必要なデータの蓄積や、データの活用によって、ビジネスチャンスを生み出せます。マーケティング、財務、経営戦略、営業などさまざまな職種に対応可能なナレッジマネジメント促進ツールです。

https://www.domo.com/jp

TRUE TELLER

野村総合研究所のコンサルティング現場から生まれたデータ分析ツール。使いやすく、気付きやすいインターフェースと、データの分類やクロス分析に優れたツールでもあります。

http://www.trueteller.net/textmining/tm.html

ナレッジマネジメントを促進するツールのご紹介(グループウェア型)

このタイプのナレッジマネジメントツールは、メールやチャットなどのコミュニケーション、社員のスケジュール管理といったナレッジ共有が特徴的です。

サイボウズLive

プロジェクトチームの情報共有を円滑化するために作られたグループウェアです。情報を共有しやすいタイムラインやToDoリスト、掲示板が備えられており、プロジェクトのイベントやスケジュール登録も可能です。

https://cybozulive.com/login

チャットワーク

複数人が参加できるグループチャットやプロジェクトメンバー毎にタスク管理ができます。また、大容量のファイル共有やビデオ/音声通話も可能です。

http://www.chatwork.com/ja/

ナレッジマネジメントを促進するツールのご紹介(ヘルプデスク型(FAQ))

このタイプのナレッジマネジメントツールは業務遂行に必要な知識や方法を検索する際に使用できます。

Freshdesk

メールや電話といったあらゆる通信手段やSNS上からの問い合わせにサポートが可能なナレッジマネジメント促進ツールです。F&Qなど自己解決を促すセルフサービスポータルや他部門との連携も可能です。

http://freshdesk.jp/support-software/

キャノンビズアテンダ株式会社

日本を代表する大手企業やグローバル企業への導入実績を持つ、優れたヘルプデスク改善ツールです。客観的評価や定量化できる機能が課題発見のサイクルを短くしてくれます。

http://www.canon-ba.co.jp/lp/helpdesk-assessment/

まとめ

高度経済成長期では効率性を重視されていましたが、グローバル化やスピード感が重視される世界経済では、新たな価値が生み出すことに重きを置く知識社会です。

そのため、企業内での情報共有(知識共有化)や知識創造が今まで以上に重要性を増してきています。

経営者は蓄えた知識資産を適切に管理・共有し、経営資源(ヒト・モノ・カネ)を適材適所に配置する企業経営が求められます。ナレッジマネジメントの導入は現場中心に考える必要があり、人事部は経営陣と現場社員をつなぐ重要なパイプです。

今回の記事で、人事担当者として、自分がどのような役割を果たせるかを考えるきっかけとなっていただければ幸いです。

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