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2018年9月14日(金)更新

セクショナリズム

セクショナリズムとはいわゆる縄張り意識のことであり、自分の属している集団の権限や利害、都合、立場などに固執し過ぎるあまり、他集団に対して無関心や非協力的、否定的、排他的といった態度を取ってしまう思考傾向です。生産性を大幅に低下させ、正常な企業経営や人材活用を困難にさせてしまうセクショナリズムを組織内から完全に排除するために必要な情報やノウハウを、言葉の持つ意味や対義語、種類や原因、解消方法や対策などの項目に分かりやすくまとめて解説致します。

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セクショナリズムとは

セクショナリズムとはいわゆる縄張り意識や派閥争いのことであり、横の繋がりが弱い縦割り組織で多くみられるネガティブな思考傾向です。企業や会社を構成する部門、部署、部、課、係などのセクションの1つまたは複数においてセクション内部と外部の間に大きな精神的隔たりが発生することにより、人間関係の悪化や生産性の低下など様々な悪影響を及ぼします。

セクショナリズムが組織に与える影響はとても大きく、共同経営者がセクショナリズムによる排他の対象となってしまった場合には組織分裂という事態にまで発展してしまう可能性があります。

また、セクションを広義的に解釈すれば、担当者が1名しかいない業務における個人プレー(ワンマンプレー)も一種のセクショナリズムであるといえます。

セクショナリズムという英語の意味

セクショナリズム(sectionalism)は『部分的な』や『局地的な』という意味を持つsectionalと『主義』という意味を持つismを組み合わせて作られた言葉です。そのため、日本語では『派閥主義』や『部局割拠主義』、『セクト主義』などと訳されています。

なお、府、省、局、庁、委員会など国家機関や行政組織のセクション内で発生した同様のトラブルもセクショナリズムと呼びますが、当記事では企業や会社内で発生したセクショナリズムのみを扱うものとします。

セクショナリズムの対義語(反対語)

現時点でセクショナリズムには明確な対義語が存在しておりません。しかし、対義的用語というものは存在します。

強い派閥や縄張り意識によって非協力的な態度を取ったり連携を拒否する姿勢をセクショナリズムと呼ぶことから、対義的用語には『協力』や『共同』、『連携』といった要素を含める必要があることが分かります。

それらの要素を的確に捉えた言葉がコーポレーション(cooperation)です。このコーポレーションにismを組み合わせたコーポレーショニズム(cooperationism=協力主義、共同主義、連携主義)こそ、セクショナリズムの対義語に限りなく近い存在であるといえるでしょう。

2種類のセクショナリズム

セクショナリズムは他セクションへの反応や対応によって2種類に大別することができます。

無関心型、非協力型

【無関心型セクショナリズム】

「自分たちさえ良ければいい」という感情を持ち、自セクション内で起きた変化や出来事にのみ向き合い、他セクションの活動内容や構成員に対して全く関心を持たない状態

【非協力型セクショナリズム】

「自分たちには関係ないことだから」という感情を持ち、負担や責任の増加を避けるために当事者となることを避け、傍観者として立ち振る舞う状態

無関心型や非協力型のセクショナリズムは、他セクションの活動に対して直接的な悪影響を与えません。しかし、セクション間の連携を取ることが困難になるため、不測の事態に対する対応が遅れてしまったり、最適な選択肢が明らかであるにも関わらずそれを選択することができないなどの問題が生じてしまいます。

批判型、排他型

【批判型セクショナリズム】

「あのセクションに迷惑をかけられている」という感情を持ち、相手の前でも敵対心を露わにしたり否定的な発言を行ってしまう状態

【排他型セクショナリズム】

「あのセクションを阻害しなくてはならない」という感情を持ち、その存在を組織から排除するための方法を模索または実行してしまう状態

批判型や排他型のセクショナリズムは、他セクションの活動や構成員のモチベーションに多大な悪影響を及ぼします。また多くの場合、一方的ではなく相互批判や相互排他的な関係に陥ってしまうため、どちらか一方が完全に力を失ってしまうまで不毛な争いを続けることになります。

セクショナリズムの弊害

適度なセクショナリズムは集団の団結力や責任感を高めてくれますが、過度なセクショナリズムは組織全体に多くの悪影響を及ぼしてしまいます。セクショナリズムが加速することにより、次のような弊害が発生します。

同調圧力が発生しやすくなる

一部の人間が他セクションを敵視し始めると一気にセクション内のセクショナリズムは加速します。

そして、「販売部門は製造部門のことを何も理解していない」や「営業の腕が悪いせいで製品の質が悪いと思われるのが許せない」などの愚痴や批判がセクション内に蔓延していくにつれて、他セクションに対して否定的な感情を持っていない構成員も裏切り者というレッテルを貼られないように周りの人間の顔色を伺いながら同調するようになってしまうのです。

心理的安全性を大幅に低下させる

同調圧力で溢れかえった集団において自分の素直な意見を口にすることは容易ではありません。

そのため、強い発言力を持つ一部の構成員を除いたほぼ全ての構成員のセクション内における心理的安全性は大幅に低下してしまい、当たり障りのない無難な言葉しか口にできなくなってしまいます。

【関連】心理的安全性とは?googleが発見したチーム生産性を高める唯一の方法 / BizHint HR

メンタルヘルスの悪化

周囲の人間の顔色を常に伺い、自分の意見や想いを素直に伝えられない労働環境は大きな心理的ストレスとなります。そのような環境が構成員のメンタルヘルスに悪影響を及ぼすことは容易に想像がつくでしょう。

労働生産性の大幅な低下

セクショナリズムによる労働生産性低下の理由は2種類あります。1つは他セクションとの連携不全によるもの、そしてもう1つは構成員のパフォーマンス低下によるものです。

適度なセクショナリズムであれば一体感による士気向上効果を期待することができますが、同調圧力の出現により心理的安全性が大幅に低下した現場ではモチベーションや集中力の維持すら難しくなってしまいます。このモチベーションや集中力の低下によって作業速度が低下し、ヒューマンエラーが増加した結果、セクション内の作業効率と労働生産性を大幅に低下させてしまうのです。

一部のセクションが労働生産性の低下によりボトルネックとなることで、関連する全てのセクションの作業効率や労働生産性を低下させてしまいます。そして、外部影響により作業効率や労働生産性を低下させられてしまったセクションが新たなボトルネックとなることで更に影響範囲が拡大していきます。

このように、セクショナリズムによる悪影響は該当セクションや直接的な関係のあるセクションだけに留まらず、組織の細部まで広がってしまうのです。

顧客満足度や取引先からの信頼度の低下

セクショナリズムは初期の段階で他セクションとの連携意識や協力的姿勢が失われます。その結果、たとえすぐ側でユーザーからの問い合わせや取引に関する電話が鳴っていても「自分のセクションには関係ない」や「この一件で評価を落としてしまえばいい」といった感情から代わりに対応するなどのサポートを行わずに放置するようになってしまいます。

セクショナリズムによって連携意識や協力的姿勢が失われた組織は顧客やユーザーの満足度も低下させてしまうのです。

セクショナリズムが発生する原因

組織の労働生産性や信頼度を大きく低下させてしまうセクショナリズムですが、その原因は多岐に渡るため全てを未然に防ぐことは容易ではありません。しかし、個々の発生メカニズムを正しく理解することによって抑止策や対応策を検討し、実施することが可能となります。

経営者や人事担当者の視点から組織内のセクショナリズム撲滅を図るため、セクショナリズムが発生する原因について学んでいきましょう。

承認欲求や競争意識の暴走

人は誰しも少なからず「自分のことを認められたい」という承認欲求を持っています。そのため多くの社員や従業員は経営陣や人事部、上司から高い評価を得るために日々努力を積み重ねています。そして、同僚に負けたくないという感情が競争意識を生み出すのです。

個人が承認欲求や競争意識を持つことは至極当たり前のことであるため、それほど大きく心配することはありません。しかし、セクション単位でこれらの感情を共有した時、それはセクショナリズムへと発展するため用心しなくてはなりません。

自セクションの権力を拡大させることで自分たちの存在を認めさせようと考えることで社内政治や権力闘争が生まれ、競争意識が加熱することによって他セクションへの妨害や誹謗中傷が行われます。そして、そのような環境下に置かれたセクション構成員は、次第に「組織全体をより良くするには」という想いを忘れていってしまうのです。

チームワークと外部拒否の混同

チームワークを高めるためには帰属意識や仲間意識が欠かせません。しかし、度を越した帰属意識や仲間意識は他セクションとの間に心理的な壁を築く原因になることがあります。

一致団結や連帯責任というものにこだわり過ぎるあまり、他セクションに対する興味が薄れたり排他的な言動を行うことによって、チームワークはセクショナリズムへと一変してしまうのです。

ネガティブな集団規範

集団規範とはその集団内でのみ成立するローカルルールのようなものです。この集団規範の効力は集団規模が小さく、規範作成から長い期間が経過しているほど強くなる傾向があります。

「自分たちに与えられた仕事は自分たちだけで完結させる」や「周りに気を取られることなく目標や課題の達成に全神経を集中させる」といった集団規範は、責任感や生産性を高めるための前向きなルール設定のように感じられますが、他セクションとの連携を意図的に絶ち、周囲に興味を示すきっかけを奪っているというネガティブな一面も存在します。

このようなネガティブな集団規範が根付いているセクションは、そうでないセクションに比べて大幅にセクショナリズムが発生しやすいといわれています。

従業員間のコミュニケーション不足

部門間や部署間、セクション間など、異なる集団やグループとの交流やコミュニケーションが不足していることもセクショナリズム発生の大きな原因です。お互いへの理解不足はそれだけで大きな人間関係トラブルへ発展することはありませんが、些細なことがきっかけで否定的な言動や拒否反応、排他的傾向を生み出してしまう危険な要素であることを正しく理解しておく必要があるでしょう。

最適化の視野の狭さ

組織内を見渡してみると、本人たちは「組織全体のため」にやっているつもりでも客観的には「自分たちのため」になってしまっていることがよくあります。『更なる企業成長のために部署内の生産性を最大化させる。その実現に向けて独自の手法を盛り込んだ大幅な業務プロセスの見直しを行う』といった行動はその典型的な例です。

部署内の生産性の最大化は確かに目指すべき目標であり素晴らしい心がけであるといえます。しかし、部署内だけで成立する手法を業務プロセスに独断で盛り込んでしまうことによって他部署における処理が困難になり、その部署内の生産性を大幅に低下させてしまう可能性までは考慮されていません。

この傾向は汎用性の高い業務を扱うセクションよりも専門性の高い業務を扱うセクションで顕著に見られます。最適化の視野の狭さは周囲への気配りを疎かにしてしまい、セクショナリズムを発生させる原因となるのです。

日本人の国民性

日本人は秩序を守り、礼儀を重んじるという素晴らしい国民性を持っています。その一方、他人事には深く干渉せず、保守的で大きな変化を嫌うといった国民性も持ち合わせています。

そのような国民性を活かし、高い専門性と高度な技術力を駆使して様々な分野で長年にわたり世界をリードしてきた日本企業ですが、昨今の市場ニーズの変動やグローバル化に対応するため各セクションで独自の取り組みを実施した結果、組織内の様々な箇所で人間関係や協力体制に歪みが発生してしまっています。

秩序や礼儀の対象をセクション内だけに留めてしまうことで周囲の反応に気付きにくい環境が構築されてしまい、セクション内部で無関心型のセクショナリズムが発生してしまいます。また、他セクションに「あのセクションは自分たちに一言の相談もなく好き勝手に物事を進める」といった印象を与えてしまうことにより、セクション外部でも批判型のセクショナリズムが発生してしまうのです。

セクショナリズムの解消方法

セクショナリズムの発生条件に組織の規模や年数、事業形態、業種や職種は入っていません。そのため、多数の従業員を抱える大企業だけではなく、中小企業やベンチャー企業であってもセクショナリズムは発生します。

しかし、多くのセクショナリズムは適切な対処を行うことによって解消することができます。組織内のセクショナリズムを解消する方法には次のようなものがあります。

業務プロセスの確認を行う

セクショナリズム解消のためにまず確認するべきは業務プロセスの確認です。各セクションで実施している業務プロセスが従来のものと大きく変化していないか、そしてその変化によって何らかの不利益を被っているセクションが存在しないかを確認していきます。

ここでセクション独自の手法による最適化が行われていることが確認できた場合には、業務プロセスの改善に自発的に取り組んだことを高く評価し、業務プロセスのどこが問題となっているのかを明らかにした上で再調整の必要性があることを理解してもらいます。

なお、再調整を行う際は該当セクションだけではなく関連セクションの責任者たちも交え、サポート体制や情報共有などの連携強化を意識しながら進めていきましょう。

トップマネジメント層が市場ニーズの代弁を行う

セクショナリズムは自分や所属部門の利益を追求しようとする感情によって加速度的に進行してしまいます。この状態を解消するためには、顧客やユーザーが何を求めているのかということに意識が向くよう導いてあげなければなりません。

しかし、市場ニーズは常に移り変わっていくため、組織内部から組織外部へと視点を誘導し、持続的に注視させることは容易ではありません。そのため、トップマネジメント層が市場ニーズの変化を敏感に感じ取り、顧客やユーザーに代わって希望や要望を組織内に発信していく役割を担います。

組織内部への周知徹底を図るにはトップマネジメント層自ら働きかけを行うことが最も効果的です。組織への貢献意識を日頃から高め、トップマネジメント層が市場ニーズの代弁者となることによって、業務への集中力を切らすことなく顧客やユーザーの想いに耳を傾けることが可能となるでしょう。

【関連】トップマネジメントとは?意味や役割、ISOによる定義、問題点を紹介 / BizHint HR

人事評価制度の見直しを行う

人事評価制度の見直しも、セクション内部に強く向けられている意識を外部へと向けさせるのに有効な方法です。セクションではなく組織が掲げた目標達成に向けてどれだけ貢献したかを正しく評価することによって、従業員の視野は自然と広がっていきます。

この際、責任の所在や努力に対する評価方法の設定も合わせて行うことでセクショナリズム解消効果は更に高くなります。

人は自分に直接的な責任が発生する場合にはより安全策を選んでしまう傾向があります。そのため、保守的感情を原因とするセクショナリズムが多く発生している組織であれば貢献や努力といったポジティブ評価の影響力を高め、目標未達成や失敗などのネガティブ評価の影響度を低くするだけで積極性や連携力を取り戻せるケースも少なくありません。

また、努力評価の導入によって無関心や無興味を解消させることで従業員間の相互理解も深めやすくなります。ただし、曖昧すぎる人事評価基準を設けてしまうと人事評価の価値が薄れ、不信や不満を生み出す原因となることもあるため、人事評価制度の見直しを実施する際には従業員の意見を取り入れながら明確で現状に即した人事評価基準を設定するよう心掛けましょう。

【関連】人事評価制度とは?評価対象や評価手法、企業事例などもご紹介 / BizHint HR

組織横断的業務を与える

セクショナリズムはセクションの内部と外部に心理的な壁を構築することで加速度的に進行します。そして、一度構築された心理的な壁はそう簡単に壊すことはできません。この閉鎖的な空間を開放するため、組織横断的業務を与えることによって強制的にセクション間の交流を発生させます。

組織横断的業務とは組織内に存在する複数の部門や部署を横断的に巻き込むプロジェクトや課題のことです。様々な経験や知識を持った各分野のプロフェッショナルが一堂に会することにより、問題点の洗い出しや問題解決に向けた多角的アプローチが容易となります。

組織内に存在するセクショナリズムが無関心型や非協力型の場合には、複数のセクションが連携することでしか達成できない高難易度の課題や複雑な業務を与えることによって一定の効果を期待することができます。

ただし、現時点ですでに強い批判的感情や排他的感情が発生している場合には、メンバーへの妨害や非協力的態度によってチーム全体のモチベーションや生産性が低下し、プロジェクトが失敗することで関係を更に悪化させる可能性が高いため、別の解決策を優先的に実施するようにしましょう。

組織内における挨拶を徹底する

挨拶はビジネスマナーの基本中の基本ですが、慣れた環境下では意識的かつ継続的に行わなければすぐ疎かになってしまいます。そして挨拶が疎かになることにより、社員同士のコミュニケーションは希薄化し、各セクションに存在する価値観や置かれている状況も次第に見えなくなってしまうのです。

組織内における挨拶の徹底を、セクショナリズム排除に向けた取り組みではなくコミュニケーション活性化施策として実施することで、強固なセクショナリズムを持つセクションの構成員であっても「自分たちのやり方や考え方を否定された」と感じることなく、前向きに受け入れてもらいやすくなるでしょう。

8つのセクショナリズム対策

組織内で進行してしまったセクショナリズムの解消は最優先で取り組むべき重要課題ですが、強い組織を構築するためにはそれだけではまだ足りません。組織内に再びセクショナリズムが発生することのないように適切な再発防止策を講じた時、組織は最高のパフォーマンスを安定的に得ることができるようになるのです。

以下のセクショナリズム対策から自社に適したものを選択し、実施することによって高い水準で人材力を維持することが可能となるでしょう。

人事部からセクショナリズム撲滅を進めていく

先入観や偏見、余計な気遣いは組織内にセクショナリズムを生み出し、加速させていきます。 そして、これらの感情は人から人へと伝染する性質を持っています。そのため、人材雇用や人材育成、研修、人事異動など様々な場面で従業員と関わりを持つ人事部の人間がこのような感情を持ってしまっていると、あっという間に組織全体へ広がってしまうのです。

しかし、伝染するのは負の感情だけではありません。相手の声にしっかりと耳を傾けて物事の本質を正しく理解しようとする姿勢や他人を思いやる気持ちといった正の感情も人を通じて伝染します。

この性質を利用し、人事部内を常に正の感情で満ち溢れた状態にすることによって、セクショナリズムが発生しにくい空気や環境を構築することができるでしょう。

社会的感受性を高める

社会的感受性とは相手の表情や言動からどのような感情を抱いているのかを読み取る力です。アメリカのGoogle社が2012年に実施した労働改革プロジェクト(通称:プロジェクトアリストテレス)において、チーク力向上と生産性向上に大きな好影響を与える要素として扱われたことにより多くの注目を集めました。

この社会的感受性を高めることによって、自身の言動が他者に及ぼす影響についても予測することができるようになります。関係性を良好に保てるように相互努力することで、縄張り争いや派閥闘争などの組織内分裂は発生しにくくなるでしょう。

【関連】プロジェクトアリストテレスとは?チームを成功に導く心理的安全性 / BizHint HR

経営理念を浸透させる

セクショナリズムを完全に撲滅するためには、全従業員に「組織という大きなチームの一員である」という自覚を持たせる必要があります。それを実現させるためには創業者や経営者の想いが詰まった経営理念を浸透させることが一番早く効果的です。

「何のために事業を営んでいるのか」や「最終的に達成したい目標は何か」といった事業目的を周知徹底することにより、全従業員が同じ方向を向いて突き進むことができるようになります。その一体感が仲間意識を生み出すことによって、組織を一つのチームとして認識できるようになるのです。

【関連】経営理念とは?その目的や策定方法、企業事例までご紹介 / BizHint HR

管理職育成やリーダー育成に力を入れる

現場で働く従業員たちが組織全体をチームとして認識していても、その従業員たちに対して大きな影響力を持つ管理職やリーダーが正しく認識していなければセクショナリズムはすぐに発生してしまいます。なぜなら、そのような管理職やリーダーは、周りのセクションやプロジェクトチームを出し抜くほどの高い成果を生み出すことでしか評価してもらえないと本気で信じ込んでいるからです。

管理職やリーダーという責任からくる緊張や焦り、苛立ちといった感情は張り詰めた空気を伝ってセクションやプロジェクトチーム全体に広がっていきます。その結果、部下やメンバーはセクションやプロジェクトチームの成果に全神経を集中させ、視野を狭めていってしまうのです。

このように現場における管理者やリーダーの影響力は強大です。しかし裏を返せば、管理者やリーダーに正しい認識を持たせることで部下やメンバーに対してプラスの働きかけを行うことができるということでもあります。組織への帰属意識向上を目的とした管理者育成やリーダー育成を実施することにより、部下やメンバーの視界を明るくすることができるでしょう。

インクルージョンの推進

短時間勤務やテレワーク(在宅勤務)といった特別な働き方に対する妬みや嫉妬といった個人批判は、次第にその個人を受け入れているセクション批判へとエスカレートしていき、最終的にセクショナリズムに変化してしまいます。しかし、少子高齢化による労働力人口の減少やグローバル時代への突入といった社会背景により、全ての組織はダイバーシティ(多様化)の受け入れを行わなければなりません。

この二つの課題を同時に解決するため、ダイバーシティを更に発展させたインクルージョンの推進の実施が有効です。

インクルージョン(Inclusion)は『含有』や『一体性』といった意味を持ち、従業員一人ひとりの意見や想いをまとめることで一体感や納得感を生み出します。性別や年齢、宗教や生活習慣といった人材特性をトップマネジメント層や人事部だけが理解しておくのではなく、全従業員が興味を示し正しく理解しようと努め、適した働き方を提案し、認めることによって妬みや嫉妬を発端とするセクショナリズムを防止することができるでしょう。

【関連】インクルージョンの意味とは?ダイバーシティとの違いを含め解説 / BizHint HR

マトリックス組織への組織変更

マトリックス組織とは従来の縦軸だけの繋がりを持つ組織ではなく、横軸の繋がりも持ち合わせた組織のことを指します。そのため、マトリックス組織の組織図は碁盤のように縦横の線が引かれる形となります。このように横の繋がりを足すことで組織内交流は活発化し、従業員の自社商品や自社サービスに対する理解も深まります。

しかし、大掛かりな組織変更には多くの人材と時間を消費するため、失敗時の損失も大きなものとなってしまいます。また、従業員にかかる精神的負担や業務も大きくなるためストレスマネジメントや業務最適化などの施策も同時に進める必要があります。

組織のマトリックス化によって意図せぬ不利益を被ることがないよう、自社の現状分析を行い、施策の有効性とリスクとのバランスを十分に見極めた上で実施判断を行いましょう。

【関連】マトリックス組織とは?事例を交えメリット・デメリットを解説 / BizHint HR

ジョブローテーション制度を導入する

セクショナリズム発生の主な原因は組織内における人的交流の衰退と他セクションに対する理解不足です。そこで、ジョブローテーションを人的交流活性化のカンフル剤として活用します。

ジョブローテーションとは社員のスキルアップを目的として戦略的に行われる定期的な人事異動です。このジョブローテーションを実施することにより、人的ネットワークが拡大し、各セクションにおける活動内容やその必要性について理解を深めることができます。

また、全セクションへの異動可能性があることによって批判的な感情や発言は生まれにくくなります。ただし、ジョブローテーション制度の本来の目的は人材の持つパフォーマンスの最大化とポテンシャルの引き出しであるため、人的交流という副産物的な効果を意識しすぎるあまりに従業員個人の意思を無視してしまい、モチベーションや組織への信頼度を大幅に低下させることがないように注意しましょう。

【関連】ジョブローテーションの意味とメリット・デメリット、目的や制度、事例 / BizHint HR

社内SNSツールや情報共有システムを導入する

セクショナリズムが人的交流の機会やコミュニケーションの深さに大きな影響を受けていることは間違いありません。しかし、セクション間のやり取りが書面のみという組織も少なくありません。

このような組織に対して有効なのが社内SNSツールや情報共有システムの導入です。SNS(social networking service)は従業員間の社交的な繋がりをサポートとし、情報共有システムはデジタルデータ化された情報をリアルタイムで共有することによって複数人数での情報閲覧や作業内容の確認を可能にします。

また、マイクやカメラを使用することで相手の声や表情を確認しながらミーティングを行うことのできるWeb会議システムや、他者の発言に対してボタン1つで簡単に好意的な感情を持っているという意思表示が行える『いいね!ボタン』など、ツールやシステムは魅力ある様々な機能を有しています。

ツールやシステムの機能を最大限に活用し、風通しの良い組織を構築することによって、従業員たちはフラストレーションを溜め込むことなく組織目標の達成に向けて邁進することが可能となるでしょう。

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まとめ

  • セクショナリズムとは自分の属する集団(セクション)の損益や都合を優先した結果、他集団に対して無関心や非協力的、否定的、排他的態度を取ってしまう思考傾向である。
  • セクショナリズムは一般的に縄張り意識や派閥争いなどという表現で扱われている
  • セクショナリズムは複数の人間が集まる全ての場所で発生する可能性がある厄介な問題である
  • 適度なセクショナリズムは集団の団結力や責任感を高めるが、過度なセクショナリズムは組織全体に多くの悪影響を及ぼす
  • 組織内に発生したセクショナリズムを解消するためには、発生原因について正しく理解した上で適切な解消方法を選択し、実施しなければならない
  • 自社環境に適したセクショナリズム対策を実施することにより、セクショナリズムが発生しにくい組織を構築することができる

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